イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プレイレポート 19/05/28 TNM『キング・オブ・リング』

昨日の夜は、TNMの自作シナリオを遊びました。スーパーライトアクトだよ!
プレアクトテキストはこんな感じ。

lastbreath.hatenablog.com

シナリオタイトル:キング・オブ・リング システム:トーキョー・ナイトメア RL:コバヤシ

槻城さん:"マイティー・ソウ"畑中颯太郎:25才男性:チャクラ=チャクラ◎●カタナ 天才肌でお調子者、持ち前のセンスでメインを背負うまでに上り詰めた若き天才レスラー。バックボーンは柔道だが、その過去にわだかまりを抱いており、投げ技を封印気味。元タッグパートナーとの因縁を背負い、ベルト戦に挑む。
ソエジマさん:"デーモンルーラー"蛇澤清志郎:48才男性:カブキ◎レッガー●ミストレス ヒール軍団の首魁として、反則アリ盤外戦アリのダーティーファイトを得意とするベテラン。プロレスの酸いも甘いも噛み分け、若手を食わせるために居酒屋なども経営している。

つーわけで、PL二人、キーハンドアウトあり、結末未定のスーパーライトアクトという、かなり変則的なシナリオを遊んできました。色々盛り込んだセッションだったんですが、大体想定どおりに機能して、二時間でみっしりと男と男の関係性、プロレスと格闘技への想念、人間と人間のぶつかり合いを堪能。非常に面白かったです。
『結末が決まった戦いごっこへの蔑称』として"プロレス"を使うのが、僕は本当に大嫌いで。見ている人も参加している人も納得し、真実熱くなれるブックを作り上げ、体を張って演じることがどれだけ難しく尊いか、あんま考えてない言い回しだなぁと常々思っております。
『参加者全員の満足を目指し、ある程度規定されたフレームの中で満足度を上げていく』という要素はTRPGにも色濃くあって、ランダム性が機能しにくいNOVA型の戦闘なんかも時に"プロレス"と言われます。こっちは主に、その難しさと面白さをピックしての言い回しだと思いますが。
んじゃあ似てる二つを接近衝突させて、『筋書きがうっすらとは用意されているけども、肌で感じた物語的納得を表現・増幅させて、全体の幸福を膨らませる物語体験』てのを、プロレス題材で色濃く、手早く、心地よく遊ぼうじゃないの!というのがこのシナリオの骨子にあります。

今回のセッションはまずソエジマどんの参加が決まっていて、プロレス知識も愛も分厚い彼に色々ハイパフォーマンスしてもらおう、という目論見で転がしました。槻城さんと十数年ぶりに同卓することになりましたが、元々武神で濃い物語を共有していた仲、久々でも人格と技量に信頼がありました。
実際転がしてみると、プレイに入る前の心構え、卓やシナリオ、参加者へのリスペクトがしっかり整えられて、非常に素晴らしいセッションとなりました。事前に考えてきたプレイングを活かしつつも、そこに拘泥しすぎず、他人の顔と生まれつつある物語のうねりをしっかり見て、改めることを畏れないセッションになりました。
今まさに、目の前で、僕たちだからこそ作られつつある物語。そのリアルタイム性と唯一性にしっかり敬意を払うことが、ゲーム体験をより良くし、楽しく遊ぶために何より大事なのだなぁと、つくづく思い知らされたセッションでした。

このシナリオは"銀剣のステラナイツ"に色々影響されて仕上げたもので、ミドルの判定を極力減らしたり、人間関係のエモさを中軸に据えたり、合議制でシナリオの方向性を決めていくフリーハンド具合などなど、色々取り込んでいます。
やっぱゲームって日々良くなっていくもので、最新のシステムは早くて楽しい。その利点を馴染みのシステムに取り込みつつ、どう自分らしくカスタマイズしていくか。その試運転みたいな所も、今回のセッションにはありました。
同時にエモだけだとゲームできない、ある程度以上の物語的骨格が整ってないと不安になっちゃうのがFEARゲーおじさんであり、必要なだけのフレームは様々に用意しました。

キーハンドアウトを用意したのもその一つで、かなり濃い目に情動を固定する情報が書いてあります。『お前はこういう状況に置かれた(ので、常識とこっちの想定としてはこういう感じの気持ちになるだろうが、まぁそこは明言しないで自由度を出そう)』という記述ではなく、『お前はこう思った』という断言ですね。
これは初手からオープンだと窮屈さを感じさせ、プレイの質を下げる(傾向が、うちの環境だと強い)記述です。しかし、物語の中軸として据えたい感情がある。それをどう『押し付けられた、他人の思い』ではなく『芽生えてきた、自分の気持ち』として没入してもらえるか。考えた結果、キーハンドアウトを導入しました。
秘匿情報であるキーハンドアウトを手渡すと、ある種の"権力"がPLに委ねられるので情動を押し付ける身勝手さがちょっと薄まるのかなぁと、回してみて思いました。(普段あんま秘匿ハンドアウト使わない人)

キーハンドアウトはそれを出すタイミングがPLの任意に委ねられるので、ある種の責任と緊張が伴います。GMがオートマティックにシナリオを回すのではなく、自分のタイミングで物語に切り込んで、ある程度以上のハンドリングを行う必要がります。
それが結末が規定されておらず、全員が納得する流れを肌で感じ共有しながら進めていくセッションスタイルと、いい具合に噛み合った感じもあります。両プレイヤーとも、強くゲームに没入しつつ、全体の動きを感じ取る冷静な客観性をしっかり保って、とてもいいセッションになりました。

今回のシナリオは色んな結末がありうるシナリオで、色んなプレイヤーの知識、資質、プレイ傾向、力点なんかと化学反応させた時、どんな結末になるかを見たくなるシナリオになったかな、と思います。
今回のメンバーはホント最高で、手は合うしお互いの目は見れてるしで素晴らしかったのですが、それと同時にもう少しいろんな物語を、このシナリオで遊びたくなりました。
そういう貪欲な楽しさを生み出してくれたのは、やっぱ今回遊んでくれた二人がとても上手くて、情熱と賢さと敬意を同居させられるプレイヤーだったからだと思います。
非常に良いセッションになりました。同卓していただいた方、ありがとうございました。