さらざんまい を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
浅草にサイレンが鳴り響く。死者の先触れたる急報、死人の目を覚ますギャラルホルンが。
誓の再来により、悠は遠くに離れていく。燕太の暴走により打ち込まれた楔が、一稀の心を揺らす。踊る少年たちの青春、切れて初めて気づく縁。
さぁ、残酷なる神に心臓を捧げろ。
そんな感じの地獄開始…否、とっくに始まっていたことを思い出させる宣戦布告のエピソードである。息抜きできたの先週Aパートだけかよ! 重いよ!! 今更だけど!!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
誓が帰還することで、悠の幼年期は夢のように溶け、燕太には知りたくもないライバルの事情が染み込んでいく。
レオマブは兇猛な牙をむき出しにして、自分の欲望のために銃弾を使う。それはこれまでのようにシャレですむバンクではなく、重い死の質感とリアリティを伴う強力な暴露だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
彼らを取り巻く警察機構が、結構リアルな質感を持っていること。ゾンビを生み出す弾丸が、当たり前に死の凶器であること。
"カワウソイヤ"の面白さでコーティングされてた、苦い苦い生き死にの味わい。ちょっと考えれば当然そこにあるはずなのに、突きつけられるまで気づけないシリアスなリアリティが、様々な局面で顔を出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
燕太を許せない一稀も、燕太が撃たれて初めてその重さを知る一稀も、また同じ真剣さを持ってる。
Aパートの日常逍遥が妙に爽やかで切なく、軽やかな楽しさに満ちているからこそ、そこから切り離され非日常の、死の岸に流れていくBパートが苦く、重たい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
あははと笑っていたら腰までハマって、気付けば抜け出せない。このアニメそれ自体が持つ、罠の構造が今回も牙を剥く。
悠は高いところから見下ろす子供で、柵の向こう側に憧れつつ、そこから手を伸ばせない。いつでも憧れは遠い場所にあって、何かを手に入れるために手放した何かに、遠い場所から未練を投げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
あらゆる時間、あらゆる場所で繰り返される、欄干ごしの切望。
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Aパートでは見下ろしていた岸に、Bパートでは降りて見上げている。それは兄が背負っていた罪悪と心中する決意と、それでも高い場所、断絶を繋げる橋に未練を持っていることを浮き彫りにしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
あの時も、投げ捨てたはずの約束は誰かとまあるく繋がって、縁になった。なってしまった。
まーさかラブコメ必殺奥義『ポッと出のポット野郎だと思ってたのが、その実ライバルよりも早く深く運命的に出会ってたやつ』を、悠がぶっこんでくるとは思っていなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
これ、燕太絶対勝てないやつじゃん…ヤヤカと同じ立ち位置じゃん…。(フリフラ大好き人間は世界全てをフリフラで認識する)
何かを投げ捨てる時、悠は常に光と闇の淡いに身を置く。夕景、逢魔が時。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
サッカーボールを投げ捨て、ミサンガを投げ渡したあのときの思い出を、一稀は覚えていない。見下ろす視線と、見上げる視線はすれ違って交錯しない。
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それでも思いが繋がったように…投げ捨てたものを誰かが受け止め、覚えてくれていたように思えたことが、かけがえのない救いだったから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
少年は後ろ髪を引かれつつ、とても綺麗で脆いものに背中を向ける。岸を離れて、遠くに離れていく。
さよなら、僕のきれいな人。
冒頭、悠と一稀が演じるすれ違いと交錯は、『切れて初めて気づく縁』は、様々な人に影を伸ばす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
マブが死んで、その重たさに支配され悪に塗れたレオ。
絶交を宣言し、燕太が死にかけて初めてその意味に叫ぶ一稀。
春河が車で轢かれた時も、一稀は一時の激情で決定的な過ちを引き寄せていた。
『そういう運命、そういう子供なんだよ』としたり顔で言うことも出来るが、過酷な現実に苛まれる姿を見ていると『もう少し手加減を…』と言いたくもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
それはあの世界のあらゆる子供、あらゆる大人に言えることだけども。皆愛に繋がりたいと念じつつ、でも決定的に間違えていくのだ。
例えば面白檜山ボイスで登場した、安田ヤス。滑稽な飛べない鳥のような、ペンギンめいた彼は、しかし『兄貴の仇』を追い求める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
その戯けた暴力にはたしかに、久慈兄弟、矢逆兄弟と同じ切なさが宿っていたように、僕は思う。
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飛べないペンギン(イクニ作品においてこの鳥が保つ意味のデカさは、ピンドラ思い出せば一発で判るだろう)の無様さは、銃弾が持つシリアスであっという間に消し飛ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
さっきまで冗談ですんでいた(と見えるが、ドスの描き方は凶暴で、命を奪いうるヤバさをちゃんと秘めている)男が、あっけなく死ぬ
その手触りはシャレにならない重たさで、もう"カワウソイヤァ!"と歌わないレオマブの罪の重たさと、密接に繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
顔が良くてエモが強い久慈兄弟の邪魔をし、カワイイ燕太を傷つける悪いやつ。ブサイクな男にも、人生を投げ捨てるだけの重い感情があり、当然その死は重たく、生臭い。
『死んでいい人なんて、どこにもいない』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
第六話で一稀を救った倫理を裏返して、ヤスはあっけなく死に絶えた。
派出所の闇の中、ファンタジックなバンクで処理されていた"殺人"は、カパゾンビの超常を借りる必要もなく、僕らの前に流出してくる。
お前らが笑ってたものは、こんなに痛くて重いよ。
そう突きつける(あるいは確認する)ように、ヤスの死骸は野ざらしにされる。当然あるべき法の裁きは、獺バッチに阻まれて機能しない。レオマブは生っぽい警察の現場で、生っぽい殺戮を繰り広げ、生っぽく正義を捻じ曲げていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
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シャレにならないものが、シャレで済まされてしまう違和感。嫌悪感。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
前半戦では面白謎イケメンだったオトコ達は、悪徳と欲望の質感を照らし直し、もう引き返せない破滅の気配を濃厚に漂わせる。
超常事件に関わるはずがない、日常の守り手。それを描く筆がリアリティを増して、ルールの変更を教える
ヤスを巡る銃声とサイレンのダンスは、燕太を犠牲者に再演される。そこでも殺害は重たく、全くシャレにならない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
流れる血は赤くリアルで、おもしろバンク要因として僕らが勝手に寄せていた親近感を、レオマブは鋭く裏切っていく。
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そんなリアリティーフレームの変遷、レオマブを切り取るアングルの変化が、とても心地よかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
わかったふうな気持ちになっても、確かに横たわってる断絶。お前らは何も知らないし、何も出来ないと冷たく、重たく思い知らされるリアリティ。側頭部をドヤされたような不意打ちと、奇妙な納得。
ああそういえばこのお話は、様々な人の欲望と命には等しく切実さがあって、それを穿けば必ず犠牲が出ることを、コミカルなファンタジーの中で奏じてきたなぁ、と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
今更ながら思い起こされるような、決定的な雰囲気の変化。『あんまヘラヘラ笑ってんじゃねぇぞ…』と、喉元に白刃を突きつけられる感覚
二発の銃声がとどろき、レオマブが『殺すもの』なのだと思い知らされる今回、そういう気持ちが非常に強かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
同時に、これまで描いてきて、第六話で終わったようで、しかし何も終わっていなかった三人の関係もまた、交錯してすれ違って絡まり合っていく。その複雑な網目は、相変わらず面白い。
悠の思いは今も現在も、パスを明け渡せる一稀に向いていて、どれだけ兄を愛していても、それを捨てきることは出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
兄と悠の間にある、確かな境界線。浮き輪のかかった欄干を中軸に、侵犯しては離れていく間合い
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兄が世界のすべてだと、他のすべてを打ち捨てて両手で抱きしめられるなら、迷いなんて起こりもしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
でもサッカーも友情も思い出も、当たり前の幸福に守られて少年時代を過ごす夢も、悠は捨てきれない。もちろん、自分のために全てを捨ててくれた兄への慕情も。
ひどく中途半端な場所で、何もかもを断ち切られながらそれでも檻の向こうに手を伸ばし、しかし決定的な運命に流されていってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
悠の無力と純情は、たどり着く岸を求めていつでも彷徨っている。その流れの中に、一稀の失われた記憶もある。
燕太の赤心であり、アドバンテージであったはずの"ミサンガ"を略奪する思い出の後出し。まーじズルいと思いつつも、あの時約束を手渡せたことが、暗闇に沈んでいった少年にとってどれだけ救いであったのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
そんな繋がりを、悠は思い出せないし、思い出さない。その真意に先んじるのは、やっぱ燕太だ
弟と向き合う時、誓はいつでも闇の中にいる。眩しすぎる逆光故に、重たい罪を想起させる憧れの星。闇の中の光。レオにとってのマブの書き方と同じように、久慈兄弟は近くにいて、決定的に引き剥がされている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
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吹き溜まったリビドーの噴出法がわからないまま、スティックをシコシコ擦り上げる燕太の自慰(ウテナ第18話における石蕗の描写を思い出す)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
そこに乱入する兄の表情は、弟と向き合う時とは違い、明るく輝く。
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幼さと正義を閉じ込めたキャンディーを、その重たさも知らず共有しながら、フラストレーションを抱え込んだ燕太と、その恋敵の兄は会敵する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
お互いの素性を知らないがゆえの、因縁に縛られないがゆえの、気楽で開放的な交流。その中で、燕太はまた決定的な事情を、先んじて知ってしまう。
春河の時もそうだけど、燕太は他人の大事なものを当事者より早く受け取ってしまって、それを悩みつつも手渡す立場にいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
本当はそんな荷物欲しくないのに、それがどれだけ大事かをちゃんと見据える優しさと賢さを持っているから、投げ捨てることも出来ない。ほんと、悪くなれたらねぇ…。
まぁ悪くなったらなったで、誓兄ちゃんやレオみたいに別の地獄が待ってるんだがなッ!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
歳経て世の暗い道理を飲み込むのも、幼い無力に閉じ込められているのも、どっちも地獄。ノスタルジー溢れる花やしきで、大人と子供は交錯する。
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悠と向き合う時に比べると、誓は燕太と近い距離にあって、最初は霞んで見えた家族の肖像に囚われることなく、今の話を続けていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
二人を隔てていた障壁も、率直に過去を晒す(それは血縁だからこそ悠には見せられない)ことで取っ払われ、燕太は真心を受け取ってしまう。
一度はショックを受けてアイスクリームを取り落とすけど、結局『柵越しに高いところから見下ろす視線』に燕太は立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
それは悠がいつも立っている場所、遠くから当たり前の幸福を見つめる視座と同じだ。嫌いになりたい恋敵の辛さを、燕太は解ってしまう子供なのだ
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食事を贈与交換しつつも、その味に満足しない。あるいは地面に落とし、あるいは踏みつける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
そういうモチーフも、役者を変えつつ様々に顔を出す。キュウリ、ラーメン、人形焼、キャンディ。人の喰うものに憧れつつも、それを摂取しきれないゾンビたちの肖像。
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弁当に入った、生焼けの人形焼。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
キュウリが一本乗っかった、胡椒かけすぎなラーメン。
人のロジックから外れた怪物たちの食事は、どれもマトモじゃない。
一稀がキュウリ(河童の食い物、今までの関係性)を踏みにじる中で、見ず知らずの他人と飴交換できる燕太の””マトモさ"は、痛ましくも眩しい
先週あんなにラブラブしてたケッピとサラちゃんだが、今週存外サラちゃんが(文字通り)クールで、まーた関係性が分かんなくなってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
浅草を逍遥しつつ、敵の正体を探っていた河童同盟。彼らが求める欲望の形も、今後の焦点になる…のかな?
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さらっと"河童の王子"書いてあるけども、河童大戦争で倒壊した塔はもう思い出(モニュメント)の中にしかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
誓が言うように、人も街も変わっていってしまう世界の中で、異物たる河童(と獺)は何を求めているのか。それは人の欲望とどう違うのか。
ここ、結構大事な気がする。
思う人とはすれ違い、どうでもいい人とは繋がれる。そんな愛のルールは、一稀と悠の捻れたポジションからも見える。あるいは、覚悟を決めて兄に隣り合ったはずなのに、繋がりを塞ぐカバンからも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
囮にされても向き直れる、燕太と誓の気楽な間合いがありがたい
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殺人と離別で一足先に大人になった(なるしかなかったので、自分が置き去りにした幼年期を高く遠いところから見つめるしかない)悠は、燕太のドス汚れたリビドーに理解を示す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
それは、自分の中にもあると。
しかし直情的で純潔な一稀は、燕太の中にある自分を見つけられず、激しく糾弾する。
『オメーも愛する義弟との関係がこじれにこじれて、女装するしか繋がる手がねぇところに追い込まれていたカルマ人間じゃねぇか。愛こじらせて大事なものを汚し、嘘で固めて裏切ってたのはオメェも同じじゃねぇか』と、オッサン思わず説教である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
が、そういう客観を棚に上げれるのも、青春の特権か。
僕たちはあまりにも愚かで、失わなければ大事なものの意味にも気づけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
悠は一足先に、サッカーボールを捨てた。大人になった。
春河の足を奪った罰として、サッカーに背中を向けた一稀は、愛と友情と勇気に恵まれて、水底の冒険に勝利した。もう一度サッカーに戻れた。
投げ捨てても、まぁるく戻ってくる…取り返しが付く特権を持つ恵まれた子供であることに、一稀は残酷に気づかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
自分が踏みつけにしているものの意味、自分を守って愛してくれるものの意味に、失う瞬間まで気づけない。
その愚かさは、良い最終回一回迎えた程度では消えない、彼の業なのだ。
飴を受け取って、奇縁は離れていく。弟が一稀にかつて手渡した約束、幼さを、誓は燕太に手渡したことになる。その重たさと意味を捨てられないところに、燕太の愚かさと優しさ、誠実さがあると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
シコシコ悪行のマネをしても、哀しいほどに"マトモ"なのだ。
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燕太が身を置く光に、一稀は身を置けない。薄暗い場所を探りまわって、愛する人の名残りを探す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
母のサッシュを追い求めたときと、フェティッシュと対象を変えつつも、一稀は愛着のために迷妄に落ち込んでしまう気質から開放されていない。
あるいは、それと生きることが彼の宿命か。
離れていても繋がれる、あるいは偽れる魔法のデバイス。携帯電話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
赤青黄色のヴィヴィッドな色彩の中、浮かぶ名前が上手く三人の距離を見せている。
久慈久慈うるせー一稀は、『未登録着信』で、遠くに行って欲しい燕太は『久慈』なんだよなぁ…そして『カズキ』
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形態の着信並べただけなのに"地獄"としか言いようがない所が、まー"さらざんまい"って感じだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
この奇妙なねじれは夕焼けの中で加速して、決定的な破断へと繋がっていく。銃声が容赦なく切り裂く、命の重たさに。
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悠は何かを吹っ切ったかのように、オレンジ色のノスタルジーの中で通話する。それを諦めきれないと心の何処かで知りつつも、大人な割り切りを演じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
一稀は重く暗い場所に居続けて、醜悪なクローゼットをそれでも持ち寄った燕太に、真っ黒な視線を向ける。
見せたくない、明け渡したくないイドを箱に詰め込み、醜聞を隠して街を駆ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
第一話で一稀が演じたポジションに、燕太は今回たどり着く。醜くても、嘘でも、それを抱えなければいけないという切実さはあのときの自分と同じなのに、一稀はそれを見ようとしない。幼く、残酷で、切実である。
一稀は大粒の涙を流し、激情のままに親友を殴り飛ばす。殴られた方は小さく瞳をうるませるが、殴り返すことは出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
子供の身勝手と、大人の不自由が軋みを上げる。あまりにも痛い。
燕太は諦めと情熱のバランスを取れる。その物分りが、彼を愛から遠ざける
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母との適切な距離を掴み直そうとして、決定的な悲劇に弟を食いちぎられてしまった時、一稀の成熟は止まってしまったのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
だがその身勝手な暴走には切実な真実が宿っていて、見捨てることも拒絶することも出来ない。あまりに強く燃え盛るからこそ、制御不能な情熱の炎。幼いあこがれと潔癖
レオはそれを玩弄しようと、闇の側から忍び寄る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
自分も闇(燕太のエゴとリビドーとの共通点)に近い存在なのに、それに背中を向ける一稀の道を塞ぐように。
もう失われてしまった幼い時代に、残虐に復讐をするように。
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レオがサディスティックに、露悪的に一稀に詰め寄るのは、もう取り返しがつかないほどに壊れてしまった輝きを、一稀がまだ持っているからだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
俺が掴めなかったものをお前が握りしめるなら、俺の透明な悪意で死に絶えろ。
王子様は愛の心臓をえぐられ、呪いを撒き散らす蝿の王になりました。
残虐極まる再生産のなかで、初めて喪失を経験する少年たちは赤い血を流す。赤心の血、嘘のない告白。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
帽子もメガネも、自分を遮る全てを脱ぎ去って呟いたのは、傷つけられても偽れない愛だった。純愛戦士(ラブウォリアー)かよ、陣内燕太…。
春河を失って取り戻し、学んだはずの愛の意味。それは一稀の魂を塗り替えはせず、燕太を失ってようやく愚かさに気づく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
繰り返す。
心臓を奪われた相棒のために、自分と世界を悪徳に染める獅子の王子が、幼子の心臓を射抜くように。レオ…お前もバカだなぁ本当に…。
まぁみんなバカなのだ。愛していればこそ過ち、過去に学ばず、大事なものを失っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
切れて初めて、その意味に気づく。縁が繋がっていた尊さに涙する。ミサンガは切れることで、願いをかなえるのだ。よかったじゃあないか燕太、一稀の心に食い込む願いは叶うぞぉ!https://t.co/aiNTc27cAg
いやまぁホントね、露悪を演じないと心が持たないレオの気持ちが、よーく分かるエピソードでした。まーじこれで燕太死んだら許さねぇからよ…るるとか晶馬とおんなじポジションじゃんマジ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
暴力的な運命は、決定的に人を押し流していく。取り返しのつかない死の岸へ。諦めと忘却の淵へ。
そこに沈み込んで、嘲笑とともにかつての憧れを踏みつけにすることだけが、はたして"大人になる"ということなのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
中学二年生という年齢設定が、あまりに絶妙であることを痛感するエピソードでもありましたね。無垢と欲望、成熟と未熟、純粋と汚濁のちょうど中間地点。
橋の上。檻の奥。殻の中。
皆そこに立って憧れを睨みつけつつ、自分ではどうにもならないものに押し流されていく。それぞれの業、魂の在り方をすれ違わせ火花を散らしながら、決定的な瞬間へと突き進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
待つのは愛か、死か。エロスとタナトスが渾然と混じり合う領域へと、物語は加速していきます。
少年たちが背負えない現実の重たさ、洒落にならなさを背負う『もう一人の主役』として、レオマブの存在感が増したのも大きかったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
BLの主役にはなれない、ブサイクな道化のヤス。彼が抱えた愛の重たさ、捨てたものの切実さは、俺やっぱちゃんと見据えないといけないと思うんだよね。
顔が良けりゃ真剣に人生に悩む特権を与えられて、顔が悪けりゃ戯けて死ね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
そういう不公平が頑然と存在しちゃう文脈の中に、自作が置かれていることに自覚的な気がすんのよ、今回のヤスの書き方。
まぁ文脈への勉強が足らんので、あんま強いこと言い切れないけどさ…もうちょい勉強せんとなぁ…。
さておき、弾丸は身勝手にゾンビを生産するシリアスな暴力として、キモい変態ではなくカワイイ主役に打ち込まれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
暴力の闇はポップに消費するものではなく、無差別に牙を剥き悲劇を再生産する獣。その無差別性と向き合っていくと、レオマブを通じて吠える回でもあったと思います。
一稀の拳は、取り返しの付く形で燕太の純情と身勝手を殴りつけた。絶縁を言い渡されても、愛を失っても諦めきれないものに、少年は立ち戻る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
だがそれを打ち砕く成熟の弾丸は、死に直結する冷たい感触を宿す。
死神の長い手が、愛を連れ去るその前に。少年よ、我に返れ。
来週も楽しみです。
追記 僕が巧い・楽しい・大好きと感じる作品は大概、この『巧妙に用意された罪悪感による、パワフルな逆殴り』を仕掛けてくる気がする。手口としては詐欺師や宗教者に近いんだよなぁ……エグいわ。
さら追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
今回燕太がマトにかかったことで、トンチキ演出でフィルターされていたゾンビたちの切実さ、その命を奪うレオマブの取り返しのつかない堕落が、不意打ち気味にぶん殴ってくるのも良い展開だった。
お前らキモい演技のキモい変態が被害者のうちは笑い事で、カワイイ美少年なら悲劇か。
そういう情け容赦のない公平さで視聴者を殴り直すべく、巧妙に道化を演じ楽しさを積み重ね、ミスディレクションを成功させる業前が、思いっきり爆裂する回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
ホントねー、ゲラゲラ笑ってた存在にぶん殴り直されるのは、罪悪感をえぐって広がった傷口から作品を刷り込まれる感じで、ホント強い。
意識してカパゾンビを嘲笑う対象に演出して、怒涛の展開で掴まれる"とりあえずの笑い"として消費させた上で、燕太が被害者になることでその差別が逆撃してくるの巧すぎるんだよなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
執拗なことに、燕太も変態加減じゃ負けてないからね。
キモい変態は死んで良くて、顔のいい変態には泣くの?
今回まき起こったスクリューは、そういう指弾あればこそよく刺さる。死人と暴力と略奪を嘲笑って、本当にすいませんでした!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
でもなー…あの書き方はまぁ笑うんだよ。展開のストレスが色んな意味で強いんで、笑わないと耐えきれないからね。用意されてる場所に、綺麗に導かれてんだよなぁ…ニクいわ