荒ぶる季節の乙女どもよ。を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
己の中の獣を起こせ!
『言われんでも起きるわい! 起きてるから困っとるんじゃい!!』と叫びたくなる地獄の季節を、温まったい掃き溜めに腰まで浸かった女五人が駆け抜ける。
嗚呼、文学よ。”ヰタ・セクスアリス”読んだって、何もわかりゃしないのだッ!!!!
そんな感じの岡田麿里ど真ん中、ダメダメ女五人組がダメダメ文芸部でダメダメ青春をぶっちぎるお話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
最初に言っておく。
これ、いいアニメだぞ…。
地獄の”TRAIN-TRAIN”の露骨さが目立って、セックスにどうしても引き寄せられるが、文学への思い、行き場のない煩悶、学校の息苦しさ…。
『一生青臭い青春の話しかしねぇ。秩父の地獄で見たものしか信じねぇ』という永遠のパンクス、岡田麿里が己の中の文学クソバカ高校生を本気でエミュレートして、なおかつしっかり笑えるドタバタ群像劇として盛り上げて、面白く真摯にクソみてぇな青春を描くぜ! という気概を感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
マリー印のエグい露骨さを、ふわっとした可愛いキャラデザ、文学要素へのガチっぷりが上手く中和して、エグミ悪目立ちから上手く救っている感じを受けた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
そう。
文芸部アニメとして相当いい出来なのである。学校カーストの端っこに追い込まれた、糞溜め五人組。生まれたときから負け犬顔のバカども。
他人を『〇〇氏』呼びしちゃう激痛人間が肩寄せ合う部室は、しかし居心地が最高に良い。みんなで文学に前のめりになるのも、気の合う趣味の話するのも、そこに行けば友達と話せるのも、最高に楽しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
そういう青春のシェルターとして、文学を大事に描いてくれる文学オタクっぷりに、共感と信頼を抱く
僕も大現役のクソ童貞文学少年であるつもりなので、世界の99%が『フーン』で流すだろうマイナー大事件に血圧がぶっ飛び、前のめりに大興奮してしまう奴らの気持ちは判る。マジ判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
例えば『え! ユイスマンスの”さかしま”が新訳!?』で脳髄ぶっ飛ばせる輩が、マイノリティであることはよく判る。
しかし文学オタクにとって、(自分の守備範囲にバッチリ刺さるという是限定付きであるが)気になる作家の新情報、ど真ん中にぶっ刺さる出版は大ニュースなのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
学校で五人しか共有できなかろうが、世界で自分しか燃え盛らなかろうが、それは本当に真剣にリアルに心を躍らせる大事なことなのだ。
そしてそのクソマイナー趣味にのめり込むナードに、世間はツバをぶっかけせせら笑い排斥してくる。それでも手放せない血潮を恨みつつ、文学オタク(に限らずクソオタク)は己の興奮に前のめりになるしかないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
だって好きなんだもん、しょうがないじゃん。
そういうどうにもならなさ、燃え盛る血潮の熱さは、もう一つの軸足である”性”の大暴走感と気持ちよくシンクロしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
何もかもが自分の制御を離れ、しかし自意識の檻から出るものなど何もなく、何者かであることを望みつつ徹底的に何者でもない時代。
思春期。
このアニメが書くのはセックスでも文学でもなく、その全てを内包して荒れ狂うそんな時代、そのものである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
主人公・小野寺は己の意志とは関係なく膨れ上がるホルモンバランスに押し流され、『世界はセックスに満ちている!』と呪う。
違うのだ。セックスに満ちているのはちっぽけな己の意識なのだ。
だが荒ぶる季節に身を置く存在は、そんな客観視など出来やしねぇ。出来るようになるのは、クソみたいな荒波にさんざん揉まれた恥をかき、見たくもねぇモノを見つめ、たっぷり痛い目見てなおかつ生存できたその瞬間だけなのである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
そしてそこにたどり着いたら、このお話は終わりである。
だから列車は走っていく。”TRAIN-TRAIN”の歌詞にあるように”いやらしさも汚らしさも むき出しにして走っていく”のだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
肥大した自意識。惹かれるこそ否定する矛盾。リビドーとエゴ。クソと黄金のごった煮、身を浸してる間は絶対に気づけない天国と地獄。
そういう季節を全部、腰を落としてやる。
そういう気配がキッチリ漂ってきて、いいアニメだな、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
小野寺(を主役とする物語)は自意識ほど、セックスだけに囚われているわけではない。友情もあるし、部を共有する友情もあるし、趣味への情熱もある。結構充実した学園生活だと、はたから見れば思う。
だがあまりにも強く燃え盛る”性衝動の炎”(From 筋肉少女帯”愛のリビドー”)はそういう、色んなモノが含まれている世界を覆い隠す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
幼年期が遠くに過ぎ去って、でも大人の関係ってやつを掴むには難しくて。ノックもせずに飛び込んだ部屋の中で、地獄の生オナニー拝見に衝突してしまうことだってある
マジで一切ままならないクソみたいな時代と、そこが主観ほどにはクソではないこと、でも主観としてはマジでクソなことを、並列してしっかり描いているのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
文芸部のフニャッと柔らかい雰囲気、須藤との友情描写は、結構柔らかくいい感じだ。なんてことない毎日がかけがえない感じだ。
それは思春期ど真ん中の熱量と同時に、それを客観視し慈しむ視線がしっかり存在しているから、切り取れるシーンだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
キャッチーで切実で面白いセックス大暴走だけで終わらず、それを燃料に色んな物を巻き込み荒れ狂う季節全体を、主観と客観でしっかり見る。しっかり書く。
そういう横幅の広さ、腰を落とした本気っぷりを感じられたのは、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
文芸部が前のめりになる文学そのもの、そこに流れる温まったい空気を否定せず、『いや…結構良いんじゃねえの?』と半笑い気味に、でもちゃんと肯定してくれる所が良かった。それは、確かにそこにある。輝いている。
でもそれだけで足りる時代はとっくに終わってしまったのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
二次性徴が始まり、文学に刻み込まれたセックスに過剰に反応し、トンネルを電車が駆け抜けていく(最悪のメタファー)恐怖にブルブル震える時代が、否応なく襲いかかるのだ。
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『あ、入った…』じゃないんだよバッキャロー! その涙が綺麗なのかキタねぇのか訳わかんねぇんだよ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
つまり、そういう混沌の時代に清濁併せ呑んで思いっきり突っ込んでいくってことである。そう、”清濁”である。セックスに夢中で、結構清いものも丁寧に切り取っていることを忘れるのはアンフェアだ
五人の変人がいい感じにキャラ立ちしてて、小野寺のいうとおり『変人だけど良い人』だと思えるのはとても良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
思春期をぶん回す清濁のカオスだけでなく、人数の横幅、それぞれの個性と難しさにもしっかり対応していく気概が、初期段階からしっかり見て取れる。
むっつり堅物メガネと、顔の良いふわふわ変人と、作家オーラ出てるダウナー奇人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
みんなそれぞれ体の中に獣を飼っていて、嫌気が差しつつそいつとサシの勝負をし続けている。地獄の季節のままならなさに震えつつ、暴走し疾走している。
そんな人間の多角形がお互いに影響して、むっつり膨れ上がった性欲が濁流のごとく暴走したり、なんとか軛をつけていい方向に行ったり、まぁ色々あるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
それは多分面白い。とっても面白い。色んなやつがいて、色んな性欲があって、色んな文学が響き合うのだから。
そしてそれを閉じ込める学校という檻は、楽園であり地獄でもあり、カーストと偏見と怨嗟が渦を巻く泥の沼である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
小野寺が傷つけられた、イケメン幼馴染へのクソアマ共の牽制。曽根崎がぶっ放しちゃった、アッパークラスへの怨嗟と羨望。みな、学校という檻の中に反響して暴れ狂う。
傷つけ、破壊し、出口と致命の崖を同時に作りながら、綱渡りの青春を強要してくるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
その時、気になる男子が、部活の仲間が、孤独な闘いの敵となるか味方となるか。そういう学園生活サバイバルの楽しさも、しっかり盛り込まれている。何しろ思春期舞台だからな…生きるか死ぬかだぜ…。
露骨なエグミは意図してぶん回されていて、回想シーンの無邪気なぶっかけが、後々のオナニー大目撃で地獄のようにリフレインしてくる感じとか最悪に最高である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
平静を装って、傷を小さくしようとか姑息な立ち回りしてんじゃないよ泉ッ!
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鉄オタだから”TRAIN-TRAIN”とかマジ最悪で最高のチョイスだし、その歌詞を精査すれば何描くつもりなのか秒で判るところとかも賢くてバカである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
思春期のど真ん中をやるこっ恥ずかしさを、セックスを全面に押し出し最悪のメタファーで横に逃がして誤魔化す。
そういう”逃げ”ではなく、その露骨さ、理屈抜きの湧き上がり感こそが思春期を脈動させるガソリンだからこそ、真ん中に据える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
そういう殺気を込めて”あえてのセックス”であると、期待を込めつつ僕は思う。おう、アドゥレッセンスやったろうじゃねぇか…。
露骨なえぐさで耳目を引いての『売らんかな』とはまた違う、素直でよく計算された本気を勝手に感じ取って、結構体温が上がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
文学の気恥ずかしさと被差別っぷり、それでもグイッと強烈に、幸か不幸かレセプターを持って生まれてしまったジャンキーを引き寄せる魔力をごたまぜに書く姿勢も良い
暴走する機関車のように、青少年を押し流すままならなさ。意味のわからねぇパワーと、クソバカ極まる制御不能感。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
そういうもので突っ走っていくということは、よーく判った。ああ、認めるよ。俺ァアンタを待ってたんだ…。
来週も楽しみです。クソみてぇな三ヶ月になるな…最高だな。
あ、文庫本読むときに”広辞苑(作中だと広辞林)”隣においている小野寺は、相当生真面目な読書人であるし信頼できるな、と思いました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
これやると格段に語彙増えてくんよね…読むにしろ書くにしろ、文学に真面目な子である。調べるのは”破瓜”だがなッ!
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