Dr.STONEを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
その日、人類史は終わった。
謎の緑の光により全人類が石化し、3700年後の世界。科学文明が木石に覆い尽くされたストーンワールドに、突如目覚めた二人の高校生。
規格外の体力と知力、熱い友情で結ばれた二人は誓う。このファンタジっくな新世界に、輝きを取り戻すと!
というわけで、文明根絶後の原始世界に天才高校生が転生して科学無双!…っていう話と思いきや、存外友情・努力・勝利のジャンプイズムど真ん中少年漫画が遂にアニメ化である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
僕は原作ファンであるので期待しつつも不安だったが、まぁ完璧でしたね…凄く面白かった!
初見の印象は『原作通りだった』なんですけども、コレ凄く大変なことで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
特にプロローグはジャンプ打ち切り戦争を回避するためか、凄くテンポが早くて密度が高いわけです。コマ一つ一つの圧縮率が高くて、グイグイ進んでガンガン読ませる。
この速度と圧力をアニメで再演出来るかどうかに、全部がかかっているな、と思っていました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
デザインを真似たり、展開をなぞったり。ガワを寄せるよりももっと難しい、作品の魂の部分をトレースし、アニメ特有の魅力を込めて叩きつけられるか。原作モノの非常に大事な勝負です。
そこにしっかり勝って、アニメならではの楽しさもたっぷりと堪能できて、いやはや素晴らしい第一話でした。大満足。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
Boichi先生の艶あるトーンもしっかりデザインに取り込まれていたし、キャラの根っこを秒で見せるネームの巧さ、勢いで進む部分と足を止めて見せる部分のバランス。全てOKでした。
『原作と同じ』だから褒めるというよりは、『原作をしっかりリスペクトして、その面白さを分析して、アニメーションという表現で活かすためにはどうすればいいか考え抜いて、実際に動かして納得させた』から褒める…アニメとして面白いから褒める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
そこまで行き着くの、ホント大変だからねぇ…。
いきなり体温高いベタ褒めから始まったのでちょっと落ち着きますと、話としては変則型の異世界転生無双…というより、”アフターマン”とか”フューチャー・イズ・ワイルド”みたいな未来予測科学番組に、”マインクラフト””シヴィライゼーション”といったクラフト系ストラテジーの味わいを足した感じ、か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
主人公・千空もその親友・大樹も、超天才知識に超体力、図抜けたチートを持ってはいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
しかしストーンワールド、早々簡単には無双させてくれません。それぞれ出来ないこともあるし、地道にトライ&エラーを繰り返す必要、額に汗する必要がある。
それが友情が大事な軸になる少年漫画、科学が魔法ではなく汗で作られていると教える学習漫画として、凄く強い足場にもなっています。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
千空はクールな態度の奥に、強い意志と誰かを信じる心を持った熱血ボーイなわけです。汗もしっかりかく。
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第1話のラストカットを、この千空の顔で〆たの凄い良いな、と思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
口と態度が悪く、世界を斜めに見てる印象の千空は、ちゃんと汗をかいて、大それた夢に顔を上げる少年であるということ、主人公がどんな人間なのかを見せることで、話が終わるってのは安定感があります。
ここに繋がる一年間の試行錯誤も、定点カメラで早回しの映像的面白さ、男二人のワイワイ生活の可愛げが満ちて、凄く好きです。努力の積み上げを見せるモンタージュ演出に、とにかく弱い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
科学無双は、葉が色づき雪が振り、再び春がくるまでかかる。
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非常に汗臭くコストが掛かってるんだけども、クールな千空が『なんでもねぇよ、余裕余裕』という表情を崩さないことで無双の気持ちよさもあるし、その強がりに汗が光っていることでしっかり応援もしたくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
チートと努力のバランスがちょうどいいのだ。科学的にも、よく調べた上で嘘を適度に使う。
この足腰のしっかりした運びがあればこそ、圧縮率の高い展開も上滑りせず、どんどん情報と物語が入ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
冒頭の短いやり取りで、千空がガソリン飲ませるヤベーやつであること、大樹がバカであること、しかし二人は強い絆で結ばれていることは判る。
あと杠が可愛いこともね! 彼女はマジで序盤を支える要であり、汗クッサイ男臭ッいお話の清涼剤…で終わらず、独特の優しさと強さがあるいいキャラなんスわ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
『落ちた燕を気にかける』という大樹の優しさを、彼女も共有しているわけです。
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あのやり取り見れば、杠のヒロイン力、大樹との運命力はグーン上がるし、そんな彼女を好きだって意識一本で3700年耐え抜いた大樹の株も上がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
楠が巨木に変わる程の長い時間をくぐり抜けて、出会い直した運命の二人。溢れる涙と思い。
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3700年間言えなかった『好き』を言葉にした瞬間、パーッと光が差し込んで未来の希望が演出されるところとか、ベタ足ながらも綺麗な運びで凄く良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
愛は時を超え、人を救う。いまどきこっ恥ずかしいど真ん中勝負だけども、俺そう云うの嫌いじゃないぜ…ていうか好き。
ひとりきりで走ってき大樹は、ここで千空からのメッセージを受け取って川を下り、『文明』に出会うわけです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
ここまでみっしりと緑のウィルダネス見せておいて、拓けた家と食料で開放感与えるのは凄く上手かった。抑圧と解放のバランスが良い。
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視聴者としては、声デケーけど真っ直ぐな大樹がストーンワールドで寄る辺なく、しかし杠への愛一本で生きてる姿は応援したくなるわけじゃないですか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
そこでこの”絵”をドドン叩きつけて、千空との友情、彼が生み出す科学文明こそが突破口なんだ、という作品の基本構造を理解らせる。
これは強い運びです。アニメは絵で出来ているので、絵で理解らせるのが一番強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
何かを手に入れて強くなる、RPG的な喜びも隠し味で効いてるかな。モノが形になるクラフト系の喜び大事にしているのは、このお話の好きなところですね。手作業の気持ちよさが上手く宿っている。
とにかく美術が良くて、文明が崩壊するカタルシス、それを包み込む緑色の新世界の壮大さが、みっしりと背景に宿っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
やっぱねー、ビル郡が蔦に覆われ、ダムが崩壊する瞬間はこう、言葉にならない気持ちよさがあるわけですよ!(過激派の発言)
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緑色の新世界の壮大さは、千空たちが挑む世界のデカさ、それを征服したときの達成感、しがらみが無くなった自由を描くキャンバスでもあります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
美術が良いのは作品世界への没入度を上げるだけでなく、ドラマを支える背骨にもなんだね。クオリティを上手くぶん回せている。
質の高さに酔っ払わない強さは、約束の楠の使い方にも現れていて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
厳しい冬でも、大樹は杠の元を訪れ、雪を拭ってやるわけです。ただの筋肉バカじゃない、石だろうと雪は冷たかろうという惻隠の情をしっかり持っている男だと、この絵から見えてくる
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春の出会い、3700年後の再開と構図を重ね、”楠”というアンカーを共有することで、流れる時間とそれでも褪せない思いの強さも伝わってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
すごく綺麗なものを綺麗なだけで終わらせず、キャラとドラマがうねる燃料として貪欲に使い倒してくるんですよね。そこが本当に良い。
同時に話の整理も細やかで、まずストーンワールドの広大さを見せ、大樹のキャラを見せ、救世主たる千空のチートと人間を見せ、今後関わるキャラもチラ見せしと、色々やってるのにあんま混乱しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
それはぶっとく男二人の友情、お互い支え合う頼もしさが話の根っこにあるからでしょう。
まず『二人』の話として始める。そこに広大な作品世界、科学無双の気持ちよさが乗る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
プロローグが終わると、千空はまた別の相棒を見つけ、別の社会性に溶け込んでいくわけですが、この第一話で『二人』でいることの強さを描いたことが、相手を変えてもしっかり生きてくると僕は思っています。
千空が肉体的にはヘロヘロボーイなのが良いんスよね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
『キャラは出来ることではなく、出来ないことで立つ』って言葉がありますが、魅力的な弱点はお話とキャラを輝かせます。
千空にかけている部分を、仲間が補う。どんな天才でも他人に頼らなきゃいけないし、他人に頼れる千空は強い。
無論仲間にも欠けている部分があって、というか『科学知識』という千空の強みは彼を唯一無二の主人公にし、ガンガン困難を乗り越えていく気持ちよさを生み出す源泉である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
能力の補い合いは気持ちの繋がりを生み、熱い友情がクールなキャラに血肉を与えもする。
一つ一つの要素が孤立せず、しっかり噛み合って物語のトルクを生み出している所が、このお話のすごく強い部分だと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
アニメはそこを余さず拾い上げて、アニメ独特のテンポと魅せ方でしっかり伝えてくれた。作品のストロングポイントを過たず、届く表現で見せてくれた。
そういう『原作通り』の第一話で、いやー、非常にありがたかったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
一般的な『科学ってこういうもんでしょ?』って謬見をしっかり受け止めて、『いや、科学はただの技術じゃないんだ、生き方なんだ!』と吠えるスケールでかいところも、やっぱ好き。
未知を既知に変えるための地道な努力、人がより善く人であるための武器。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
千空が科学者であると同時に科学哲学者でもあることで、表面的な無双の気持ちよさを超えた、凄く骨の太い普遍を作品に練り込めている所が、僕は凄い良いな、と思います。信念あるキャラはカッコイイしね。
Aパートやや足早に進めて、千空と再開してから地道な生活描写でペースを落とすBパートとか、展開の緩急も良かったですね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
過酷な原始環境をどう生き延びるのか、そこにどういう人間の息吹が宿ってるかっていう、異文化サバイバル的な楽しさもあんのよね…色々盛り込んで、貪欲なアニメだよ!!
作品の見取り図をしっかり視聴者に伝え、広大な世界に挑む少年たちがどんな魂を持っているのかを理解らせる、とても良い第一話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
無茶苦茶色んな工夫して、無茶苦茶巧いんだけども、少年漫画的な勢い重点、ガンガン状況が転がるドラマの楽しさが全く死んでないのが、凄く良かったです。
このテンションとテンポ、巧さと熱さの両立はなかなか難しいと思いますが、この原作理解力、確かな表現力なら走りきってくれる…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月9日
そういう期待感をグンと高める、非常に良いスタートとなりました。いやー、面白い、素晴らしい。ありがとうアニメ化…。
来週もマジ楽しみですね!!