キャロル&チューズデイを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
光の双子は、黄金の光の中を駆け抜けていく。挫けそうになれば手を繋ぎ、前に進める。
闇の子供は、何もない。”助けて”は届かない。真実も愛も死に飲まれた。それでも呪いのような約束だけが、私を前に進める。
マーズ・グラミー決着。
詩は、死を喰らって咲く花か。
というわけで、音楽方面のピークになると思われたマーズグラミーを、アンジーの重たいブルースが一気に塗りつぶすエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
勝って報われず、負けて満たされる。光に満ちたナチュラルと、嘘ばかりの暗い闇。欠落が欠如している不幸と、悲しみを知りすぎた幸福。
天秤はアンバランスだ。
キャロチューの充実したアートライフと、そんな”自分のこと”で手一杯なままズタボロになっていくアンジーの対比が、混じり合わないまま突き進むエピソードとなった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
二組の主人公の人生が、明暗に別れているのは知っていたけども、こんだけ分断して描くのか…落とし所、どうするのか正直読めねぇ…。
キャロチューのサニー・サイド・アップを脳天気だとか、無責任だとかいうつもりはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
そういうふうにナチュラルに生きられる者もいれば、全てが掌を滑り落ちていく子供もいるって話で、喪失自体は(多少はあれ。そして不幸は量を比べるもんでもなかろう)二人にもある。
ただ、違う、ということだ。
キャロチューはアンジーの不幸を、携帯端末の、ゴシップサイトの、ロディの又聞きで知る。メディアにメディアを重ねた遠い情報は、目の前の人生を必死に生きる”ナチュラル”でせき止められて、彼女たちはライバルに手を伸ばさない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
あるいは、伸ばせない。そういうポジションである。
クリスタル姐さんとの厳しいミーティングも、山あり谷あり勝利あり、でこぼこ道を二人で支え合って走る、今までのキャロチュー節に満ちている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
悩みも、苦労も、いつでも半分こ。幸福は二倍。運命に惹かれた双子の曲は”Golden”だ。
©ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会 pic.twitter.com/NTeoGvYHdX
”最高”と意訳されていた黄金色は、いつでも彼女たちを彩ってきた。出会いの瞬間、ストリートでの下積み、歌が世界を満たした時。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
神が溶けているような甘い色彩は、いつでも二人を祝福してきた。そのトーンを引き継いで、グラミー勝負曲はしっかり完成する。https://t.co/0vdqN9dVrY
他方、アンジーは震える指で打ち込んだ”Help me”を拒絶される。受け取らなかったのか、受け取れなかったのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
タオは崖の上で踊るアンジーを置き去りに、親を刺す最短ルートに集中していく。そこに何があるかを、タオは語らない。
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サイレンが鳴り響く、真っ黒な部屋。その孤独に取り残されたアンジーと、”自分のこと”に必死に生きるキャロチューの黄金。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
正直キツい対比だ。僕はずっと、アンジーが好きでこのアニメを見てきたから、なんで彼女がこんなにアンラッキーで、アンハッピーなのか納得できずにいる。
頭では納得しているつもりだ。黄金の人生も、漆黒の人生も、様々あって極彩色。何しろ”Life is a Carnival”だから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
でもまぁ、重すぎるよ。
俺の好きな、凄くナイーブで誰かを好きになりたくて、ママに愛されてるって思いたかった女の子がこんなに追い込まれるのは、見ててキツい。
『間違えた場所に体重かけたかなー』って感じはあるが、しかしアンジーの背負う暗がりが、正直キャロチューの”黄金”よりも強烈に視線を奪っていったのは事実だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
なんか、公平な気がした。同じサクセスストーリーに乗っかってはいるけど、全然ナチュラルじゃなくて、無理に無理を重ねて進むあの子が。
ここらへんは個人的な重心の話で、特にこのアニメは足場になりうる要素が沢山ある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
音楽サクセスストーリー、異星の生活描写、芸術と政治、抑圧と抵抗、あるいはポピュリズムの影絵。
いろんな見どころがあるだろう。僕はやっぱり、アンジーで見てた。そのことを痛みで思い知らされる回だ。贔屓だね。
運命のグラミー・デイ。キャロル流れる聖誕生祭。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
キャロルとチューズデイは”その日”を待ち構えて、歌とスノードームを贈る。シベールから贈られた悪意に邪魔されて、でもちゃんと届いたプレゼントのお返しのように。
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チューズデイはキャロルにとって、”雪”がどんな意味を持つか知っているのだろうか? ダンと出会い、別れた時に受け取った、己のオリジンに深く結びついた、儚く強いものの意味を共有しているのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
知っているなら、キャロルは相棒に人生の一番大事な部分を、しっかり預けていたことになる。
知らないなら、クリティカルに(そしてナチュラルに)相棒の一番大事なものを、迷わず掴み取ってプレゼント出来たことになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
雪の中のキーボード。キャロルという少女を余す所なく象徴した、最高のプレゼント。
それはかつて、自分が贈与した真心の返礼だ。コール&レスポンス。音楽の醍醐味。
そういうモノを相互に送りあった裏側で、アンジーは母を奪われる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
最後に呪いではなく愛を語って死ねたのは、ダリアにとって幸福だったのか。嘘ばかりの世界の中で、唯一真実と思えたものをプレゼントできたのか。
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どっちにしたって、代金が”死”じゃ割りに合わない。ママは死んだ。傷つけ合い、嘘にまみれていた過去を満ち足りたものに変えるチャンスは、アンジーにはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
孤児として生まれ、嘘に拾い上げられ、また孤児に戻る。真実と差しだされた愛に報いようとしても、プレゼントを受け取ってくれる人はいない
何でも良いから、目を開けて欲しい。嘘でも代用品でも、夢の舞台を見て欲しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
生きていて欲しい。
余計なものを削ぎ落とした真実に、ダリアが目覚める前にたどり着けていたのは、アンジーの強さであり幸運だったとも思う。
たった一人で、憎悪と孤独に潰れず、愛に帰還する。
それはとても厳しい巡礼で、それでも一人でたどり着いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
必死に絞り出した”Help me”は届かない。ママは何も言ってくれない。ライバルは”自分のこと”に忙しすぎる。そもそも、手を差し伸べる筋合いもタイミングもない。
そういうことは、まぁ沢山ある。生老病死、さよならだけが人生だ。
だからこそ、ありふれた孤独に愛を殺さず、ダリア最後の言葉を自分唯一の真実で受け止められたアンジーは、とても強いと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
憎んでも、拒絶しても良かっただろう。でも、あの子はママが目覚めるのを待っていた。
偽りまみれのアンナチュラルでも、それは愛おしかったから。
そんな自分のナチュラルをママと最後に確認して、アンジーは一人ぼっちになる。暗い闇に取り残される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
『自分は呪われて生まれてきたわけじゃない』と確認できたことが救いだったのか、それともそれこそが新しい呪いなのか。
僕には分からない。アンジーはもぎ取られた愛のために、もう歌うしかない。
グラミーを前にした緊張も、キャロチューは共有してくれる人がたくさんいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
楽屋ではクリスタル姐さんが背中を押して、黄金の光の中に飛び出していける。水晶の歌姫は、シンデレラに魔法をかける、フェアリーゴットマザーにも似てる。
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輝かしい晴れの舞台、黄金の中で満ち足りるキャロチューに、ガスはダリアとアンジーを襲った”死”を告げられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
誰もそこにはいない空疎。お互いに手を取り合えない断絶。
繋がり、前を向いて、光の中を。主役サイドとの、あまりに残酷な対比
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アンジーは死者の顔で、ボロボロの体を引きずってグラミーに上がっていく。騎士もなく、母もなく、ただ思い出と愛だけを抱えて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
グラミーは、ママの夢だったから。
ママの夢になるしかない私には、グラミーしかないから。
アンジーは多分、焦がれた栄光など見ずに、ただ一人のためだけに歌っていた。
アーティガンが”らしくない”と言いつつ、言わざるを得なかった政治的抑圧との対立。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
キャロチューやエゼキエルではなく、アンジーが選ばれたのは『迫害されているタオを、グラミーは支持します』という政治的振る舞いのためだったのか?
ナチュラルな音楽だけが評価されたのか?
その疑問は、多分あんま重要ではないのだろう。それでも、やっぱり気になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
あまりにナチュラルではないからこそ、ナチュラルであろうと必死にもがいた少女がようやく掴み取れた、自分らしさの欠片だけに、王冠をかけて欲しいと、僕は思ってしまう。
体重かけすぎてキモいと、自分でも思うよ。
アンジーのステージは、多分”らしくない”
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
ティーンアイコンとして、子役からスターダムに躍り出て、実力派として認められた彼女が歌うには、余りにブルーズに満ちた歌唱は、今、ここでしか歌えない真実に満ちている。
今日、ママが死んだ。
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人生のザラつきがブルーズに深みを与えるヤスリだとしたら、アンジーはたっぷり研磨されて、最高にガサついた歌を歌えるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
その対価は、やはり死だ。アンジーはママと同じように、死の国に惹かれていく。そこでもう一度出会えるのなら…。
そんなものが幸福だとは、俺は思いたくない
あれだけ薄暗い闇に一人閉じ込められていた(閉じこもっていた、閉じこもるしかなかった)少女が、出会う光が生き死にの際てのは、まぁ鋭いブラックジョークだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
黄金で満たされるのは、死の瞬間だけ!
笑えねぇので、来週ひっくり返してくれ。
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ママの生き死にを測っていた、冷たいデータ。ママの口に繋がっていた、救命の管。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
アンジーはママのために歌うことで、ママを奪っていった国に近づいていく。ママの代用品としてグラミーで歌って、ママと同じ場所に引かれていく。
彼女が死なないのは知ってる。それでも、あんまりな結末だ。
空っぽのマイクが受け取る、ピンク色の栄光。血と涙が混じったようなブルーズを置き去りにして、グラミーは終わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
キャロチューに勝ったの負けたの、新人賞レースだの、全部ぶっ飛ばすリアルな重たさ。”自分のこと”に一生懸命になれるのは、明日を生きれる奴だけ。
そういう重たさを、アンジーは歌う
彼女が闇の子供として、光に満ち足りた双子に対置されて物語に生まれたときから、約束された結末ってのにたどり着くエピソードだったのかもしれない。こうなることが、アンジーとママとタオの運命だったのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
それでも、やっぱり辛い。上手くいきそうな気配も、巧妙に創られていただけに。
あるいは黒騎士を巡るでこぼこ道も、そこで何かが繋がった感覚も、この悲劇を際立たせるための手筋だったのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
それは次週以降、ママのいない世界で目覚めるしかないアンジーと、彼女の”Help me”を受け取らなかったタオが、どう描かれるかで解ってくるだろう。
クリスタルは『悪くなる一方の世界の中で、一筋の光を歌いたい』と言った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
その前向きな特権が、アンジーにも公平に用意されていることを僕は願いたい。
まぁ大丈夫だとは思うんだけども、キチーんだ正直…。加速する政治の季節の中で、個人の救済書く余裕あるか? とかね。
あるいは、黄金の子供たちが(第2クールでじわじわと学んでいた)ままならない闇を、痛みを込めて受け取る決定打に、ダリアの死とアンジーの歌がなるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
そろそろ、”自分のこと”に一生懸命なだけじゃ歌いきれないブルーズに、耳を傾けてもいい。
それを聞けないのが、二人のナチュラルだとしてもだ
”Just Like Heaven”は崖の上で踊るカップルの話だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
はしゃぎながら、お互いを笑わせようとはしゃいだ歌は、片方が水に沈み、一人だけが陽の光に置き去りにされたと気づいて終わる。
”You, soft and only
You, lost and lonely
You, just like heaven ”The Cure – Just Like Heaven ”)
”天国のようだった”なんて、笑顔で言える関係じゃなかったろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
自分の夢の代用品として、男でも女でもない立場から誰かを求めた。押し付け、傷つけ、囲い込んだ。
それでも、その思い出は柔らかく、ただ一つだけの愛おしい真実で、もう無い。
目覚めたアンジーは、寂しさをどう飲み込むのだろう。
その事をちょくちょく考えながら、一週間を僕は待つのだと思う。長くて重たい七日間になりそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月19日
それは作品に入れ込めているということで、かなりラッキーなことだと思う。ただまぁ、キツいんだ。
楽しみって言っていいか解らないけど、来週の放送は見なければいけない。好きだからね、このアニメ。