歌舞伎町シャーロックを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
欲と情とを混ぜて捏ねて、壁の向こうに押しやった現代のバビロン、歌舞伎町イースト。
そこに根付いた変人の巣、探偵長屋に今日も事件が持ち込まれる。
泣きぼくろアイドルと、花屋と金塊。
変人探偵シャーロックと、その補佐役ワトスンの初事件、どう転びますやら…。
という感じの、トンチキキッチュ探偵群像劇も第二話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
前回出番のなかった姉妹探偵、あんちゃん探偵を舞台に上げつつ、いつの間にか助手ポジションに落ち着いたワトスンくんと変人ホームズの奇妙な関係、微笑みの熱視線で見つめるモリアーティの三角関係を、謎に交えて描くエピソードである。
キッチュな世界観と、クィアの押し込みで一気に殴りつけた第一話に比べると、かなり落ち着いた仕上がりである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
依頼があり、調査があり、謎解きがある。探偵同士の差しつ差されつ、変人なりの愛着とそれを睨む犯罪王(候補)の視線がある。
形式が整っているので、コースアウト寸前のパワーはない。
しかしこれくらい落ち着いたほうが、作品が描こうとしているものは見えやすいかも知れない。毎回第一話見てぇなテンションだと、脳みそ壊れちゃうしな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
今回は花屋とアイドルと金塊の三大謎解きがメイン…ではなく、探偵と助手と高校生の三角関係を、静かにスケッチする回だったのかな、と思った。
あいも変わらず、顔を出すのは皆変人であり、それはワトスンくんも変わりがない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
野菜オバサンを表面ではなく、肌年齢と内臓で鑑識する視線は完全に監察医のソレであり、常識人ぶってはいるが歌舞伎町適正は結構高いのだ。
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だからこそ、カプセルとみかんの缶詰に塗れたゲテモノをバクバク食い漁る、超変人の相手も務まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
食事、洗濯、掃除に資料整理。ワトスンくんはするすると、変人探偵の助手にスッポリ収まる。ホームズも判りにくい形でかなり気に入っているようだ。(ここら辺原作テイスト。壁のボクサーグローブも)
ホームズをゲテモノ食いの超変人として、理解の及ばない珍獣として遠くに置いてしまうと、この話もったいないのかな、と今回感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
変人なりに情や執着が当然あって、それが判りにくいからこそ社会と上手く噛み合わない。しかし、心に秘めた”なにか”は、いつでも本物なのだ。
ぶっきらぼうで傍若無人、ホームズがワトスンくんを使い倒す仕草は、一般的な愛情とは異なる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
しかし部屋に誰も入れないはずの変人探偵が隣に置くということは、変人なりの愛情を助手に抱いているということで、それを裏切られたと感じたからこそ、盗聴器にキレたりもする。
いかついガタイに似合わぬ、可愛いパンダのエプロン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
するりと見落としてしまいそうな違和感に、話のキーになるアイテムを仕込み、手際よくその由来を描いていく。
カット一つでそれが誰から、どんなふうにやってきたか判るのは、推理モノにおいては大事な能力だ。
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僕は今回の話を、シャーロックとワトスンとモリアーティの関係提示メインで見てたし、謎解きはあくまで添え物と考えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
しかしこういう情報提出の巧さが、謎解きに十分メインディッシュ足りる分厚さを与えてもいる。何が目を引いて、視聴者の思考リソースを奪うか。よく考えて画面を作ってる感じ。
男のパンツも迷わず洗い、メシも作れば車椅子も押す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
歌舞伎町に溢れかえる商業クィアとはまたちょっと違った、ホモソーシャルとホモセクシャルの私的な境界線。
それがかすかに匂うことが、ホームズとワトスンのトンチキな関係に、確かな体温と湿り気を足してくる。
ワトスンくんはホームズのことを気に入っていて、だからこそ『二度と来るな!』と言われて落ち込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
その視線はただ変人に振り回される苦労だけではなく、妙な愛着に満ちている。お人好しに助けてくれるモリアーティが、その温度を見る時の陰り。
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男たちの感情交錯は、極彩色の歌舞伎町に埋もれることなく、独自の存在感を醸し出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
ハイスピードで状況が転がり、成り行きで固まった関係性。それが存外悪くなくて、だからこそ壊れるのが惜しくて、そして元々の相棒役は変化が憎い…のだろうか?
歌舞伎町遊撃隊は、モリアーティの配下なのね…。
何しろホームズは変人だし、モリアーティーも秘密の多い少年であろうから、なかなか本心は見えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
しかし確かな体温のある”なにか”を抱えていることは、描写の随所から感じ取れる。
事件をサクサク攻略しつつ、男たちの気持ちと関係性を掘り下げていくのが、本作の背骨たるミステリ…なのかな?
今回がお披露目となった姉妹探偵も、いい狂言回しを担当してくれた。東山奈央の天性の明るさが、小悪魔ギャル探偵に命を吹き込んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
迷路じみた歌舞伎町の裏通り、追いかけっこの不思議なアニメも非常に良かった。
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出たり入ったり、消えたり現れたり。不思議な酩酊感が、作品世界の”空気”をしっかり伝えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
そういう場所に生き生きと、あの姉妹が生きているのだなぁと感じられるやり取りでとても良かった。
しかし、状況を制してるのは常にモリアーティーだな…ワトスンを事件に間に合わせて、何が狙いか…?
今後も余韻を残す疑問はさておき、アイドルと花屋と金塊のお話は、サクサクと解決していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
犯人とっととふん縛って、それでも推理落語を聞かせたい。ムッツリ顔を崩し、気持ち悪い笑みを浮かべたホームズの、歪んだ人間性が良く見える。
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謎にズッポリはまり込んで、しっかり考えるというよりは、スルスルとテンポよく進めて、最後に答え合わせをするタイプの本作。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
しかし情報出しはフェアかつスマートで、最初のニュースで大体のネタが出ていたりする。かなり注意深く見ないと、事件自体を見落とす感じだな…。
逆にいうと、推理に拘泥しなくても、トンチキな世界観と変人乱舞で楽しめる作り、とも言えるのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
それでも推理の材料、ロジックの素材を手際よく、公平に見せる手際は怠けていない。そこをしっかりしているからこそ、探偵物語としての背骨がしっかり立っているのだろう。
まぁぶっ飛ばすところは、力技のネタ力でぶっ飛ばすんだけどね…コブラってそっちかよ…サイコ・ガンでもなんでもないじゃん!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
しかしやっぱり、スパダリのように探偵の窮地を救うのはワトスンくんなのであった。フーム、想定よりかなり男男…か?
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前門の姉、後門の猫と追い詰められて、姉妹探偵にオチをつけたワトスンくん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
なんとか助手ポジションに返り咲き(そして再び、依頼を切り出すのに失敗し。”まだらの紐”か?)、当たり前の顔でアイロンを掛けるところに、モリアーティーが顔を出す。
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新入りをスルリと追い抜いて、より探偵に近い特等席を獲っているところに、モリアーティの秘めたる感情が見える気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
果たして爽やかな高校生は、どんな秘密を隠しているのか。探偵との関係は? そして探偵自身は、ジェームズをどう思っているのか?
謎は残る。おいおい語られていく部分だろう。
とまれ、思いの外歌舞伎町適正の高いワトスンくんが、探偵助手として最初の事件をクリアしていくエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
トンチキ人間の判りにくい愛情、好きだからこそすーぐへそ曲げる思考回路が、妙に可愛らしく思えた。ホームズ…相当ワトスンくんが好きだな?
ここら辺を言葉では説明せず、しかし要所要所ではちゃんと補強しながら、謎はスルスルと解けていった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
あんちゃん探偵にあんま見せ場はなかったが、善人であることはよくよく解った。曲者ぞろいの探偵長屋で、一服の清涼剤たりうるか。今後が楽しみである。
今回見せた、探偵と助手と犯罪王の三角関係。そのあやふやな輪郭をなぞりながら、歌舞伎町の狂騒は過ぎていくのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
そこにはヘンテコ人間が確かに持っている、判りにくい心の機微が感じられる。生み出した世界とキャラクターに、静かな愛情を注ぐ作者の視線がある。
そういう体温があると、ぶっ飛んだトンチキが地面に足を付けて、僕は身近に飲み込める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
作品を見る足場をしっかり作ることのできる、いい第二話だったと思います。いやー…想定よりも男男だなっ!
この見方が適正なのか、そうではないのか。今後を見なければ分かりませんが、答え合わせはしたくなった
そのためには、最後まで魅せてくれなきゃイケないわけで。クィアに雑多な欲望、アクの強い題材で舌が痺れる前に、ジワッとした人情味、奥行きと変化を見せれるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
そういうシリーズ全体の運びにも注目しつつ、次回も楽しみに待ちたい所存です。
何しろ2クールらしいからな…変奏の巧さ大事よ。