Dr.STONEを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
圧倒的な”暴”を持って、独善なる支配を押し付けんとする司帝国。その炎は石神村を焼き、弱きものを虐げる。
平等なる自然の猛威を利して、その尖兵を退けた千空。背負うものが多すぎる状況で、先制攻撃による無血開城を実現するべく描いたロードマップの先には…携帯電話ッ!?
そんな感じの、石神村戦争完結編。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
いやー、燃えた燃えたよく燃えた。アニメで見てみると、千空が先制攻撃を決断した理由がよく判る。
”強さ”基準で選別されてる司帝国に対して、ナチュラルに強者も弱者も生まれてくる石神村は、背負った荷物が重すぎんだね。防衛戦には向かない。
序盤は氷月の復活と、司の(色々破綻してる)理想。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
トラウマでゴリゴリ認知が歪んでる司は、自然状態に手を加えず、ハードな原始生活でも独力で生き延びられるタフボーイを選んで帝国を作っている。
ほっとくと餓えたり、肺炎で死んだりする人間の脆さは、”霊長類最強”な司には、ナチュラルではない。
今回も救命誘導と生活再建ばっかりやってる千空見れば判るが、(少なくとも千空が扱う)科学技術は弱者の生存確率をこそ上げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
弱かった自分が虐げられない世界を求めてるはずなのに、そこに通じる道を塞いで、虐げた側と同じ立場に立ってしまう。司は矛盾だらけである。
ラスボスってのは主人公の歪んだ鏡であるべきなので、人道に恥じることなく進む千空の対比が、孤独で独善的な司になるのは道理だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
弱いものがより善く生きれる世界を探しているはずの司の手下が、村をボーボー焼いて子供をさらう。手を汚すのを厭わないご高邁な意志が、全然下に伝わってない。
ここら辺、千空が特権的に持っていた科学的な認識が、クロムやコハク、村人にジワジワ浸透してるのとは逆だなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
村が燃えた衝撃を『生き残ったので大勝利! 燃えたら直せばいい!』と勇気づけるマントル見てても、信念を理解して補佐してくれる他人に恵まれてんのよね。
元とはいえ、マントルは実際村を率いてきた長としての体験と信頼がある。あそこでデカいこと千空が言っても、あんま村人の心には染みなかったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
自分の出来る役割を、しっかり果たして組み合わせる。弱者には弱者なりの仕事がある。
ここらへんも、”強さ”一辺倒な司帝国とは大違いか。
この『弱点に思えるものは強みで、弱いものにも仕事がある』って理念を一番体現しているのはスイカだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
今回もすばしっこさと自然知識を活かし、囮仕事に大活躍。毒ガスで死にかけたところは、千空の科学知識とコハクのフィジカルでカバーだ。
集団でいることが、ヒトの強さなわけだ。
例えばゲンちゃんが司帝国に残っていたら、『毒ガス完成済み』っていうハッタリ(これが即座の攻撃を止めて、携帯完成までの時間を稼ぐ)は見破れたかも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
しかし司の”暴”は、ゲンちゃんのピュアソウルを引き止めるには全然足りない。根っこはおめめキラキラの科学少年だからねゲンちゃん…。
結果として『科学武装を完成させた村には、春を待って数で押し切る』っていう理知的な判断を、司帝国はすることになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
ハッタリをハッタリとして見抜けない情報格差が、単純な暴力の比べ合いなら勝てない相手の隙を突く。これまで幾度も描写されたところである。
老人も子供もいる村を背負った防衛戦より、情報格差を生かした先制打撃。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
千空は細い勝ち筋を、現代レベルの情報機器開発に見出す。さー、バトルの時間はお終い! こっからはクラフトタイムだよっ!
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会 pic.twitter.com/QcO4NwLAnO
やっぱロードマップが出てくると、お話の見通しがスッキリ立っていい。『ぜってぇ無理だろ…』っていう現代人視点を、ゲンちゃんが代弁してること含めて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
無理を道理でこじ開けて、再現性の魔法で常識に変える。人間の叡智が積み上げてきたものを、千空は再現しようともがくのだ。
こっからはまた、到達点を目指しての試行錯誤、額に汗してプロジェクトXである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
バトルバトルも悪くはないが、やっぱり科学知識と人間関係を組み合わせて、一歩ずつ何かをクラフトしていく充実感が、このお話の醍醐味だと感じるからなぁ…ワクワクするぜ…。
村外れでアウトサイダー共が集まっていたサルファ剤作成に比べて、千空は村長だし、協力してくれる連中も増えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
社会的な変化が、地道な科学チート街道をどう変えていくかも、今後の見どころだろう。
技術は社会に還元されて、社会の支えで技術は進むのだ。
しっかしまぁ、今回も科学王国は命を助け、生活を再建する行動ばっかりやってる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
『科学は善いもの。生命を守り、笑顔を作るもの…であって欲しい』って祈りが、主役たちの行動に反映されてる感じだね。
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会 pic.twitter.com/5uXkuyJpGc
無論、科学も自然と同じく善でも悪でもない。司が睨みつける支配の構造は、テクノロジーを独占することで生まれてるのも事実だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
しかしそれでも、善き人が善き祈りを込めて、科学が持つ最善を生かして欲しい。誰かを支配する力ではなく、命を守り繋げる助けであって欲しい。
そういう祈りを込めて、千空と科学王国は描かれてんのかなー、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
メイン読者として想定されてるだろう子供たちに、科学技術とそれを生み出す人間を、ポジティブに受け入れて欲しい、つう願い。
甘っちょろかろうが、それはやっぱり大事でしょ。”子供向け”なんだから。
というか、良く出来た”子供向け”はみんなそうだけども、万人に向けて祈られてるんだと思う。だから届くんだとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
強者も弱者もひっくるめて、みんなでまとまる社会の希望。正しいことを正しく行えば、どんな奇跡も引き寄せられるという祈り。
そういう、作品外のメタな視線も背負いつつ、千空と石神村は新たな道を突き進む。目指すは携帯電話の完成、情報格差による暴力制圧。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
この段階で既に、千空の理想形が”無血開城”なのも面白いなぁ。ホント、人死ぬの嫌いねキミ…。
武器を取らない不屈の戦争は、村をどこへ連れて行くか。来週も楽しみ。