星合の空を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
眞己の観察力が、王子の鎧の隙間を探す。たった一人なら絶対に勝てなくても、ダブルスは支え合い。
親分子分じゃない関係で、どうにか食らいついた果て。負けてなお楽しいと、より強くなれる自分を信じられる日々。
でもそれだけじゃ、やる気もパンクしちゃうよね!!
そんな感じの熱血ソフトテニス青春絵巻、練習試合決着の第七話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
”見る”スポーツとしてのソフテニ描写を通じて、人間関係の妙味、思春期の変化を活写していく筆は、対戦相手である王寺・須永ペアにも伸びていく。
傲慢ボーイだった王寺くんが、ド素人・眞己を”見る”ことで初心を取り戻す流れが爽やかだ
試合はコンビのアンバランスを狙い撃ちにする、新しい作戦から始まる。かつて眞己が言っていた『親分子分』でしかない、王寺主体のテニス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
その隙間をしっかり見据えて、狙いすまして撃ち抜く作戦。眞己の地頭と、柊真との絆が強敵に噛み付く武器だ。
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”見る”という特質は、眞己を中心に色んな人に伝播していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
ニヒル気取った御杖さんは、グッとガッツポーツの前のめり態勢だし、敵であるはずの王寺くんも、その支配に臆していた須永くんも、眞己を見ることで変化していく。
ここ、本当に良いなぁと思う
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御杖さんの面白指先だけでなく、チームのエースの弱点を浮き彫りにしてもらって、むしろ敗勢でラッキーくらいに考えてる指導者でもなく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
支配者の顔色をうかがって…いわば『間違った”眼”の使い方』をしてた須永くんが、王寺くんの意地、お互いのポジションと信頼を見つけ直していく所が凄く良い。
眞己は自分が見つけたものを一人で抱え込まずに、言葉で伝え、態度で見せる。楽しいものを楽しいと言い、勝ち負けにしか拘れない柊真に、苦笑交じりに新しい価値観を教えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
この伝達性こそが、眞己もう一つの天分なのかも知れない。触媒として優秀。
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王寺くんがプライドむき出しに走り回っている姿を、須永くんはしっかり見る。暴君として君臨しつつも、皆に慕われるだけの練習はしっかりしているのだろう。だからこそ、終盤でも息が続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
この”強さ”をボンクラ共がしっかり”見”て、今後の理想像として刻んでいる所も、また印象的だ。
今までのスタイルを投げ捨てて、王寺くん汗まみれのプライドに報いようと独断で打ち込んだ、気合のスマッシュ。
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それを王子くんは、真正面から受け止めて褒める。
眞己達が漬け込みたかったコミュニケーション不全が、試合中に修正されていく。
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混乱に襲われても、その場で修正して地力で勝ち切る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
御崎学園との練習試合は、軒並みそういう試合展開で負けている。その修正力、ペースを取り戻した後の必勝の地力というものは、地道な練習でしか身につかない。
逆に言えば、地道に、モチベ高く頑張れば身につく、ということでもある。
『こうすれば上手くいく』という、成功のイメージ。それが見えているかいないかは、非常に大きい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
勝ち負けで言えば全敗なんだが、そういうロードマップを自発的に獲得できた時点で、この練習試合は大成功だったと言えるだろう。
眞己というレンズで温められて、ボンクラ共に火が点いてきたぞ…。
これまでも描写された”見る”強さに並んで、王子くんだけが(現状)持っている強さも描かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
それは足の強さ、ライン際で走る強さだ。厳しいコースを拾い切って、ゲームを簡単に諦めない。汗まみれで状況にしがみつき、勝ち筋を拾う強さ。
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テニスの試合とコートの外の現実が、不思議に呼応しているのがこのアニメの面白いところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
眞己がまだ手に入れられていない”足”の強さが、彼を追い込む支配の中でどう生きるのか。ライン際で食らいつくフィジカルな強さを、どう獲得していくのか。
そこが今後の、焦点の一つになるのか、とも思う。
現実…もっとフォーカスすれば虐待と無力感との戦いにおいて、もう一つリンクしているもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
それは王寺くんと須永くんの”親分子分”な支配体制が、対等なパートナーシップに変わりうる、という希望だ。
勝負を決める一打は、相手を認めることで成り立つ。
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初心に素直に、必死にやる。ダブルスの本文に立ち返り、お互いに声を出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
眞己の誠実なプレイが敵に塩を送った形だが、そういう影響力はサイドに関係なく、力強く滲んでいくものなのだろう。
足で追いつこうと必死に、しかしたどり着けない勝利。
その価値もまた、眞己と柊真で共有されていく。
多分母親からの影響で、柊真は『勝たなければ意味がない』という観念に、頑なに縛られている。
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眞己とはまた違った形の、パワーを握り込んだ肉親からの悪しき影響を、”ダブルス”が少しずつ変えてくれる。
『楽しかった』
眞己はまるで子供のように…
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そう感じてしまう時点で、僕は『眞己を見れていないな』と思い知らされた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
ボンクラテニス部を新生させ、メシも作れりゃ目端も効く。大人顔負けのスーパー中学生…を必死に取り繕いながら、眞己は自分を取り巻く世界をどうにかより善いものにしようと、毎日頑張っている。
でも、当然ただの子供だ。
その幼さ、純朴さが彼の”本当”として、唯一絶対などと言ってしまうのは余りに情がないけども、しかしたしかに、それが眞己にあるのは間違いがなく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
そういうものをテニスとの出会い、部活での日々、柊真との”ダブルス”が引き出し、受け止めてくれている幸福(と幸運)が、なかなか染みる敗北だ。
眞己の描き方は二面性ともまた違って、虐待をサバイブするために手に入れた(そして天性のものとして持ち合わせ、意識して磨き上げた)”眼”の良さで、より善い環境を引き寄せている感じがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
その客観性、主体性は非常に”大人”だから、ただただ『楽しい』と弾む言葉に意外を感じもする。
でもそのクレバーな立ち回りは、自分の中の子供…親父に殴りつけられ背中を丸めるしかない無力ではなく、楽しいものを楽しいと言い切れる純朴さを堂々守り切るために、プライドを鎧うために選び取った、彼なりの生存性能な気がするのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
子供であり続けるために、大人になろうと頑張る。
それは一見裏腹に矛盾していて、しかし凄く切実で本当のことだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
そんな彼の強がりを、柊真はもう知っている。殴られて無力であることも、自分を頼りにしてくれていることも、自分が眞己と一緒にどんどん変わっていくことも。
その繋がりをこそ、僕は大事にしていって欲しいと願っている。
かつて『俺たち一緒にいたほうが良い』と言い切った部活は、価値ある敗北を通じてより繋がりを深めていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
樹がロッカーに入り、背中の傷跡を見せる意味。それを眞己はよく知っている。現役で”傷つけられた子供”でありながら、微笑み合える価値も。
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樹もまた、背中の傷を預けられる仲間が増えていく度に、どうしようもなく傷つけられた過去を自分なり飲み込み、理不尽を噛み砕いて進む強さを、手にしていけるのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
そんな希望があるシーンで、僕はこのロッカールームが凄く好きだ。私的なクローゼットの使い方が巧いね、このアニメ。
さて、負けてなお気合十分、やる気パンパンな男子ソフテニ部。桜井先生の提言で、多摩川河川敷大バーベキュー大会を開催することに。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
”抜き”の大事さを伝えるあたり、挫折を知ってる大人だなぁ、って感じ。
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御杖さんも王寺くんもカムイ(グッボーイ)も、みんな纏めてウェルカムなBBQ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
わざわざ道具借りて肉集めて、桜井先生の児童を慮る心の深さに感じ入るところだが、オープンエアの食事会は敵味方、部員部外者関係なしである。
食事はこのアニメ、社会性や集団の雰囲気のバロメーターとして、結構大事。
給食はマズそうに食ってた御杖さんも、ジビエに浮かれつつバクバク喰いまくり、部員もそれを肯定する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
ここらへんにポジティブなメッセージ出してるのはやっぱり凛太郎で、やっぱ”眼”が良いね、って感じ。
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御杖さんにとってソフテニ部ってまず『眞己がいる所』なんだろうけども、同時に『頑張ったことが報われるか確かめる場所』なんだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
努力は無駄とヒネて、それでも練習にも試合にもBBQにもやってくるのは、綺麗事が形をなすかも知れない期待感が、彼女を惹きつけてるからだと思う。
ここら辺、大人を気取りつつ本当に絶望しきれない生煮え感で、非常に賢しい中学生っぽい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
真実諦めちゃってるなら、ブツクサ言いつつ熱血野郎どもに混じろうとは思わんからな。そういう妙な距離感を、部員も『まぁ良いか』で飲み込んでいる。
こういうオープンな感じは良い。
”敵”なはずの王寺くんも、賢い犬をつれて一緒に飯を食う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
大皿ごとバクバク行って、一人で食べきっちゃうとションボリする所が、バカだけど善良な感じでいい。
メシの喰い方作り方、マジ人間出るな…。御杖さんが”焼く”側回ってんのは変化よね。
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別け隔てなく受け入れて、楽しくみんなで笑う。
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眞己を中心に広がっていく喜びの渦から、柊真は遠い。そんな孤独を、飛鳥くんはしっかり見ている。
ここはとても良かった。眞己の幼さを現状唯一受け止める柊真にも、悩みと弱さが当然ある。
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コーラのボトルが隔てる、明るく楽しい青春。そこに飛び込めない歪みに、表情を曇らせる柊真。それを見つめる飛鳥くんの表情。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
なかなか乗り越えられない難しさ、眞己のようにはなれない自分への苛立ちがにじみつつも、それをも飲み込める”場”の希望みたいのが、明るく寂しく明滅する。
眞己が『俺たちは一緒にいたほうが良い』っていったのは、多分こういう寂しさを飲み込めるからで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
そういうのはお互い様で、人が人である以上必ず背負う。お互いの欠けた部分をちょっとずつ預けて、どうにか強く優しく正しく活きるためには、孤独ではないほうが良いのだ。
孤独であると何が起きるかと言うと、育児ノイローゼになって赤ん坊の背中に熱湯かけたり、ガキを殴って金を奪ったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
そういう事態に(望むと望まざると)接近しつつ、悪の引力に飲み込まれないためには、一人では踏ん張りきれないし、”場”は公平で開かれていたほうが良い。
そういう価値観が、テキパキ飯を作り、部活を取り仕切る眞己中心に広がっているのを確認できる、河原のBBQであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
メシにしても試合にしても、枯れた顔でしっかり子供たちが羽ばたける”場”を作ってあげている桜井先生は、ホンマ善い人で、教師だと思います…。
バッタは明日に向かって、必死にジャンプする。敵も味方も、賢い犬もひねくれた小娘も巻き込んで、みんなで飛ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
カムイは非常に犬々した犬であり、アニメの中の動物大好き人間としてはかなりの高得点でした。擬人化の薄い、動物動物した動物が好き。
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そんな明るい休日を塗りつぶす、黄昏色の校長室。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
父兄からの横槍、嘘ばっかりの停止命令。一難去ってまた一難、男子ソフテニ部の未来は波乱まみれである。
校長が『目を逸らし』ているのが、問題への対処法を暗示しててイヤーな感じだ。このアニメらしい
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というわけで、練習試合にBBQと、青春真っ盛りのソフテニ絵巻でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
眞己を中心に、非常にポジティブで風通しの良い空気が部に満ちていること。
それが敵味方なく影響を与え、変化を生み出していること。
御杖さんが相ッ当、ソフテニ部と眞己好きなこと。
色んな事がわかるエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
”敵”である王寺・須永ペアが眞己と柊真のコミュニケーションを見て、グッと前に進んで勝つところと、負けてなお眞己が『楽しい』と言えるのは本当に良かったです。
練習試合だから、ってのもあるが、競技の外にあるものを、競技をしっかり描けばこそ捕まえてる感じ
とはいえ、順風満帆ばっかりで進まないのがこの物語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月22日
誰の父兄がねじ込んだんかなー…やっぱ柊真かなぁ…。
明るく開けた場所に伸びる影を、少年たちはどう振り払い、あるいは飲み込んでいくのか。
バッタたちを乗せた船が、どんな嵐を抜けて、どこにたどり着くのか。来週も楽しみ。