スター☆トゥインクルプリキュアを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
月は寄る辺なく、陽光を返し輝く。
親の言うまま、家の定めるまま道を進んできた、香久矢まどか。卒業が迫る中、己が進むべき道は未だ、あやふやな影法師。
正射必中の志は、月への巣立ちを導くのか。
プリキュア VS ”家”、今決着の時…。
つーわけで、まどかパイセンのトゥインクルイマジネーション回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
前回はララの多様性すべてを飲み込み肯定する運びとなったが、今回は自分が一番輝く笑顔を選び取り、決断の重さを描いてきた。
己を定める。思春期の子どもを描くにあたり、非常に大事なクライマックス。その筆が多様だ。
”家”に閉じ込められた人形として描かれ続けたまどかが、己の意志で前に進む。未明の世界へと踏み込んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
そんな巣立ちは、冬貴とガルオウガ、二人の”大人”を鏡に描かれる。
彼らは香具矢の家、あるいはダークネストへの献身に自由意志を捨て去り、より巨大な他者に身を委ねてここまで進んできた。
”家”を背負えばこそ、その存続を第一に思いを殺す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
冬貴もまた、”家”に閉じ込められた子どもであった。ここで”大人”の中に残る未成熟なグジグジを照らすのは面白い。
ララへの追跡を切る意味もあってか、宇宙人狩りの仕事を『言われたからやってるだけ』に貶してしまったのは、個人的にはNOだが。
今回の話は、子どもでしかないまどかが、大人に見えていた父を乗り越え、自分の星に飛び立っていく話だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
乗り越えるべき落ち度がないと、24分で話は収まらない。だから冬貴に傷をつけるってのは、劇作としては判る。
ただ…俺は冬貴には、誇りと意地を持って宇宙人狩りしててほしかったの!
まぁララに”圧”かける話しの流れもあって、サブキャラクターが抱えるにしては過剰なパワーを冬貴が持っちゃったのも事実。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
『中央に返り咲くために、言われた仕事をやってるだけ』って運びで、収まりよくシュリンクさせないといけなかったのは判る。結構巧い手だとも思う。
なかなか難しいなぁ…。
今回まどかは『選ばないことを選ぶ』ところまでしか行ってないので、『選ぶことを選ぶ』話がもう一回あると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
その時、冬貴自身が確信の矢を明日へと解き放つシーンが有ると、脇役に過剰に入れ込んじゃった身としては有り難い。
大人もまた、月に飛び立つ瞬間があっていいじゃないか…。
そのためにはまず、囚われのかぐや姫が己の意志で、偉大な一歩を踏み出す必要がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
生徒会の役職、”いい子”であり続けた時代の象徴から解き放たれるところから、お話はスタートである。
姫ノ城さんがマジでいいキャラに育ったので、彼女が慕うまどかの株も結果としてアガった感じもあるな…。
ガルオウガさんとのワープ空手でもそうだったが、今回は明暗とエフェクトはよく冴え、非常に印象的な絵面が多かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
最初は迷いを、二度目は決断を照らす、栄光の廊下。月明かりの冷たさの中で、父の弱さと家の重さを背負うシーンは、静かな重量感があった。
ここがズッシリと重いので、えれまど情念を反射する川辺トークの明るさが、よくよく映える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
子どもチームがノンキにドーナツパクパクする気楽さと、チームの”母”たちが重たく悩む対比。
星と種族の命運という、マジ重いものを背負っているユニが、ノンキに”子供”やれてるありがたさを感じる…。
川辺の対話は、えれなを傷のない人格としてブラさず描いてきた成果が、よくでたな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
あの悩みの受け止め方、答えの返し方は相当人間出来てないとただの題目に落ちるけども、今まで積んできた描写があるからね…。
えれなさんが言うなら、空疎な真理にずっしり重みが出る。
言われるがまま流され、太陽の光を反射するだけだった月。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
そんなまどかの自虐に、一年寄り添ったえれなは問う。本当に、私達の時間は何も産まなかったのか。沢山の笑顔を、自分の中から発してきたんじゃないのか。
プリキュアであり、学生であり、子供であり、大人を目指す存在としての、多彩な笑顔。
答えはそこにあるんじゃないのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
水面に己の影を反射しながら、静かに熱く道を探す二人の少女。
皆を見つけ繋いだひかるの凄さを見据えている所含め、えれまどがガッチリ繋がった第9話を上手くリフレインしていると思う。
水鏡に自己を反射する演出が、最後の冬貴に繋がるのも巧い。
スタプリがDolce連載だったら『そんなあなたの光が…私には痛みだった…』とかまどかが言い出してネトネト情念地獄に落ちていく展開だが、これは健全なニチアサ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
太陽の光で迷いを照らされ、顔を上げた瞬間!
緑色の脅威が、宇宙から降り注ぐ。
もう一人の傀儡、ガルオウガさん堂々降臨である。
80”SOVAを思わせる過剰な透過光、ワカメ影、大胆な描画が印象的な、超絶ワープ空手。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
ガルオウガさんはアクションに工夫と重みがあって、非常に良い。
先読みとワープを駆使する強敵だからこそ、まどかが戦いの中迷いを乗り越え、今までの時間すべてを載せた一矢で打ち勝つ展開に分厚さが出る。
同時に激しい乱打のなか、自分を捨てれず守る守ると題目ぶん回すことへの嫌悪が、痛みを込めて突き刺さる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
ガルオウガさんの過去はまだ伏せ札だが、他のノットレイダーと同じく、自分の思いを貫ききれなかった後悔を、悪に転じて走ってる感じがある。
正直、過酷なラッシュが痛ましい。
肉弾戦でアップになると、ガルオウガさんの瞳の下のペイントが、涙に見えてくるから不思議だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
ガルオウガさんは強さを装い、涙を流さない。鬼だからね…。
しかしそこに、守るべきものを守りきれなかった哀しみ、背負うべき重責に報いきれなかった後悔が、じわりと滲んでいる気がする。
鬼哭の哀しさを受け止めきれなかったから、より強い存在に自分を預けた。全てを捧げ、ただの傀儡に堕ちた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
まどかはその生き様に、父を見る。家のため、自分のために己を無くし、『やりたいこと』ではなく『やるべきこと』だけを受け入れ、与えてきた存在を。
今回まどかが”父越え”を果たせるのは、ガルオウガさんが本気で潰しに来たからだなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
悪役ってのはそういう存在…であるべきだ。
ヒーローの抱える綺麗事と同じ場所から出発して、別の道に堕ちていったからこそ、現実とか悪とか、そういう重たいモンで理想を試せる。本気で殴りかかる。
その強い圧力に屈せず、『そんなことない!』と吠えるからこそ、ヒーローの抱える希望が絵空事に落ちない(落ちにくい)ってのはあるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
激しい拳に哀しみを漂わせるガルオウガさん(つうかノットレイダー)は、非常に良い”悪役”だと思う。”善悪は鏡写しの二重影”なんだよなぁ…。
ガルオウガさんを鏡に、まどかは射抜くべき的を見つける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
父の中にある不完全、それを愛し愛されてここまでたどり着いた自分の過去と現在、そして進むべき未来。
自分を抑圧し、また保護してきた”父”を否定するのではなく、鏃に乗せて力に変える描写が素晴らしい。
それは確かにそこにあって、影も伸ばせば光にもなった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
”いい子”でいることは傀儡の不自由だけでなく、沢山の笑顔も生んでくれた。
まどかの身の丈は鬼に向き合う中でグングン伸びて、今の自分を客観視する。この冷静さは、”月”をトーテムにする彼女の美質だと思う。
非日常の戦いで得たものを、足に込めて日常の戦いに挑む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
再び月明かりの廊下で、グッと踏み出し”父”へ、”家”へ決別したまどかの表情は、自尊と決断に満ちている。
内側から発せられる意志の光に照らされ、冬貴もまた、一つの答えを見つける。
ガラスケース越しの、家族の肖像。
家のため、香具矢のため。それを己に任じて進んできた道のりは、本当にただ空疎だったのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
かけがえのない笑顔を確かに手に入れて、そのために体温のある光を、心からの笑顔を自分も生み出してきたのではないか。
まどかが自問し、えれなが答えた水鏡の問いかけは、父を主役にここで再演されている。
成長のためには巣立たなければいけない”家”を一方的な束縛に落とさず、幼い子供を守るシェルターとしても描いたこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
完全な抑圧車に見えた”父”が、実は悩める”娘”と同じ柔らかさを抱え、それが可変である可能性を密かに、確かに見せたこと。
冬貴にも変化の兆しを残す描画が、非常に良い。
ここに”母”が、確かな存在感を持って決定的な役割を果たしているのが、非常に良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
『ぜってーカカア天下だろうな実質…』と思っていたが、やっぱり満佳ママンは強かった。
娘の巣立ちを見守る母として、パートナーを諭す妻として、美しい靭やかさで冬貴を受け止める姿が素晴らしい。
ここでママンが寄り添ってくれなかったら、冬貴の思いは千々に乱れ、的を外した暴走に繋がっていたかも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
しかし冬貴が”家”のため歩いてきた虚栄の道は、確かな愛おしさを捕まえていた。愛する娘を、尊敬できる妻を、彼の歩みはたしかに生んでいたのだ。
正すべき間違いがあるとしても、歩いてきた道のりそれ自体には意味がある。完全否定してはいけない尊さがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
これはノットレイダーに向き合う姿勢でもあることが、アイワーンの暴虐を許した第36話で示されている。
プリキュアになれなかった数多の星にも、それぞれの輝きがあるのなら。
ヒーローはそれと対話し、手を差し伸べる義務があるのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
スタプリ最終局面は、そういう問いかけに頭を突っ込んできていると思う。
”宇宙人”という、より他者性の強い存在を真ん中に据えた話だったからこそ、エグれるテーマだなぁ、と思う。
そこを完遂する意味でも、娘の成長を見守った冬貴自身の決断は、画竜に点睛を与えるものとして一筆、ぜひ描いて欲しいところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
とまれ、まどかは夢の翼をひろげて、月に飛び立っていく。アームストロング船長の逸話も合わせて、”月”モチーフを綺麗に拾ったまとめである。
というわけで、かぐや姫巣立ちのエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
ガルオウガさんにボッコにされた後、波紋のようにえれなの言葉がまどかの心に広がってる描写が、あまりにも『私の中に、貴女がいる…』すぎて凄かった。
そらー修学旅行でも、一生一緒にいるわ。そんな二人も、時の河に流され別れていく。
スタプリは出会いの先に待つ別れを多分全面的に肯定したくて、ジリジリと準備を積んでいる感がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
一番巨大な離別爆弾はひかララなんだろうけども、三年生組の卒業も、日常サイドの身近な別れとして、大事に扱ってる印象。
その前段階としても、まどかの飛翔を鮮烈に描けたのは良かったと思う。
抑圧する”家”や”父”の書き方も、スタプリらしい複眼が生きて、一方的な視線では描かれなかった。とても良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
激しいアクションの切れ味に、ガルオウガさんが無言で背負う悲しみと後悔が滲んで、決戦への布石になっていたのも良かった。泣けないのは、哭くよりも哀しい…。
そして次回は、えれなの進路エピソード。いままで無謬の”大人”として扱われてきた彼女が、どんな迷いに飛びこむのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
急速にポテンシャルをタメてるテンジョウさんの巨大感情は、褐色少女の青春にどうブチ当たるのか。
太陽には、太陽の陰りがある。
そこまで描けるか、スタプリ。次回も楽しみ。
ブログ更新https://t.co/MEatPwbQft
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月27日
スター☆トゥインクルプリキュア:第41話『月よ輝け☆ まどかの一歩!』感想ツイートまとめ #precure #スタートゥインクルプリキュア
遅くなりました。申し訳ない。