ガルパ履修記録
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
・幼き日の面影は今もそばに
新たな演目が、思い出の扉を叩く。
まだ王子ではなかった薫と、無敵の女優だった千聖の幼年期。その時終わったものと、始まったものについての物語…。
そんな感じの、年末最後の核弾頭、かおちさ過去エピである。遂に来たか…”殺戮者(スローター)”が…。
というわけで、ガッツリかおちさなお話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
この二人の物語は”儚世に咲く薔薇の名は”でかなり深く掘っており、またそこで過去のものとして明言されており、あえて掘らないのかなー、とも思っていた。
かおちゃんちーちゃんと呼びあえた時代を懐かしみつつも、それぞれの未来を歩く。
別のバンド、別の人間だからこその今と未来についての物語を、二人は重点的に書いている。ならば過去は匂わせる程度に…とも思っていたのだが、今回そこに帰還しての物語となった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
なぜ白鷺千聖が”こう”なり、瀬田薫が”こう”なったかを埋めるピースとして、面白い仕上がりとなった。
話は引っ込み思案のかおちゃんが、ドラマに出て何でも演じられるちーちゃんに憧れつつ進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
後に松原花音を隣に置くことになる千聖は、ホントに『ふええ…』って言いそうな、寒色系でシャープに甘くまとめた女が好きだな。
あるいは失われたかおちゃんを埋めようとして松原を…?(泥沼一直線妄想)
寝言はさておき、かおちゃんは”薫くん”とは大違いのふええっ子であり、ちーちゃん大好き病患者である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
幼少から子役として大人の期待に答え、しっかり”仕事”をしている千聖は、『こうしなければならない、こうあらなければならない』という意識が強く、その自立がかおちゃんの憧れとなる。
しかし『しっかりしていること』とは、柔らかな内面を他人や社会に受け取ってもらえず、効率のいい外面だけを受け取られることにも繋がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
悪役を演じれば怖くて近寄りがたい子、善良な探偵をやれば優しくていい子。
メディア上で展開される『白鷺千聖』は、演じる役柄によって左右される。
それは役者の宿痾であり、仕事の責任を果たすためには揺れ動いてはいけないと『誰か』が千里にいう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
その重荷を、千聖はかおちゃんにだけ涙と一緒に見せる。未だ幼いかおちゃんは、それを受け止めきれない。
なんと言葉をかければいいか迷ううちに、千聖は女優の職能を飲み込み、大人になっていく。
薫くんは述懐して、『そのときこそ白鷺千聖がプロの女優になったのだ』と美しく思い出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
同時にそれは、ちーちゃんんが危惧していた感情の摩耗、”演じる”という行為の魔に飲み込まれた瞬間でもあったのだと思う。
子供のうちから演者であった千聖と、その背中を見て”演じる”ことに決めた王子。
二人の道は、『学校が別々になる』という非常にジュブナイルなイベントで決定的に別れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
千聖は感情の摩耗、自分が何者であるかの不定位に苦しみ、パスパレを踏み台に再飛躍を狙い…丸山彩を中心とする青春の激浪に見事飲み込まれ、新しい自分を一つづつ再構築している最中である。
一方薫くんは、”演じる”という(比較的新しい)アイデンティティを自分の天性に変えて、矛盾なく王子を演じている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
適当なシェークスピアの引用が、どれだけの読書量に支えられているか。『子猫ちゃん』と弄ぶような女の子捌きが、どれだけ誠実に相手を見て投げかけられているか。
それは積み上げられた過去エピソードを見れば、一目瞭然である。彼女は常に、嘘の中を生きている。ということは、王子を演じる生き方は一切嘘ではない、ということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
千聖がギャップに苦しんだ、演じられる虚像と演じる主体のズレ。それは薫にもあるが、感情は摩耗しない。
むしろ引っ込み思案のかおちゃんが夢見ていた理想像を必死に(観客からは余裕綽々で軽やかに)演じることで、なりたい自分を引き寄せている感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
瀬田薫にとって、役者であるということは破綻のない現実を掴める、唯一のメディアだったのだろう。
そこへの入口になったのが”かおちゃん”だ。
瀬田薫が白鷺千聖のような役者に為らなかったことは、過去イベからも判る。二人が役者として対峙した”ロミオとジュリエット”は、幼い時に二人を繋いでいた共鳴ではなく、むしろ不協をこそ強調した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
しかし、違うものもまた並び立てる…違うからこそ響き合えるという複雑を、高校生になった二人は飲む
薫くんは自分という素材、人生というキャンバスに何かを演じるにあたり、”白鷺千聖”になろうとは思わなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
お姫様のコピーではなく、ちーちゃんだけを抱きしめる王子様でもなく、強く優しく美しい王子様になることにした。
そのオリジナルなペルソナが、薫くんの独自性だろう。
かおちゃんにとってちーちゃんは、夢の全て、追うべき理想そのものだったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
しかし思春期が流れて学校が別になり、当たり前に理想とかおちゃんは切り離される。
会えない日々の中で、お互いに知らない時間が積み重なり、かおちゃんは演じることを通じて”薫くん”になっていく。
その離別と変化を、千聖が物語開始段階ではあんま飲み込めていなかったのも、しっかりログに刻まれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
ショート伏し目がち内気少女(服の仕立てが良い)が、半年合わなかったらアホ王子だもんな…そら認められんわ。
お互いのバンド、お互いの青春での変化を経て、変わった二人は出会い直す。
高校二年の春、二人はお互いのバンドに出会う。そこでの変化が大きいのは、やっぱり千聖であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
薫くんはバンドの物語が始まる前と、始まった後で一番人格的変化量が少ないキャラかも知れない。
最初から奇人王子(誠実)としてしっかり完成されていて、ブレが少ない。
ハロハピの仲間が揺れた時、奇妙な仮面の奥でしっかり受け止めてきた『大人っぽさ』は、中学時代に彼女が『変身』を済ませていることに起点があるのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
今まさに、激動の時代ど真ん中。思春期真っ盛りの千聖(や他キャラ)が走ってるポイントを、かおちゃんは演劇と出会った時に抜けている
同時に”王子”のペルソナを常時変化させ、”儚い”世界や他者に毎日感動してしっかりアップデートを続けている所が、瀬田薫という人間の凄いところである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
なりたい自分は、こんなもんじゃない。貪欲な憧れが、より強く優しく美しい”王子”へと、仮面を変化させていく。
この柔軟性と貪欲さがあればこそ、ハロハピの体験は既に被るべきペルソナ選択を済ませた”大人”の上から目線ではなく、対等な視線で一緒に走り抜けていくものとして、薫くんに受け止められている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
彼女の演技(≒人生)には嘘がない。全てが嘘だから、目の前のものを本気で受け止め続けられる。
その起点には、”ちーちゃん”の強さや優しさ、あの時こぼれた心の雫が深く刻まれていて、それを受け止めきれなかった”かおちゃん”への不甲斐なさが、今でも燃えているのかな、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
それは過去のことで、もう二人は”かおちゃん””ちーちゃん”ではない。でも、消え去ったわけでもない。
むしろ現在進行系で燃え盛っているからこそ、瀬田薫は王子であり、”ハロー、ハッピーワールド!”の一員であり続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
初期衝動を懐かしく眺めつつ、思い出の檻に閉じ込めて窒息させるのではなく、時折取り出して対話する。自分の原点を、真っ直ぐ見つめて大事にする。
そういう距離感を、薫くんは中学時代に生成したのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
ちーちゃんとの思い出、演劇への憧れとかけがえのないきらめきを助けに借りつつ、あくまで自分の決断として、自分だけのペルソナを。
その延長線上に、今の瀬田薫がいる。
立派な人である。そういう認識を、今回新たにされた。
薫くんに比べると、ちーちゃんはまだ過去にご執心というか、瀬田薫の変化に納得できていない感じである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
それは可愛い可愛いかおちゃんが、自分の知らないアホ王子に相談なく変わっていた衝撃もあろうが、同時に”ちーちゃん”でいられた過去への目線もあると思う。
千聖は自立心とコントロール意識の強い少女で、自分の計算を外れて世界が変化していくことを、なかなか受け入れられないきらいがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
これが丸山彩と、Pastel*Palettesと、新しい芸能活動と青春に出会い直して変化していくのが、ガルパにおける彼女のストーリーライン(の一つ)だ。
その一つとして、演劇者であり王子でもある瀬田薫の”今”を不承不承(であり、同時に心から)肯定する”ロミオとジュリエット”があり、今回の思い出話がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
人気商売の浮沈、演じることで摩耗していく宿命に苦しみ、世渡りに身を任せ『小ズルい大人』になりかけていた白鷺千聖。
そんな彼女が、自分のあんま純粋じゃない部分や、思い出したくもない過去全部ひっくるめで、どう世界と自分を受け止めていくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
そのど真ん中には、瀬田薫との思い出ではなく、Pastel*Palettes…特に丸山彩との”今”がある。それを確認するエピソードでもあったな、と思う。彩ちゃん秒もでないのに…
かおちゃんちーちゃんの思い出は、”今”に残響しつつも直結はしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
例えばAfterglowの、いつでも一緒密着スクラム青春紀行とは違った書き方であるが、非常に鮮烈で真摯な思い出の描画だと思う。
色んな人物、色んな生き方、色んな繋がり方。それを描くための6バンド、30人の物語であろう。
初報を聴いた時は、もっとベタついた質感になるかと思っていたが、薫くんの成熟と知性、千聖が築きつつある豊かな自意識に支えられ、甘くも切ない思い出話となった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
思いっきり”二人”にフォーカスを絞り、狭く鋭い物語として展開したことが、突破力を生んでいたと思う。
過去は過去、今じゃない。
でも、あの幼年期があったからこそ、今があって未来がある。だから、時折愛おしく、何よりも大事なものとして取り出して…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
薫くん、本当に特権的なキャラだなー、と思うエピソードでした。客観性で浮かび上がりそうな立ち位置だけども、しっかり物語に食い込む主体性があるのが凄い。
こうして二人のオリジンを描いたことが、ハロハピの、パスパレの今と未来に、どう活かされるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
いつものことながら、今後の活用にも期待の高まるエピソードでした。思わぬ使い方で、本筋に接合されてバキバキ生きたりするからなぁ…油断できねぇ。
あ、”かおちゃん”を本物、”薫くん”を偽物と優劣つけづに、どちらも大事に取り扱ったのは素晴らしかったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
なりたい虚像を選び取り、人生という劇場に乗せる。それが嘘だったとしても、そう成ろうと決めた”かおちゃん”の思い、その果てにある王子像は無意味ではない。
薫くんの”今”がどんだけ面白くて、どんだけ色んな人を幸せにしているか描いてきたからこそ、時系列を遡る今回、それを否定しない…どころか、起源を顕にしてより強く称揚してきたのは偉いと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
弱気な少女が”ちーちゃん”を笑顔にできなかった傷があればこそ、ハロハピの瀬田薫がいる。
そう考えると、薫くんがハロハピにい続ける理由も、しっかり色がつく感じなのよね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
思い出のちーちゃんを笑顔にするべく、選んだ場所がちーちゃんの隣”ではない”ところに、かおちさの”凄み”があると思います。
離れればこそ、貴方の顔がよく見える。大人だなー薫くん…。
千聖が王子・瀬田薫を許容できなかったのは、自分が喰われた演技の魔物にかおちゃんが飲まれて、大好きだった優しさが摩耗してしまうことへの恐怖…と同時に、自分自身が飲まれた経験への敷衍があると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
しかし瀬田薫は演技の嘘を全て飲み込める才があって、同じ道は辿らなかった。
パスパレに出会う前の千聖は他人の才や異質性をなかなか認められない(認めれば、自分の凡庸さや非才を飲み込むことになる…と思いこんでいる)キャラなので、かおちゃんが自分を超える演劇の天才である可能性に、なかなか目を向けれなかったのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
だから、演劇に近づいてほしくなかった。
同時に自分のコントロール下から気弱で可愛いかおちゃんが外れていく怖さ、否応なく変化していく世界への恐れみたいなものも、幼馴染にツンケンする態度には混じってんのかな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
そういうものは、『ふふ、彩ちゃんったら…』と言ってる青春に、ジワジワ解けつつあるわけだが。
今回はパスパレで千聖が手に入れたもの、それを杖にして薫くんと向き合い直した”今”の再確認でもあって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
自分のイメージや理想とは違うけども、今そこにいる貴方を肯定できる。
それは人間として凄く大事なことで、ちーちゃんもまた、己という劇場の中変わっていくのだろう。
そういう変化の根っこに”丸山彩”という魅力的な異物があるのよね…やっぱ今回、超変則的あやちさエピだったんじゃねぇの?(極論)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月10日
複雑に広がった繋がりの中で、メインに据えてない、カメラに写ってすらいない関係の質感がクリアになるの、人数扱ってる醍醐味だなと思う。