ハイスコアガールⅡを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
運命の決戦は、敗北に終わった。果たせなかった思いを燻ぶらせ、ハルオは日常に埋没していく。
こんなもんさと諦めて、幼い思い出を殺していく。当たり前に大人になる選択肢に、少女の拳が熱を叩き込む。
終わるために。そこから続いていくために。
最後の戦いが始まる。
というわけで、ハイスコアニメ最終回!! である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
大阪決戦決着、燻る残り火、日高小春最後の意地、全てを載せた全力疾走、そしてクライマックス…。
最終話に相応しい、作品の全てを燃やし尽くす見事な仕上がりで、非常に良かった。
日高さん最後のプライドにたっぷり尺を回したの、マジ偉い。
今回はこのアニメらしい映像の詩学が、特に鮮明に明滅するエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
停滞と突破、迷走と疾走。光と闇は非常に鮮明に、象徴的に扱われ、ハルオの迷いはそこを行き来する。あるいは、彼の青春に関わった全てのものが。
何かが動き出す時は、必ず風が吹く。
全てを粉砕する赤いサイクロン…
あるいは、青春の惨めさを吹き飛ばすソニックハリケーンか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
とまれ、ハルオはようやく恋に自分の言葉で、自分の態度で答えを出し、それを背に受けて走り出す。
そこまでの”タメ”もじっくり描かれ、迷いと決断のジュブナイルだった作品全体が、的確に凝縮された最終話となった。
大阪決戦はダイエットスクリュー一閃による大逆転という、大野さんが書いた青写真で決着する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
第2ラウンド、ハルオは待って待って待ちまくる。作業に徹し、ダイヤグラム通り勝ち切るにも意志力が必要だというのは、『大野ザンギ VS 日高豪鬼』の試合で既に描かれたとおりだ。
ハルオは長年親しんだ自分のスタイルとして、徹底的に待ち切る。意志と情熱を、今までボタンを弾いてきた時間すべてを載せて、レバーを1方向に入れ続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
その『勝つための作業』は、徹しきれなかった日高さんよりも強く、ラウンドを引っ張ってくる。
ゲーマーとして、ハルオのほうが一枚上手だ。
しかしそこより上にいるのが、大野晶という天才である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
居着き。
特定の行動パターンに思考が限定され、選択肢を手玉に取られる状態を作るべく、第2ラウンドを捨てる。
サマソによる迎撃ではなく、リフトアッパーでの対空に意識を絞って、ダイエットスクリューを通す。
ハルオの才覚と愛情は、その青写真を破り捨てれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
大野さんが勝つために作ったパターンを突破して、長年の因縁に勝利し、愛を告白し青春を掴むルートは潰れる。
多分本当は、大野さんは負けたかったのだと思う。あそこでリフトアッパーではなく、サマソで落としてほしかったのだと思う。
しかしハルオは第2ラウンドの勝ちに居着いてしまった。大野さんが作った必勝の絵図から抜けれなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
才能と環境に恵まれたエリートに、立たない歯で噛み付く身の程知らず。ルサンチマンまみれのピコピコ少年。
その身の丈から、ハルオは出れない。それが、今まで書いてきた彼だからだ。
そして、物語はそこから始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
暗い絶望に目を伏せ、見下すような終わりを感じ取ったハルオ。しかし光を当ててみれば、大野さんは泣いている。
もう一度、捕まえてほしいと無言のメッセージを出している。今までそうだったように。
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視聴者に答えはわかっている。暗闇は照らされて、本当は何が大事なのか教えてもらっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
しかし作中、ちっぽけな身の丈で精一杯人生を生きるキャラクターには見えないものがある。それが視界を塞いで、どうしようもなく身体を縛ってくる。
それを、どう突破していくか。
このアニメはずっとそれを語ってきたし、最後もそれを追う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
主役の発奮が最後の起爆剤となるにしても、そこに至るには色んな人の真心があり、思いがある。
まずは姉。罪悪感と祈りを言葉にし、運命のタイムリミットを告げてくる。
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ゲームを触らなくなったハルオ。大人になってしまったハルオ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
でも諦めに浸ることが、夢を見なくなることが、成長するということなのだろうか。
曙に消えていくガイルさんのシルエットは、ハルオが追うべき未来の明るさ、視界を塞ぐ闇の先を静かに語る。
しかしハルオは、この段階では原付に乗れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
ゲーム以外で、自分を誇れるようにと姉が進めてくれた、小さなアイデンティティ。
大野さん以外にも色んな人と触れ合って、結構色んなことをやってきた象徴みたいなアイテムは、まだ彼を壁の向こう側には連れて行かない。
続いて母も、我が子の未来に思いを乗せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
大野さんの道が『門が開く』ことで、ハルオの道が『門を閉ざす』ことでそれぞれ動いていくこと…子供たちの未来がともに『家から出る』ことで終わりに近づいていくのは、非常に面白い照応だ。
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強すぎる夏の日差しが、生み出す深い陰影。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
ハルオは母に発破をかけられても、その陰りの中にい続ける。
しかし光は目の前にあって、ハルオが飛び込む瞬間を待ち続けている。
大野さんが好きであること。ゲームが好きであること。
それが嘘ではないと、ずっと描いてきたから。
ハルオが目を伏せて未来に背中を向けても、世界そのものは闇には染まらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
ただ気づけば、勇気を出して顔を上げればそれでいいのに、コンプレックスに塗れたナードには、それこそがむちゃくちゃ難しい。
ひどくありふれてちっぽけな青春の、人生の悩みと自閉を、今回もカメラは追う。
今まで答えを教えてくれたモニターも、今は故障中、ブラックアウトした閉塞の中だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
最後の挑戦者、日高小春。
彼女の登場で、ようやくハルオの前髪が揺れる。闇の中でも、風は吹いて未来の方向を教える。
短くなった髪が、一足先の決意が眩しい
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ハルオがいる闇と、日高さんが身を置く光。ハルオは未だ闇から出ないけど、日高さんと向き合うことで世界に光があることを、諦めずコンティニューすることへ目線を向けていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
それは煮え切らないラブコメ主人公として、少女の心と向き合えなかった時間に、サヨナラを告げることでもある。
大野さんは一足早く、光の方角に踏み込んでいた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
自分が”家”に飲み込まれた後も、続く世界のハルオを頼む。
魂を通わせた戦友だからこそ預けられる、最後の信頼を受け取って、日高さんもひと足早く、風の中に踏み込んだ。
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日高さんの言葉を受けて、ハルオはようやく陰りから抜け出し、光に顔を向ける。光の方も、ハルオの顔を照らす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
いじけ諦めていた両腕をポケットから出して、目の前の恋の残骸に向き合う。
俺、大野が好きだ。
それはつまり、あまりに”いい人”である日高小春を好きにならない、ということだ。
誰かを選ぶということは、誰かを選ばないということ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
選択の重さを自分の言葉でようやく引き受けて、ハルオは長く続いた優柔不断のツケを払う。
かなり高利に膨れ上がって、これがなかったら作品全体が地盤沈下するところだが、ギリッギリで返済が間に合った感じだ…偉いぞハルオ、ギリギリだが。
受け取った最後通牒。おもちゃの指輪に込められた思いを、鈍感ボーイは誤読する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
ハルオとの恋を決定的に挫傷させた、成熟度の差異。恋と愛に求めるモノの違い、見ている世界の断絶。
それを、拳とともに小春は埋める。『ムカつく!』と吠える。
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それは運命のスタートボタンを押す決定打で、”故障中”だった筐体には入るはずのないコインが入る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
そうやって、かつての自分のため、恋人にはなれなかった愛しい人のため、魂を通じ合わせた戦友のために、風を吹かす道へ踏み込む。
日高さん、マジで偉いよ…座ってりゃ食べ残しバクバクだったのに…。
ゴミの発想はさておき、かつて渋谷で大失敗した恋の成熟が、ここではハルオの、そして日高さんの力になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
抱き合いたい。セックスがしたい。
そういう段階にまでハルオの恋愛神経は発育しておらず、日高さんは健全に健常に鍛えていた。そのズレが、かつては断絶を生んだが、今は誤解を爆破する。
それは絶縁状ではなく、最後のメッセージ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
諦めたフリを、私の描いた未来を飛び越えて、捕まえてほしいという。
幼い日の思い出を、交わした約束を、バカみたいに子供じみた夢を、もう一度捕まえるために走ってほしいという。
そういう思いのこもった複雑な指輪を、ハルオは読みきれない。
そこのセンサーがニブチンだからここまでこじれてたのだし、その純粋さに少女たちも(俺たちも)惹かれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
誰かが出来ないことなら、出来るやつが手伝う。
日高さんは自分の恋を殺した成熟で、指輪の暗号を読み解く。それをハルオに伝え、決定的な疾走を着火させる。
たとえハルオの思い出全てに、大野さんが突き刺さっているとしても。決定的な時間の差、噛み合わない成熟が二人を引き裂いたとしても。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
日高さんには、ハルオとの出会いが運命だった。あまりに決定的に、全ての景色にあの少年が突き刺さっていた。
極めて残酷な決着を、少女は飲み込んでいく。
日高さんを置き去りに、ハルオは駆けていく。自分の恋人、自分の青春、自分の未来。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
そこに、日高さんはいない。少なくとも”恋人”としてはいない。その残酷に飛び込むことが、ハルオ最後の成長だというのなら。
それはとても哀しくて、多分正しい
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自分ではない誰かを選んで、駆け抜けていく愛しい/憎い背中。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
そこに少年を突き飛ばすために、嘘なく自分が見つけた真実を教えた残影。
離れていく距離が、決定的な運命が、日高小春の胸で渦を巻く。ここのクローズアップ…”神”だぜ…。
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ハルオの前では号泣できなかったプライドと優しさ。エゴイズムと後悔が嵐のように吹き荒れて、それでも微笑んで終わろうと思えた矜持。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
それが、口元の変化に無言で焼き付く。
日高さん…本当に立派だよ…俺は僅差でハルオより、アンタのほうが愛戦士(ラブウォリアー)だと思うよ…。
それでも、去っていく未来、自分が隣りにいたかった恋はあまりにも痛く、少女は咆哮する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
その叫びが。負け犬の、あまりに人間的な終わりが、僕には痛い。
だが、彼女が誇り高く、その未来を選んだというのなら、祝福以外の道はない。
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実際ラブコメの噛ませ犬として、日高さんは相当に話の都合に振り回され、勝てない闘いに挑まされてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
大野さんとハルオはあまりに沢山のものが共通で、その絆には絶対に割り込めない。そんなもの、見れてば分かる。わかるのに、日高さんは恋に挑む。勝ってくれ、報われてくれと、俺たちは祈る。
だって彼女は、そのズルさや焦げ付いた性欲や浅はかさもひっくるめて、鮮烈に生きていたから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
眩しすぎる青春の1ページを、しっかり息をして走り抜ける少女の背中は、いつだって応援したいものだったから。
作品が彼女に押し付けた、約束された敗北と惨めさには、どす黒いものを感じたりもした。
でもこの作品の最終コーナー、進むか引くかの大勝負を彼女に任せ、ハルオに決定的な踏み込みを果たさせる大役を背負わせたことと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
そこに向き合う彼女が、たとえ隣にハルオはいなかったとしても、彼女なり恋と青春の終わりに本気で戦って、嘘のない答えを出してくれたことに。
そんな日高さんと、逃げずにハルオが向き合うことで過去を精算し、未来に突き進む滑走路に憂いを残さぬよう整えてくれたことに。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
感謝して最終話を見終わる。ここが整っていなかったら、正直僕はこの話飲み込みきれていないと思う。イヤ正直、感動しつつモヤるものもあるけどさ…。
ともあれ、作品の急所を完全に見切り、見事なスピンターンからの急加速をキメるこの対話は、画竜に点睛を与える最重要ポイントだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月20日
アニメでもきっちり、熱く切なく書ききってくれて嬉しかった。”風”を扱う演出を積んだことが、ここで活きた印象。この後のストレートでも。
小春と出会ったことで動き出した”風”は母の後押しで更に加速し、少年は思いを吠え猛りながら原付で疾走していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
より強い、光の中へ。自虐と諦観を振りちぎり、今までであった全てを繋ぎながら、未来へ向かって駆けていく。
ママン…好きだぜ。
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本来なら間に合うはずのない、あり得るはずのない奇跡。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
かつて少年時代取りこぼした、言うべきだった言葉。
残酷な決断を、恋の残骸を置き去りにただただひた走るハルオの道は、彼が出会ったゲームキャラクター達によって舗装されていく。
陰りに身を委ねるのではなく、ただただ明るい方へ。
現実でハルオと出会い、絆を紡いだ日高さんやママンの後押しがあって、ハルオはここに来た。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
現実に繋がる縁と同じくらい、ゲームがハルオに教えてくれたこと、積み上げてくれたものは大きい。
楽しい事ばかり続け、成すべきことから目を背けていた少年が、己の背中に決意を背負う時代へと巣立っていく
その最後の疾走に、電子の妖精たちは力を貸してくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
優秀なジュブナイルであり、ノスタルジックなゲーム年代記でもあったこの話は、デジタル世代の妖精譚でもあった。
ここで次元を超え、ジャンルも越え、全てのゲームが集約されるのはアツい
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闇を振りちぎる光は追うハルオだけでなく、去っていく大野さんにもしっかり届く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
実際に、ブラインドを貫通する強い光が発生したのかは、そこまで問題ではない。
ゲームと出会い、ゲームで救われ、ゲームで繋がれた者たちが、もう一度出会う奇跡。
それを掴み取るためには、デタラメと何度言われようと、誰にも認められなかろうと、自分たちを繋いでくれた幻想の力を借りる必要があった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
譲れない勝負の最後、小春の持ちキャラであるフォボスがハルオを守るのが、切なくて優しい。
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かくして少年は運命に追いつき、かつて指輪を渡した時は言えなかった言葉を、流せなかった涙を届ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
俺、お前が好きだ。
この言葉を真正面から、光の中で言い切るために、これまでのエピソードが必要だったのだ。
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おもちゃの指輪が守る、あまりに幼い約束。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
家や劣等感や鬱屈や、思春期の少年少女を縛り付ける全てから自分を守ってくれる、あまりにちっぽけな約束。
それが自分と自分たちにとって、とても大切な唯一絶対であると確信することで、二人の物語は終わっていく。
多分、彼らの幼年期も。
日高さんがかつて誘った、エロティックでリアルな質感を持った繋がりではなく、子供じみて過剰にピュアな、おもちゃみたいな純情。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
それがハルオにも大野さんにも必要だからこそ、話はこの決着にたどり着く。
答えは、いつでも出ている。でも、そこにたどり着くのはとても難しい。
泣きながら微笑む、不可思議な感情。その矛盾が嘘ではなく、自分の一番熱く柔らかい部分からこみ上げてくる真実なのだと受け止めた表情。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
それを見守りながら、ゲームの妖精たちは光に輝き、薄れていく。
さよなら、ゲームキッズの夢。
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ハルオはこの告白の後でも、ゲームが好きだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
大野さんと出会えたのは彼が、ゲーム以外に取り柄がなく、自己評価の全てをゲームに載せたゲームキッズだからこそだ。
でも、世界の全てが電子の幻想と重なり合っていたような熱狂は、多分もうやってこない。
ハルオは大人になったのだ。
誰かを好きになる。誰かを選び、誰かを切り捨てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
その重たさを背中に背負って、子供じみた願いのために走り抜けていく。
そういう事ができるようになった少年は、ゲームという幻想の力を借りて、ゲームではない女の子の体温を胸に受け止めた。
そんな彼に、ゲームはもう唯一の場所ではない。
だから、幸福なエンディングを見送るゲームキャラクター達はずっとそこに居続けるのではなく、薄っすらと消えて、それでも思い出の中に残り続けるのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
ガイルさんの言う通り、戦いは続く。恋を抱きしめても、人生は終わらない。
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それでも、理不尽が待ち構える現実でも揺るがないものを、幻想と対話し、力を借りることで手に入れられた経験が、ハルオと大野さんを、彼らの青春と恋路に関わったすべての人を支えていくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
諦めることが、かつて見た夢の電源を切ることが、大人になることではない。
自分を支え守り、かけがえのない誰かと繋げてくれた幻想への感謝を胸に、新たな闘いに飛び込めるものをこそ、多分大人というのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
ハルオは大人になった。大野さんも、日高さんも、皆大人になっていく。
そこに、ゲームはある。あり続けるだろう。
そういう話として、この物語は終わった。
というわけで最終回である。今までの全てを決算しきる、見事なエンディングだった。しっかり終わっているのに、一期OPの歌うように『戦いは続く』と奥行きを残して幕が引かれているのが、非常に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
ゲームという空事、そこで繰り広げられるファンタジーが、どれだけ少年少女の未来を守るか。
運命と出会い、恋を知り、己を奮い立たせる青春の杖として、ゲームにどれだけのことが出来るのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
ハルオの青春を疾走する中で、そういうファンタジックなパワーへの信頼も、しっかり語られたと思う。
非常に良質で普遍的な現在の妖精物語であり、ジュブナイルであった。
時にコミカルに、時にエモーショナルに場面を盛り上げる演出と劇伴、芝居の組み合わせはとても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
ミカド全面協力のゲーム画面も、しっかりストーリーとシンクロし、濃厚な説得力と熱量を作品に与えてくれたと思う。そこに嘘があったら、一気に褪めるからな…。
劣等生ながらも人生を間違えないハルオの純情、言葉を奪われた大野さんの可憐、愛戦士・日高さんの不屈。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
加速していく三角関係と、ゲーマーとしての矜持がしっかり絡み、ゲームでしかケリを付けられないカルマ、ゲームがあればこそ分かりあう関係性が、力強く作品に焼き付いていた。
成長に怯え、決断に震え、恋から目をそらす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
ひどくオーソドックスな、少年のロマンスをぶっとく描きつつ、そこに”アーケードゲーム”という異質を混ぜ込むことで、魅力的なオリジナリティが引き出されていた。
俺は、ゲームが好きだ。
その気概が、画面の隅々からしっかり滲んでいた。
そういう原作のポテンシャルを120%受け取り、アニメとして如何に表現していくかしっかり考え、組み上げた監督以下スタッフの献身は、本当に素晴らしかったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
アニメになることで見えたものが、非常にたくさんあった。やっぱ良いアニメ化は、作品と出会い直させてくれるなぁ…ありがたい。
ボンクラな青春時代を、ピコピコやかましいゲーセンで過ごした元少年として。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月21日
ファンタジーの力を未だに信じている、大人になりきれない大バカ野郎として。
ノスタルジーでは終わらない、現実逃避ですまさない力強い”風”を、僕も受け取るニメでした。
非常に良かったです。ありがとうございました!