虚構推理を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
それはラブコメ、ミステリ、それとも怪異譚?
一眼一足の叡智神として、人の範疇をはみ出したお嬢様。可愛い顔立ちに強烈な性格を兼ね備え、猛アタックするお相手は、彼女をさらに超える超常の住人だった。
ジャンルを横断する不可思議ミステリアニメ、戦慄の第一話。
つう感じの、”スパイラル””絶園のテンペスト”の城平京原作の怪異ミステリラブコメが、遂にアニメ化である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
ジャンルの枠にハマらない暴れっぷり、生きの良いキャラクターとダイアログが暴れ狂う原作の魅力を、楽しくおどろおどろしくアニメーとしてくれる、良い第一話だったと思う。
妖怪や怪異が当たり前に存在し、グイグイ系のトンチキお嬢様が気弱青年を引っ張っているラブコメのようでいて、その青年が露骨にヤバい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
ジャンルの垣根をビュンビュン飛び越え、独自の世界観を生み出すお話だけに、味わいはファニーでクリーミー。『コレ』と言い切れないコクが、アニメでもよく出た
話には幾つかのツイストがかかっていて、最初は奇妙な少女との出会いとラブコメ…に見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
おひいさまはアニメでも大変可愛らしく、キャラが立っていて元気だ。ここらへんは城平作品共通の強みだね。
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ふわふわのちびっこなのに策士で粘着質、ストーカー気質の暴走超特急。琴子はアクティブに走り回って、色んな表情を見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
そんな彼女を愛でるラブコメ…なのかなと心を固めたあたりで、雲行きが怪しくなってくる。物理的に雨も降ってくるからな。
ヤギに河童に水死体。シンプルなラブコメと言うには、あまりにクレイジーな要素が混入しだして、作品世界は混沌としてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
怪異の存在証明を少女と青年が追うミステリ…なのかと思いきや、そこらへんはサラッと『在る』方向に軸が動きだす。
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おひいさまは九郎の証言(と、隻眼の魔力が見抜く異形の気配)から、『誰が逃げ去ったか』という主体記述のトリックを見抜く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
ちょっと日常の謎めいた、思考フレームの転換。
怪異が人を驚かせるのではなく、怪異が人に驚くという、発想の転換。そういうモノを追う、変則の”日常の謎”
…なのかと思っていたら、怪奇な気配はバリバリと深まっていき、お嬢様はオカルト知識をフル動員、一本足のアームチェア・ディテクティブらしいところを見せても来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
久延毘古であり天目一箇神でありイッポンダタラでもある、人にして怪異。
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コツコツと音を立てる義眼のはずなのに、生身の瞳と連動して動いている時点で、彼女もまた尋常の存在ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
不自由な足を地面に固定し、座りながらにして状況を読み解く安楽椅子探偵。それが怪異と契約し、一目一眼を奪われた少女の立ち位置である。
”日常”でくくるには、ちと奇矯にすぎる。
なんだけども、妙に剽悍で知的な会話の雰囲気とテンポ、『怪物が隣りにいるのが当たり前』と言いたげな空気は、日常ミステリ、あるいはヘンテコラブコメのそれでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
この一筋縄でくくれない感じが、やハリこのさく品の味であろう。何を見出すかは、読み手である視聴者次第、という感じもある。
おどろおどろしい雰囲気を出していた落ち武者の亡霊は、おひいさまの身を案じる忠義者であるし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
足と眼を奪った怪物たちは、可愛らしく飲み物を勧めてくれもする。おひいさまもまた、可愛い怪異にしっかり寄り添い、生贄にして神たる責務を引き受ける
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このねじれた関係の中に、スッと差し込まれた異物。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
あらゆる怪異がそのおぞましさに、真相を語らない九郎の有り様。
これが今回仕込まれた、お話の推理要素である。彼が作中最大の怪物(の一人)であることは、実は結構ヒントが出てるミステリだ。
怪物と縁を結び、パワフルに草食青年を振り回すヘンテコお嬢様。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
その添え物にしか見えない九郎が、実は一番ヤバい。その異質性が、後に大きな物語を引っ張ってくること含めて、ラストシーンに向けて細かく描写を積んでいく。
この構成は、まさにミステリのそれである。
そこに問答無用の人食いクリーチャーと、ハードなアクションが混ざることで、ジャンル分けはさらに混迷を増していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
おひいさま、片足だってのに相当暴れるからなぁ…肩車もお姫様抱っこも、別に必要ない説ある。
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単眼の知恵神としての武器…言葉が通じなくてビビるかと思いきや、度胸一番消火器抱えてバンバン暴れまわる所が、おひいさまの只者じゃないところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
しかし九郎は更にそれを越えて、腕一本食われても一切動じず、グロテスクに欠損を再生させていく。
ミステリ、あるいは怪異譚を支える”生き死に”すら超越した、猛烈な化け物。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
自身の身体を猛毒として与え、怪物を討ち果たしてなお瞳が揺るがない。
そしてその冷たさが彼の”本性”…というわけでも、またないのだ。
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序盤のラブコメで押されていた…あるいは無様に恋を破綻させた押しの弱さは、けして嘘ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
怪物を超越した怪物でありながら、どこまでも人間である…あろうとする九郎の異質性。あるいは越境性。
それは怪異や超常を前提として、それでも”ミステリ”を描こうとするこのお話の主役らしい資質だ。
心身を欠損させることで智慧を手に入れた少女神と、怪物を貪って己も怪物となった青年。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
ある意味お似合いの二人が、怪異を隣において一体どんな日常と非日常を、謎と事件を追いかけていくのか。
それが混沌とし、分別しにくく、しかし面白い物語であるという予感は、しっかり作れた第一話だと思います
城平作品はロジックで詰めるミステリパズルと、妙な存在感と体温のあるキャラクター郡と、隠しきれない博識と、ぶっ飛んだ発想の世界設定と話運びが、渾然一体にドドンと突きつけられる所が魅力だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
おひいさまのキャラクター、二転三転する作品の顔。振り回され掴みどころがなく…面白い。
そういう多彩な味わいが、ちゃんとアニメになっているのはとても良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
やっぱおひいさまが可愛いか否かで、全てが決まってくるからなこのお話…(個人の見解です)
九郎の種明かしは次にやるとして、構造としては変則的な『安楽椅子探偵と活動的な助手』なのよね、この話。
ただただ怪異の不思議な世界を、ペーソス込めてかくでもなく。おどろおどろしいバトルだけで話を回すでもなく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
伝承と非日常が生み出す、人ならざる存在。
それがどういう謎から生まれ、形をなしていくか。相当に民俗的な視線も込めて、お話は転がっていきます。妖怪オタクも大満足だッ!!
そして確かに、チャーミングな二人の恋を追うラブ・コメディでもあるのです。その面白さもちゃんと見せる出だしで、なかなか良かったな。二人とも可愛い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月14日
”謎”を読み解く行為自体が、巨大なミステリですらある物語構造を、どうアニメにしてくか。混沌と芳醇な作品世界を、どう描くか。
次回も楽しみ。