バビロンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月23日
極東から広がった、自殺法というミーム。その是非を問うサミットに集った、七人の賢人王。
善とは、悪とは、命とは。積み重なる議論と、深まる混迷。麻のように乱れた思考を、もう一つの”サミット”からの問いかけが断つ。
”考える人”は、死を迷うものに何を投げかけるか?
そんな感じの、一生喋り倒しな最終話一個前である。こんなに喋ってるアニメ、”魍魎の匣”第七話”もうりょうの事位”以来だよ! あれも講談社のノベルズか!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月23日
文字と思索をみっちり積み重ね、抽象的概念をこねくり回すのに適した文字メディアと、スペクタクルを描くのに向いてる映像メディア。
そのブリッジをどう通して、原作で展開された思索をどうアニメで展開し直すかは、まー難題である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月23日
絵面を面白くしたり、演出を尖らせてみたり、色々動きをつけてはいるが、まぁ根本的に地味である。年寄り七人が肩並べて、一生喋ってるだけだからな。
まぁ地味なのは、第三章ずっとそうだけども。
サミット参加者は国家政治のトップに立ちつつ、賢人のように聡明で公平である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月23日
足を引っ張り重箱の隅をつつき、勝つための議論(あるいは負けないための議論)をして自国の立場を良くするよりも、人類の幸福のため考えるべき深甚な問題に、国のパネルを倒して一個人として潜っていく。
自由資本主義だったり、ノーブレス・オブリージュだったり、あるいは啓蒙理性主義だったり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月23日
それぞれ立脚点は違えど、他人を尊重し、言葉によって分かり合う道を大事にしている。コミュニケーションを諦めることも、途中で捻じ曲げることもしない。
それは、曲世愛の方法とは真逆だ。
セックスにしても死にしても、彼女は強制力を持つ。頭で『止めなきゃ』と考えていようが、彼女に一言囁かれるだけで人は性に飛び込み、死に溺れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月23日
そんな彼女が背後にいる、自殺法という巨大な渦。それを相手取るとき、あまりに人類の英明な側面を重視したこの賢人会議、果たして意味を持つのか?
理性と自由意志が及ばない領域にこそ、その2つで切り込んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月23日
それを諦めなかったことが沢山の善き結果をもたらした事実は、世界史の年表に沢山記載されている。その武器が効力を持ちえなかったり、そういう看板貼っつけた凶器が沢山人を不幸にした事例もあるが。
G7のほぼすべての国(ということは、否応なくそのパワーの影響下にあるたくさんの国も)は、言語コミュニケーションと理性を是とする価値観を、その文化と社会の基盤においている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月23日
続くことは正しい。公平であること、他者を害さないこと、分かり合い変化し繋がることは正しい。
そういう価値観の大枠を共有するからこそ、彼らはパタンと立場を一旦保留して、非常に根源的(と、理想的近代西洋人である彼らが信じるところ)な問題へ、一緒に向き合うことが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月23日
自殺法は、そこと確かに繋がっている。自殺と善悪その他は、西洋(に限らず人類)知が考え続けた難問だ。
偽メシアたる齋は、その西洋知が生み出したシステムをハック(あるいはクラック)して、己の革命を推し進めた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月23日
選挙、メディア、そして今回のサミット。
こっちの武器を逆手に取るのが巧い(巧すぎる)相手に、賢人政治の理想形をどんだけ研ぎ澄ませても、あんま有効打には並んじゃないかな、とも思う
あとまぁ、どんだけ工夫しても長尺の複雑な議論を、アニメで見せるのは難しいわな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月23日
暴力とかセックスとか以外の場所で、なかなかアニメ化が難しい作品だった気がする。ショッキングな題材を扱いつつも、態度はモンドではなくスペキュレイティブなので、どうしてもこういう真面目な話が入る…
というか、根っこからして真面目な話なのだ。その地金が、地味なアメリカ巡礼に入ってから表に出た感じ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月23日
今までは愛ちゃんのキャラの強さで押し切れてたんだけど、彼女舞台裏に引っ込んじゃったからねぇ…。
そんな彼女が再度顔を見せたとき、何が壊れるのか。(壊れるのは確定)
今回のオモシロ長尺会話、効果的にぶっ壊すための土台作りであり、同時にバビロンを葬った後の新千年紀がどのような幸福に包まれるか、そっちの土台を作った感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月23日
その結論を見届けるには、アニメの尺は足らなさそうだけどもね。
イヤだって、齋にアンサー返して愛ちゃん倒して未来描いて…
やること山盛りで、後一話じゃあ露骨に『続く』になりそうじゃん! しかも『(永遠に)続く』で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月23日
そこら辺の落とし方含めて、次回どうなることやら。
三章の地味さ、ずーっと考え続けてる耕し方は四章でのスペクタクル前提な気はするが、その四章をやる時間も原作もない。ふーむ。
とまれ、思弁の時間は終わり現実が始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月23日
哲人大統領は黙考から顔を挙げさせられ、もう一つのサミットから投げかけられた問いへの証言台に立たされる。
相手が”女”というだけで、ある種の緊張感と疑念が膨れていくのは、愛ちゃん流石の存在感。
©野﨑まど・講談社/ツインエンジン pic.twitter.com/pBpYOBaHwD
曲世愛はどこにでも存在しうるし、なんでもしうる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月23日
女の形をした災害、あるいは新しい法則みたいなもんで、物理的にどれだけ条理を積み重ねても乗り越えられはしない。
悪への問に答えを返し、彼女の渇きを満たす。自殺法に引きづられる衆愚を啓蒙するに足りる、新しい価値を見出す。
そういうことをしないと、この黙示の獣は殺しきれない気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月23日
冒頭に”ヨハネの黙示録”が引用されたことを考えると、偽メシアである齋と合わせて”正義と善”が彼女を打倒し、自殺法後の新世界が広がるオチ…なんだと思うが、そのドンデンまで書く余裕が、あるかないか。
はたまた全力で振りかぶってぶん投げてくるか、状況は予断を許さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月23日
次回、バビロン最終話。非常に地味に進んだ第三章の決着であり、TVシリーズ…あるいはアニメとしてのラストステージとなろう。
性、死、悪、善。色々かき回し、散々問うた物語の決着はどうなるか。次回も楽しみ。