22/7を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
アクシデントを見事乗りこなし、お披露目ライブを成功させた22/7。
商業の海を大型帆船で渡るように、自発性なく転がる状況。次の舞台は吉野の桜、滴る雫は涙雨。
とにかく優しい藤間桜ちゃんの、陰りの正体は一体なにか。初のグラビア撮影、さてはてどうなる。
つー感じの、メンバー個別エピに舵を切ってきた第四話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
超ハラグロ重力女として、前髪主人公みうの純情を弄び癒せぬ傷をつけ、手に手を取ってズブズブと奈落に沈むと(俺に)期待されていた桜ちゃんの過去と内面を掘るお話です。
ええ、素直にいい子でした…多分、喜んだほうがいい展開。
人工的で冷たい空間ばっかり追いかけてきた三話までと、打って変わって明るい春の野外、美しい桜のお話に。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
体温が高くていい感じだが、同時に散るからこそ美しい桜花の切なさを、祖母との思い出に重ねてシットリ見せる話でもあった。
『言えないよね』は一年間のリミットか。
アイドルとしての”桜”も、期限付きで美しく咲いて散る花なのか。それともその運命を乗り越え、22/7は続いていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
そこら辺の謎掛けにもなってるエピソードだが、全体的にうねりは静かに感じられる。これは桜の秘密がいまだ桜個人のなかに、とどまったまま終わるからだと思う。
一番距離が近いみうにさえ、桜は一年間のリミットも、自分がここに来た理由も、内に秘めた”死”の哀しさも言葉にしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
表に出ないものは共有できないので、みうは桜の笑顔の秘密を知ることもないし、22/7も変わることはない。
知っているのは桜自身と、無力な神たる僕ら視聴者だけだ。
この閉じて動きのない感じを、今後爆発させるための”あえてのタメ”でやっているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
あくまでショーケースの中のアイドルの秘密を、ファンだけが共有できる特権的な構造のためにやっているのか。
ここら辺を非常に判別しにくいのが、”22/7”というアニメだと思う。狙い所が見えにくいのだ。
このボヤッとしてモヤッとする構成は、多分しばらく…もしかしたら最終回のラストカットまで続くかも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
巨大資本に載せられ、運営の意図も分からず、”自発性”というモノを一切求められないまま、巨大なプロジェクトに流されていくアイドルたち。
それは生身の偶像としては、ありふれてリアルだ
しかしアイドルアニメとしては結構な変化球で、自分の意志と力で状況を切り開き、セルフ・プロデュース気味に進んでいく物語のほうが、一般的にはメジャーである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
この生っぽさが”22/7”の特色だが、果たしてしっかり芯を捉えた面白さに繋がるのか。(おそらく)あえての変化球は、ミットに収まるか。
ここに確信を持ちきれないのが、四話まで見てなおこのアニメとの間合いを悩む一員である。超魔球なのに、キッチリミットに入れきる”推しが武道館いってくれたら死ぬ”が、同クールにあるのも難しいと、個人的には思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
変化球投げるのは、直球勝負で勝ちきった先行作が多数あるなら、当然の努力だ。
そこで三年間、巨大資本に後押しされたプロジェクトのドキュメント、冷たく自動的な生々しさを出してくるのも正着だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
しかしそれは、イマイチ遠い面白さだ。リアルアイドルが消費される構造への視線が、内部にないといまいち刺さらん気がする。素直な面白さが、ちと弱い。
そこを思いっきりブーストして突き刺したのが前回の第三話…なのだが、アレは一話二話のタメを生かしたぶん殴りだったので、毎回あのレベルはやってこない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
それを踏まえた上で、今回の桜エピ。いい話であり、桜の象徴性を生かした面白い作りでもあったが、もうちょい爆発力があっても…とは思った。
さてお話は、桜の回想と22/7の現在を重ねながら進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
みうにフォーカスしながら進んだ序章、前髪ネクラ女に一番優しくしてくれたのは桜ちゃんであり、彼女が個別エピの最初を飾るのは、正しいと思う。
優しかった彼女のことを知りたいと思う気持ちは、結構素直に醸造されとるからな。
裕福ながら父母と距離のある家庭は、みうの”家”とは面白い反転である。時分の寂しさを埋めてくれる祖母との、美しい思い出。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
それは同時に喪失の記憶でもあり、彼女が日本に来てアイドルやってる理由でもある。サブタイトルに、みうの団地に咲く”桜”を重ねるのは、風情があって良い。
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アレだけのデビューをやり遂げておいて、この人工的なアングル。ピシッと暗喩的な母との断絶。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
まだまだみうを中心に、デスゲーム的な冷えた感覚は続きそうである。しかしママン手製のお弁当を貰って、陰りの中から光のある方へ、少しは前に進んでいる。
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苦手な仕事ではあるが、鍵盤演奏というみうの自己表現メディアによって危機をくぐり抜け、少しは思い入れも出来た。家族の後押しも貰えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
…後に明らかになる桜のリミットを考えると、経済的にも家庭環境的にも、みうと桜は対極なのな。そして、二人はそのことをまだ知らない、と。ふうむ…。
相変わらず人工的で窃視症的なアングルを随所に残しつつ、ナナニジメンバーはちょっとずつ仲良くなっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
というか、みう・桜・ニコル以外の賑やかしメンが、後列で繰り広げるキャッキャ漫才が、結構楽しい。
メガネがなー…クールに見えて結構トンチキなんだよな…。
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そして交錯する、みうとニコルの視線。デビュー戦であんだけアツい魂のぶつかり合いを見せたんだから、もうちょい間合いが縮まっても良さそうだが、まだまだこの距離感である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
後々非常に美味しいことになりそうで楽しみでもあるが、ジックリ煮るねぇ…そのテンポは結構好き。
お披露目ライブはみうと”アイドル”の距離を縮めたが、具体的な仲間との人間関係は、まだまだ及び腰である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
自分らしさの入れ物として、悪くないと思える”アイドル”という仕事。それは抽象ではなく、デカくて空疎なプロジェクトに乗り、顔と個性のある人間とスクラム組んで進んでいく。
その個別の体温に、みうが飛び込むにはまだ人格強度が足らないから、今回桜の内面は共有されないのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
躊躇いの障壁をバコバコぶっ壊して、熱く人間関係がうねる様子を見たいので、みうはドンドン前髪を上げて、メンバーに体重を預けて行って欲しいもんだ。
変化と停滞の間でゆらゆらしてるナナニジを載せて、壁からの指令はあいも変わらず唐突である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
初のグラビア仕事は、吉野の桜の前で。そのシチュエーションに、桜は過去を思い出す。
自分と同じ名前の、優しい祖母の記憶。散るからこそに美しい、桜花の記憶。
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今回は広大な野外、明るい日差しが沢山写って、非常に爽やかだった。それは桜ちゃんの優しい心根、曇りのなさをそのまま反映しているのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
一話から三話までの冷たさと不安定感が、主役だったみうの反射であったように。あの暗い屈折で、最初の挨拶するのもやっぱスゲェな…。
さておき、桜ちゃんは小さな体で車椅子を押し、春の風と青い空を見る。美しい色彩と芳しい香気を嗅ぎ分ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
そんな風に愛された記憶があればこそ、彼女は根暗前髪女にも優しく微笑んで、手を差し伸べてくれたのだ。
はー…超計算ずくの根性ドブゲロ女だったら、好みにドンピシャだった…(まだ言う)
さておき、状況は凄まじい勢いで転がり、ポッと出の新人アイドルは大型週刊少年誌の表紙を飾ることになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
制服に着替えて、壁の前でお菓子食べてキャッキャしてただけなのに、あっという間に超絶マスメディアに顔が乗る。
このオートマティックでデカい雰囲気は、やっぱ独特だ。
全てが少女たちの手の届かない所で進むなかで、一体彼女たちは何を”アイドル”に刻むのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
それを掘り下げるために、個別回を各員に回していくのだと思う。
そのための伏線として、都が露出のデカさに感じる矛盾とかも演出される。親に見つけてもらうためのアイカツ、かな?
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そんなメンバーのうねりから切り離された所で、みうはママンのお弁当を美味しく頂き、桜ちゃんとちょっと距離を詰めようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
しかし桜ちゃんは物憂げに、ガラスに思い出を反射させて、外界を遮断し続けている。これは今回突破されることなく、彼女の思い出は彼女だけのものだ。
細かく割られたスケジュールが、よく整った”仕事”感(と、その中心にいるのに部外者でもある偶像少女達の当惑)を切り取って、なかなか面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
いつの間にか、車椅子より大きくなった背丈。その分だけ祖母に刻まれたシワと、死の気配。それは桜を支える、大事な壁だ。
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だから、今のみうでは突破できない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
吉野山中の険しさに息を荒くしたり、たどり着いた撮影場所に浮かれたり。そういう仲間も、遠くで桜を見続けているみうも置き去りにして、桜は一面の桜花へと進んでいく。
わたしと、祖母と同じ名の、美しい約束の花。それが見たくて、日本に来たのだ。
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僕らは神の視線から、桜ちゃんがこの景色に重ねているものを知ることが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
しかしみうは(桜ちゃんが何も言ってくれないので)知り得ないし、踏み込み得ない。
明るく美しい自然のただ中にありつつ、人間の距離感は未だ遠く、壁が多い。ナチュラルに混ざり合うことは出来ない。
降り始めた花散らしの雨に、蘇る”死”の記憶。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
桜の花が散る意味を描くシーンになると、途端に寒色で画面が冷え始めるのが、このアニメらしくて好きだ。
降りしきる雨も止み、光は再びやってくる。散りゆく人との約束と祈りもまた、消えることはない。
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変わりゆく季節のなかで、花は散り、葉は芽吹き、それも枯れゆく。人は死に、そして冬を超えて再び咲くために、蕾はほころぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
生き死にの流転、流れ行く時間の残酷と優しさを、”桜”に焦点を合わせながら描く詩情が良い。
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桜は降りしきる雨でメイクが崩れるのも気にせず、約束の花を瞳に焼き付ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
それはとても個人的な行動なんだが、すぐさまスタッフが駆け寄ってその身勝手をケアするところが、産業規模のデカさ、勝手気ままにやりきれない不自由さを魅せて面白くもある。
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ここらへんから妙に”強い”絵面でベコベコ殴りつけてきたので、どう受身とっていいか分かんなくなったのは秘密だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
なんで雨の中佇む奇行に踏み出したかはさっぱりだが、その思い自体に近づいていこうと、みうは雨に歩を進める。
その不鮮明な踏み込みが、少女たちを繋げる絆となりうるのか。
”みうさく”はあるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
全くもってさっぱり不鮮明な未来だが、天佑というべき黄金の夕日の力を借りて、ナナニジ初のグラビアは大成功である。
グラビアは一つ一つが圧倒的に”絵になる”作画で、売れる説得力があるクオリティだったのは良かった。
©ANIME 22/7 pic.twitter.com/kEtBFfEMZs
『”ずぶ濡れの青春”ってそういう…』と、色々勘ぐりたくもなるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
みうは前髪を留める距離感に踏み込みつつ(それを商業媒体でバキバキに宣伝されつつ)、桜の心の中にある陰りを、家族との関係性を知らない。一年後に待つ別れも。
明るいようで暗く、近いようで遠い。そういうエピソードだった。
しかしお披露目ライブを経て、みうが畏れて遠ざけていたものに踏み込もうとしている現状、前髪を上げて見えてきた世界も、静かに描かれていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
桜の個人的事情を説明する回であると同時に、みうと桜の間にある壁、それを乗り越える未来を描く変速のタメ回でもあったなぁ、今回。
一年後に待つ終わりを、メンバーにひた隠しにしつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
遠い距離感をまだ保ったまま、桜は明るく微笑む。それは祖母との約束で培われた、彼女の天性であり。
一瞬の夢を嘘で鎧う、脆さと身勝手の象徴でもあるのだろう。
さて、この距離…どう詰めてどう崩す?
©ANIME 22/7 pic.twitter.com/oMLV7ozXaE
”遠さ”があるのは明るく元気な大阪人、河野都も同じで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
グラビア撮影の成功を受けて、なんらかメッセージが届いていないかと、合田マネジに尋ねても。
笑顔に『怖っ!』と背中を向けて、自販機の裏に事情を隠す。みんな”家”に、秘密と葛藤がある感じかねぇ。
©ANIME 22/7 pic.twitter.com/JnR3j3pPcH
というわけで、桜ちゃんの個別回でした。桜をライトモチーフにした、ちょっとファンタジックで体温のある話で、なかなか面白かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
内面に抱え込んだものを見せつつ、そこにまだ届かないナナニジの結束、みうの未熟と少しの変化を切り取る、なかなかヒネった構成でした。
こっからしばらくメンバー個別回が続くと思うのですが、次回都の家庭事情は、その話数で解決するのか、タメを作るのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
お話全体をどう取り回し、どこに行きたいかを測量する上でも、結構大事な話になりそうです。
同時に都のキャラを掘るチャンスなので、好きになれる子だとと嬉しい。次回も楽しみ