虚構推理を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
地方都市・真倉坂市を闊歩する、死せる偶像の噂。
鉄骨を以て暴虐を働く”鋼人七瀬”に対抗するべく、人間と怪異、二つの岸から身を乗り出した女達。
一人の男を巡ってバチバチやり合いつつ、琴子と紗季、それぞれの調査と運命が錯綜していく。
虚構の奥で見張るのは、誰の瞳か?
そんな感じの、癖の強いアマども博覧会、虚構推理第四話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
生粋の性悪、一眼一脚の審神者・岩永琴子に負けないアクの強さで、一般人代表・紗季さんがビシバシバチバチやり合うエピソードである。
紗季さんが殴り返すおかげで、琴子のアクの強さが飲みやすくなっとる…ツッコミ漫才の形式やな。
まぁ当人たちは恋の鞘当てにも、怪異による危機にも真剣で、フツーに会話していると面白くなっているだけなのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
噛み合うようですれ違い、仲が悪いようでウマは会う。なかなか不思議な関係性の二人が、街を覆う危険な噂にそれぞれ切り込んでいくのが、今回のお話。
紗季さんは元カレの自称彼女に一切容赦なしで、自分で傷の治療したのにほっぺたはムニムニする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
言葉の端々を捉えて、理想的なカレカノでマウント取ろうとする琴子をリバースし、マウントを取り返して言葉で殴り返す。ナメてんじゃねぇぞ小娘…。
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彼女の殺風景な私室は、つまり九郎と別れて以来の潤いの無さだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
怪異に怯えて背を向けて、しかし忘れるにはあまりに沢山のものを預けた青年。そこへの未練を燃やしきれず、かと言って何かを代理で埋めることも出来ず、空っぽなままの時間と心理が、空間として描かれている。
鋼人七瀬を追うなかで、紗季さんは否応なく怪異と向き合うことになる。真相は既に出ていて、相手は通常の手段をすり抜ける情報生命体なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
それは彼女の得意分野から外れ、ムカつく恋敵の専門ジャンルである。しかしここに向き合わないと、事件も恋も終わらない。部屋が埋まらない。
それはあくまで”結果”であり、紗季さんは自己実現なんつー甘っちょろい寝言のためではなく、警官としての責務を果たすべく、ドヤ顔がムカつくクソアマの上を取るべく、必死に推理し言い返す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
ちんちくりんで嘘つきで見栄坊な琴子は、結構殴り返される
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怪異と通じ合う琴子の異能は、アドバンテージであっても勝利を約束しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
杖で境界を引き、”そちら”の依頼を聞き届けつつも呑み込まれないよう、自分を律しつつ。一目一脚の調停者は、個人的な恋の事情とも取っ組み合いをしている。
空っぽの部屋の前にいるのは、紗季さんだけではないわけだ。
お互いの空白は同じ”桜川九郎”の形をしていて、しかし彼は今回ラストまで不在である。肝心要の懸想相手を横に置いて、女達はバチバチ状況を探り合い、言葉で殴り合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
女としても探偵としても、紗季さんが琴子の存在感に負けていないのは面白い。大丈夫…人生経験と人の良さでは勝ってる!!
琴子の根性がドブゲロなだけ、ってのもあるが。まぁフェアにバチバチ言い合って、恋敵であり姉妹でもあるような、なかなか面白い距離感が生まれているのはとても良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
殺風景ながら暖かな”人間の領域”が、バタンと閉じる。
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第1ラウンドが終わって、琴子が足をすすめるのは緑色の闇。紗季が感応することが出来ない、中世のルールが支配する領域だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
人の世に片足を乗せつつ、もう一方の足で怪物に足を乗せる。この越境性が、怪異探偵としての琴子のアドバンテージである。人間としての欠点かもしれんがな!!
同時に恋のアドバンテージでもあって、紗季さんが背中を向けてしまった九郎の怪物性にも、琴子は足を乗っけることは出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
ドヤ顔の通り、九郎の非人間性を受け止める資質が琴子にはある。”似た者同士”なわけだ。しかし、多分だからこそ、九郎は琴子を恋人扱いしない。
琴子と自分に内在する怪異性、虚構性。鋼人七瀬の事件に向き合うなかで、その境界線を引き、立場を観測・決定するミッションは、紗季さんだけに残されているわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
事件をめぐるミステリと、恋の三角関係、そして怪異と自己実現が多重に絡み合って、物語は展開する。
さて、その渦中にある怪異・鋼人七瀬と、人間・七瀬かりん。彼女が都市伝説に成り果てる前、”アイドル”だった生と死が、後半で語られる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
アニメで動くとほんと酷いな、出世作。木っ端アイドルに相応しい、Z級な仕上がりじゃないか(褒め言葉)
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『あ”ー! また上坂すみれが性格エグいアイドルやってるぴゅる~!!』って感じだが、七瀬かりんは胸のデカい偶像商売として、生きていた時代から噂の只中にいた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
変身前の制服も、変身後のショッキングピンクも、どっちもモニタの向こう、チラつく虚像。
アイドルもまた、実体を持たない怪異なのだ
良いも悪いも噂次第、巻き付く”死”の匂いに踊らされ、死地に迷い込んだ七瀬かりん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
顔の潰れた彼女の死は噂を呼び、鋼人七瀬があるき出す。悲惨な理不尽を納得する時、人は勝手な物語を作る。世界を飲み込むオブラートとしての、面白い嘘。
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マネージャーの手を、はねのける仕草。ブログに残った、最後の言葉。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
七瀬は大衆が望む、胸がデカイだけのアーパー女ではけしてなかった。そんな彼女が、顔と脳を潰され、憎悪も意志すらなく歩く虚構と成り果てている。
そしてそれは、人を喰う。だから、警察も神も動いているのだ。
寺田さんはとにかく合理の側面から、鋼人七瀬を追う。その噂の虚構性を嗅ぎ取り、その裏に物質的な…警察権力の”物語”でカバー可能な犯罪を見つけようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
それが的はずれな努力だと、僕らは知っているが。
彼が実直な警官であることには、嘘はない
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一方おひいさまも、人間サイドに片足乗っけたネットカフェで、ヒトサイドの情報を収集する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
民間の立場では手に入らない、ソリッドな現実の確証。これが手に入らないことには、何が虚構で何が真実か、どれが作り上げられたものでどれがナチュラルか、判別ができない。
虚構とは常に現実の対比によって浮かび上がるもので、その輪郭を可能な限り埋めなければ、真実は見えてこない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
逆に法で対処可能な(あるいは不可能であると確信する)現実も、虚構の侵食を受け容易に変容する。
寺田さんから手渡された捜査資料と、おひいさまが見る怪異の世界。
その両方を混ぜ合わさないと、鋼人七瀬の闊歩は、それを裏から操る何者かは止められない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
サイトのイラストが、”現実”の鋼人七瀬にそっくりなわけではなく。そこで生まれた想像力が、存在するはずのない亡霊を、特定方向に定位しながら駆動させている。
ネットを依り代にした、新しい呪術。
そう考えると、おひいさまの仕事は現実と虚構の折り合いをつけると同時に、古臭い妖怪たちの中世と、鋼人七瀬の現代との対立を、どうにか収めるミッションだと言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
ネットが世界を覆い尽くしても、古い種族が消えるわけではない。むしろ形を変えつつ、そのあり方は加速すらしている。
そんな時代の中間点にも、琴子は立っている。気楽にひょいひょい立ち回っているようで、存外不安定で難しい立場なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
頭が良くて性格が悪くないと、やっていられない商売。つまり、探偵である。
そのノックが、紗季さんをマジビビリさせる。
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資料に記された、七瀬かりんの死。それは様々な可能性があり、彼女を特定する材料、事件の真相を射止めるネタがあやふやな、難しい事件である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
死人に口なし。”真実”が状況に適した形で、後から捏造できるのはヌシ様の事件で見たとおりだ。文字通り顔がない真実に、どんな表情を付けるか。
ただ真実を探るだけでなく、その使い道まで含めて、琴子は考え、人と怪異の境界線を制定しなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
その長い道の第一歩として、ミニサイズの客人がやってくる。紗季さん、飛びすぎ。まぁビビるよね…。
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恋敵のトラウマをえぐるメッセンジャーでビシバシパンチを入れ、海鮮焼きそばに舌鼓。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
恋の第二ラウンドが始まると思いきや、紫色の夜を舞台に伝奇バトルしているのは、音信不通なはずの想い人…というところで、次回に続く、である。
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紗季さんの怪異アレルギーを知っておいて、自分のアドを最大限活かすべく、怪異をガンガン焚きつける琴子のいい性格(性格の良さ、ではない)が、なかなか痛快なヒキであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
九郎は紗季さんと琴子の重心点でもあるので、彼が顔を見せたことでまた、状況も転がっていくだろう。
噂と実体、虚構と真実。都市伝説・鋼人七瀬とアイドル・七瀬かりんを分断するルールは、いがみ合う恋敵がタッグを組まないと、解決できないたぐいの物だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
そこは過去と現在、偶像と人間が錯綜する複雑な巷でもあり、あらゆるモノゴトに物語を付与し、世界を理解(あるいは誤解)せんとす業を照らす
人は闇を闇のまま放置できない。どんな理屈だろうとくっつけて、納得と安心を得ようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月2日
鋼人七瀬を駆動させている、空疎で透明な意志。ネットを媒介に感染する”噂”の方向性と、その出どころ。
その流れを制し、正すことがおひいさまの探偵商売だ。
さて、バトルと恋の行方は。次回も楽しみ。