推しが武道館行ってくれたら死ぬ を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
アイドル稼業は銭命、CD一枚5秒間。投票券も付いてくる、逢瀬は夢か幻か。
負傷により、積んで愛を証明するのが難しくなったえりぴよ。アイドルもオタクも揺れる中、ファンの後押しがゆめ莉に新しい場所を届ける。
悩んだりもするけど、世界きっとは綺麗だ。
そんな感じの地下アイドル群像純愛黙示録、人気投票悲喜こもごもな第5話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
えりぴよ-舞菜を通じて”経済”でしか繋がることを許されないオタクのシビアさ、切ないすれ違いを描き、ゆめ莉-眞妃ラインでそこを飛び越えたピュアな想いを切り取る。
2軸進行がバッチリ物語を支えて、透明度の高い話になった。
”選挙”と言いつつ、経済動員力が順位を決める人気投票。そのシビアさは、積んだ銭金の量でしか愛を測れない、アイドル活動のシビアさを浮き彫りにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
積めないから、えりぴよの愛は薄いのか。『そんなことないよ~!』と知りつつ、ドルもオタも揺れる。
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ちゃんと話し合おうとしても、五秒の壁は厳密に立ちふさがり、アイドルとオタクはプライベートな事情を交換できない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
そのもどかしさが接触の”売り”であるし、アイドル経済を回す原理でもある。踊ってるアイドルも、踊らされてるオタクも、多分運営もそこから自由ではない。
不慮の事故(あるいはえりぴよの溢れるバカ)で経済がせき止められると、愛を証明する資格がない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
気持ちだけではどーにもならない、人気経済の渦中。そこを平和に、純粋に、素直に乗り越えられている長井さんとゆめ莉の、幸福そうな表情もカメラは切り取る。この小さな目配せが、後々効くのだ。
オタク全員金がない中、TO仲間の憂鬱を晴らそうとメイドカフェに連れて行ってくれるくまささん…”聖人(エル・サント)”か?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
『絶対湧かないからね!』といった二秒後、キラキラ世界で笑顔のえりぴよは即オチニコマ漫画みてーだな…。分かりやすい奴め。
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ツンデレあーやの対応に、オタクは上がったり下がったり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
ガツガツしてるくせに、個推しがいる太オタクをかっさらったりは考えもしない横田さんが僕は好きです。
Chamはメン全員が、お違い大事に思い合ってて良いアイドルだよな~~~~卍卍♡♡☠☠♡♡卍卍
慣れない絵文字はさておき、いわば”場外”であるメイドカフェで触れ合うことで、えりぴよはなかなか知り得ないドル側の情報をもらい、また波風の原因にもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
オタクは過剰に文脈を読む。アイドルの、オタクの立ち回り全てが”情報”になってしまうのだ。
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生きてるだけでファンサービス。信仰にも似た純粋さは、現実の波風、経済のシビアさで簡単に揺れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
思いをすべて伝えあえるような、パーソナルな関係を結べるのならもうそれは、アイドルとオタクではない。
会いたいけど会いきれない、でも会いに行ける。
微妙な距離感だからこそ、育まれる思い。
金銭を介した情動経済でしか繋がれない、しかしだからこそ出会え、会い続けられる危うい関係性。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
それが共同幻想であることを重々承知で、でもだからこそ人生の全てを載せる。
愚か者だと笑わば笑え、そういう相手に遭遇しちゃったんだから、しょうがないじゃん。
そういうアイドル経済への冷静な、しかし愛情に満ちた視線と分析が、切ない感情をたっぷり含んで描かれる所に、このお話の強みがあると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
正しかろうが間違っていようが、”それ”はそこにある。輝いている。なら、愚かさも含めて慈しみ、物語に刻んでいこう。
アウリ先生のそういう瞳が、僕は好きだ
一方、六人しか入れない控室の内部では、メンバー間の感情が渦を巻いていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
ずっと貴方の背中を見ていた。それが、ここに居続ける理由だった。
ゆめ莉…お前はホント眞妃が好きだね…。眞妃もそんなキミが好きだよ…。
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人気投票の荒波は、眞妃の背中を追い抜いて前列に立つ可能性をゆめ莉に与える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
それが、いつもの関係性を壊すかも知れない可能性が、冷たい廊下に一瞬満ちる。
人気投票はオタクだけでなく、アイドルも揺らすのだ。まぁ”まきゆめ”はブレないけどね!!!
一方塩メンとそのクレイジ-TOはブレッブレで、あーやのウッカリから溢れた情報は、狭い界隈を乱しに乱す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
計算高いムーブを目指しつつも、れおほど完璧に”アイドル”をやれなくて、脇が甘いところが横田さんの良いところだと思います。”あ”はあーやの”あ”!
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舞菜の場合、太客に推し変されてアイドル稼業が厳しくなるかもって意識より、好きな女が離れていく感情のほうが濃い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
アイドルとオタクの垣根を超えたい舞菜と、あくまでドルとオタで居続けたいえりぴよのギャップは、存外深い。
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そこ以外にも、愛にすがりつく舞菜の不器用を『釣ってきたー!』と、アイドル業界の用語で解読して一人湧くとか、根本的にコミュニケーションが”ヤバ”とか、二人のディスコミュニケーションが加速するエンジンは多数ある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
これがお話の根っこなので、ズレは分厚く設計されてるよなぁ…。
執着(ドル経済だと≒金銭)を自分に向けてもらえるよう、興味と関心を引っ張り込む”釣り”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
それが営業用と知りつつ、アイドルに個人的関心を向けてもらっている(という幻想)を味わうオタクの醍醐味は、濃厚塩味なアイカツを続けてきた舞菜にとっては美味だ。
『フツーのオタクっぽいことしてる!』という喜びもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
感情を表に、金銭を裏に回転する、コミュニケーションの幻想。それを楽しむために、オタクは色んな文化と文脈を発明し、アイドルはそれに乗っかる。そして翻弄されること自体を楽しみもする。マジで苦しみもする。
そんな遊戯性とは遠い所に、舞菜の気持ちと良さはあるんだけども、『良いオタク』であるえりぴよはリアルな感情が自分に寄せられているアンバランスを、想定すらしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
そこを希えば、自動的にドルとオタの関係は破綻する。嘘だからこそ成立するものを、えりぴよも舞菜も大事にする。
それでも、好きな人が離れていく痛みは、心に突き刺さる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
『フツーのオタク』なら容易に放言する、業界の噂話。誰が推し変だ、誰が他界だ、どこでも誰でもやっている。
でもそれは時に、無責任な情報消費で終わらず、生身の人間に届いてしまう。
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舞菜の心に突き刺さる、離別への疑念。黄金の夕景のなかで電車は行き過ぎ、扉は閉じ、思いは行き場所を失う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
ここの情景表現は非常に力強く、良い重たさとエモさで描かれていた。
バカでライトなコメディも、ヘヴィで甘いシリアスもやれる。二刀流の強さだ
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オタがドルを思っても虚しいように、ドルがオタを引き留めようとしても、経済の巨大な流れには抗えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
人の心、”推す”という感情は時に(経済活動の当然として)身勝手で、でもそこに挟み込まれた人間の心はリアルでシリアスだ。
それは金を受け取る側…アイドルも同じなのだ。
舞菜がアイドル下手っぴで、特定個人に過剰に思い入れを抱いてしまうアンバランスが、彼女を…彼女が背負う”アイドル”という偶像商売に人間味を与えていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
華やかなステージに立ちつつ、待つことしか出来ない不自由を、舞菜は鏡越しに睨む。
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好きだと素直に言えたなら、どんなに良いだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
でもそこに踏み出してしまえば、”アイドル”は出来ない。えりぴよ個人が好きであるのと同じくらい、舞菜はアイドルという職業、ChamJamの仲間が好きだ。
だから、あやふやで危ういこの場所に立ち続け、待つことしか出来ないと己を律するのだ。
一方楽屋では、結構気楽に人気投票がネタにされ、ゆめ莉ははわわしてた。そんなゆめを眞妃がじっと見ていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
優佳は素直ないい子なんです…地雷を素足で踏み抜くような言動も、ただバカなだけなんです…。
眞妃、マジ一生ゆめ見てて『お、強火』って感じ。
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そしてゴミ人間が土下座で手にれたきびだんごは、CD積む役には立たない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
でもそれはアイドルに届いて、金銭を越えた愛と安心を、たしかに与える。つーかTOなのに、個プレまだだったんかよ…えりぴよ、やっぱどっかおかしいな…(今更)
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えりぴよの見えないところでは凶暴な純愛を振り回すのに、短い接触では決定的にズレまくって、オタクもアイドルも揺れまくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
しかもその揺れ方が、お互いに完璧にズレている。えりまいの距離感は、ずーっとこの振幅の中にある。
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それは愛おしくて切なくて、どうにも出来ない感情に揺れている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
思わず笑ってしまうコメディの源泉と、切なく胸を焦がすロマンスの根っこは、”すれ違い”というパワフルなエンジンを共有している。
ここがしみじみ、面白うてやがて哀しき人生をドルオタ物語に刻む足場だ。
まぁコッチは延々揺れるとして。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
『舞菜一生純愛! 同担絶対拒否!』と強火れるならある意味楽なんだが、えりぴよ根本的に”人間”が好きだからな…可愛い子、面白いことに横目をやって、舞菜だけを世界の全部にしない健全さがある。
そこは主人公としてとても大事な、彼女の長所だ。
一方ゆめ莉は、ファンの後押しで手に入れた風景に瞳を輝かせる。それは眞妃の背中に隠れていたのでは見えなかったし、ファンからも見つからなかった風景だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
思わず長井くんも感慨極まり号泣、良かったね良かったね…俺ほんと長井くん好き。
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ここもうちょい絶叫系だと思ってたんだけど、しみじみ思いが溢れ出す感じにディレクションされてて、それが長井くんがゆめに向けてた感情と歴史の分厚さを感じさせ、非常に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
ゆめの想いをファンに伝える時、腰を支える”五十嵐れお”とか。個人的なエールはマイク殺して伝える眞妃とか。
こういう描写の解像度が高いので、トンチキコメディやりつつも、メンバー同士、オタク同士通じ合う人情味がしっかり判るのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
ファンと眞妃が押し出したことで、ゆめ莉のダンスの巧さはファンに見つかる。届く。判ってもらえる。
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カロリーバカ使いする手書き作画をしっかりぶっ込み、『止まる技術』が高いことで生まれるゆめ莉のキレに説得力を出していたのは、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
ここが薄いと、これを見せるために全てを捧げ、一瞬のチャンスを作った眞妃の思いも薄くなるからね。
『アタシのゆめを、みんな見て!』って感じだ
すれ違いや競争を生むだけでなく、想いに報い、チャンスを掴む場にもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
長井くんとゆめ莉の握手は、そういう喜びをより強く見せてくる。えりぴよ-舞菜ラインですれ違いの闇を刻み、コッチで光を描く。ニ軸のバランス調整が絶妙。
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そんなドルとオタクの感情を飲み込み、OKAYAMAの夜陰は濃くなっていく。ああ…相変わらず、夢のように綺麗だ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
この激エモ爆裂情景の只中で、凄まじい圧力の”まきゆめ”がね、来るんですよ…。ほんと凄いよね…透明感とルミネッセンスが超絶…。
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いつでも、背中を追ってきた。でもそれだけじゃ見えない場所、見つけてもらえない景色が、確かにそこを超えた場所にあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
それは、アナタだけの輝きだから。私が知ってるだけじゃなく、みんなに見つけてほしかった。
感情勾配、確実に眞妃のほうが”重い”よな…。
物理的に重たい、CDの詰まったバック。そこに隠されている、眞妃の愛と友情。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
”ダンス”という表現をゆめ莉が持ってて、眞妃が気にしてるところがすごく好きで。彼女たちは接触で銭稼ぐだけでなく、歌と踊りで何かを伝える職業でもあるのだ。
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距離と隔意を強調していた横のアングルは、優れた資質を至近距離で見てきた眞妃の想いを知ることで、ぐるっと回って縦の距離感になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
それは踏み込めば追い抜いて、また追いつくことが出来る距離感。
眞妃は本当にゆめ莉が好きだからこそ、対等になりたいんだな…。
自分の華やかなルックスに並べる、ダンスという武器。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
それを認知してもらうためにCDを詰み、MCを誘導した。
でも、私に出来るのはそこまで。ここから先は、”アイドル”水守ゆめ莉が頑張るしかない。
銭金のシビアさとはまた違った、夢を真剣に燃やすステージのルールに、二人は真っ直ぐ向き合う。
このべとつかない爽やかさと、濃厚な甘やかさが同居しているところが”まきゆめ”の強さだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
二人の距離は再び縮まって、あまりにも近い間合いに落ち着く。手の届くそこが、私達の…私達だけの距離。
オタがカネで買う五秒を、永遠に独占できる愛の特権
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それもまた、”アイドル”の諸相の一つである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
えりぴよと舞菜があんなに悩み苦しむハードルを、『メン同志は無罪!』とばかりにヒョイヒョイ飛び越える”まきゆめ”…強くてズルいな。
しかしコッチが超王道百合することで、二人のコミカルな純愛がおかしく、切なく輝くってのも事実である。
というわけで、人数多めの利点を活かし、ドルとオタとドルの関係性を多角的に照らすエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
銭金を通じた接触商売であり、夢を売るステージ稼業
であり、人間と人間が触れ合う人生の営みでもある。
”アイドル”に詰まった愚かさと切なさ、輝きと愛を色んな角度から、楽しく伝えてくれる。
そういう作品の強さがギュッと濃縮されたエピソードで、非常に良かったです。原作でもいっとう好きな話なんですが、非常に良いアニメ化をしてくれて、嬉しくありがたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月6日
切ない断絶と、揺るがない真実を抱えたまま、Cham Jamとオタクは熱く燃えている。次回も楽しみ。