映像研には手を出すな！ を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
大盛況の内に、芝浜祭を終えた映像研。学校を飛び出し、見据えた”次”は地域振興、芝浜商店街 VS UFO！
動き出した企画とともに語られる、金森さやかのオリジン。
いかにして経済は回り、人は報われるべきか。
語られるは遠い過去、刻まれた記憶。
そんな感じの、金森さやかの夢女垂涎ッ！ 如何にして善なる銭ゲバは信念を手に入れたかッッ！！ っていうエピソード。あと浅草氏、”演出”に出会うの巻。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
基本四話で一まとまり、サクセスの階段を着実に歩く物語のスタートっつーことで、”次”に何に挑むかをガガガッとスケッチする話でもある。
このお話は大童先生の、ノスタルジーと個人史が強く焼き付いた作品だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
失われるもの、自分が身を浸してきた物語への視線が太く、強い。
未来設定なのにレトロな味わいの描画も、映像研が世に出る勝負どころが”Comet-A”なのも、その視線の一部だろう。
”COMITIA”でスピリッツ編集部に見いだされ、デビュー作がアニメ化まで駆け上がった己のストーリーを、分身たる映像研に歩ませる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
己が瞳に焼き付いた風景、好きなもの、経験した痛みと喜びをインクに焼き付ける、自我の”垢”の残る創作スタンスは結構、人によって評価が別れそうである。
しかし滴る魂の血をダイレクトに創作世界に叩き込み、希釈されない想いを熱く叩きつけるパワーが、この作品を躍動させているのは間違いない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
一人称の体験や感覚を、三人称で冷静に観察・加工して他人に届く形にする。創作に必要な客体とのバランスも、しっかり取れてるしね。
そんなスタンスのなかで、寂れていく地域への無念、良いもの作ってるのに売れない体験というのは、とても大事なことなのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
映像研3つ目のステップを『地域振興アニメ』にしたのは、作品と作者の姿勢が誠実に透けて、なかなか好きな選択である。どーなるかな、面白くなりそうだ。
さてお話は、つええ女マニア垂涎、”金森さやか VS さかき・ソワンデ”から開始である。大怪獣決戦じゃん…逆光似合うなソワンデ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
組織を活かすゼニという血液を、稼ぐためならDVD販売から家賃収入まで。金森さやかは、使える手は全て使う。
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うかれポンチのクリエーター共が、まーったく考えないマネーの事情。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
生徒会の横車で、音響研からのアガリを奪われた金森氏は次なる一手を考える。
学校内の限られたパイを相手にしてても、組織は存続できない。正統な対価も得られない。
まぁ学生レベル、一足飛びで越えてっからね…。
そうして目指すはコメットA！ である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
もっと広く、もっと大きく、もっとリッチに。
自分の手元にグーッとクローズアップする職人気質が、見落としがちな健全な拡張と変化。
金森氏は常にそれを見据え、アーパー共をグイグイ引っ張る。
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『おんなじ仕事の繰り返し、学生レベルの情熱の不法投棄は映像研はやらねぇ！』ってことでもある。まぁ新しい闘いに挑み続けた方が、お話としても面白いしね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
似合わぬランチのお誘いで、三人娘は芝浜の街を行く。
浅草氏は相変わらず、様々なものに興味を持ち、知識も深い。
ただ妄想を子供のままぶん回すのではなく、自分が見つけた『面白い』を裏打ちするべく知識を深め、世界のからくりを知る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
過去ニ作でも唸っていた浅草氏の知見は、街をぼんやり歩かせない。世界はワンダーに満ちているのだ。
その視線を、水崎氏は共有し、金森氏は距離を置く。
理想主義のリアリストたる金森氏は、クリエーターが見るファンタジーに満ちた現実に混ざれない。そういうモノを見つけ、形にしていく才覚も資質も興味も、彼女にはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
でもそのリアルな視界に、何が籠もっているかを見落とすわけでもない
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何気ない町並みに歴史があり、かすれた信仰が残り、人の営みがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
マンホールの下のダンジョンは見えなくとも、金森さやかは現実の中の夢をしっかり見据えている。
ここまで間接的に、しかし血の滲む体温で描かれた彼女の想いが、今回は直接刻まれる。
…水崎氏が日焼け気にするの、”読モ”って感じ
フルーツ担々麺を啜る浅草氏が完全にベイビーちゃんだが、芝浜祭で繋がった縁をグイグイと手繰り寄せ、クリエーターを導いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
ワナビーのヌルい企画を聞き流す表情が、モロに造り手サイドで面白い。うんまぁ…まぁね…（担々麺ズルー）
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店主が鬼褒めするアニメも、映像研には後悔が残る仕上がりだ。舌が出来てないと、
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
ナシが強すぎてスターフルーツを殺す仕上がりも判別はできない。
担々麺が汁なしになったのは、地面が傾いているからだ。
商品は、様々な影響を受けて仕上がり、消費され、評価されるのだ。
映像研の気安いランチでホッコリしつつも、この後語る”経済”のメタファーや伏線をしっかり仕込んで、物語的な土台堅めをしているのは巧い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
古いまま時代に適応できず、適切な戦略と広報を掴み取れないまま、ガラス戸の向こうで寂れていく街。
金森さやかは、それを諦めたくない。
『SNSは遊びじゃねぇんだ！』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
バイラル世代の魂の叫びが、芝浜商店街にこだまする。
”水崎ツバメ”という大看板を、堂々使いつつ羊頭狗肉にはしない。
映像研が作り上げる作品、映像研という集団それ自体に目を向けさせる、金森氏の広報戦略。
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クールで冷静な彼女が、冷徹ではない事実はここまで九話物語に付き合った僕らは、よく知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
金森氏は”映像研”で勝ちたい。ゼニを稼ぎ、健全に経済と組織を回し、仲間の才能を世に知らしめサクセスしたい。
しかし何故、彼女は”それ”に拘るのか。
彼女のなかで、ゼニが物質以上となる原点は？
全世界二億の金森さやか大好き人間共が、みーんな気になっているポイントを語るのが今回のエピソードだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
それはあくまで現実の先、水彩画調の記憶で綴られる。
爆発なし、ケレン味溢れるカットなし。あくまでリアリスティック。
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しかしそれは、浅草氏が夢見、水崎氏が動かす”最強の世界”と同じ色合い、同じ重さで描かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
アニメを描かない映像研にも、無敵の妄想野郎と同じく譲れない過去があり、強烈な夢、その破綻に出会ったからこそ人格が定まったのだ。
それは稼ぐ道につながっていく。あるいは、稼げない道に。
昔語りをするのに、まず”歴史”から入る所がこの作品っぽいな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
芝浜の地域史と密接に繋がった、金森氏の個人史。これを適切に語るには、ちょんまげ結ってる時代まで遡る必要があるのだ。
雪多い芝浜で、せっせと働く三白眼小娘。
雪かきはまず自販機から。
金を生む道筋への嗅覚が良く、努力も惜しまない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
お店のオジサンは、そんな金森さやかの才能をしっかり見据えて、お駄賃ではなく商品を預ける。
水崎氏とお婆ちゃんもそうだけど、善い老人との出会いが主役の人格を作っている描写が多いねぇ、このお話。
ここで金森氏の”商売”が、『スタックした車を助ける』というおじさん達の善行をサポートしているのも面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
マネーを稼ぐだけなら、デリバティブでも詐欺でも良いわけだが、金森氏は映像研を選んだ。
魂が震え、他人に恥じることなく、むしろ胸を張って世界に挑めるような金稼ぎ。
これまで彼女の行動に滲んでいたプライドと清廉は、こういう体験から生まれているのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
誰かを騙したり、痛めつけたりして稼ぎたいわけじゃない。稼ぐことで、自分と世界をより善くしたいんだ。
そんな想いが、クールな表情の奥で暴れている。
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しかし、いい事してみんな笑顔で稼いだ活動は、プツン、と断ち切られてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
モノ売るだけでは続けられない。
どこで、いかに、だれに、どう売るか。
徹底的に頭絞り尽くして考え抜き、走り回らなきゃ、善良の対価であり媒介でもある金の動きは途絶えてしまう。
それは嫌だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
本当に嫌だと思い知っているからこそ、金森氏はクリエーターのケツを叩き、雷を落とし、自分も必死に駆けずり回る。
良いものは死ぬ。続けられなくなる。
なら、稼いで続ける！
雪の中のトラウマが、映像券を続けるために外に出る決断を後押ししている。熱い女だ…。
この街も、映像研もガラスケースのなかで滅んでいって良いわけがねぇ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
稼ぐついでの地域振興なのか、歴史ある街大復活のおまけにサクセスが付いてくるのか。
『その両方だ！』ってのが、金森さやかの生き方なのだろう。つ、強い。
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彼女はシャイでプライドもあるので、そういう自分の中の純朴さ、善良さをけして表には出さないけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
あえて自分の起源を晒し、かなりアツい魂を共有していいと思える相手なのだな、映像研は。
浅草氏もその思いに呼応し、一気に着想をまとめ上げる。新作は『芝浜商店街 VS UFO』で往く！！
これは完全に妄想なんだけども、中学時代浅草氏は金森氏の想いを、知らずど真ん中で受け止めたことがあったんだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
そこで生まれた信頼が、高校になっても棚の向こう側を睨み、妄想まみれのスケッチブック抱えた臆病女とセカイに挑む決意を、金森氏に固めさせたんじゃねーかなぁ。
さておき、我らが”監督”が掴み取った着想は期日を切られ、”みんな”を巻き込んでアニメになっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
商店街との縁もそうだけど、芝浜祭で頑張った過程が繋がりを生み、”次”に繋がってる描写は良い。確かな歯ごたえがある。
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知られなければ意味はないが、中身のない商売は空疎だ。その”中身”をみっしり詰め込むためには、オタクなクリエイティビティとコダワリをグツグツ煮込む必要がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
結局、制作陣の角つき合わせこそが、映像研快進撃のエンジンなのよね。
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軌跡も砲弾も残さない、リアルな対UFO装置。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
金森氏は『知らない、出来ない』パンピーの視点を活かして、そこに拘るコストを問う。
他人は全員アンタじゃねぇんだから、アンタの知識を共有してくれるわけじゃない。伝わる形で伝えなきゃ、どんなコダワリも意味はない。
この健全な外部意識を、創作はやらない金森氏が常時突きつけていることが、映像研の風通しを良くしていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
金森氏以外の三人は、ほっとけば一生マニアックにこだわり続けるクソオタクだからな…そのコダワリが届くから、人も巻き込まれて動くわけだが。
そのバランスをどう取り、自分の中の”最強の世界”をどう伝えるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
トンチキダンスで踊り狂う”監督”は、豁然と目を見開き大悟に至る。
演出。
いかに描き、いかに見せるかという技法と意図。
それは今見つけ、捕まえたものではない。
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自分がアニメを作るなかで、二度”最強の世界”を形にするなかで、それは幾度もやってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
いかに魅せ、いかに喜ばせるか。
頭を絞って考え、タイミングにライティング、レイアウトに色彩に動きに音響、指示し指を動かし練り上げてきたことは、既にやってきたことだ。
しかしそこに、”演出”という名前がつく。自分の歩み、溜め込んだモノが整理され、一つの体系としてまとまっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
覚醒である。
浅草氏は伝わりにくい透明な砲撃を、いかにスタッフに、視聴者に届けるかを考える過程で、演出家として覚醒を果たしたのだ。
ここ一連のシーケンスは、人がいかにエウレカに至るかが面白く、適切に描かれていて凄く良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
こうした発見が混沌に筋道を与え、質的な飛躍を可能にする。
自分がこだわってるポイントを、他人に『どうでもいい』と思わせないための適切な表現。
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悪魔のコストカッター・金森さやかの藪睨みすら跳ね返す、”魅せる”意識への跳躍。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
目に見えないものなら、その輪郭を強調すればいい。
エネルギーパックの排出、射出後の陽炎をしっかり書いて、カットの繋がりを明瞭にし、自分の頭の中にあるものを分かりやすく、面白く形にしていけばいい。
それはクリエーターとしての飛躍であると同時に、人間としての跳躍であると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
”演出”というタームと真実出会い直すことで、浅草氏はフィルム…に焼き付いた己のエゴが、何も知らない他人と繋がる可能性にも、目を開いたのだ。
それはうさちゃんバリアで自分を守る少女にとって、デカい変化だろう
そも、浅草氏に柵の向こう側に引っ張られた時点で、彼女（を主役とする物語）はより広い場所へと繋がっていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
だからこの発見は、あくまで再発見だ。そして見つけることで、世界は大きく変わっていく。
両足に力を込めて、新たな表現と商売の地平へ。
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UFOで飛び立っていく道のりは、力強く広い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
そんな感じの、映像研第三章第一話でした。
いやー、面白いな！ 芝浜祭のサクセスを、ちいせぇちいせぇと蹴飛ばし、より広い場所へ勝負を挑む。
そこにかすれゆく地域の息吹、消させねぇと抗う金森氏の根源が絡まって、強いトルクが出てました。
123日の道のりには、山あり谷あり、また色んな試練があるでしょう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月4日
よりデカく強く正しくなっていく映像研が、どんなモンスターに挑み、成長を果たすか。出来上がった三作目は、どんな世界を見せてくれるのか。
アニメでは最終章となるだろう物語に、期待が膨らむスタートでした。次回も楽しみ。
