GREAT PRETENDERを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
いけ好かない”美術界の007”をハメるべく、罠を張り巡らせる詐欺師たち。
その中心で酩酊するシンシアの、脳裏に去来する過去。
未だ罪悪の味を知らざる、うぶな役者志望が出会ったのは、朴訥な売れない画家。
擦れっ枯らしのあばずれが、心の奥に抱えるものとは…。
そんな感じの園崎未恵オンステージッ! ロンドン編第二話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
空中でバリバリ飛行機飛ばして絵面的にはアクティブだったわりに、アビーはむっつり動かなかったシンガポール編に対し、ロンドンは過去が現在と並走して明かされ、静かなオークションに復讐の熱気が揺らぐ感じ。好対照ね。
とにかく園崎さん、過去と現在の演じ分けが神がかっており、『なーんでこんなあばずれになっちゃったの…』と、思わず呆然とした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
そんだけの極悪がジェームズ絡みであって、ピュアな女優志願は極悪詐欺師に育った、ということであろう。ここら辺の説得力が、演技で分厚く補強されていた。つえー。
僕はセリフ無しで時間を圧縮し、モンタージュで変化を見せる演出が特に好きなので、それで点数高いというのもあるけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
やっぱ早い段階で(視聴者には)過去の因縁、拘る理由を開示して、停滞とモヤモヤ少なく進めてくれたほうが、見ている分には楽だなぁ、と感じた。イッキ見じゃないとなおさらね。
というわけで、過去と現在が並列で進行する今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
悩める画家と素朴なウェイトレスの出会いから、物語は始まる。大きな窓ガラスのある喫茶店が、爽やかな恋と未来の不安を巧く演出する、良いロケーションである。
おそらく既に終わった恋は、綺麗だけど淡く揺らいで進む
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ジェームズのヤダ味に恋愛詐欺の気配もある今回、イノセントであるがゆえにぶっ潰されただろうシンシアとトーマスの恋は、若さゆえの透明感と壊れやすさで、現在と対比されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
あの時代をシンシアが捨ててないのは、第6話で稼いだ金を誰に預けたか思い出せば、よく判る。
しかしそれがぶっ壊されたからこそ、シンシアは擦れっ枯らしのスーパービッチに化けたのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
1章のエダマメにしても、2章のアビーにしても、みな心に抱えた過去に譲れぬ根っこがあって、変わり果てても忘れることは出来ない。
ガラス越しの恋は、シンシアにとってそういうイノセンスをはらむ。
一方銭ゲバ紳士の恋は、オークショニアとしての誠実をぶっ壊す不正と繋がっている。恋をネタに金を引っ張り、美を手元に置く耽溺。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
女性差別と階級差別のWパンチで、ヤダ味は早くもフルスロットルである。毎回、最悪男が敵役やってんな…。
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というか、敵の最悪さを出すのに毎回、女が踏みつけにされてる、と言うべきか。分かりやすくて良い、のかな…?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
エッセンシャルワーカーを視界に入れてない、ハイクラスの視線が庭師に向いた瞬間、世界の色が変わる撮影の冴えとか。
虚飾でしかない恋が額縁の中、虚しく反射する様子とか。
今回はガラスを活用した演出が、よく冴える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
ヴィヴィッドな色彩で統一し独自色を出すだけでなく、奥が見えないからこそうつろな愛を反射するジェームズのガラスと、あくまで透き通る清廉さのあったシンシアの過去を”絵”で分からせる時にも、色彩設定と撮影の強さが生きてる感じ。すげーなぁ…。
ターゲットの閨事をブツッと閉ざしてしまう、エダマメの潔癖。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
『これからが面白いんじゃないか!?』と、ゲス力全開で迫るローラン。
仲良く喧嘩するアビーに、恋の複雑さに遠い目をするシンシア。
盗聴シーンは、一味の個性がよく出ている。
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僕はシンガポールで”空”を超えたアビーちゃんと、超えさせたエダマメが好きなので、二人がキャッキャしてるのは凄く良かった。こういう事、”飛ぶ”前は絶対しなかったもんなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
やっぱ自分の話を終えた”後”の描写が、面白いアニメだと思う。結構レアな画角。
さて、シンシアの瞳が見つめるのは喪われた過去。がむしゃらで、純粋で、透明だった時代。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
トーマスの指を汚す油絵の具が、彼が芸術に捧げているものをしっかり写してとても良い。外面なんて、気にしないほどピュアだったのにねぇ…
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ロンドン時代が書かれることで、第6話で大金投げた描写が裏打ちされて腑に落ちていくのも、なかなか気持ちいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
コンゲームを扱うこの作品、時系列と因果はかなりイジってお出しするので、こういう回収は多めである。
目星をつけた所がちゃんと機能すると、先読みしがちなオタクとしては嬉しいものだ
そして純粋とは程遠い、彼らの現在。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
トーマスがシンシアの隣にいないこと、二人をつないだ芸術がある種の嘲笑と憎悪の的になっていることが、未だ描かれざる変化と挫折、ジェームズの悪事を想起させる。
明暗分かれる二組、どっちもロクでもねぇなぁ…。
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まぁパトロンちゃんは騙されているだけなので、カモと食い散らかして終わるわけではなく、詐欺の過程でなんらか救いを与えるんだとは思うが。コンゲーム人情派だからね、このアニメ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
塩っぱい題材を扱いつつ、主人公の甘さが染み出すので、そこまでピリッとした仕上がりにはなりにくい。
そして絵かきを肴にガブガブ痛飲してるあばずれも、昔はピュアだった。落差がスゲーよホント…聞いてて風邪ひきそう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
二人の甘やかな未来を予見するような、麗しき”接吻”。モンタージュで連なる、遥か遠いガラス色の日々。
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一個一個の”絵”がキマってるし、求め合う掌の芝居、熱のこもった目線の書き込み、ビシバシ”勝負”しかけてくるモンタージュで、非常に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
トーマスとシンシア二人が相思うまでの時間、日常の共有がしっかり届き、つまりはそれが破綻する未来を想起させる。ぶっ壊れるからこそキレイに飾るのさ~
こういう所でキャラとエピソードに共感作っておくのは、やっぱ大事だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
お話を駆動させるキャラが何考え、何を喪ったから取り戻したいかが分かりにくいと、気持ちを何処に置いていいか迷うからね。
そこを想像で埋めるためにも、鮮烈で的確な描写は大事だと思う。
晴れやかな朝日の中で完成した、美しいタブロー。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
それを追い越した先にある、薄汚い芝居と蔑視。
過去と現在は繋がりつつも、取り戻しがつかないほど変わり果ててしまっている。そこら辺の残酷さを際立たせる意味でも、回想はとびきりキレイに仕上げるのだ。
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ジェームズがとびきりの階級差別・人種差別野郎なのは間違いなく、そこに付け入る隙がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
ローランが『下ネタ満載、成り上がりのフランス野郎』を演じるのは、一番”美”を手に入れてほしくないとジェームズが偏見する相手を印象づけるためだ。
まぁ、何割かは素なんだけど。根っこオッサンだよな…
相手を掌の上で転がすためには、怒らせて判断力を奪うこと。カッサーノもサムも、頭に血を上らせてハメられていった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
ジェームズ相手にも、ローランはこの鉄則を守るつもりなのだな。アビーの接触は懐に入るのではなく、そのための布石、と。相変わらず、エグいやっちゃ…。
かくして始まるオークション。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
予想を遥かに超えたゲス野郎のツッコミと、執事さんの挺身で出来レースは覆され、名画は詐欺師の手に落ちる。
007に一泡吹かせた時点で、シンシアとしてはある程度満足なんだろうなぁ…こっから更にハメるんだろうけど。
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ファラにサインを送っていたペン回しを、ジェームズは取り落とす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
それはただモノを落としたわけではなく、女を手玉に取っていた悪事がほころびかけ、コントロールを失いつつあることを示す。
あるいは恋の魔法から、もっと大事なものに女が気づくための必要条件か?
金づるにされてるだけのファラは被害者ポジションであり、愛に翻弄された(だろう)過去のシンシアとも重なる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
そんな彼女を救済する布石は、結構打たれている。
執事さんがゲスの本性に感づいたり、ハメる気満々のローランとエダマメに”壁”があったりね。
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エダマメを乗っけて描かせて大爆笑。相当ひねくれちゃったシンシアが持ち出す本命は、やっぱり昔の男なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
この世の片隅で慎ましく、夢を売る二人に訪れた欲望の権化。拡大鏡に照らされた、緑の瞳がおぞましい。
それはもう、終わった話。取り返せない過去。
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『それでも人生滅茶苦茶にされ、キレイなガラスをぶっ壊された恨みはあるんじゃいッ!』という、シンシアのモチベーションがよく判るエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
透明感が随所で輝く過去と、擦れっ枯らしの汚れた現在。
二つを行き来しつつ描くことで、対比と共通点がいい具合に浮かび上がってきました。
ギンギラ目玉が狙いを付けた、贋作者としてのトーマスの腕前。それが007を射抜く大仕掛けは、果たしてうまくいくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月26日
ロンドンに未だ残る、解けない雪のようなシンシアの思いは何処に流れていくのか。
ロンドン編がどういう話か、書き方と筋立て両面から判ってくる第二話でした。次回も楽しみです。