呪術廻戦を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
七海は必殺の”瓦落瓦落”で、真人を一時退ける。
その裏では、悠仁と純平が友情を深めていた。
クソ映画の話、母親の手料理、沢山の笑顔。
ぼんやりとした殺す理由と、明瞭になった殺さない理由。
そんな出会いを、嘲笑うように。
どす黒い呪いが未来へ、手を伸ばしていく…。
そんな感じの、純平編の転換点である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
いや…先週『オヤ以外死んでも気にしねっす』とか言ってた時点で嫌な予感はしてたけどさ…そういうのやめてくださいって言ったじゃないですかー!(言ってない)
まぁ、情け容赦のないお話である。こら純平死んで真人生き延びるな…。
純平を取り囲むありふれた呪いと、ありふれた救い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
その間で揺れていた天秤は、超常の呪いを引き込む真人達の謀略で、一気に傾いた。
このまま殺戮の闇に落ちていくのか、虎杖くんの言葉が再び届くのか。
届いたとして、真人がボーッと見ているのか。
十重二十重の悪意に、胃が痛くなる。
丁寧に積み上げられる純平のボンクラナイーブ青年っぷり、日常に練り込まれている形のない呪いが、古くて遠いはずの”呪い”を間近に引き寄せて、作品の顔が鮮明になるエピソードだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
藁人形に五寸釘打ち込むだけが、”呪い”ではない。蓄積した恨みは切っ掛けを手に入れれば、いじめに報復する。
その引き金が、自分を解り見守ってくれた母の惨死、反転した愛であることが、まさに”呪い”だなと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
愛するものを理不尽に奪われた恨みは、純平を盲目にし、真人の操り人形に堕とす。
その若き暴走を虎杖くんが受け止めても、多分そこで終わりではない。悪意には、その先がある。
来たるべき悲惨に震えつつ、惨劇に至る道のりをたどっていこう。はー…どうにかならんかな? ならんか…(小さめ溜息)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
超過労働の怒りを呪力に変えて、建物全体を凶器に変える。七海建人必殺の”瓦落瓦落”が、真人を捉える。
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人間様を舐め腐りきった真人に、七三寸断の見事な足払い。ナナミンかっこいい…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
やっぱ前説入れると呪力アガる設定、『なんで殺し合いでベラベラ喋んの?』という、能力バトルにつきものな疑問に上手くヤスリがけしてて、好きなネタだな。
呪力エフェクトが上手く付いて、アクションが映えるのも良い
まぁこれで殺しきれないから、特級呪霊は厄介なんだが…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
人間の歪んだ鏡である真人は、主役サイドが大事にしたいものを軒並み踏みつけてくる、最悪(つまり最高)の敵役。
なので、因縁は長く引っ張るよね…まさに宿敵。
体の形変えられるから、ナナミンと相性最悪だな、そういえば。
一方青少年はお互い秘密を抱えたまま、夕日の川辺で青春コンタクトを果たしていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
宿敵のはずなのに、呪術師との交流を促す罠。
ハンモックからの上から目線。
バカなガキを誘導して悦に入ろうとする、悪い大人の誘導。
その危うさに、純平は気づかない。
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真人が純平の視線に降りてこないのに対し、虎杖くんはスッと隣に腰を下ろし、クソ映画の話で盛り上がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
最初は警戒していた純平も、身を乗り出して共通の話題に食いつく。
今回細やかな心理を反映した芝居が大変良くて、青年たちの爽やかな出会い…と、それを引き裂く残酷を彩っていた。
謎の映画特訓をここで活用してくる組み立ての巧さに、軽やかにビビったりするが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
一回繋がったように思えて、しかし邪悪な企みで絆にヒビが入り、さてもう一度繋がるか、断たれるか。
視聴者を安心させず、ハラハラと楽しませる巧妙と合わせて、思わず唸る。巧すぎてエグいよ~。
純平が真人の誘導にコロコロ転がされてるのに対し、虎杖くんは大人に頼れない状況で、エイヤと先を決めてる対比とかね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
それは未来がどうでも良いからではなくて、どうなっても自分で引き受ける足腰があるから。無明の闇に身一つで飛び込める強さが、ある少年とない少年。
それを見つめてほくそ笑む、悪い大人。似合わないネギ持って、飯作ってくれるカーチャン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
喫煙を心配する純平の顔を見て、”何か”を感じ取る虎杖くんの繊細さ。
あえての無遠慮を装い、純平の懐に飛び込んでいく力強さ。
そこに、任務達成への計算はない。
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虎杖くんの構えない”陽”の気は、薄暗い作品を照らす大事な灯りだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
彼は呪いを生み出すどす黒い感情と、あまり親和性がない。誰かを呪ってもおかしくない嵐の中でも、自分の出来ることを探し、祖父から託された言葉を杖に進んでいける。
しかしその光すら、呪いに変わりうるのが苦界である。
夜蛾学長の”面接”で、じいちゃんの遺言の裏側に気付かされたように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
虎杖くんは見つけた答えに安住せず、悩み考え続ける。
学長は教育者として若人に問いを投げたけども、真人や夏油にそんな優しさはない。
用意された謀略は、全てをへし折る勢いで虎杖くんを試すだろう。
そんな呪いに晒されてなお、虎杖くんは真っ直ぐでいられるのか。呪霊との闘いの最前線にいるってだけじゃなく、宿儺まで宿しちゃってるからなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
今後数多襲い来るだろう、厳しい試練。
その先触れとして、純平との仕組まれた出会いがどう転がるか。怖い、怖いなぁ…(呪術陸奥)
というわけで、やっぱり死んでなかった真人がキモい再生を披露したり、伊地知さんがチャーミングに小市民力を見せたり、メガネ外したナナミンがセクシーすぎたり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
揺れ動く状況の中で、人と呪いは様々な顔を見せる。
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粉砕されてなお、自分の秘められた可能性に微笑み、新たな犠牲を求める真人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
七海の腹から流れる血は、彼が痛みを感じる只人であることを鮮烈に思い知らせるが、それは立ち止まる理由にはならない。
悪魔がこれ以上育つ前に、ゴミ箱に捨ててやる。そういう決意が、カットに鮮烈に滲む。
真人は魂を捏ね繰り回し、肉の形を歪める異能で死を免れる。対して、七海の傷は勝手に塞がらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
死すら超える怪物のおぞましさ、血を流す人間の尊い弱さ。
やっぱり真人と七海は、強く対比されて描かれている気がする。大人オブ大人が唾棄する、邪悪なる稚気…か。
土手っ腹に開いた風穴を堪え、闘争に備える強さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
それとはまた違う”大人”の優しさを、純平のお母さんは見せてくれる。
学校という呪いの檻に、食い殺されそうだから逃げたい。
そんな息子のSOSを受け止め、笑えてる姿に微笑む。
か、カーチャンッ…!!
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担任がガラス窓越しに、見えていなかったもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
純平を呪った連中が、見ようとしなかったもの。
お母さんは純平がないがしろにして欲しくない柔らかいものをしっかり見守ってくれるし、その気質はしっかり、純平にも受け継がれている。
虎杖くんの家庭環境に、”何か”を感じたその表情。
上から目線の同情ではなく、似たような厳しさの中でなお、前を向いて進める理由。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
純平はそれを問いかけ、虎杖くんは真摯に自分の中から、言葉を差し出す。
相手をしっかり見て、想いに想いを返す誠実。真人が無いといい切った、心の手触り。
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それにひととき救いを見つけ、醜悪な罠が全てを噛み砕く。いや、予感はしてたけどさ…ここまで容赦なくぶっ込んでくるとは思わないじゃん?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
カーチャンが短い出番で、マジいい人で純平最後の砦だったと理解る巧さが、悲劇の重さを強調もする。
呪いを描くならノー容赦、極めて正しい。正しいが…。
殺す/殺さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
純平にとっても虎杖くんにとってもシリアスな問いかけは、身近な存在を呪い殺されて歪んでいく。
純平を凶行に駆り立てる誘導が、虎杖くんの中のどんな部分を押すのか。
予感は出来るが、覚悟はできない。行くところまで行くんだろうなぁ…タスケテ…(早めのダイイングメッセージ)。
全てが終わった後に発見される、無残な死体。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
積み重なる死と、置いてけぼりにされる苦しみと、殺させないという決意。
そして憎悪を誘導する、緊密で腐り果てた意思。
七海の厳しい言葉に、移り変わる虎杖くんの表情が細やかだ。
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七海の突き放した優しさと、真人の保護者気取りの邪悪。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
殺させまいと遠ざける意思と、殺させようと糸繰る誘導。
虎杖くんが純平の凶行を、他人事と思わせないために出会わせた。宿儺の器を、呪いの側に傾けるための罠。
純平は自分を導くものこそが、最悪を操る悪魔だと知らない。
サブタイトルの『固陋蠢愚』は、”他人の意見を聞くことなく視野が狭いために、柔軟で適性な判断が出来ないこと”を意味する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
虎杖くんの懇願を退けた七海が、この言葉に相応しくないのは理解る。
では呪いに駆り立てられて、呪いの具現に導きを見出し、それに母を殺された純平が”固陋蠢愚”なのか?
その答えは、呪いの坩堝となった学校で虎杖くんが、どんな言葉を届けるか…それで生まれる変化と、掴めない運命にかかっているのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
『バカみたいなガキが死ぬ』
真人の求める悪趣味な見世物が、獲物にするのは多分、純平の復讐相手だけではない。
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純平が髪の毛で隠していた焼印と、加害者の腕に浮かび上がった呪い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
呪力があろうとなかろうと、人は呪いを編んで押し付ける。
人を呪わば穴二つ、純平が自分を蝕み、母を殺した(と思い込まされた)無垢なる呪詛を跳ね返し…多分、跳ね返されるのだろう。
閉ざされた闇の中に、誘い込まれた虎杖くんに、純平は荒んだ視線を向ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
加害者を呪い殺す前に踏み込めたのは僥倖なのか、謀略なのか。少年たちを飲み込んだ蠱毒の壺で、育まれるものはなにか。
運命はドス黒く、子供達を睨みつける。
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という所で、次回に続く、である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
殺しても死なない真人の、存在の根っこからにじみ出るろくでもなさが、げっそりするほどよく伝わるエピソードでした。邪悪すぎるだろアイツ…確かに”真人”だわなぁ。
それに絡め取られて、最大の支えを失ってしまった純平が今後どうなるのか。
虎杖くんが視線に、言葉に、生き様に宿す光が、彼を縛る呪いに届くのか。届いたとして、それは過酷な運命、邪悪な策謀を打ち破れるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
サスペンスは加速していく。
その燃料として、それとは関係なく、確かに営まれていた人の証として。
吉野家の日常は、短いながらあまりに鋭い刃でした。
あれが崩されればもう”死”は純平にとって他人事ではない。身近にあって、自分が投げつけれるものになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
それを選択肢に入れさせないために、虎杖くんは走る。吠える。鮮烈な青春の火花は、眩しくて、多分儚い。
次回、重い物語となりそうです。しっかり受け止めたいと思います。
追記 呪いの泥と血の赤、気高い光と人間の熱量。全部混ぜたものが、この作品の画材だ。
呪術追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
『”ミミズ人間2”だけはまともに見れる理由が、人間の感情がしっかり刻まれていたから』という、純平と虎杖くんの会話。
あれそのまんま、今見てる”呪術廻戦”という物語、凄く悲惨なことになりそうなエピソードから目を話せない理由でもあって、多重メタ構造の使い方上手いな、と思う。
目を背けたくなるような残酷を絵の具に、人間の真実を描く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
呪いも祝福も、明暗入り乱れながら流れていく人生、そこに生きるキャラクターを書けていればこそ、このお話は悪趣味を越えた力を得ている。
『それこそが面白さだ』と気づき、共有できる青春の輝き。それが無惨に壊れそうな予感。
青年二人の運命と人格が触れ合い、かけがえない絆が生まれる描写としてしっかり活きつつも、そういう作品視点を超えたところを触れる視力が、しっかりある作品だと思わされた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
やっぱ1シーン1表象ごとの効かせ方が、むちゃくちゃしっかりしてる印象強いわ。よく出来てる。