A3! SEASON AUTUMN & WINTERを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
無限ループを抜け、本番に向けて動き出した冬組。
芝居に問題無し、未来は順風満帆…と思われたところに、伸びる黒い影と不協和。
物分りのいい大人だからこそ、壊せない壁がある。それを見通すのは…不思議な不思議なまごころルーペ!?
そんな感じの、冬詩人のファンタジックストーリー、A3!冬組第3話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
紬と丞の友情迷宮に続き、不思議なアイテムが問題を乗り越える助けになる展開となった。
やっぱSF(すこしふしぎ)テイスト強いなぁ、冬組。
恒例のカシマ’sチェックも、引っかからず通ってったし。
演劇に向き合う中で問題になるポイント、面白みを素直に使い、自分の中のわだかまりとか真実を暴く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
春から秋までの物語は、舞台というメディアを通じて自分を見つけ、カンパニーが『私達』にまとまっていく物語だと言える。
登場人物の心、あるいはそれがまとまった一座。
問題は内側から発生し、内側で共鳴し、千秋楽をやりきって一つの物語が終わってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
対して冬組は、ファンタジックな道具立てにしても、GOD座との対決にしても、外部からの刺激と解決がやや強く見える。
この変奏がどう、独自の味わいを作るか。
見えてきた部分もあるし、掴みきれていない部分もある
一度クリアした問題を別の組に当てはめても味は薄いし、思い切って画角を変えて、MANKAIカンパニー四つめの物語をまとめる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
そんな意図のもと、全員が酒を飲め、ある程度自分の中と外の境界線が引けて、他人に踏み込みすぎない礼節を持った大人集団があるのだと思う。
その上で、乗り越えるべき問題、乗り越えたからこその成長を”外”から持ち込むのは…舞台以外の解決装置を導入するのは、ちと真っ直ぐな力強さに欠ける感じも、正直ある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
僕はテーマに対し、ど真ん中からに絡んだ話の方が食べやすいので、ちょっとピントがズレてる感じもあるんだよな、SF要素。
しかし”大人らしさ”に間接が固まっちゃってる連中を揺らすには面白い要素だし、カンパニーの日常に挟み込まれるファンタジーには、独特の味があるのも事実だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
今回誉が見せた共感能力の無さは、一朝一夕には解決しない。その壊れ方含めて、大人としての自分を誉は、既に仕上げている。
そんなままならなさに、少し手を差し伸べてくれる世界の不思議。ファンタジーと向き合う中で、頑なな自分を崩せるありがたさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
それは、剣や魔法が出なくても…出ないからこそ鮮明になる、ファンタジーの権能であろう。
『ここではないどこか』が形になって初めて、突破できる壁。
それがひどく現実的な風景に混ざることで、今までになかった面白さが生まれても来ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
冬組が演じる”天使を哀れむ歌”もまた、羽根の生えた存在が主役を務めるファンタジーである。
それが舞台にまとまるスピードは、過去一速い。
だからこそ、来週以降の本番では問題も吹き出してくるだろう。
ここまでの準備で顔を見せた素敵な不思議が、ファンタジックな舞台の危機を乗り越え、演じられる夢が誰かの助けになるような展開になると、選び取った画角が活きていいな、と思ったりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
それは残り二話を見ないと判別がつかないところだが、大いに期待したい。
というわけで、まだまだ未完成の暗い空を点描し、物語は始まる。これを満点の青空に仕上げるまでが、今回のエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
今までズバズバ急所を射抜いてきた、鹿島さんのハードなチェック。技術的な部分は問題なく仕上がってる冬組は、スルリとそこを突破していく。
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思わずいずみちゃんもニッコリだが、物分りがよく自分ができているからこそ、一座が混ざり合わない現状もある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
アドリブがどうの、所作がどうの。
そこら辺の表面ではない部分に、冬組の問題は眠っている。
踏み込むの、マジ面倒くさそう…なので、ファンタジックな小道具で補助もするのだろう。
というわけで、アルコールを潤滑油にしたお付き合いも解・禁である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
ガバガバゴボゴボ飲み干して、大脳新皮質を黙らせての本音トーク…てのに、浮かれる歳でもない。
明るく楽しい、節度を保った飲酒。ゲームめいた恋バナ。
心地いいけど、どこか距離があるおつきあい。
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例えば万里は大人びているようでいて、十座へのライバル心や、周囲への侮蔑はむき出しだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
反感を買い摩擦を生み出すのを恐れず、『これが俺だ!』と自分を出せる若さ。
そういうものは、ここで酒飲んでる連中には無い。そういう時代は、とっくに終わってる…と、自分では考えている。
過去の恋ともうまく距離を取って、照れるでもなく言葉には出来る。酒も恋も、体温を上げても自分を失わせる特別には、もう為らないお年頃。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
楽しい酒宴のはずなのに、このシーンは冬枯れの寂しさがかすかに香って、なかなかいい感じの寂しさだった。
あと真澄の脈の無さが凄かった。頑張れ…。
そんな中で唯一、異物のように壁を張り巡らせ、恋の話をぶった切ったのが誉である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
空気読まない自由人のようで、触れらたくない傷が確かにあると見せる、グラスとの戯れ。
強く反発するわけではなく、でも確かな壁を作っての自己防衛。ここも、”大人”の対応である。かなり悪い意味で。
目立った問題はないけど、心が通じ合うところにも行ってない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
アルコールは参加者の理性を奪わないが、冬組の現状は上手く描いた。全員、視線が噛み合ってないのよね…。
無限ループを一緒に抜けや紬と丞が、一番近い間合いにいるのは面白いやね。変化のレイアウトだ。
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衣装も無事完成し、順調な冬組公演。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
ここまで引っかかってきたポイントを、軒並みスルスル乗り越えていくのは、四公演のアンカーって感じするなぁ…。見せたい壁は、そこにはないわけだ。
というわけで、壁の一つが高笑い。レニさん、相変わらずテンション爆超ッスね…。
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GOD座が蒔いた不穏の種は、整ってた風な冬組を揺るがしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
良いチラシができようが、予約が素早くハケようが、大人ぶったつながりの弱さが消えてなくなるわけじゃない。
対立する二人の間に体を入れて、殴り合いでも、舞台で一緒に寝るでもして、間をつなぐ強さもない。
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そんな問題点をド直球で顕在化させていくのが、まさか詩人だとは…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
感性の人だと思ってたらぶっ壊れた理性の人…というより、オンとオフしかスイッチがない扇風機みたいな人だとは思ってなかったので、誉のマジレス爆弾は面白かった。
それがお前の”獣”か…面白いじゃねぇの。
まぁズケズケボンボン、踏み込まれたくない領域に土足で上がり込んで真実指摘された側は、たまったもんじゃないけどさ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
こんだけ他社への共感性能が低くて、プロの詩人としてやってけるってことは、相当言語へのセンスが勁いのか?
でもぶっちゃけ、ここまでのリリックヒドいからな…。
というわけで、噛み合わないまま離れていく冬組。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
誉はかつて、恋人との関係を壊した自分の傷を、アルコールの力を借りつつ共有していく。
ここで全員にポートレート見せるわけではなく、プライベートな酒席で、調整役の”カントク”にだけ…てのが、冬の距離感やね。
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溢れる詩境と、凶暴な怜悧。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
ニ極端の自分しか振り回せない自分に苦しみつつ、それを変えていくのも難しい。
率直な自分をむき出しに作り変えていける時代を、とうに過ぎた大人の苦しみを、ノーテンキな変人に見えた誉が背負うのは面白い。
のっぺりした顔立ちの彫りが、グッと深くなる。
常時テンション高く、自由で楽しそう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
そんな人間にも過去の傷があり、悩みがある。だからこそ触れられたくない場所があり、でもそこに踏み込まないと問題は解決しない。
大人だからこそややこしい、お酒を飲んでも動かない難問。
それを、青い不思議な光が変えていく。
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他人の心を慮る能力は、大人である誉がすぐに手に入るものではない。劇場に連れて行って、仲間が心を曝け出すポートレートに殴りつけられれば、自分を変えられる歳ではないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
それを外部化し、手に取れる形にまとめたまごころルーペは、ぶっちゃけ危険球スレスレの飛び道具だとは思う。
これを手にしても、誉自身に変化はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
それは日常から離れた青い光がもたらした、ただの僥倖でしかない。周囲と自分に良い変化が生まれたとしても、それは借り物の力で生まれた、ある種のチートだ。
この外部性が、不思議アイテムで状況が動く今回をどう見るか、難しくしてる気がする。
誉がルーペでもたらしたもの。不思議な青の輝きは、彼が見抜き、上手く届けられなかった問題の落とし所を教えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
自分の言葉に何を感じ、何を求めているのか。
子供なら周りに教えられることだが、誉はそれを、急には獲得できない。
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全てを解決できる不思議なアイテムを、思わず隠してしまう後ろめたさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
自分が変化できたわけではなく、借り物の共感能力で状況を動かす、妙な後ろ暗さ。
それでも、そうでもしないと動き出さない、大人の面倒臭さ。
それが滲んでいて、ルーペを通じたやり取りは結構好きだ。
ルーペのからくりを知らない仲間たちは、誉が見せた意外な共感能力、欲しい答えをズバズバ差し出す的確さに、驚きつつも評価を変える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
それは冬組がまとまるためには必要な一手だが、別に誉が変わったわけじゃない。
大人はそんな簡単に、壊れた自分を直せない。
今まで”演劇”が人生の処方箋としてになってきた部分を、不思議アイテムが代理する形で進んでいく物語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
それは主題の絶対性に瑕疵を生みかねない、かなり危うい手筋にも感じる。
演劇に出逢って、少し見えるようになった他人の思い。そんな変化が、冬組を変えていく…つう運びも出来たとは思う。
しかし誉の壊れた共感能力は芝居では治らず、ルーペで補助されて、レニが冬組に生んだ(元々あったものが顕在化した)不協和音は取っ払われていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
その外部性、僥倖でしか無い外付けの変化を理解しているから、誉は祈りつつ、ルーペを再び非日常に返していく。
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青いファンタジーを扉に封じた時、誉が呟いた”いつか”
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
そこに変わり得ない成熟の苦しさと、それでも変化を祈ってしまうやるせなさが滲んだので、このファンタジックな展開もOKかな、と思った。
芝居も衣装も予約も、ここまで障害になってきたものが軒並み順調に進む、最後の物語。
そこには幼いからこその真っ直ぐさも、他者に影響されて変わっていく柔軟さも、大人びた物分りに邪魔されて遠い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
ブサ神さまの無限ループとか、心を覗けるルーペとか、不思議な装置を外付けしないと、どうにも動かない頑なさ。整ってしまったゆえの硬い壁。
それも一つの在り方だと見せたいから、この座組、この話運びなのかなぁ、と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
現状は考えている。
同時に僕が好きで、作品を支える主柱、力強く動かすエンジンだとも考えている”演劇”の唯一性は、やや後退してしまった感じも受ける。
やっぱ劇団の話なんで、芝居が全部の答えであって欲しいのよね…。
心を覗き込む天眼鏡の力を借りて、整った青い空。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
過去に縛られ認められなかったかつての盟友の凄さも、自分に染み付いた大仰なクセも、今の丞は認められる。
春、夏、秋と積み上げてきた評判を支えに、客席は満員。
風は冬組の方向に、確かに吹いている。
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この滑らかさをどう乱し、残り二話の本番でどういう芝居をするのか。大人びた順境に秘められたものをどう暴き立てて、演劇で突破していくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
そこに、冬の味わいと選び取ったファンタジックな色彩、GOD座という外部装置をどう生かしてくるか。
そこら辺が気になる、開幕前夜でした。
劇から離れた非日常を、集団と個人の問題発見・解決に使っていく冬のスタイルには、唐突な驚きとかすかな馴染まなさを、正直覚えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
同時にそれが描ける独特な味を、楽しんでもいる。
丞と紬が迷い込み、三角を導き手に抜け出した時間の迷宮が、二人に見せたもの。
不思議なルーペをテコにしないと、どうにも動けない大人の厄介さ、壊れ方と、『それでも、いつか』の祈り。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
その穏やかで不思議な色を、ここからの二話でどう生かしてくれるのか。
それとも、場繋ぎの変化球として本番に上手くハメず、使い潰して終わるのか。
何しろ2クールの千秋楽、エーアニの大トリとなる冬公演だから、不安と期待はかなり、僕の中で荒れ狂っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
冬独自のモチーフを上手く使って、今まで書いてないところを掘り下げてる手触りは、確かにあるのよね。
それをここまで主柱にしてきた(と僕は感じてる)”演劇”の圧倒性に、どう繋げるか。
それが問われる、”天使を哀れむ歌”になるんじゃないかな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月14日
まーここまでいい感じに熱く、繊細に物語を紡いでくれたエーアニくんなので、最後もバッチリ決めてくれるとは思います。レニさんのトンチキ力を、どう使うかかなぁ…。
成熟すればこそ動けない、大人たちの晴れ舞台。次回も楽しみですね。