A3! SEASON AUTUMN & WINTERを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
冬組が迎えた公演初日は、温かい拍手で迎えられる。
これまで積み上げてきた評価を裏切ることなく、新たに高める大人の舞台。
その真ん中に立つ紬は、しかし強く揺れていた。
タイマンACTを前に、ステージに入る罅。
丞は後悔を取り戻せるのか?
そんな感じの、冬組最終話一個前である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
やはり春から秋までの連中が思い悩んでいたところで引っかからず、しかし意外なところが重たく動かない冬組の雰囲気は、今回も健在である。
芝居自体は引っかかりなく進んでいくが、リペアされたはずの紬と丞の傷が、もう一度出血する。
表面が均されたように見えて、レニさんの揺さぶりで簡単に出血するトラウマ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
大人だからこそ簡単には変われない重たさが出ていて、なかなかいい運びだった。いづみちゃんに背中を押され、紬を迎えに行くことで、丞もようやく前に進めるようになるのも良い。
ただ残り話数が少ない中で、密と東に印象的なエピソードが少ないのは気になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
ここまでの物語は、カンパニーを成立させる五人それぞれが個別の悩みを持ち、それを越えて一座になっていく流れを持っていたと思う。
全員が主役たりうる個別の濃さが、全体の力強さに繋がっていた。
それが正直、密と東には弱く思える。そしてそのことが、五人で一つの冬組としてのパンチの弱さとも感じてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
冬組が秋までの物語と角度を変えて、独自の物語を紡ごうとしているのは何となく分かるつもりだが、この二人の書き味…それが物語全体に及ぼす影響は気にかかる。
これを千秋楽のタイマンACTで炸裂させるのか、それとも触れられないまま進んでいくかは、最終回を見ないとなんとも言えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
たった一話で印象をひっくり返せる作品ではあるので、画竜に点睛を与えるラストになって欲しい。
2クール全体のラストにもなるので、満足感のある終わり方が良いかな、僕は。
初日は特に事件もなく、惜しみない拍手の中で終わっていく。ここで大きな波風が立たないのが、冬組っぽいなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
形を整え、求められる仕上がりにまで持っていくのに苦労はない。そんな安定感は、心が簡単には動かない面倒臭さと背中合わせだ。
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無限ループを一緒に抜けて、問題を乗り越えたように見える丞と紬。楽屋裏での二人に、かつてのような緊張はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
しかし根本を解決しないといくらでも問題が顔を出すのも、また大人の面倒くささである。表面だけヤスリがけしたところで、心を蝕む毒はすぐに染み出してくる。
紬の場合、それは過去の失敗体験であり、それに誰も寄り添ってくれなかった孤独である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
これは丞の傷でもあり、二人を真実一つにしてくれない分厚い氷にもなっている。
幾重にも積み上げてきた防壁があればこそ、大人な振る舞いも出来る。だが、時にはその鎧をぶっ壊すことが必要になる。
演劇バカだった大学時代に時計が戻ったように見えて、紬が相変わらず、丞を見上げている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
知らず身体が動いて作った芝居が、聴衆の評価を惹きつけたとしても、そこには顔がない。
レニさんの揺さぶりを跳ね除けたようで、紬は激しく揺さぶられている。
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表向き整っているように見えて…見えるからこそ危うい、”大人”を縛る枷。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
それは不思議なループで少し動き出したが、まだ病根を全て暴かれたわけではない。
『大丈夫、平気平気』と取り繕うその奥で、ジクジクと痛みは広がり、迷いが生まれていく。
紬にとって大学時代の挫折経験はひどく根深いもので、今の…”大人”の彼を強く縛り付けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
一回前を見た程度では解けない、呪いの根源。これがリフレインしてくるのも、冬組らしい語りだな、と思う。
兎にも角にも、人格が一応仕上がったあとで変わるコストは重たいのだ。
顔のない世界から投げかけられる、称賛と揶揄。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
その片方だけを耳に入れて、自分を押し流してしまうのが、紬の”今”である。
薄味で”自分らしい芝居”は、過去に一度間違えている。誰も認めてくれなかったから、変わらないと。
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そんな焦りが大きすぎる芝居になるのが、紬の中に丞があまりにもデカく根を下ろしているのだと分かり、寂しい気持ちになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
彼の中で『良くなりたい』という願いが、丞のコピーにならなきゃ、自分を捨てなきゃという焦燥と癒着しているから、こういう形で揺らぐのだろう。
それは自分を置き去りに成功の階段を駆け上がっていった親友への羨望と嫉妬が、自己肯定感の低さと混ざり合って生まれた、非常に厄介な患部だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
レニさんが突っついた結果再度破裂したが、それはずっと紬の中にあった。不思議な事件を越えても、全部は消えていない。
だから、この土壇場で揺らぐのだ。
自分でも見えない道に逃げ出した紬を、丞は追いかけられない。いづみちゃんに大事な仕事を、物分りよく預けようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
かつて歩道橋に置き去りにしてしまった、親友の痛み。
それは丞の痛みでもある。『失敗した』と鎧の奥、強く痛む思い出が足を縛り、踏み出すのを止める。
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そこでしっかり、団員が生身で向き合うべき…動きにくい”大人”だからこそ前に進むべき問題に背中を押せるのが、いづみちゃんの強さである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
ここで失敗の記憶を越えて、自分の手で未来を取り戻す大事さが言葉に出るのは、彼女自身役者としては一回負けてるからかな、と思う。
一度は背を向けた舞台に、運命に導かれて戻り、監督として芝居に向き合った。潰れかけの劇団を再興させ、沢山の男たちの人生を立て直した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
それの途中で、幾度も彼女の胸は傷んだと思う。
自分が舞台には立てない存在なのだと思い知らされながら、舞台裏から指示を出す。
そこで惨めさよりも今積み上げられてる誇りと喜びに目を向けれるから、MANKAIカンパニーは復活できた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
人格バブちゃんなイケメン共をなんとか乗りこなし、三回の公演を大成功させてきた実感…過去を取り戻した手触りを知ればこそ、『今、前へ!』という言葉は重い。
不思議な力で抜けたはずの、出口のないループ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
それはずっと二人の心の中にあって、ずっと終わらない痛みで締め付けている。
あの時止まった時間は、欠片も動かしだしていなかった。
だから、この歩道橋からやり直そう。人形のように雪の中立ち止まるのではなく、前に進もう。
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画面の叙情値がメリメリと上がる中、紬の頭に積もった雪が彼の凍った心、動かない時間を上手く証明する。ちょっと絵面的に面白いけどな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
人生の厳しい嵐に苛まれ、道を違えていく友にかけられなかった言葉。大人だから、喉の奥に封じてしまった思い。
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それはなかなか動かない。不思議な事件を共有しても、解決しきってはくれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
それでもそこに踏み出して、戻って、痛みを取り戻さなければ動かないものがある。取り戻せない自分がある。
そしてそれは、自分だけでは掴めないから厄介だ。
負けた無様な”ありのままの自分”なんて、とても誇れない。
紬の心にあの時以来吹き荒れていた冬の嵐にようやく、丞は傘を差し出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
お前の芝居が大好きで、俺とはぜんぜん違うからこそ、隣りにいたかった。
見上げられるのでも、跳ね除けるのでもなく、共演できる距離を取り戻したかった。
心の奥に刻まれたものは、時間が降り積もってなかなか出てこない。
”冬組”の物語が、座長である紬のトラウマ克服、丞の真意吐露でもってより良い終わりに進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
これが雪解けの涙で演出されるのは、季節を生かした良いモチーフだな、と思う。
みな取り繕った大人っぽさの奥に、冷え冷え動かない万年雪を抱えている。そしてそれは、いつか溶ける…かもしれない。
いつか、溶けて欲しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
そんな祈りに向き合っていく歩みは、冬組かなり長いんだろうな、と思う。
ファンタジックな飛び道具を使ってるわりに、心の動きにくさ、問題の再燃具合は生々しくて、このミスマッチが面白くもある。そこら辺噛みしめるのに、六話はは少々短い…か?
かくして戻りきたステージに、仲間が持ってる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
丞とは正反対に思いをそのまま吐き出しちゃう誉が、『君の芝居が好きだ』と率直に迎い入れてるところが、とても良かった。
ルーペがなくても、他の人が心の中で欲しい物が、だんだん見えてきてるのね…。
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降りしきる雪の中に、それぞれがそれぞれの傘を持って進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
自分で立つことのできる…一人で立つことしか許されない、分別のついた大人たち。
しかし傘がない中雪に塗れるより、誰かに差し出して、一緒に進んでいったほうが良いのだろう。
それが照れくさくても、多分答えだ。
ここで密が誉の傘を借りてるのは、ちょっと気になるところである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
役者として舞台を問題なくこなしていても、記憶のない彼には寄る辺がない。
その喪失は紬と丞の過去と同じように、密を揺るがす危ういものではないのか。気になるところだが…残り一話マジッ!?
かくしてようやく、あの時凍った時間を動かし直せた二人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
失敗の痛み、それでも続いていく人生を己の足で歩む”大人”が己を変えるのは、相当に手間だからこそ、雪解けの景色は美しい。
びっくりするほど相合い傘で、オジサンちょっとドキドキしちゃったよ…。
というわけで待ちに待ったタイマンACT、次回A3! アニメ最終回…である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
東と密の描画の弱さは気になるが、その分の時間を使って行きつ戻りつ、紬と丞の終わってない青春を動かし直す歩みは、独特の重みと透明感があってよかった。
大人になるって面倒くさいなぁ…。でも、それが良いかも。
今回のエピソードは演劇バカ主軸で、演劇好きだからこそ思い悩んだ部分がよく出てたのも良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月23日
やっぱ芝居の話だからね…話を動かす軸がファンタジックになったとしても、最後の一撃は”演劇”にやって欲しいワケ。
さて、2クールの終わりを担うタイマンACTはどうなるか。次回も楽しみですね。