呪術廻戦を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
それぞれの戦い、それぞれの願いが火花を散らす交流戦。
実力を超えた完璧を求められる世界の中で、自分を貫く覚悟を吠える。
颯爽と風吹かす女に、吸い寄せられる数多の視線。
近づき、離れて、なおも魅せられる。
傷だらけに殴り合い、通じ合う熱。
それは、男の特権じゃない。
というわけで、顔面と声帯と性格がバリ強い女達のボコボココミュニケーション! 呪術アニメ第16話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
ここまでチリチリと匂わせてきた魂の強火、燃え盛る情念が多彩な暴力と混合し、凄まじい爆鳴気となって炸裂するエピソードであった。満足だ…(早い)。
桃ちゃんが真依に寄せる思いの強さとか、『私は私』が響き合う野薔薇&真希師弟とか、期待を遥かに超えて姉が好き過ぎて根性捻じくれた女だった真依とか、欲しい物がドッサリやってきて嬉しい悲鳴でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
暴力表現も達人同士の白兵戦、高速機動戦、狙撃VS近接と、バリエーション豊富で素晴らしい。
やっぱ呪霊相手の殺意の押し付け合いに比べて、対抗戦は攻め手も想いもしっかり指し合ってんな、て感じがする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
相手を殺さないように配慮しつつ、自分の意地を貫くのに必要な出力を出す。叩きつけられる一撃に匂う、相手の実力と気持ちを受け取る。
ルールあるコミュニケーションとしての暴力。
同時にそれが、大人の都合と呪術師の因業で歪んで、殺意の押しつけになってしまう危うさも京都の子らは含んでんだけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
家制度から弾き出された、あるいは自分で出た子が多いので、そこまで取り込まれてはいないけど。
…加茂くんはどーなんだろうね。来週判るか。
というわけで地獄キャットファイトバイキング、一発目はシン陰流 VS 長柄である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
とにかく、真希が圧倒的。
常人の眼で闘っていい人間相手には、ハンディがハンディにならんからな…制約でブーストされた身体能力と、鍛えた技の掛け算がインチキだ。
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常時霞を圧倒し続ける真希だが、その優位は技量や身体に留まらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
森の中では長柄をぶん回し、開けた河に出たらそれを折り、投げつけて接近戦に持ち込む。
『こういう状況なら、普通はこう』という霞の”居付き”を、常時上回り戦況をコントロールし続ける。
闘いの発想力で上回られていることが、霞が真希に手も足も出ない最大の理由であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
まぁこれが呪霊相手だと、また別の強みを比べ合うことになるんだろうけども。領域出せる相手だと、真希ちゃんほぼ打つ手なしに殺されるしね…。
そして真希の個人的”武”は、禪院が持つ社会力には極端に弱い。
霞は刀より長いものをブン回せない苦学生であり、気性もまっすぐで尋常な立ち会いをしてくれるから、真希の強みが全部出せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
長柄の間合いに囚われた霞は、投げつけられた柄と暗器…見えている武器より更に長い手筋に、必殺の居合を崩される。
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それは太刀取りで霞を傷つけないまま制圧するために、鍔迫り合いの間合いまで斬られずに入るための策。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
『倒す、崩す』とだけ考えていた霞より、半歩先の勝ち方を真希は既に見据えて動く。
アホみたいに強いと、勝ち筋を選ぶ余裕も出てくるわけだ。こういう所が、真希ちゃん武人だなぁ、と思うポイント
ここら辺、人類最強パワーで相手を圧倒する闘い方しか出来ない五条先生と、対象的な部分でもあるかな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
五条先生の勝ち方、敵が増えるんだよね…敵対したら殺すので、呪霊相手には問題ないけど。
腐った権威に阿るつもりがないのは二人共同じなんだが。性根の違いかねぇ…。
そんな真希も、家の重圧やしきたり、社会的影響力といった”見えない刃”を制するには苦労する。武器を握らない闘いのほうが、人間相手には厄介だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
それでも腐らず腐らせず、自分なりの闘い方を積み上げ道を開こうとしている所が、彼女がハンサムなところである。そらー野薔薇も惚れる。
なんかよく知らねぇ、声帯と顔面に恵まれたイヤ呪術師がまた増えたりしたけど。このアニメ、そんなんばっかだな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
禪院姉妹に魂を惹かれた女達の代理戦争は、高速機動と芻霊呪法のぶつけ合い。
さっきまでのクロスレンジから、アクションの味が変わる。
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お互い悪い目つきで睨み合い、相手の心に寄り添わずすれ違ってる間は、桃は空を駆け野薔薇は地を這う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
お互いの辛さを勝手に押し付け合う危うさは、しかし致命的な呪いには変わらず、ギラつきながらも何処か爽やかだ。
おっかねぇ青春だな…”ろくでなしBLUES”かよ。
アイツの辛さが、お前に判るかよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
そんなやけっぱちをぶつけ合っているようで、桃と野薔薇は言葉をかわし、意地を張り合いつつも相手の言い分を聞いている。
それは呪いに喰われたら出来ない、人間らしい行いだ。顔面はボゴボゴになるがなッ!
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桃は真依が背負う呪いに、共鳴りして怒る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
実力を超えた完璧を、理不尽に求められる女の辛さ。
それを超えて、無用と罵られ続ける”家”の苦しみ。
どす黒いものを背負いつつも、自分に友人と接してくれるかけがえない人の思いを、箒に乗せて叩きつける。
しかしそれでは足りないと、野薔薇は吠える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
惨めさや苦しみに己を特権化し、恵まれて見える誰かに恨みをぶつけた結果、あの子は消えた。お前ホント沙織ちゃん好きな…。
同じものを背負いつつ、颯爽と前だけ向いて走り続ける女がいた。そうなりたいと、私も思った。
二人が”禪院”に寄せる思いは似通っていて、そして違う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
私は私。そう力強く開き直り、言葉(≒呪)にして吐き出すことで、野薔薇は意を通す。
勝手に被害者ぶってろ、ぶっ飛ばすぞ!
そう吠えつつも、武器はピコハン殺しはしない。
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掟破りの5連パンでピコピコなるシーンがちょっと面白すぎたが、止めは有効射程ギリギリに潜んだ真依の狙撃で止められる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
こっちもゴム弾、非致死性。
殺すと息巻きつつも、子供たちはあくまで取り返しがつく範疇で、暴力にメッセージを載せて殴り合う。
宙に浮いて、文字通り上から目線で真希を見てた桃が、必死にもぎ取った箒の一部、それを生かした共感呪術で地面に落ちる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
その結果危機に陥るが、ピンチを助けてくれたのは友の銃弾だ。
そして、それよりもっと強いものが携帯越しに届く。真希もそういうものを、使える女である。
共鳴り、箒、銃弾。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
ここの一連のアクションは、性格悪い女達が暴力以外の何をしたくて、何が出来るかを上手く動かしたな、という感じがある。
野薔薇の術式は、呪いには呪いを返し、言葉には言葉を返す。
桃本来の仕事は、ボコボコ殴るのではなく仲間のために、見通しのいい場所から見守ること。
それを桃が思い出すためには、野薔薇を一方的に嬲るのではなく、地面に立って殴り倒される、対等の存在だと思い知らされる必要があった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
逆に言えば、野薔薇は桃を地面に引きずり落とすことで、自分の思いを伝え、相手の思いを受け取るフィールドを作った、とも言えるだろう。
そして性格極悪シスコンひねくれ女にしか見えなかった真希も、桃を鏡にして人間の顔を見せてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
『ホントはお姉ちゃんとも、こういう顔で話したかったんだろうなぁ…』と思うと、高田ちゃんにハマるのも納得である。
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通話を終えた桃が…そして憂いなく自分の道を行く姉が光に近い場所にいるのに対し、真依は鬱蒼と茂った葉の陰に囚われ続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
家、慕情、寂しさ、怒り。
ひどく複雑にこんがらがったものが、彼女の生き方を縛っている。
潔く格好良く、『私は私』なんて堂々言えない。
真依は激しいバトルの中で幾度も『嘘つき』というけども、それは自分をおいていった姉に向けているのか、姉を憎んでいると言い続ける自分にか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
真希の方はスパッと過去と現在を認め、距離が離れた妹の顔、そこに映る自分を真っ直ぐ見てる感じなんだが…妹はもうメチャクチャよ。
銃弾に込められた拒絶を切り払い、ミドルキックに思いを込めて叩きつける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
仲良しこよし、手を繋げた時代は終わり、二人の距離は離れてしまった。
それでも再び向き合うなら、痛みも血反吐も必要な対価…なのか?
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ロリ真依があからさまにお姉ちゃん好き過ぎる妹で素晴らしかったが、”禪院”という閉鎖された箱に籠もった呪いは、二人を輝きの中に放ってはくれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
術式至上主義の腐った差別が、才と人格を腐らせプライドを歪める。
その毒を飲めないから、背中を向けた。野薔薇と似てんなぁやっぱ…。
光に真っ直ぐ向かう気高い歩みに、どうしても置いていかれてしまう私。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
一緒に旅立つには、強さが足らなかった私。
明暗は姉妹を分かち、しかし強すぎる思いが秘めた未練と、赤い血を流す。
こ、このアマ…期待以上に感情がデカいッ!
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近づいては離れ、不意打ちに撃破しようと試みて、正面から受け止められる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
禪院姉妹の闘いは、そのまま拗れた関係がアクションに宿っている。
必倒のはずの”存在しない七発目”すら、真希の才能と覚悟は乗り越えていく。
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切り札を出す時、真依は反動で鼻血を出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
そこに高慢ちきなイヤ女の顔はなくて、自分の中で渦を巻く思いをどうしても譲れない、必死な少女がいる。
敵に思えたものも、血を流す人間でしかない。
それを視聴者に思い知らせるために、真依は無様な白兵戦に挑み、傷ついていく。
さらっと峰で打ってる所が、今回のバトルに漂う『殺しを避ける暴力』の一つで、なかなか鋭いと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
顔面ボコボコに腫らして、殴って殴られて、それを通じて解り合いたい気持ちが、今回は元気だ。
打ってこい。お前を理解ってやる。
東堂師匠と虎杖くんの、珍妙な組手に通じるところでもある。
ガンファイターが、サムライに近接を挑む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
勝ち目がないと解りつつ、それでも挑み伝えずにはいられない真希の気持ちも、遠間から肌触れ合う距離に入ることでより鮮明になっていく。
刃を突きつけられてなお、突き立てる真なる思い。それは呪いではない。
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痛いのも惨めなのも嫌なのに、桃が憧れるほど完璧を目指し闘い続ける真希の活力は、何処にあるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
お姉ちゃんが頑張るから、その歩みに引っ張られることをやめられないから、『私は私』になってしまった。
妹の口から迸る思いに、真摯な謝罪を返しつつ、やはり真希は歩みを止めない。
ただ、前を向いてまっすぐ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
そう突き進めるのは真希の強さであり善性なのだが、彼女に憧れた真依はそうではなかった。
多分彼女が一番強く打ち出だしたい『私』は、家から追い出されたお姉ちゃんに、幼子の頃と同じ様についていける自分なのだろう。
だが、それは出来なかった。一緒に戦えなかった。
後悔と痛みはネジ曲がって鎧に変わり、悪意をことさら飾り立てて距離を取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
触れあえば、簡単に負けてしまうから。
『大嫌い、嘘つき』は、嘘をつけない真希に伸びた懇願。
『もう一度、手を繋いで欲しい』なんて、もう言えない。
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『はあぁぁぁあ面倒くせぇえええ!!!(大歓喜)』となる、見事な決着でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
あのときと同じ様に、姉に置いていかれる形になったけども、闇ではなく光の中に身を置いてる真依…そんな決着をもたらした真希の在り方が、よくアニメになっていたと思います。
やっぱ毎回、アクション作画スゲェの強いな
この闘いを経たからと言って、拗れた関係がすぐに元通り、お姉ちゃんLOVE全開とはならんでしょう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
しかし交流戦の結果を、不当に扱われている先輩の飛翔につなげようという意気込みと同じ様に、殴り合うことで生まれるものもある。
解り合おうと、自分の握る武器と相手の顔をよく見ていれば尚更だ。
ひどく硬い殻に覆われて、なかなか共有できないものを引っ剥がすハンマーとして、血飛沫飛び交う暴力は機能してんのかな、という感じもありますね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
ここまで拗れちゃうと、殴ることでしか突破できないものも沢山あるだろうし。
でもまぁ、お前らはもっと普通に話せ。呪霊じゃねぇんだから。
真依初登場からずっと見たかったものが、期待を超える質と量で押し寄せてきて、大変満足なエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
姉が好き過ぎて頭がおかしい闇の妹と、魂の色が光属性過ぎて逢う女全て狂わす姉。明暗の対比も見事、マジ美味しすぎる…。
次回は伏黒 VS 加茂。
どんな暴力交流が暴れるか、楽しみですね!
追記 ただ巧いだけで終わってるアクション、まーまー多いからね……。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
やっぱ今回闘いの組み立てが良くて、クロスレンジの達人戦→噛み合わない距離感を混ぜ合わせる機動戦→遠間と近間が交錯する姉妹戦争と、バラエティ豊かに楽しませてくれる。
近接特化の霞が手玉に取られることで、真希の強さは際立つ。ガンファイターたる真依が挑むのは、無謀だと判る。
それでも、だからこそ退けない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
離れてしまった手をもう一度繋ぐためには、負けると傷つくと理解っていても銃把を握ってすがり、打撃を返してもらわねば気がすまないのだ。
単純な勝ち負けを超えた、とても強くて複雑なものを真依が抱えていること…彼女が人間であることが、バトルから良く見える。
そういう、言葉を超えて言葉にならない思いを表現できるから、アクションというのは大事なのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月6日
シンプルな動きのカタルシス、躍動する暴力への興奮をしっかり掻き立てつつ、ドラマの主柱としてアクションの質を活かせているのは、呪術アニメの強みだなぁ、と感じるね。