ワンダーエッグプライオリティを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月3日
折返しタイミングでの総集編である。
何しろ混線した物語なので、一つまとめを入れないと後半戦を見るのに厄介、という話数かなと思う。
スケジュールの問題で場当たり的にぶっ込むアニメは、ぶっちゃけこのクオリティと緊張感維持できてないと思うしね…。
今までの物語を総括しつつ補助線を引いていく感じで、助けとなるのはアカ＆裏アカのナレーション。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月3日
エッグの戦士たちが何を望み、何を失い、何故闘うか、そこら辺の内面や事情を色々と解説してくれる。
このロジカルな明言は、ほのめかしと暗喩に満ちた本編からは（おそらく意図的）に欠如されている。
推察し、推測し、憶測し、臆断する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月3日
ミステリとサスペンスを美しい景色、残酷な青春に乗っけて描いてきた物語が、幾重にもヴェールに包んで曖昧にしたものを、一旦顕にしていく。
…にしては、アカ達は信頼できない語り部である。
ということを、この総集編は強調する。
少女たちがどんな存在で、何を願っているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月3日
アカの補助線は曖昧だった（からこそ豊かでもあった）輪郭をはっきりさせていくが、今後最大の争点になるだろう沢木担任の謎、学校に戻ることにしたアイの内面は、ナレーションによる補助線を付けて強く保留される。
整理し、何が信じるに足りる事実なのかを鮮明にしていく今回でも…あるいはだからこそ、その2つは卵の中の謎のままである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月3日
”そこに注目しろ”という太めの補助線が、今回の総集編には入っている。
編集には常に意図があり、何を再度語りどう見せるかという語り口自体が、それを示しもする。
僕はこの作品（に限らないけど）『何が起こり描かれているか』より『何を感じ想うか』に足場を置いてみていて、だから自分がこうして書いている文章を考察や分析ではなく感想と呼び続けいるわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月3日
アカのナレーションは、信頼に足りる確定情報を語っていると思う。後者を前者に引き寄せる補助線だ
しかしその語り自体が、確言せずぼやかした部分の怪しさを強調し、今後の注目点を視聴者に教えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月3日
ここまで多様され、非常に（あるいは異常に）豊かに作品世界に薫りを与えてきた幻想的で未決定な霧の中の語りではなく、何かを言い定め確定するロジカルな言辞。
その頼りがいある補助線それ自体を信じるなと、胡散臭さ満載の大人の言辞は語りかける。メタ・メッセージを出す、と言ってもいいだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月3日
何を信じ、何に足場を置けば良いのか。
その助けとなってくれそうな存在が、一番危うい。
今回の形式自体が、作品の核にあるメッセージを照らす…気がする。
結局この総集編を見ても、謎は残り少女たちを取り巻く状況はあやふやなままだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月3日
ラストカット、再話されるアイの確信。
エッグの世界をかけ続ければ、死者は蘇り真実を知ることが出来る。
そこに返答はない。アイの思い込みと、悪い大人が逆手を捻ってもおかしくはない。
そういう罠は多分、ここまでの（今回の総集編に掬われなかった）描写に多数あって、その欠落こそが重大な補助線…なのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月3日
まぁ僕は謎をときたい気持ちより、この作品世界に必死に生きてる子供たちにより近づきたい気持ちが先に立って、その道に謎が寄り添ってる感じなのだが。
だから要素を全てピックアップし、矛盾点を洗い出したりはしないし、出来ない。そういうロジカルな検証に、あまり素養がないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月3日
しかし何しろ意地悪で美しい作品なので、構成する要素を一個一個光に透かして確認したくはなり、この総集編もそのように見た。
そうして結像したものが、僕が見たいものを投影する妄想のプリズムなのか、なんらか作品の真実を射抜く視線なのかは、残りの話数を見なければ判らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月3日
ここで描かれた補助線が、誠実に結末を示していたか、はたまた体重を預けさせた上で足払いを食らわすための浮草だったのか。
アカの語り自体は信じ、しかしそこにこそ彼らの不実を感じた視線が、妥当だったのか否か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月3日
それを確認する楽しみが、この作品の視聴に加わる総集編であった気もする。
まぁ、あの子らが可能であれば傷つかず、しかしせめて血を流すのならば何らか報われる形で、エッグの闘争を走り抜けてくれることが…
僕には一番大事なのだけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月3日
今回整理された情報は、全くその祈りを叶えるかどうか判らない事実を再提示してくる。アイちゃんの確信と似通ったモヤが、作品全体を包んでいるのだ。
このあやふやさが、作中の戦士たちとシンクロしてるところは、選び取った語り口の妙味だと思う。形式と内実の一致。
適切にロジカルに、錯綜する物語をまとめたようでいて、惑いを生むフェイクとほのめかしがやはり沢山あって、しかし騙そうとはしていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月3日
希望を抱くものが、勝手に信じて血を流すだけだ。
そこも、作中の状況と重なる総集編であった。
大変面白く、これからの物語が怖い。次回も楽しみ。
