SK∞ エスケーエイトを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
力、技、知力、暴虐。
戦士たちはそれぞれの死力を尽くし、決戦に激しく踊る。
誰かを求める心が、空回りして冷たい火花を散らしながら、男たちは駆けていく。
ジョーのパワーが勝るか、ランガが翼を得るか。
チェリーの秘めた熱量は、アダムに届くのか。
激戦は続く!
そんな感じのトーナメント二回目、ジョー VS ランガ、アダム VS チェリーのビーフである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
それぞれの特性を最大限に活かし、ケレンと納得のあるレース展開も最高に良かったが、誰かを求めつつすれ違う感情のデカさが凄まじい。
質量崩壊の結果、完全にブラックホール生んでいた。
走る時に、誰の背中を追い求めるか。何を心の薪とするのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
それが噛み合えば何より幸福なのに、想いはどうしてもすれ違っていく。
執着、思い込み、片恋の切なさ。
ときに激しくぶつかり、ときに虚しくすれ違いながら、トーナメントは進行していく。勝つものもいれば、負けるものもいる。
薫がこっちの想定を超えるネットリ感情を愛之介に抱いていて、大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
ランガとレキのお互い強く求め合い、しかしだからこそ向き合えない距離感をジョー戦で描いた後、ガラスの思い込みをぶっ壊すアダムの一発でチェリーの夢を醒ますのが、残酷で良かった。
そんな二組の間に立ち、チェリーが自分を隣に起きつつもやはり、一番強い視線を向けてくれない寂しさも抱きしめられる虎次郎の背中も、とても大きかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
黄金の季節を過ぎても、俺たちはそれぞれ生き方を選び、まだ滑っている。その後ろを付いてくる、若い雛鳥もいる。
女を口説き筋トレをし、友と飲んで旅をする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
人生を力強く謳歌し、バランス良く成熟したジョーに比べて、チェリーはクールな顔に歪な情熱を宿し、その盲点をぶち殴られて負ける。
でも、それが全部の終わりじゃない。まだ滑れるし、一人ぼっちでもない。
青春の先にある物語も、苦くて甘くて切ない。
壁の傷は、俺達の背比べ。いつの間にか、追い抜いちまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
思い出が刻まれた壁面に手を添えながら、ジョーとチェリーはアダムの真意を語り合う。
この段階で既に、チェリーは光を背負って影の中にいる。ジョーの顔は、過去から振り向いて光の中だ。
©ボンズ・内海紘子/Project SK∞ pic.twitter.com/slWiyTlkjj
後にチェリーが見せる薄暗い情念…ここまでこの作品で(そして内海監督の諸作品で)描かれてきた、”美”に魅せられてしまったものの危うさは、エピソード開始の段階で静かに脈動している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
こういう何気ないシーンでの印象操作が的確だから、後々のドラマがすっと胸に入るのだと思う。
ジョーは自分の願いも、積み上げたスタイルも、一緒に滑る若造も、その果てにある敗北も、みんなバランス良く向き合える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
筋肉ダルマの単細胞に見えて、視野が広く誰かを支えられる。
レキの完成形って感じするな…とすれば、アダムは不安定なまま進んだランガにもなるのか。
それぞれスタイルや想いは違えど、何処かに共通する強い芯があって、それがキャラクターを繋ぎ作品を支えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
圧倒的に美しい飛翔が、人を捉え狂わせる様子。
その思いが、必ずしも結び合わない悲しさ。
”S”を滑る男たちには、魂から溢れる熱量と同じくらい、強い風が吹き付けている。
今回敗者となる二人の”大人”を、明暗に対照するこのスタートは、傷つき眠る親友を2つのグラスで受け入れるラストと強く響き合っていて、凄く良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
ここでは影の中過去だけを見ているチェリーは、ボードでぶん殴られてようやく、自分の居場所…ワインが飲める年の”今”に戻ってくるのだ。
持ち前のパワーを疾走力に変え、先行するジョー。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
親友にひたひたと迫る敗北を前に、レキは己の顔をフードに隠したままだった。
宮古島から帰ってきてからのレキは、たどり着くべき答えの前で足踏みして、見てる側にストレスを与えている。
©ボンズ・内海紘子/Project SK∞ pic.twitter.com/SasPVueUoH
しかし彼が親友をDisられてキレる様子、ランガが走っている姿を見て輝く瞳を丁寧に追いかけることで、彼のもどかしい苦しみもまた、よく伝わってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
ただウジウジ悩むだけでない。
好きだからこそ、優しいからこそ苦しい。前に進みたいのに、止まるしか無いから辛い。
そういうジレンマを、『レキはこういう子なんです!』という真摯な描画をナイフに使って、一個一個刻んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
この繊細な筆が、やっぱり強いなと思う。
まぁ同時に、ミサイルスタイルのケレンもぶっ込んでくるんだけども。頭おかしすぎるが、OKと飲まされてしまう力技。沸き立つガヤが最高。
『ジョーは筋肉モリモリ、力を武器にするキャラだ』とビーフで、そして日常で描いてきたことで、彼にしか出来ないトリックに説得力と熱量が生まれてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
『空気抵抗考えるなら、その布外せ!』とか一瞬考えるが、そういう横道を叩き潰す力強さがちゃんとある。バカなだけで終わらない。凄いことだ
そしてその熱量が、それでも心が踊らないランガへの共鳴にも繋がっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
そう、熱くなるのに十分なビーフだ。
そのはずなのに、ランガの心臓は凍ったままだ。大事な何かが足りない。
それが何か、知っているけど解っていない。必死に滑らなければ、離れゆく運命を掴めない道に、少年たちは立つ。
腑抜けた親友に、レキは思わずフードを外し声を上げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
理解っちゃうんだよなぁ…己の才の無さ、離れていく距離に傷つきつつも、レキの強さと優しさがまだ燃えていることを!
レキが凹んでるの、友達を邪険にする”悪い自分”と、付き合い長くないのもあると思うのね
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彼のセルフイメージって『スケボー大好きで、ダチを助けてやれる自分』が主だったと思うんです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
でも星に届かない非才を思い知らされて、形も名前もない想いが胸から湧き上がってきて、嫉妬と焦燥に燃やされてる自分がズドンと、心の底から出てきた。
そいつをどうしたら良いか、(まだ)判らない。
そういう”悪いレキ”が彼の全てでは当然なくて、フードに自分を隠していても、いざダチが目の前滑れば思わず素顔を晒し、大声で叫んでしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
それが(それも)彼の真実で、喜屋武歴のシンプルだった子供時代は今まさに終わろうとしている。
そこには必ず、迷いと痛みがつきまとう。
思わず飛び出した”レキらしさ”こそが、ランガの心臓を動かし彼を飛ばせる唯一の絆だということは、真実として作中に焼き付いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
そこに戻っていくためには、長くて暗い道を進まなければいけない。これを間違えた結果、アダム達は超めんどくさい迷路に嵌まり込んだ。面倒くせぇ…。
道を示すもの。ビーフを加熱させるニトロ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
それを受け取ったランガは、才気煥発の走りを取り戻していく。力と技、若さと経験がぶつかり合うビーフは、最終局面までもつれ込む。
ランガのビーフは基本、ファイナルエリアで決着するね。さすが主役という感じ。
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鉄骨すら揺らすジョーの圧倒的パワーを見せること、それを利用した代償としてボードを砕くことで、一回戦負けでも全く格を落としていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
勝ったランガが地面に倒れ伏し、負けたジョーが余裕の立ち姿を見せているのも、青春ど真ん中の必死さと、それを終えてしまった大人の対比を感じさせる。
ジョーは拗れに拗れた青春にある程度のケリを付けていて、だからこそ迷える仲間たちに手を差し伸べる余裕もある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
しかしサポーターだから負けて当然と、自分の思いを諦めているわけでもない。
勝ちたいから鍛え、あれだけの豪技を披露した。それを、ランガの才能…それに火を付けたレキとの絆が超えた
そういう書き方になっていたのは、凄く良いと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
エゴと友情の間、プレイヤーとサポーターの間で揺れているレキがゆくべき道を、ジョーがデカい背中で指し示してくれた感じもあるな。
目指すべきロールモデルが作中にいるのも、重たい悩みを飲み込めるポイントの一つか。
へし折れたボードは、ただの消耗品じゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
俺とアイツの絆、これじゃなきゃダメなもの。
その意味をジョーはしっかり読み取り、若人の背中を押す。『お前たちなら大丈夫』と、力強く保証する。
本気で競り合ったライバルだからこそ、一緒に笑った仲間だからこそ。
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その言葉は何かと不器用な少年に届き、その歩みを進ませる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
今までずっと、レキに手を引かれるばっかりだったランガが別の人間と結びついた横幅、今度はランガの手を引こうと探す役割変化が、心地よかった。
ランガはジョーとのビーフ、差し出された言葉を支えに、レキ的な優しいやつになろうとしてる
しかしレキは、ランガ的な強いやつへの変化を前に、足踏みをしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
友達の勝利を喜べない、携帯の電源を落としてしまう自分。
同等の親友として競い合いたいのに、それが出来ない自分。
どんどん、自分の知らない自分が出てくる。
悔しくて、怖くて、涙が出る。
その戸惑いと恐怖は、凄く普遍的なものだ。みな伸びていく身の丈に怯えながら、新しい自分と世界を乗りこなせないままに、青春を滑り落ちていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
その疾走の果てに、あるいは離別と無理解が待ち、あるいは新しい自分を認めあった成長がある。
どちらにたどり着くか、未来は判らない。
しかし答えは出ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
レキとランガがもう一度拳をぶつけ合って、本気の全力疾走以外にねーだろーが!
物語的な必然だけでなく、キャラクターが心から望むもの、それが掴めないからこその苦しみがちゃんと描かれているので、”正解”に帰還する道をハラハラ応援出来るのが、凄く良い。幸せになって♡
全力をぶつけ合った激しいビーフの後に、やってくる事実上の決勝。沸き立つ観衆をよそに、二人をよく知るジョーは浮かない顔だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
アダムのアピールもよそに、レキを探し求めるランガ。それから逃げるように、戦いの舞台に背を向けていくレキ。視線はすれ違う。
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つーか紘子が、男たちの巨大感情の激烈すれ違い、そこから生まれる切なさと火花が好きすぎ、書くのウマすぎなんだよな、”Free!”でも”BANANA FISH”でも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
SK∞はこの二作に比べて、子供サイドと大人サイドの二軸を独立させつつ、上手く対照・連動するようにしたこと…
自分たちの青春の始末に必死になりつつ、苦しむ子供を正しく導いてくれる大人(ジョー、ママ達)を的確に配置したこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
強い感情を結びつけ合う危うさが、社会規範と衝突してヤダ味生まないよう”S”という楽園を作ったこと(それがアダムのキャラとがっちり噛み合ってること)が、大きな差異だと思う。
全部見た後に、特に”Free!”一期と比較した自分なりの内海紘子論をやるかやらないか、ちょっと悩んでんだけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
子供らが自分たちだけの結論で、自分たちの外にあるものを蔑ろにしたあの終わり、進め方と、共通しつつも相当に違うものが、”S”では積み上がってんなと思うよ。
観客席ではシャドウとミヤが仲間の勝利を確信し、スターティンググリッドではチェリーの強い視線を、アダムが受け流す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
最初戯けてたシャドウさんが、ミヤの”本気”感じてスッと顔引き締めるの、やっぱ最高。真顔の道化が大好き。
©ボンズ・内海紘子/Project SK∞ pic.twitter.com/gAstOR6mL6
大人組の拗れた関係を示すように、お互いの顔が直行しないのが良いんですよね、スタート前。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
アダムが二人に混ざらないのはある意味当然として、チェリーもまた、車ぶっ飛ばして応援に来たジョーの肩越しに、アダムを見てる。
虎次郎との関係は大事で好きだけど、それでは満たされないグラスがある。
チェリーからアダムに伸びる視線の強さと危うさ、それが自分を弾く寂しさを、やっぱジョーは理解してると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
その上で、アブねぇ友達をもう一度一人にさせないために、必死に追いついて隣に立つ。
自分がアイツの絶対に為れないと、分厚い胸板で感じつつも、歩みを止めない。”人間”じゃん…マジ偉い
かくして始まるバトル。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
アダムは早々に必勝の魔技を仕掛け、チェリーはカーラと連携した秘策でそれを破る。
お互いの実力、技量が解っているからこその、必然のせめぎあい。
そこにチェリーは体熱を上げ、アダムは冷たい仮面を外さない。
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チェリーはAI使いのクールなキャラに見えて、燃え盛る情念で動くダイナモだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
その生き様は仮面の奥にあるもの、愛之介が自分に向けている感情を見定めることを、執着と願望で歪めていく。
こうあってほしかった自分たち。
取り戻したい、追い抜き並び立ちたい関係性。
顔が触れ合うほどの近さで、チェリーがアダムを睨めつける熱量は反射されない。薫の想いは、思い込みでしかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
それでも、愛に呪われたのなら囚われるしかない。
疾走が暴いていく、覆面の奥の出会い。フードに隠してなお輝いた、圧倒的な光。
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第1話でランガとレキが、第4話でアダムが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
魅せられ囚われ、だからこそ人生の喜びも苦しみも生み出すような飛翔と出会いが、チェリーにもあったのだ。
皆、空を舞う美影に目を奪われる。
理屈じゃない、圧倒的な輝きに心が思わず動く。近づきたいと、手を伸ばす。
そんな夜が、チェリーの原風景だ。
肩を組んで笑い合い、微笑みに心を動かした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
俺たちの祭り、輝かしき黄金時代。
そこに時計の針を巻き戻し、もう一度自分の方を向かせる。体温を感じる距離に、アダムを引き寄せる。
もう一度素顔で、特別だと言わせる。
©ボンズ・内海紘子/Project SK∞ pic.twitter.com/8YgXm9PHS3
そんな情熱を、AI仕掛けの冷静な計算で踊らせる裏では、レキがSバッジを返却しステージを降りようとしていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
チェリーの胸の中に突き刺さった、輝ける思い出。自分が”特別”であるという、祝福と呪い。
これを凡才に傷つき果てて、”特別”の証を捨てるレキと対比させるのが巧い。
チェリーの記憶にある輝き、『アダムにとって自分が特別だ』という記憶は、あくまで彼の思い込みである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
でもこういう綺麗なものがないと、人は生きていけないな、という共感もある。
それを得られたことが勝手な思い込みや過ちに繋がるとしても、否応なく出会ってしまう運命。
それがあまりに大きいから、皆狂い、迷い、間違えてなお走り続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
こういう宿命がメインキャラクターの殆どに反射し、それぞれ別の生き様で応えてる所が、横幅と奥行きを両立させてて大変良い。
皆、胸の中のなにかのために走る。瞳に宿った輝きに導かれて。
それはバラバラで、同じなのだ。
そしてその視線は、忠も同じである! なんだその美少年キャフフ薔薇園! まさに喪われたエデンってか!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
彼もキャップで視線を塞ぎつつ、強い感情を闇に熾す男なんだよなぁ…覆面、フード、仮面。
顔を覆うギアの使い方が、巧いアニメだ。
©ボンズ・内海紘子/Project SK∞ pic.twitter.com/PB3Atd67YK
情念の交錯する戦場は、唐突に終わりを告げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
アダムの天才はチェリーの攻め筋を読み切り、裏切りのないダンスに飽き果てた彼は、競技の道具で思い切り殴りつける。
優男の顔面を、そこにこもった歪んだ思い出を。
©ボンズ・内海紘子/Project SK∞ pic.twitter.com/Ue3RwuHoCI
正直、少しスカッとした。(チェリーファンスマン…)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
愛之介がここまで歪むに至った、押し付け傷つける愛。
それが生まれる心は当然、神道家の親たちとは違えども、チェリーは今のアダムを見ていなかった。
取り返したいのは、自分の心に突き刺さった過去の輝きだった。
アダムにとって、友との日々は終わっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
お前らは僕を助けてくれなかったし、熱くもしてくれなかった。遠く置き去りにしたものが、長く長く手を伸ばして”戻れ”と囁く。
チェリーには真摯な愛でも、アダムには呪いでしかなかった。だから、思い切りブン殴った、
許されざる暴力、スケートへの侮辱
そう思いつつも、アダムがどれだけ己を縛る”愛”に膿んでいるか、それをどれだけ跳ね除けたいか見える一発だな、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
この破綻に皆が目を背ける中、ジョーだけは真っ直ぐ、友と友の馴れ果てを見届ける。
俺たちは、結局こうなるしかないんだ。そんな事実を、痛みを堪えつつ背負う。
愛に、あるいは憎悪に歪んだ妄念ではなく、目の前の現実を受け入れた上で、自分の世界を進んでいく覚悟。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
それが作中一番整っているのがジョーなのだろう。
終わりになった過去を慈しみつつ、今を踏みしめ未来に進む。
自分の足で歩きながら、たった一人孤独にならず、させない。
女たらしの酔狂者である描写が、ジョーを物分りの良い常識人に修めず、デカいエゴを持ちつつも他人を慮ることが出来る、真の”大人”にしてると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
やりたいことも、負ける悔しさも沢山ある。
でもそれが、世界を狭める理由にはならない。痛みや憧れに視界を狭めて、誰かを殴りつけなくてもいい。
そんな到達点を、ジョーはチェリーに押し付けようとしなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
親友が求める過去の残影を、本気で燃やし尽くさなきゃ俺たちは何処にもいけないと、砕かれてなお立ち上がれると、薫を信じていたからだと思う。
その想いは、愛之介にも伸びているのだろう。
いつか、取り戻せる。取り戻したい。
そんな確信と想いでデカい体を支えつつ、ジョーは真っ直ぐ立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
トーナメントから脱落した二人は、もうアダムを救えない。退屈と罵られて反論する機械も、勝負を通じて思いを伝える”特別”も、敗北に奪われてしまった。
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元親友の一方通行の愛を殴りつけて、差し出すイブへのラブコール。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
彼自身のアダムを探し求めるランガの足が、ようやく喧騒へと向く。
だがその想いは、ランガの心に火を灯さない。
あの時は燃えていた激しいビーフへの期待は、すっかり冷めちまった。欲しいのは、多分それじゃない。
つーかレキきゅんにもそうなんだけど、愛之介は押し付ける愛しか知らねぇから、接近された側は当惑、拒絶、崩壊するしかねぇんだよな…親が悪いよ親が! あとアダムも!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
『それは今回、お前がボードで殴ったもんだろ!』とツッコミたいところだが、自分の歪みは自分では分からんもんだ。
あのぶん殴り、カーラを愛してるチェリーだと絶対にできない決着で、そこも残酷だなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
愛之介を失った焦燥に、危険な接触プレイにも接近してみた(アダム的な存在に近づいてみた?)薫だけど、ボードを武器としてみることはどうしても出来なかった。
だが親友は、その一線をとうに超えていた
その対比が、薫と愛之介が離別の後広げていった断絶、それに気付けない薫の身勝手と執着…そうさせてくれない輝く呪いを強調してるようで、なかなかキツかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
愛こそが人の視界を塞ぎ、出会いこそが別れの源となる、世の中、ままならないね…。
かくして、包帯まみれの敗北者は”いつもの場所”に戻る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
仕事着を着込んだジョーは、自分を置いて眠りこけるチェリーに寄り添い、空っぽのグラスを満たす。
俺たちが黄金の時代を終えたから、飲める大人の証明。静かに寄り添うキス。
©ボンズ・内海紘子/Project SK∞ pic.twitter.com/pS3nmJdjSw
薫は起き上がって、孤独になってしまったアダムを思い、傷ついた親友に寄り添う虎次郎を見はしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
夢の中で、砕かれた黄金と戯れているのだろうか?
取り返せなかった過去を、悔やんでいるのだろうか?
その酩酊を、ジョーは隣り合って許す。
例え完全に重ならなくても、俺たちの思いはここにある。
一人でも、一人ぼっちじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
そうなれた幸福を独り噛み締めながら、ジョーはアダムのスケートを想う。
全てが敵で、だからこそ愛されてくて、たった一人誰かを探し求める走り。
そのパートナーになれるのは、アイツを救えるんは俺達じゃなかった。
それでも、俺たちはここにいる。
身体はでかくなり、飛べる高さも上がった。でも取り返せないものが、悲しく時の河を流れていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
それを追い求めて、流れに逆らおうとは思わない。
時を止め、巻き戻す歪さよりも、変化を寿ぎながら誰かと繋がる生き方を、南城虎次郎は選んだ。
強く、優しく、少し寂しい…気高い生き方だ。
ジョーがスゲェ好きになるエピソードでした。選ばれない哀しさを知って、なお色んなやつと隣り合い、自分を諦めないのが凄く良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
その気高い正しさがあればこそ、アダムとチェリーのすれ違いと破綻、綺麗に輝く夢の破片が、残酷だけど悲惨ではないバランスで描けるのだと思います。
大人たちをヤグラの外に放り出して、トーナメントは進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月6日
”特別”を手放したレキと、彼を求めるランガの道は交わるのか。スネイク VS ミヤの決着は。
非常に熱く強い物語が展開していますが、次回は総集編っぽく。
んーむ、第10話が待ち遠しいがッ、情報整理もありがたい! 楽しみッ!