スーパーカブを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
一万円の中古カブを手に入れた小熊の世界は、静かに色づき始める。
極限チューンの郵政カブを乗りこなす、新しい友達。
彼女が教えてくれた、何処にでも行けるカブの魅力。
今日はいつもとは、少し違う道に進もう。
時速30キロで、私は何処へでも行ける。
そんな感じの、ヤバい女がIN! な小熊ちゃん青春日記、穏やかなる第二話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
静かに熱いカブとの出会いを果たした第一話を受けて、ないない少女の日常が小さく色づいていくエピソードであった。
普通の友達関係ではないけど、奇妙で寡黙で、とても素敵。
そんな距離感を礼子ちゃんと、カブを仲立ちに作っていく一歩目であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
金は相変わらずないけども、カブが連れてきてくれた新しいスーパーで激安レトルトも買えたし、友達も趣味も出来た。
ないない少女は、もう”ないない”ではないのだ。カブは偉し凄いなぁ…。
大会出るわけでも恋が始まるわけでもなく、小熊の高校生活は相変わらず地味なのだが、しかし確かに何かが変わっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
その一呼吸づつを丁寧に追う作劇と表現は、今回もしっとり豊かであった。
こういうスローペースの描画がハマるのは、やはり生活器具たるカブの性格なのだろう。
同時に”バイク”としてこだわっても面白いということを、『富田林の社屋建て替えられるくらい貢いだ』っつー、カスタムカブマニアバカ受けなジョークを飛ばす礼子ちゃんが教えてもくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
生活の脚、こだわりの愛機。
色んな楽しみ方が出来るカブの魅力を、多角的に描く筆が、序盤から元気だ。
礼子ちゃんとの友情がどう転がっていくかは、まだまだこれからであるけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
カブに何が出来るのか、カブで何がしたいのかを小熊に教え、いつもとは違う場所に導いたファースト・コンタクトだけで、いい友達になれると思わされた。
不思議で、爽やかな青春のスケッチであったね。
小さい変化を積み上げて、地味な物語に充実感を出していくのは、この作品に特徴的な描写。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
マニュアル片手に、メットホルダを”発見”してまた一歩、自分を前に進ませる小熊が可愛い。
中々引っかからなくて苦労する仕草の、細やかな生っぽさも良い。
(画像は"スーパーカブ"第2話より引用) pic.twitter.com/oJ6xX3s6hf
小熊は孤独だが卑屈ではなく、一人でしかない自分を背筋伸ばして受け止める強さのある子だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
カブを生活に取り入れ、備わった機能一つ一つに手を添えて、自分に引き寄せていく仕草にも、静かな充足感が宿っている。
自分を憐れまない、乾いた高潔がおかっぱ頭にある。
無論様々事情もあり、思う所もたくさんあるのだろうけども、このお話の静かなボリュームはまだ、そんな背景を拾い上げていかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
あくまで小熊の前を滑っていく日常を、彼女と同じペースで視聴者が体験できるよう、焦りなく空気を切り取ってくる。そのアダージョが心地良い。
同時に小熊も、ピカピカな日常の主役になることを夢見てはいて、しかしそれは夢でしかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
あからさまに彩度が上がった、夢のバイク乗りとして教室のヒーローになる世界。
それはあくまで、夢でしかない。妄想に微睡む小熊の、ゆるっとした笑み。
(画像は"スーパーカブ"第2話より引用) pic.twitter.com/LFfuNxNmKn
礼子は斜め前の席にずっと存在していて、しかしその顔は見えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
そのアングルは小熊の認識を反映している。
本当はレトルト温めたいけど、混んでるしいいや。
そうやってモソモソと昼飯をかきこむ孤独に、ないない少女は慣れている。
だがしかし、本当は世界を色づけたい。
学校の端っこで日々をやり過ごしている高校ニ年生、等身大の夢と現実が、静かに踊る描写である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
ここで小熊が現実を諦めきらず、なんか変えたいと思っていることが解って、凄く良かった。
その思いがガソリンになって、小熊のカブは未来に漕ぎ出していくのだ。
家庭科の授業でサラッと『カブ買った』と言っても、周囲の反応は『原付じゃん』である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
小熊にとっては世界を変えるかぼちゃの馬車でも、まぁ世間はそんなもんだ。
つーか『夜逃げすんの?』とか、冗談としてはギリギリボークなタマ投げてきて、ちと心配。
(画像は"スーパーカブ"第2話より引用) pic.twitter.com/6C49nEZzbo
実用本位の黒生地で、メットと手袋入れる袋を作ろうとモソモソミシンをいじる小熊に、ヤバい女が接触してきたッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
カブと聴いたら黙ってられない、一人だけ白ベストの少女。名前と顔しか知らないその他大勢が、グイと背景から身を乗り出し挨拶してくる。
友なし趣味なし、灰色に見える(小熊の目にもそう写ってる)学園生活が、小熊の門出を祝うように巾着袋と友達を手渡してくれたのが、僕はなんだか嬉しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
当たり前に流れていく日々の中、孤立しているように見えて世界はそれなりに優しくて、妙な縁も、役立つ袋も手元に届く。
前回バイク屋のオジジや、コンビニのオジサンを切り取ってきた、乾いているけど無情ではない他人の捉え方、世界の見つめ方が、家庭科の授業、そこで動き出した友情の書き方にも、継続してる印象を受ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
静かで当たり前の世界を、拗ねない視線で見続ける姿勢は凄く良い。
ようやく同好の士に会えたと、体温上げる礼子ちゃんが持ち出してきたのは、真紅のスーパーカスタム郵政カブ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
ここで音響にこだわってる強みが生きて、小熊のドノーマルとは全く違うエンジン音が、問答無用でこだわりを理解らせる。
(画像は"スーパーカブ"第2話より引用) pic.twitter.com/sJ3x0J4qzK
同じ道を並んで帰るわけではなく、なんかよく理解らねぇカブ呪文をつらつら詠唱して帰ってった変な女の名前を、小熊はマニュアルめくりながら思い出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
いつもの帰り道、いつもの夜。
しかしそこには、もう変化の兆しが宿っている。ただ眠るだけのルーチーンに、”カブを知る”という工程が入ってる。
小熊の”いつもの帰り道”はおそらく意図して重ねられれてる演出で、様々な道があるのに選べない窮屈さ、同じ道を繰り返す出口のなさが、このタイミングでは強調される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
しかし思い返せば、”いつもの帰り道”を外れたことで小熊は、カブと出会ったのだ。
世界を色づけていく基点は、あくまで小熊の小さな決断にある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
カブはそれにピッタリと寄り添って、足となって自由を与え、友達を連れてもくれるが、しかし選ぶのはいつでも小熊だ。
ないない少女の、小さな選択。
それを手助けしてくれる、機械の友達としてのカブ。
それにはいろんな形がありうるのだと、気合の入った3Dモデルとエンジン音が、しっかり教えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
磨き上げたクオリティが、物静かな作風をしっかり下支えし、伝えたいメッセージを的確に届けているのは、強い演出であろう。
説得力あるもんなー、バリバリカスタムの郵政カブ。
カブ友…っぽい人と知り合っても、小熊の日々は変わらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
レトルトも燃料も徐々に減っていって、生活は維持されなければいけない。
ここで減ってる食材を映しておくことで、後の冒険の充実感がグンと前に出るね。
(画像は"スーパーカブ"第2話より引用) pic.twitter.com/vYyYT5GvCZ
小熊は前回のピンチから学び、出発前にしっかり燃料を確認する。シートを戻して、撫で擦るその仕草に、カブへの愛情と信頼がよく滲んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
台詞を極限まで刈り取ってるアニメなので、仕草で語る必要があるけども、描写を差し込むタイミング、その画角共に凄くいい感じだ。静かで強い。
それは繰り返される”いつもの帰り道”も同じで、小熊はずっと、青と白の分岐を見上げている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
何処かに行きたいと思いながら、行く術がなかった過去。
それが、変わるかも知れないという予感はまだ、小熊の心に表面化しない。しかし静かに揺れるからこそ、小熊は地面より高い場所を見るのだ。
そういう静かな期待感は友情にも同じで、郵政カブの変な女がなんか言ってこねーかなー、”ダチ”になれねーかなーと、挨拶などしてみる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
しかし反応は薄く、『空振りかぁ…』とため息ついていつもの昼飯、ヤバ女が動くッッ!!!
(画像は"スーパーカブ"第2話より引用) pic.twitter.com/PEwcwhZfd9
お友達にお昼に誘われる、カースト上位のドラマ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
小熊が無縁だと諦めようとしていた夢の光景が、向こう側からグイと手を伸ばしてくる。
『”お友達”と食べる約束してるから』つー決り文句が、自分のことだとは思わんじゃん…最高の友情サプライズじゃん…。
ここの小熊と礼子の押し引きは、凄く生っぽくて良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
カブトークでなんか盛り上がって、しかし友達になれたか自身はなく、ちょっとだけ勇気出して挨拶してみて、しかしド派手に返事するわけではない。
人間関係の機微、臆病と勇気のダンス。そういうモンが上手く滲んでいた。
礼子の方もあんだけのカブキチ、カブ友出来たのは嬉しいと思うんだけど、なんか青春ドラマっぽく派手にリアクションするのも、ちょっと違う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
しかしカブ乗りらしく、楽しい昼は過ごしたい。
結果ヘンテコでロマンティックな、駐輪場の会食と相成る。彼女たち独特の友情で、非常に良い。
抑えめな小熊とグイグイ来る礼子…という、解りやすい陰影ではないけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
お互いのキャラクターが上手く滲み合って、ないない少女に友だちができていく。
そこで受け取った言葉が心の扉を開けて、小熊は青信号に導かれながら、”いつもの帰り道”を越えていく。
(画像は"スーパーカブ"第2話より引用) pic.twitter.com/EpzeBUSDbU
信号待ちの時間を、青春のスターティンググリッドとして描き、心地よい緊張を画面に宿したのが良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
ほんのちょっとだけ、灰色だった日常とは違うことをしてみる。
そう思える力が湧いたのは、カブ…が連れてきた友達の言葉あってこそだ。
このあたりから画面が如実に明るくなり、世界に音と色が満ちていく。ここら辺の表現主義的緩急は、第1話から継続である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
ここでコンビニとGSを映しているのが、凄く良かった。前回描かれた”昨日の景色”を、超えた先にある新しい世界。
(画像は"スーパーカブ"第2話より引用) pic.twitter.com/mwqKDBOArj
そこには激安レトルトがあり、何処か遠く広い場所で世界を見つめる礼子がいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
止まっていたとしても、自分が何処にでも行けるのだという革新を与えてくれる、機械を超えた機械。
カブのバックミラーには”また、明日”来るべき場所が映っている。
カブが照らしてくれるもの、繰り返す昨日を超えた先にあるもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
微笑む小熊の表情が、大変柔らかでいい。
こういう小さな喜びが、ないない少女が何かを積み上げていく…本当は求めていたものを掴み取っていく、大事な足場になるのだろう。
(画像は"スーパーカブ"第2話より引用) pic.twitter.com/T6IbBViwQS
でもその歩みは一進一退。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
ウィンカー間違えて出して慌てて消したりしながら、こぐまの青春は時速30キロで進んでいく。
その穏やかで、小さな喜びと決意に満ちた速度を一緒に、肌で感じられるようなエピソードでした。
大変良いッ! マジ素晴らしい。
タイトルにもなってる礼子のお披露目回でもあったが、郵政カブの圧倒的存在感に支えられ、ヘンテコな主人公にふさわしい”ダチ”として、良いデビュー飾ったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
ずっと進みたかった道に、舵を切る切っ掛けが礼子の言葉っていうのが、小熊が手に入れたものの意味を教えてて最高。
小熊は教室のヒーローにもなりたいし、遠くにも行きたいし、灰色の世界に取り囲まれつつも凄く心のエンジンが熱い、抑圧された主人公だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
そんな彼女に足が出来て、ダチが出来て…なら、何処にでも行けるじゃねぇか!
そんな青春の鼓動を、静かに熱く感じることが出来ました。
つまりただの雰囲気系ではなく、青春の抑圧と迷い、そこからの開放と飛躍をしっかり追いかけてくれるジュブナイルだと、強く示してくれた、ということです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
骨が強いと、色んなものが乗っかる。
小熊がカブと、礼子と一緒に進む明日の景色が、大変楽しみです。いいアニメや…。