バクテン!! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
ついに始まった合同合宿。
アオ校男子体操部は強豪・シロ高のハイレベルな演技に打ちのめされ、自身を失っていた。
優しく相手を気遣って、生まれる一体感。
それだけが答えじゃないと、ふと見上げた空が教える。
追いつき、追い越し、共に高める未来へ。
アオ高、高く翔べッ!
そんな感じの合宿後半、気持ちのいい奴らの顔が更に良く見えてくる第四話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
ライバルとして登場したシロ高の紹介などしつつ、他人をよく見る体操バカだからこその罠とその突破、変化の兆しを描くエピソードとなった。
シロ高の個性と人格を見せる筆が達者で、また好きな連中が増えた…ありがたい
男子新体操をテーマに選んだこのアニメ、身体が躍動する力強さを描く"動"の表現と同じくらい、体を動かしていない時の"静"の表現が良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
足を止めている時に何を描いているかというと、とにかく他人をよく見る"眼"を描いている。
それと同時に、一心不乱に己の内面に潜り込む"眼"も。
翔太郎は非常によく周囲を観察している子だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
それが誰かに探りを入れる臆病ではなく、他人をより良く尊重したい気持ちの現われになっているのが、作品全体に漂う心地よさの源泉なんだけども。
とにかく、何かを見てる描写が多い。
(画像は"バクテン!!"第4話より引用) pic.twitter.com/VkBlfi0GGv
彼の視線に導かれる形で、美里くんとましろくんお距離感とか、選手時代の志田監督とか、色んなものが視聴者にも見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
お話の中で何処に注目してほしいのか、他人をよく見る翔太郎の視線を通じて、上手く誘導している感じもある。
ここら辺の上手さが、結構人数多いのに飲み込める理由かと思う。
他の子達も凄く他人をよく見て大事に出来る子たちだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
七ヶ浜キャプテンみたいに熱血だったり、美里くんみたいにムッツリだったり、その現れ方は様々だが、自分勝手に誰かを踏みつけにしたり、誰かの努力を見落としたりはしない。
全体的に人格が優良で、他人を尊重する方法を知っている。
ここが非常にカッチリしているところが、作品全体の心地よさ、イヤな濁りのない"青さ"の土台になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
シロ高のライバルたちの書き方も、まず共同生活の足場を心地よく保とうと、家事を怠けないところから始まる。
(画像は"バクテン!!"第4話より引用) pic.twitter.com/pT4pQS5ry2
猪突猛進のおバカ、計算し過ぎのデータマン、花を慈しむ変人と、味付けは記号的でトンチキながら、シロ校の子供たちも魂の根っこが太い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
掃除、食事、花飾り。
一時とは言え生活を共にする場所、口に運ぶものが美しく、美味しくなる努力を惜しまない。
肩の力が抜けた合宿風景を描写しつつ、大湊くん、竜ヶ森くん、吾妻くんが面白く気持ちのいい連中であると、スッと見ている側に解らせてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
ここが非常にスムーズで、『相変わらず上手いなぁ…』と唸らされた。
やっぱスゲーカッチリしてるアニメだ。でも、動きは固くならずに闊達。
そんなシロ校は、先週ラストに見せた演技そのままの実力者であり、チームとしての完成度も高い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
やっぱ普段ポヤッとしたましろくんが、試技に望むとスッと瞳の底が冷えて、新体操に三昧になるのが大変良い。"本気"って感じがする。
(画像は"バクテン!!"第4話より引用) pic.twitter.com/h0SKFKgmAf
シロ高もアオ高も演技前に円陣を組むが、高瀬キャプテンはメンバー一人ひとりの強みを確認し、それを活かすように意識を持っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
仲間を過剰に”見過ぎる”のではなく、自分がどんな選手なのか、それが六人集まってどんな演技ができるのかを、それぞれが程よく見ている。
個性と能力に立脚した、真のチームワーク。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
シロ高は、後にアオ高が…七ヶ浜キャプテンが見据える高い目標に、この段階で既にたどり着いている。
アオ高にとっては新たな”目標”でしかないものが、シロ高にとっては既に”現実”なのだ。
この主役とライバルの距離感描写が、凄く良かった。
同じ高みを目指しつつ、現段階ではライバルたちが遥かに上を行っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
そういう書き方が出来ているので、シロ高が”強い”ロジックが素直に飲み込めるのだ。
加えて、彼らには強い敬意がある。
戯れるようにガミガミ言い合いながらも、不甲斐ない現実が浮き彫りになれば、ただただ項垂れる。
七ヶ浜くんと高瀬くん、二人の大きく離れた距離は、ライバルに追いつきたくても追いつけない無念を上手く可視化し、もどかしくも熱量があった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
たった三人のステージに、見据えた”蒼”の景色。演技に滲む競技への敬愛と、分厚い努力。
(画像は"バクテン!!"第4話より引用) pic.twitter.com/e6LJhibRPB
高瀬キャプテン達もまた、シロ高の新体操に魅入られ、高みで競い合うことを望んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
そういう事ができる男達なのだと、七ヶ浜くん達を信じている。
コミカルで時に記号的な表現の奥に、そういう熱い情熱があること…それが自分だけでなく、仲間でもないライバルに向けられていること。
そういう事が解ってしまうと、まー彼らを(また更に)好きになってしまうのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
高瀬くんがアオ校に、七ヶ浜くんに向ける視線の強さは、彼が真摯に新体操に挑んでいるからこそ燃えている。
より高く、より強く翔びたいといつも思っているからこそ、競い合い高みを目指せるライバルを欲する。
そういう競技への想いが、他者への視線と立ち居振る舞いに滲んでいるのも、作品を支える太い背骨だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
この話に出てくる選手は、みんな男子新体操が大好きだ。
とても美しい景色を、見たこともない自分自身を、響き合う心を形に出来る、最高の表現競技だと信じている。
テーマに選び取ったものをそういうふうに、世界で一番高い場所にキャラクターとドラマが押し上げてくれる作品は、やっぱり良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
自分たちが書いてるものは、最高なんだ。
製作者がそう信じればこそ、キャラクターもテーマもその情熱に突き動かされて、独自の息吹を宿し始める。
不甲斐ない演技に思わず頭を下げた七ヶ浜くんに、志田監督は一言だけ、助言を差し出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
『立ち止まって、空を見る』
謎掛けめいた言葉を裏打ちするように、翔太郎の視線は低く低く、心の奥底を彷徨う。
自分は初心者だから、先輩たちに置いていかれないように
(画像は"バクテン!!"第4話より引用) pic.twitter.com/crvwcdaGQM
他人をよく”視る”からこそ出てくる言葉に、優しい先輩たちは同調していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
みんなで息を合わせて、破綻ないように一つに。
でもそれが、俺達の答えなのだろうか。やりたい新体操なのだろうか。
立ち止まったキャプテンは、ここで青い鳥を見る。
まだ飛んでいない、でも翔びうる力を秘めた鳥を。
今は確かにできない。影が地面にへばりついて、理想に追いついていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
でも青い理想像は、いつでも最高のアーチを描いて宙を待っている。現実よりも遥かに高く、強く飛ぶ憧れがあればこそ、現実がそこに追いついていくんじゃないのか。
もっと身勝手に、力強く飛んでも良いんじゃないのか。
ここにキャプテンである七ヶ浜くんが最初に気付いて、熱く前のめりに語りだすのが最高に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
追いつこうとするな。歩みを緩めるな。
同じ部活にいても、それぞれ強みも魅力も違う、だからこそ高めあえるライバルとして、高く飛ぼう。
(画像は"バクテン!!"第4話より引用) pic.twitter.com/Mo6g1qgB5e
不甲斐なさや過剰な思いやり…アオ高を縛っていた鎖を焼き切るような、キャプテンの強いメッセージを受けて、翔太郎の視線が上がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
そこで見るのは、誰もいない青い空だ。
確かに、翔太郎の”見る”力は素晴らしい。優しく、正しい資質だ。
でも見過ぎれば、その良さも歪んでいってしまう。
上手く出来ない自分、理想に届かない現実もまた、翔太郎はよく”見て”しまう。それに囚われ、引っ張られ、優しい仲間たちも翼を殺していた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
時に視線を上げ、誰もいない自由な夢を見上げること。
身勝手に前のめりに、ガムシャラに走った先にあるチームワークを目指すこと。
それが自分たちを圧倒したシロ高の高みに並び、追い越していく大事な鍵だと、七里ヶ浜くんは志田監督の言葉をヒントに気づき、翔太郎達に伝えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
彼の胸に広がった青い発見が、一人の心で収まらないのがとても良い。
彼はキャプテンで、仲間が本当に大事なヤツなのだ。だから、黙ってられない。
心から溢れ出した熱い思いが体を動かし、言葉となり、広がっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
そう出来るのも、普段から他人をよく”見る”青年だからだ。立派なキャプテンだからだ。
このあぜ道の青春語りで、七ヶ浜くんがどんな男(ひと)なのか、凄くよく解った。
好きになれて、大変ありがたい。ハンサムな青年だ…。
かくしてさらなる飛翔の緒を見つけ、始まる歓迎会。たくさん食べるあさをちゃん可愛いねぇ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
アイドルにヤクザ映画に華道、それぞれ響き合うものがありつつ、一番魂がアツくなるのはやっぱり新体操。
とんでもねぇ体操バカ達が、一つの場所に集まっている。
(画像は"バクテン!!"第4話より引用) pic.twitter.com/OTDOuhmEzu
気づけばどう技を決めるか、高く跳ぶかの話になっちまう”ライバル”達の一本気を、翔太郎が”見て”喜んでいるのが大変良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
この話には、心の底から新体操が好きなバカしかいねぇ。寄れば触れば、飛んだり跳ねたりの話になっちまうんだ。
それがとても良いことだと、翔太郎の視線と言葉は僕らに伝える。
ましろくんもかつての仲間が、何を思ってアオ高で新体操をするのかをよく”見る”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
ここにこそ、俺の理想がある。だから、お前と同じ場所にはいられない。
むっつりと感情が見えにくい美里くんが、メラリと燃やす情熱。
今、この場所、この仲間たちとしか生まれない青い夢。
そういうものをみんな持っているのだと、照れずに伝えてくる作風が、やはり真っ直ぐで強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
『心が見えにくい』ってのが美里くんのキャラ属性だと思うんだけど、新体操への真摯さ、仲間への想いは仮面を突き破って、見ているこちらにもしっかり伝わるよう描かれ続けている。
だから、彼が好きになる。
合わせない。縮こまらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
監督の助言に導かれ、飛び立つべき青い空を見上げた子供たちはたった一晩で、羽ばたき方を思い出した。
かつては鋭く尖ったエースは、子供たちが自分で答えを見つけられるよう、最高の指導が出来る大人になった。
(画像は"バクテン!!"第4話より引用) pic.twitter.com/zkHEj1Id1X
そんな物語をフロアの外側で踊らせつつ、物語は続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
仲間で、ライバル。
その思いは合宿で絆を深めたシロ高にも、お互いを熱く深く理解りあった部員にも伸びている。
必ず肩を並べ、共に高みへ。
その思いは、学校の壁を超え、もっと広い場所へと翔び立っていける。
そんな広がりと奥行き、高みを感じさせる合宿エピソードでした。とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
蒼穹のように高く澄んだ理想は、なかなか遠い。四人編成に慣れすぎている、才能の凸凹がある、ド素人である。
自分勝手に突っ走るのではなく、相手を思いやれる優しさも時には、翼を縛る鎖になる。
でも清々しい導きと、理想に届かない自分を不甲斐なく思う熱い心があるなら、必ず道は空に繋がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
単純にスランプを超えるだけでなくアオ校の行く先、物語の未来を力強く押し上げる、とても良いエピソードでした。
キャラのこともお話のことも、よく判る手際と強さがあったな。
地べたを這う情けない現状と、目指すべき高み。合宿を通じて学び取ったものを胸に、アオ高は初の大会へと挑んでいくのでしょう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月2日
問題点の描写とその克服が、爽やかに力強く描かれ、彼らが強くなっていくのに納得行く。応援もしたくなるしね。
青い思いの行き着く先は、一体どんな空か。
次回も楽しみ