MARS REDを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
第十六特務解体。死者からの手紙。横浜銃撃戦。”樽の坊や”の叛逆。
晩夏、微睡みの季節を終えて、物語は加速していく。
戦場を染めた無辜の血に、狂う老将。
貪る者たちに貪られ、牙を突き立てた奴隷。
震災の予感を秘めながら、”零”の物語はかくして、狂奔を始める…。
そんな感じの直球中二病イベントが山盛りでやってきた! MARS RED覚醒の第5話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
今まで座組に似合わぬ、地道で着実な話運びで魅せてきたアニメが、敵も味方も状況が一気に動き、強烈なサスペンスで盛り上げてきた。
コレだよ…やっぱ大正帝都に吸血鬼なら、こんぐらい暴れてもらわないと!
とは言っても、これまでの地道な吸血鬼生活描写、情と業が絡み合う複雑な色彩は、無駄でも嘘でもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
むしろ丁寧に『吸血鬼のいる帝国憲兵隊』の空気、そこに漂う感情を描画したからこそ、事態の急変にしっかり人間の息吹が宿り、強いうねりを感じるのだと思う。
秘めたる狂気を暴走させた中島中将。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
かしずいていた”親”を謀殺したルーファス。
デモクラシーと軍縮の気配漂う大正で、色々ありつつのんきに暮らせるかと思った吸血憲兵の周囲はにわかに沸き立ち、風雲は急を告げた。
この後さらなる惨劇が待ち構える状況で、”零”は何を見つけ、選ぶのか。
今回ドラマティックな方向へ物語が舵を切ったことで、より精妙に彼らの生き様が活写されるだろう、という期待感もある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
やっぱ過酷な闘いに試されてこそ、闇の種族がそれでも”人間”である証明も強く輝く部分あるからな。
大きく潮目が変わったように見えて、描くものは同じなんだと思う。
大正12年という時代、そこに生きる人間と非人間…人間であろうとするもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
精霊流しの川辺や、雨降りの吉原、聖痕焼き付く東京駅に僕らが見たものは、今後加速していく闘争の中でより強く、より激しく照らされていくだろう。
続きがとても楽しくなる、良い第二章開幕でした。
というわけで、複数の物語が同時進行する結構複雑なエピソード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
・第16特務解体指令と、中島中将の暴走
・英国から”輸入”された吸血鬼と、ルーファスの反乱
・零機関と横浜銃撃戦
・前田さんと運命の手紙
が、独立して走っていくお話である。
まず中島中将は期待通りの大暴走で、『ずっとこのジジイヤベーと思ってたんだよな…来るべきものが来たッ!』って感じで最高だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
金剛鉄兵が完全に狼牙棒持った首都警特機隊で、そういうの大好きな人間としては死ぬほどハァハァした。
(画像は"MARS RED"第5話より引用) pic.twitter.com/2ZvM6ZumZQ
血の一滴すら無駄にせず、戦死者の出ない戦場を作る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
隊員に赤い血盃を進め、己は決死の水杯を飲み干した中島中将は、あくまで優しき善意でもって、政府決定に逆らい金剛鉄兵を駆動させる。
それが狂気でしか無いことを、暴走しグールを跳ね飛ばす機関車がよく示している。
彼らが握る棘付き棍棒は、トラのパンツの鬼が持っているそれだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
赤い目をした怪物は死して護国に身を捧げる修羅であり、人理を踏みにじる亡者を成敗する獄卒でもある。
科学で強化されたその力は圧倒的で、S級も余裕で捻り潰す。強いぞー、カッコいいぞー!!
しかし剣持つものは剣で傷つくのであり、暴力は必ず制御を失う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
政治闘争と時流に破れ、省庁指令と組織解体で夢が潰えそうになった結果、駆動してしまった超常の暴力兵器。
初陣は見事な統率と威力を見せたが、血の業に果たして打ち勝てるのか。先行きは暗い。
英国から輸入したS級が、完全にぶっ壊れきった血啜りの悪鬼であると見せておいてから、『血を無駄にしないために』吸血鬼を生み、鋼の規律で統率せんとする中島中将を描くのは、彼にある種の崇高さを背負わせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
しかし善意から出たものが、必ずしも善を為せるとは限らない。
鋼鉄の獄卒達が踏みにじる血は、おそらく彼らが歩む道の暗示であり、また大日本帝国がここから進む運命を焼き付けてもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
お国のために、民のために、死んでいった戦士のために。
その揺るがぬ志は、狂気の銃弾となって命を奪う。
(画像は"MARS RED"第5話より引用) pic.twitter.com/KvPBiAWcsa
吸血鬼に課せられた暴走の定め、悪徳の炎はそういう、力が求める対価、目的を打ち捨てて暴走してしまう危うさそのものなのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
”零”のトップである中島中将は、既にその炎に飲まれている。
暴走した列車のように全てを跳ね飛ばしながら、壊れるまで止まらないだろう。
ここら辺、血を飲まないのに最も吸血鬼的であった前田さんと、妙に呼応する表現かなー、と思ったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
超越者の牙が首に突き立てられるよりも、愛するものを守りきれなかった無念こそが、人を鬼に変えるのだ。
その想いは、全てを薙ぎ払う嵐とも、悲劇を切り裂く刃ともなるだろう。
さて、今までサンシタ感が漂ってたルーファスくんもまた、皮肉げな表情の奥に秘めた狂気を暴発させ、”親”皆殺しを為し遂げた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
いいよ~、腐った貴族制に踏みつけにされていたものが、憎悪とともに全てをひっくり返す展開。”V:tM”っぽーい。
(画像は"MARS RED"第5話より引用) pic.twitter.com/HeYYJSJqh7
沖村くんが期待してた英国S級の”輸血”は、吸血衝動に抗えない怪物を解き放つ売国でしかないと、一発で分る凶悪捕食シーン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
マジでエゲレス吸血鬼が超ろくでもなくて『お、コイツラとバチバチしてくの?』と思った所を樽ボーイが横から蹴り飛ばしたので、意外であり痛快でもあった。よくやった!
超越者でございとふんぞり返りつつ、S級共は餌の供給をルーファスに頼り切りだったわけで、毒盛られて死ぬのも当然かな、って感じはある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
下位の吸血鬼、卑賤な庶子は貴族にかしずくものと驕った足元を、一気に刈り取る。
なかなか良い謀反で、ルーファスくんの評価がグンと上がった。
これが溜まりに溜まった鬱憤を暴発させた結果なのか、なんらか謀略と展望があって発動した策なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
今後の展開が楽しみである。
”零”は暴走解体、英国プランは頓挫と、帝国政府の吸血鬼行政はとんでもないことになってるが、この後すぐに大震災だからなぁ…二人とも、いい頃合いにぶっ込んだよね。
第4話まで描かれた安楽な時代は、9月2日のカタストロフで一気に崩壊する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
秩序が麻痺したアナーキーは、一時的に戸籍と警察権力を麻痺させる。
つまりそれに縛られていた古い種族が、相当好き勝手に暴れられるカオスが到来する、ということだ。
血を無駄にしない鋼の秩序を求め、吸血兵団を率いる中島。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
道化けた仕草にニヒリズムを漂わせながら、旧き秩序に反旗を翻したルーファス。
この後の物語を引っ張ってくれそうな”敵”は、その行動理念において正反対な匂いがある。
さーどうなるか、滅茶苦茶楽しみである。
一方前田さんを欠いた”零”は、小舟に揺られて横浜を強襲する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
呑気に降伏勧告できてた時代は、倉庫から溢れる死の河に飲み込まれ、たった四人の超人兵士たちに出来ることはあまりに少ない。
球切れとオーバーヒートが、”零”の限界を示して面白いね。
(画像は"MARS RED"第5話より引用) pic.twitter.com/qwRG4lOuSQ
吸血鬼が苦手とする流れ水を切り裂いて、奇襲を行う”零”はやはり、イギリスの鬼達とは何処か違う人間性を残している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
中島麾下の金剛鉄兵達は、理性を失い人を襲う”敵”を叩き潰していたが、魔血を飲み干した彼らが怪物にならない保証は、まったくない。というか、まぁなるよな…。
人の叡智の結晶たる科学技術には当然限界があり、フルアーマー山上さんは相変わらずヘロヘロで、スカンクボムはなかなか利かない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
しかしそういうものにしがみつくからこそ、”零”は血に植えた獣ではなく、握った武器を正しく使える人間であり続けられる…のだろうか?
今後激化するだろう闘いの中で、どれだけ”零”の人間性を削り取り、怪物に近づけていくかも気になるところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
そこで秀太郎と葵ちゃんの絆が生きてくんのかなー、って感じでもあるが、さてどうなるかな。
コイツラいいヤツだから、あんまひどい目にはあって欲しくないんだが…なにしろ吸血鬼だからなぁ
兵員輸送列車から大迫力で湧き出した混合鉄兵を前に、四人は前田との合流を急ぐ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
急変する状況を前に、長である中島の暴走に付き従うのか、はたまた独自の道を進むのか。
その決断は、やはり前田さんに委ねられている。
なるほど、この展開なら第1話任せるよな…。
というわけで、優しきサロメが血で刻んだ思いを受け取り、前田義信、運命へあるき出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
サルスベリの花言葉は”雄弁””愛嬌””不用意”。
葵ちゃんのキャラクターをよく表現したお見舞いだ。
そしてもう一つ、”貴方を信じます”。
一度もまみえなかった女が、託したもの
(画像は"MARS RED"第5話より引用) pic.twitter.com/Axfy8egpGv
死者からの手紙が、前田を突き動かしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
前田さんが岬の残り香を追うように劇場に向かい、その遺言をデフロットから受け取った時、彼は愛する女が舞台の上から見つめた世界を知る。
あくまで寡黙に、義人の仮面の奥に燃える炎を押し殺して進む姿は、やはり良い。
大恩ある上司の狂気に殉じるのか、はたまた血で刻まれた約束を信じるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
前田さんの悩みは深い。
そこで中島中将より先に、劇場行って岬が見たもの、言いたかったことに触れようとするところが、僕は好きだ。
”義”を名前に刻みつつ、やっぱ愛の人なんだよなぁ…。
というか、無辜の血の重さに耐えかねて人道を外れた中島中将…義理の父となり得た人を『不義なり』と斬るのが、前田さんの修羅道になるのかなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
あの人、自分の娘が吸血鬼になって処理されたのにあの表情だったわけだ。
やっぱもう”鬼”じゃん、血吸われてないけど。
かくして運命の波濤は荒れ狂い、小舟に揺れる人々を飲み込まんとしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
ここに人は何を決し、鬼は何を思うか。物語は破壊と混乱の季節へと、一気に突き進んでいく。
そのスタートとして、大変良い仕上がりでした。
開始(はじ)まっちまうな…”軍神の紅い季節(MARS RED)”が。
でもこっからのお話が”本番”ってわけじゃ、絶対ないと僕は思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
ちょっとトボケて、でも魅力的な大正の吸血鬼が見せてくれた、穏やかな日々。
それでも流れる血と、軍人であること、怪物であることの宿命。
それをここまで描いたからこそ、平穏が壊れていく物語には重さが宿る。
守るべきもの、悲しき定めを静かに奏でるのに四話も使うのは、何かと忙しい昨今の風潮には反しているかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
でもそうやって、吸血鬼が生きること、それが取りこぼしてしまうものに時間を使ってくれたことが、このお話が何を描きたいかしっかり伝えてくれる。
血を吸っても、鬼は人でいられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月4日
血を吸わずとも、人は鬼になる。
中島の暴走、ルーファスの策略に翻弄される中、今後もそういう事を描いていくアニメなんだと思います。大変楽しみです。
人間の条件を見つめ、人でなしの人らしさを描く。
吸血鬼の物語である理由がしっかりあって、僕は凄く好きだ。