シャドーハウスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
生き人形を監督する星付き・バービーの強権により、エミリコと内気なラム、正義感の強いショーンは深夜の見回りを強制される。
寝不足とすれ違いに悩まされつつ、エミリコの笑顔は夜を照らし、お互いの手を繋いでいく。
果たして嫌疑は晴れるのか!?
そんな感じの炸裂腹パン腹キック! シャドーハウスは素敵なお家!! な、シャドーハウス第4話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
先週は非人間的なこびりつきの恐怖に震えたが、今回は偏見、暴力、卑屈と、人間的な…あまりに人間的なヤダ味が暴れ倒す回だった。
生き人形の社会も、まーロクでもねぇなッ!
二人の間に立ち、笑顔と活発さで光をもたらすエミリコの健気さが、そんな空気の悪さで唯一の救いであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
ケイトの部屋では従者、ローズマリー班では新人。
今まで従属的な立場にいたエミリコが、グズと面汚しの間に立つことで、その資質を積極的に開花していく。そういう喜びもあった。
エミリコはバービーの決めつけに反論する時『なにか理由があるはずです!』と叫ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
それは『余計なことを考えない』ことをベーシックに刷り込まれた、生き人形には生まれない思考だ。
必ず原因があって結果がある。原因を突き止め改善すれば、より良い結果が得られる。
そういう発想は、シャドーの顔になるだけの奴隷には生まれてこない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
ここら辺、エミリコ自身の資質であると同時に、自由な発送を喜び共に活かそうとするケイト様の影響かな、とも思う。
”お披露目”に向けて、一緒に賢くなろうとするケイト様が愛おしい。そら煤も出る。
エミリコと共に深夜の見回りに出る二人は、それぞれ異なっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
目が悪い以外は気質も能力も優れたショーンは、主人の”顔”であり続けるために自分の弱点を補助できない。
自分の欠落、それが生み出す不自由よりも、シャドーの”顔”という機能が最優先される。そして、それを当然と思っている。
正義感と気骨があり、頭も切れる彼からして”そう”なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
生き人形を縛る鎖、館に蔓延した呪いはなかなかに色濃い。
おまけに、そこから出ないように致死性の罠まで仕掛ける始末。あんな凶悪なの、海外TRPGの不条理ダンジョンでもなかなかないぞ…。
ショーンと触れ合う中で、エミリコの長所と短所も良く見えてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
エミリコはもし一人きりだったら、あのトラップで死んでいる。咄嗟に反応できるショーンの鋭さは、エミリコにはない資質なのだ。
しかしそれは、見えない場所にも臆せず突き進んでいく積極性と裏腹でもある。
物怖じせず試して見る気質も、モノ壊しても怒るどころか心配してくれるケイト様の気質が反射して、スクスクと伸びたものだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
エミリコとケイトはお互いを敬う友達でありつつ、大事なことを教え育む教師と生徒でもあって、結構関係が複雑だ。
ケイトが白紙で生まれたことを考えると、母でもあろう
世界で唯一のペアとして、密接に繋がったシャドーと生き人形。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
もし生き人形が輝いて見えるなら、それはシャドーの人格の反射かもしれない。
ショーンの主はまだ顔を見せないが、彼の勇気と正義感もまた、自分ひとりで育まれたものではないのだろう。
一方ラムは自己卑下の檻にガチガチに閉じ込められていて、なんとも可哀そうだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
あの腐った館の中だと、涙にくれた時一緒に泣いてくれる人などいなかっただろうから、エミリコが隣りにいてくれてどれだけ救われただろうか。
想像すると、ジジイはちょっと泣いちゃう…ラムちゃん可哀そう…。
生き人形は、何も考えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
そう教え込まれても、自分が何の役にも立たない無価値な存在と殴りつけられれば、心と体が傷つく。透明な魂の血が、瞳から滴り落ちる。
その涙は人間として当たり前の反応、尊厳の反射行動だ。
それが溢れたなら、誰かが抱きしめてやらなければいけない。
しかし館は、ラムの涙を拭わない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
だから彼女は、己の指に”ラミー”と名前を付け、自分の本心を語ってくれる人形として、孤独を慰めていた。
ここには、自分と似通った名前を付けるシャドーと生人形の関係が、面白く反射しているようにも思う。
同じだけど、違う思いを反射する私の人形。私の鏡。
それがなければ自分を保てないから、顔のないシャドーは生き人形を求めるのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
ラムの心の軋みが、なんとか辛い世界を生き延びるために生み出した”ラミー”と同じものが、この制度には投影されているのだろうか?
屋敷の闇は深く、そこはなかなか読みきれない。
少なくともエミリコは、ラムが一人泣く叫びを間近に感じ『良かった!』と喜ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
それは自分が隣りにいることを認め、言葉を発してくれた…対等な鏡に映してくれたからだ。
悲しいと思っていること。グズでダメな存在ではいたくないこと。
そう教えてくれれば、原因を突き止め、解決することが出来る。
真夜中の冒険を一緒に駆け抜けて、こびりつきの原因を探り当て、嫌疑を晴らすことが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
エミリコの科学的、合理的な発想は、自尊心をズタズタにされていたラムが少し、ダメじゃない自分を見つける助けになる。
手を繋ぎ、パンを与え、一緒に笑う。
考えなくていい、他人の喜びを大切に出来る。
そういうお節介で優しいエミリコがたくさん見れて、今回はとても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
真っ暗で広いお屋敷を、三人だけで探索するお仕事は不気味だが、ちょっと児童文学味のある冒険で楽しくもあった。
地図を片手に、仕掛けに挑む。ワクワクするよね…一歩間違えると死ぬけど。モンスターもトラップもあるし。
エミリコはショーンのハンディキャップを即座に理解し、声を発し続けることで彼の視覚を補佐する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
考えてやったわけではなく、色々喧しい(そして明るく可愛い。エミリコは我らの光…)性格が出たのだと思うが、そうやって自分と違う誰かの欠落を補える人間性が、彼女には濃くある。
エミリコが手を繋ぎ、色々語りかけたことで、ショーンやラムも生き人形の当たり前から、少しずつ動いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
世界を照らす光は魂に及び、エミリコに一緒にいると自分を大事に、他人を好きになれる。
これは得難い資質である。誰よりも主人公に相応しい、最強の武器とも言える。
館社会が決めた”班”からはみ出して、三人きりで館を彷徨った冒険。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
これが彼らが今後生き延びていく、大事な支えになって欲しい。
他人の輝きに影響されて、自分を誇らしく変えていく。
そんなちっぽけで当たり前で、何よりも尊い経験を、闇にすり潰されないで欲しい。
知りたがりのエミリコが照らす光が、けして暴いてはいけない秘密、犯してはいけないタブーにも向けられていくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
この閉ざされた屋敷の中で、彼女に迫る逆風は強い。
だからこそ、他人を照らし、その反射を受けて自分を輝かせるエミリコの闘いは、凄く普遍的な価値を内包していく。
異様で不穏なシャドーハウスは、特別で異質な環境であり、同時に我々を取り巻くものの影を色濃く伸ばす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
抑圧も無理解も、自虐も秘密も。
いつだって我々の隣りにある。怪物の住む館は、楽園になりえない僕らの世界と、何処かで繋がっているのだ。
ファンタジックで不気味な遠さと、不思議な近しさ。
それが両立するよう、ゴシックで魅力的な舞台を整え、その闇を駆け抜けていく光をエミリコに宿せているのが、やっぱいいアニメだなと思いました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
児童文学、ゴシックホラー、ヴィクトリアン館モノ。
色んな要素を鮮烈に彫り込みつつ、それらをまとめる普遍的な芯がしっかりとある。
どんなに踏みつけにされても、人の魂は尊厳を求める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
どんなに押さえつけられても、傷ついた人に手を差し伸べる優しさが人にはある。
エミリコの冒険、ケイトの賢さの奥に、そういうヴィジョンがかなり鮮明に見えてるのが、作品を信頼したくなる大きな足場です。
なんだかんだ俺、モダニストだし。
しかしエミリコにどれだけ資質があっても、一人でいる間、お互いの名前も知り合えない間は問題に接近できなかったわけで、”連帯”というのが館の闇を払う、もう一つの武器なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
そして生き人形は、余計なことを考えない。
誰かの涙に共感したり、不正義に起こったりしない。
エミリコ生粋の人道主義は、そういうルールに真っ向から衝突する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
謎めいて妖しい”お披露目”が次回に迫り、俺のエミリコが大変な試練に投げ込まれそうでブルブルしてますが、同時に楽しみでもあります。
あのクソ館のことだから、ダンスだのヴァイオリンだの見せて終わりなわけねーよなぁ…。
あと、見回りに来た”顔のない人形”が不穏すぎてビビる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月5日
あれは主を失って、”顔”たる役目を果たせなくなった生き人形の末路なんだろうか。
シャドーを喪失すると、顔も名前も対話能力も奪われ、道具めいた存在に落とされるのなら、やっぱこの屋敷相当にクソいな…。