オッドタクシーを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
地獄の釜の蓋が開き、魑魅魍魎が這い出すハロウィン。
ヤクザ、美人局、仮面を付けた正義の暴走。
一皮剥けば吐き気を催す、人面獣心の蠢く渋谷を小戸川は歩く。
目の前ではモップの暴力、遠い倉庫ではマブダチがボコられてる。
八方ふさがり、出口は何処だ?
つう感じの、万聖節狂騒曲なオッドタクシー第7話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
やっぱアレだな…状況がサスペンス&バイオレンスに傾倒するに従って、ファンシーな動物キャラデザがギリギリ皮一枚、この凄惨でリアルな物語を食わせるオブラートになっとると判るな。
それでもエグいもん…。
あらゆる人が仮装し、小戸川が見ている異様な世界が一瞬だけ日常になる、狂えるハロゥイン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
人通りの多い渋谷でも、人気のない倉庫でも暴力が荒れ狂い、綺麗なステージの裏側でヌラリ、ヤクザとの黒い繋がりが煮立ってる。
狂いきった世界で、んじゃあ人間を動物と認識してしまう小戸川が正常なのか。
裏返しになった狂気はやはり狂気でしかなく、押し入れの中に小戸川が何を隠しているのか…そもそもそれが”ある”のかどうかすら定かではない状況で、しかし事態は確かに動いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
大門弟にコンタクトを取り、ドブと一緒に渋谷を走り、逆転のチャンスをひっそりと狙う。
日常会話を全てリリックに変える、露骨にヤバいヤノも顔を見せて、状況は加速し加熱している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
だがその奥に何処か、しんと冷えた静かなものがあって、狂熱で全てが押し流されない硬い怖さが作品を繋ぎ止めてる。
加速と停止、静謐と騒然の奇妙な同居。
異様な描き方が抉る、戯画化された現在の実相。
そういう対極がギリギリ成り立つバランスも、このお話の面白さのひとつなんだなー、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
全てがろくでもない方向に流れていくので、どうしても主人公たる小戸川に体重預けたくなるんだけど、『こいつも狂ってるよ?』と要所で冷水ぶっかけてくるのが、まぁ誠実で巧妙だ。サスペンス!
小戸川は今回タクシーに乗らず、徒歩で自分の物語を進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
抜けてるように見える大門弟の起源を聞き出し、その無邪気な”善”に運命を半分預ける決断をしていく。
兄貴に頼り切りのマヌケに見えた彼が、存外鋭い知性と判断力を持っていること。
それでも、たった一人の兄を信じたいこと。
自分を賢く見せるために、なんか巧いこと言おうとすると力みすぎて滑って、そういう余計なこと考えずにナチュラルに反応すると面白くなる大門弟の書き方、凄くリアルだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
嘘とか暴力とか狂気とか、ゴテゴテ武装した連中ばっか画面に映るので、彼の素朴な真っ直ぐさが一瞬、清涼剤に思えた。
そんな彼も無邪気な天使などでは当然なく、兄弟の信頼を逆手に取られて兄に良いように使われ、そこを小戸川にかき回されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
発砲事件を入り口に、大門弟と個人的な絆を結んだ小戸川は、この泥沼から自分の大事なものを引っ張り上げるために、彼を利用もしている。
だけどそれは大門弟が話の通じるやつ、嘘をつけないやつ、弱いやつを食い物にしない警官と見抜き、信じたからこその功利だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
笑えるものは笑えないものと、薄汚れた我欲はなにか綺麗なものと、繋がるしかないこの世の有様に、小戸川はシニカルな視線を向けつつ、完全に同化はしていない。
その異物感が彼の世界を歪め、剛力はそこから親友を助けたいのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
彼と白川さんの連合軍が、相当に危ない橋を渡ってる小戸川の助けになると良いなぁ、と思う。
ツルンとキレイな表面ではないが、確かに信頼を預けられた大門弟も、悩みながらそれに協力するかもしれない。
ポジティブな助け舟が出港を準備する後ろでは、あからさまにヤバい出会いもあって、ヤノの登場はヒリツクようなきな臭さだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
ラップでしか会話しないヤノ(本職中の本職、METEORが好演)のズレた感じは、ドブとはまた違う暴力稼業の壊れ方が出てて、スタイリッシュでスゲー怖い。
ヤノ→山本→しほちゃん→柿花と、どす黒いラインが一気に繋がって、儚い夢見た中年がズタボロに人生坂下っていってしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
東京湾に上がった女の死体は、美人局くらいしか出来ない三流アイドルの未来の姿かもしれない。
華やかな舞台の裏にある蜘蛛の巣に、彼女も腰までハマってる。
山本さんに感じてたイヤな感じが、柿花への嘘と暴力でキッチリ裏打ちされて、予想があたったてのに欠片も嬉しくねぇ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
止めたい、抜けたいと思っても、ヤノは簡単には開放してくれないだろう。ここら辺、ドブと白河さんの関係とは、ちと違う粘っこさだ。
そこの線が断ち切れたのは、小戸川が自分を釣り餌に身を投げた結果でもあるけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
大門弟が信じたいように、善と悪はキレイになんて別れてくれなくて、悪の真逆は必ずしも善じゃない。
その半端さが軋みを生んで、狂った渋谷で咲き誇っている。
ドブがヤノよりマシなヤクザかと言えば、ポーザーと解っても一切容赦なくモップでボコる姿みりゃ、んなこたぁないと秒で判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
自分が引き起こした暴力の連鎖を、人混みに紛れながら撮影して、もう一バズ狙う樺沢も、まぁ当然ダメである。
ハロゥインの狂騒が落ち着けば、少しはマトモな世界が戻るのか
湧き上がる腐臭にそうも願いたくなるが、画面は『んなこたぁない』と雄弁に語る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
それでも淵に沈まないために、小戸川は流されながら必死に藻掻く。
陸にも住みきれない、海の生き物でもない、半陸半海の半端な生き物を、彼自身の偶像と選んでいる所に、彼が見てる世界の怜悧な寂しさが見える気がする
今回剛力が持ち出した小戸川の輪切りが、どんな狂気を抱えているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
それを治療すれば、この歪みきって血なまぐさい世界もマトモになっていくのか。
ヤノの参入で、物語の行く末は更に分からなくなった。このままじゃ柿花が死んじゃうよ~。
大門弟を現場に引っ張ってった水死体と、ヤノの脅迫リリックを密かに繋げることで、あの潔癖症は”やる”ってことを視聴者に予感させるの、暴力の質感だすのうめーなー、と感心する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
可愛いキャラデザだからこそ、そこ妥協せず硬く描くの大事なんだろうな…いや、エグいんだけどさ…。
色んな人が狂いながら、火の車が祭りを走っていく。振り落とされるのが誰で、ハンドルを握るのが誰かなんて、走りきらなきゃ解らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
それでも、タクシードライバーは自分の人生を自分で制御するべく、必死にあがく。
正義を託せるものと話し、利害関係をチラシの裏にまとめ、自分を餌に絵を描く。
それが他の流され狂う者たちの物語とどう噛み合いながら、ドブ川にも似た浮世を流れていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
夢売稼業も美人局、ヤクザが手洗う皮肉な笑いと、シニカルで黒い笑いは全開だけど、それでも、俺はこの話で気楽に笑いたいよ。
別に作品が変わったわけじゃない。この生臭さは、ずっとそこにあった。
でも思い返すと、第1話の軽快な街の描写、そこに飛び交うトホホな笑い声が、ひどく懐かしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月18日
その一端を担ってくれた柿花は、夢にハメられて顔面ボコボコだ。
どうなっちまうのか、さっぱり理解らねぇまま次回を待つ。
他人の不幸を楽しみに、するしかねぇのが少し悔しい。いいアニメだ