バクテン!! 第7話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
無事県大会を突破したアオ高男子体操部は、中間テストに苦しんでいた。
七里ヶ浜キャプテンの口から語られる、志田監督の過去、体操との出会い。
荒んだ瞳で地面を睨んでいたって、青い空には届かないと、教えてもらったあの日から。
約束が、僕たちを繋いでいる。
そんな感じのバクテン/ZERO、志田監督の過去話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
ここまで悩める若人をしっかり見守り、良いタイミングで助言を差し出していた頼れる監督の、苦難に満ちた過去と、そこからの再起。
見たいと思っていた物語が、良いタイミングで入ってきた。グッドだ。
素直さが武器の翔太郎を主役にしてるこの物語、全体的にとても前向きで明るい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
翔太郎は人生の暗い部分に目を向けない子なので、他人を蔑んだり、絶望に顔を伏せるより、心を弾ませてくれる出会いや、誰かの努力や優しさをまず見つめる。
なので、世界に陰りは少なく描かれる。
しかし今回は志田監督が主役の過去エピソードなので、世界を切り取る画角は変化して、絶望や無理解、他人を下に見た報いなんかの暗い部分が、どっさりと顔を出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
世界に居場所なんてない。
体操できない自分に、価値なんてなにもない。
そういう気持ちが、志田”選手”の暗い表情から表に滲んでくる。
しかしそこで、世界の新しい形を教えてくれる人に出会えた結果志田は変わっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
いま子どもたちに見せているような、棘と影のない柔らかな表情で武装して、自分の…みんなの居場所を掴んでいくために、二つの足を使っていくようになる。
影から光への、変化の物語。
それは翔太郎が主演する”バクテン!!”とは少し色合いが違うけど、確かに存在する物語だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
ついに顔を見せた奥さんの支えと導きがあって、他人も自分も大事にできない志田”選手”は、みんなを優しく見つめられる志田”監督”になった。
その変化が七里ヶ浜くんを導き、翔太郎と新体操を出会わせた。
影も光も、色んな事が繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
かつて他人をクズと言ってたから、志田さんの再起はとても苦しいものになり、でも尖った態度の奥にある努力を、馬淵監督は間近で見ていたから手を差し伸べる。
複雑な因果を一個ずつ手繰り寄せて、今の監督がいる。今のアオ校新体操部がある。
キャラと作品が肌に馴染んだところで、そういう足取りをしっかり見せてくれるエピソードが来たのは、とても良かったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
志田監督は真っ直ぐな子供たちを本当によく見守り、導いてくれる信頼ある大人だったので、彼の過去が掘り下げられたのはありがたい。
というわけで美里くんも寮に合流し、IHに向けて本格始動のアオ校…なんだが、赤点軍団は中間テストに苦しんでいた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
普段部一丸での描写が多いので、学年に分かれて勉強教え合うシーンは、新鮮かつ可愛くてよかった。
亘理とあさをちゃんの、二年生組が特にグッドだったね。
美里くんが家に居続けた理由、入寮を決意した理由、IHに絶対行きたい理由は、まだ伏せ札だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
前半戦の伏せ札だった”志田の奥さん”を、凄く良いタイミング、納得感の強い使い方で表にしてきたので、ここもいい具合に開けてくれるかなー、と期待している。
さて監督の過去開陳、となるのだが、現役時代の荒み方が半端ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
合宿で馬渕監督がコスってたように、体操だけに価値を認め、そこからはみ出したやつは全員カス! という、刃のような価値観で生きる男。
それが志田”選手”である。
(画像は"バクテン!!"第7話より引用) pic.twitter.com/Du7ren0o2y
フードの奥に視線を隠して、他人を素直に見れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
体操の出来ない自分には価値がないと、自暴自棄に投げ捨てる。
ケガのことを言い出せなかったのも、他人への信頼のなさと同時に、体操ができなくなるかもしれない自分に、恐怖を感じていたからなのだろう。
翔べなくなったら、他人は自分を見捨てる。だって、自分はそうするから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
フードに閉じ込められた視線はそういう、狭い世界に志田”選手”を追い込み、その翼を折った。
でも、それが終わりじゃない。
地面を這いずって、当たり前の人生を歩けるよう自分を鍛え直したあなたには、強い価値がある。
そう言ってくれる女性との出会いで、志田さんは伏せていた視線を上げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
空を見上げると、見えるものがあるよ。
素直さは、それだけで強さだよ。
かつて翔太郎や七里ヶ浜キャプテンに告げた助言は、実体験から出たものだったわけだ。
素直に世界を見れないと、とても苦しい時を過ごす。
そんな暗い世界に、青い空を届けてくれる出会いというものがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
『そらーこんな出会い方したら、超愛妻家にもなるわなぁ…』という、奥さんの救済力であった。
リハビリで体を直しただけでは、志田”選手”の未来は開けなかったけど、言葉を届けることで心もケアした形。立派な医療者だなぁ…。
運命の女(ひと)に出会い、二本の足で進む一人の人間として、新たな道を進みだした志田さん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
しかしその道には、かつて自分が跳ね飛ばし踏みつけた残骸が、ゴロゴロと転がっていた。
選手時代蔑ろにした連中の言葉が、戻ってきて自分を突き刺す。
後悔先に立たずだが、志田さんはもう誰かを恨まない
ここですぐさま監督になれない所が、何事もポジティブに転がっていく翔太郎の物語と違うところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
伏せた視線で暗い世界を生きていると、そこから這い出したとしても影が伸びてくる。因果は、あまり都合よく転がってはこない。
(画像は"バクテン!!"第7話より引用) pic.twitter.com/RVMeyTAr7b
監督としてではなく、一教師としてアオ校に赴任する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
望んだ通りには進まない人生にしかし、幼いあさをちゃんが目を輝かせて乱入し、痛む膝で翔んだ美しさに、もうひとりフードを外すやつがいる。
志田周作が歩いてきた道が、全部瓦礫まみれの獣道ってわけじゃない。
七里ヶ浜くんもなにか屈折したものがあって、フードを降ろしていたんだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
志田さんの跳躍はそれを跳ね除け、若人の人生を変えていく。
自分自身が、奥さんの言葉に、リハビリを諦めなかった自分自身に、影から救い出されたように。
下向きに沈み込んでいく運命は、意思と決意で変えられる。
あるいは目の前に広がる青い感動を、素直に受け止める真っ直ぐな視線が、運命と出会いを連れても来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
多分この話は、そういう連鎖の物語として描かれている。
翔太郎の物語がポジティブに見えるのは、彼が感動に素直に、他人に敬意を持って接した”結果”なんだろうな。
なので運命に出会って思わず足を止め、目を見開いてしまうシーンも人を変え、相手を変えて幾度も描かれるわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
志田”選手”の尖った生き様に、目を輝かせるあさをちゃんがマジ可愛くて良かった。
義兄のこと、相当好きなんだな…だからマネジをやってる、と。
色んな人を傷つけもしたけど、志田”選手”の体操は確かに、人の心を動かしうる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
世間の無理解を煮込んだような教頭に、痛む膝で”男子新体操”を魅せるシーンは、若人の夢を背負った大人、選手を導く監督としての決意が輝き、とても眩しかった。
(画像は"バクテン!!"第7話より引用) pic.twitter.com/cTBfVp11Ei
強豪校であるが故に、新しく居場所を作るハードルが高い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
志田監督と七里ヶ浜キャプテンが切り開いた居場所に、滑り込む形になった翔太郎の視点からは描かれないリアリティが見えたのも、新体操部設立秘話で面白かったポイントだ。
主役を変えることで、上手く作品の死角を補う形になったね。
自分の足でままならない因果に満ちた人生を歩いてみて、初めて骨身にしみるありがたさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
志田監督が、馬渕先輩に頭を下げるシーンも良い。
あんだけ他人に見捨てられてた志田”選手”を、馬渕先輩はなぜ見つめ続けたのか。
悪辣の奥にあるひたむきな努力と、それが結晶した試技の美しさに惹かれたからだ
奥さんが志田選手に見せたような特別な青空を、志田さんも知らぬうち馬渕先輩に、手渡していたのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
そういう出会いは、荒野にもひっそりと埋まっていて、暖かく芽を出してくる。
とても大変な時に背中を支え、一緒に進んでくれる。
志田”監督”は、もうそれを土足で踏まない。
七里ヶ浜”キャプテン”の真っ直ぐな笑顔も、預けられる信頼も、出会いの奇跡も、傷ついた両膝で受け止めて、一緒に進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
そう決意した志田監督の視線は、馬渕先輩と一緒にまっすぐ空に上がる。
そこに広がるのは、雨上がりの青い空だ。
…馬渕先輩、密やかに感情デカいな…。
真っ直ぐに自分を慕う子供たちの視線が、実はかなり屈折した道を進んできた志田監督の支えになってたのは間違いない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
この素直さに恥じない自分になるように、笑顔で居続けよう。しっかりと教え、導き、勝たせよう。
そんな思いを秘めて、彼は『掴み所がない、でも頼りがいが在る大人』をやってる。
選手として青春をひた走る子供たちを、見守り導く頼れる脇役。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
そんな良い位置で描かれていた志田監督にグッとクローズアップして、翔太郎主役では描けないものを作品に取り込む、とても良い過去編、番外編でした。
翔太郎は人間力がマジで強いので、光しか呼び込まねぇんだよな…。
その揺るがない輝きがこの作品の強さでは在るんだけども、同時に影を描かないと片手落ちではあって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
なかなか扱いが難しい陰影を、こういう形でしっかり踏み込み、爽やかに描ききったのがとても良かったです。
素直さに欠けた暗い生き様は、当然荒れた道を用意してくる。
でもそこからでも、顔を上げて青い空は見れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
過去に積み上げてきた努力、特別な運命との出会い、それを見落とさない素直さ。
それを忘れなければ、自分を狭い場所に閉じ込めていたフードを上げて、輝く場所に翔び立てる。
そういう話だったと思います。志田監督主役でしか描けない、良い補助だった
そんな人生にひっそり、確かに寄り添い続けた馬渕先輩の感情がデカいのも解り、僕もホッコリ顔です。ガサツに見えるヒゲ男が、スゲー繊細な魂で光を見つめてる描写大好き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月23日
因果と運命を絡み合わせながら、それでも青い空を目指す人々の物語は、まだまだ続きます。
次回も楽しみですね。