BLUE REFLECTION RAY/澪を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
愛した人は、私の敵だった。
衝撃の真実を叩きつけられてなお、陽桜莉から微笑みの仮面は剥がれない。
その奥にある思いを、押し殺した涙を受け止めるべく、瑠夏は不器用に手を伸ばす。
誰かの大切ではなく、今はただ、貴方自身の傷を…。
そんな感じの少女聖痕戦争、ブルリフR第8話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
”強く”なっちまったなぁ…ブルリフRくん…。
そういう話数であった。
お話としては、←の距離感が→になるまでのエピソードです。
微細なる情感の物語に必要な『手首から先の表現力』が暴れたね…
(画像は"BLUE REFLECTION RAY/澪"第8話より引用) pic.twitter.com/yy6wchSYyj
前回フルスイングでふわふわ主人公をぶっ叩いた反動で、お姉ちゃんがぶん回す闇の救済の悪しき側面、それでもなお憎みきれない思い出、それと共鳴する”今”を掘り下げ、複数の正しさと思いが交錯する作品世界を、豊かに書き上げてきました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
話数はかかったが、陣営分けて描く意味がバシッと立ったぜ。
魂に癒着した痛みを引き剥がせば、アイデンティティ自体が喪失し、魂なき空疎は自死の決着を望む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
お姉ちゃん率いる赤の軍勢の影抜きは、絶対の救済ではない。陽桜莉達が信じる痛みとの共存は、必ずしも間違ってはいない。
そして正しさという軸と、併存しながらすれ違うもう一つの背骨。
それは人の思い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
愛しいと感じ、苦しいと嘆くままならない宝石が、何を求めるのか。
そこにこそ答えのない戦いを突破していく力があり、だからこそたどり着くのは難しい。
だが、たどり着かなければならないし、共に歩みたいと強く思っている。
夕日の中、繋いだその手、流れた涙。
それを受け止めたいと掲げた瑠夏の短冊、緑の屋上で触れ合った思いこそが、出口なき迷宮に投げられたアリアドネの糸玉である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
それは、嘘でも間違いでもない。
前回強烈に陽桜莉を殴りつけたからこそ、そういう手応えが作品から帰ってくるエピソードで、非常に良かったです。つええぜ…。
まず猛烈ダッシュして何するかと思うが、いの一番に頭を下げる百ちゃんからして面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
半端に生きた時代を公開するからこそ、言うべきことは言う。伝えるべきは伝える。
ビシッと筋の入った人間力が、常時唸り続けていて、百ちゃんは大変に良い。
感情も情報も、必要以上に抱え込まず仲間と共有しながら、自分だけが出来ることを探してしがみつく百ちゃんのあり方は、見てて清々しい。イライラしないし、スカッとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
ただ真っすぐに走るだけでなく、短冊に掲げた瑠夏の思いを見落とさず、心の宝石箱に大事に仕舞う侠気もある。
前回ラストで姉妹相克の哀しさを強調した”短冊”って小道具が、自分をうまく表せない瑠夏が何を願っているのか、どんな子なのか…その真心が仲間にしっかり伝わっていることまで表すフェティッシュになってて、凄く良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
話数をまたいで、お話の方向性が反転し、同じアイテムが真逆の意味を持つ。
そこから生まれる奥行きがはっきりと判る、素晴らしい祭りの始末だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
瑠夏はむっつり抱え込み人間なのだが、非常に情感豊かで誰かを助けたいと思っている。
それが上手く発現できなかった後悔を、クラスメートの自死以来抱え込んでもいる。
だから、陽桜莉相手には間違えたくない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
伝えるべきを伝え、受け止めるべきを受け止める。
そのためにひどく不器用に手を取って駆け出し、笑顔の仮面を引っ剥がそうと本音を叩き付ける。
誰か誰かと言ってるけども、私は貴方が何より大事。
完全に都々逸の情感なんだよなぁ…・
陽桜莉はかなり体重を預けられない、ペラッペラの主役としてここまで演出されてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
綺麗ごと、他人の世話ばかりで自分がない。
エゴに深くぶっ刺さった切実さで、この怪奇な事件に挑んでいない。
そういう印象は作者が意図して醸し出したものだし、彼女が望んで作ったものでもある。
彼女は幸福を演じることで、世界が押し付けてくる惨めさから自分を守ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
お母さんがいないから可哀そう。惨めに生き延びていて大変。
そんな悪意なき刃でズタズタにされないためには、笑っていられる自分を、誰かを助ける余裕を張り巡らせる必要があった。
空疎な理想の只中に身を置くことで、惨めさと憐憫から距離を取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
そのために、彼女の涙腺は凍りついた。
泣きたいのは惨めだから。なら、私は泣かない。
そんな陽桜莉の”本当”が顕になるのは、ただ一つ、姉の胸の中だけ。
私の一番脆い部分を、お姉ちゃんは受け止めてくれた。
陽桜莉が笑顔と幸福を追い続けたのは、醜い自己防衛であり、それでも夢を追いたかった理想の現れでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
お姉ちゃんが差し出してくれた、空の上には星がある世界を信じたかった。信じたからこそ、ここまで生きてこれた。
瑠夏が伸ばした手は、そんな思いも蘇らせる。
俺は健気にたくましく、勝手なことばかり押し付ける世界になんぞ涙を見せてやるものかと堪え続ける健気な子供と、そんな笑顔の奥に溢れている魂の熱さに膝を曲げ抱いてあげる年長者がマジで大好きなので、今回でもう平原姉妹を嫌いにはなれなくなってしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
スーパーの買い物袋に詰まった『やらなきゃいけないこと』を横に置いてでも、笑顔を作った妹の涙を抱きしめんと、『大事なこと』に向き合える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
これ以上に正しいことは、多分人間の世の中にはない。
お姉ちゃんがなぜ、闇の聖母となり陽桜莉から離れたかはわからない。
しかしあの理解と歩み寄り、それが陽桜莉に生み出したものは絶対に嘘ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
だからこそ、『何故』は付きまとう。
敵味方に別れ、理想を別にして争う運命は、何故生まれたのか。
感情の疑問点と、設定の謎が上手くシンクロし、先を見たくなる作りになっていた。
そして美弦がかつて持っていた人間性の宝石を、今瑠夏が陽桜莉に手渡そうとしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
張り付いた笑顔と正しさの仮面の奥に、確かにうずく柔らかな情感を鋭く洞察して、両腕を広げて隣に立つ。
私の胸で泣けと、おずおずと…しかし確かに力強く間合いを詰める。
瑠夏が短冊に掲げた願いは、無骨ながら嘘なく陽桜莉を支え、届いた。心の奥の重荷を吐き出し、本当に大切なものを思い出させた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
これが出来る女(ひと)は、大変に信頼できる。
物語の中のキャラクターを信頼できると、彼らが紡ぐドラマにもまた、信頼と期待が生まれてくる。
そういう存在として、むっつり口下手な善良人間を今回描けたのは、差く品を見る上で凄くありがたいことだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
この瑠夏剥き出しの至誠が、陽桜莉の薄っぺらい皮相を剥いで、涙まみれ血まみれの人間性を見せてくれたのも、また良かった。
そこには、身勝手なエゴだけがあるわけではない。
痛みと不可分の思い出、汚されてなお追い求めたい理想が、陽桜莉の胸にも確かに輝いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
それを信じることは、一人では出来ない。
かつて…そして今、手を差し伸べ抱きしめてくれる誰かがいるから、正しさを探し求められる。
それは姉であり、瑠夏であり、仲間たちだ。
誰かではない私を追いかけることが、誰かを誰よりも大事にできる正しさに、確信の背骨を入れる手助けとなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
陽桜莉を薄っぺらく見せてもいた、公と私のアンバランスが是正され、より強い結論を胸に宿すエピソードでもあった。
陽桜莉が変身しないのが良いね、今回。力は、そこにだけ宿るわけじゃない
かつて友の死に寄り添えなかった瑠夏が今回、陽桜莉に人間ぶつかり稽古を挑めたのは、陽桜莉が瑠夏に優しくしたからである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
両手を広げ、未来を信じ、希望を託す。
陽桜莉がそう出来たのは、かつて姉にそうされたからである。
世界には痛みだけがあるわけではなく、優しさは繋がりうる。
しかしお姉ちゃんは、そういう物を忘れてしまっている。あるいは、忘れたふりをしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
仁菜ちゃんが投げる熱視線が、陽桜莉の記憶にある優しく尊いお姉ちゃんが死んでない…というかだからこそ、闇の救済を求める現状を、上手く語っていて良い。
はよう侠気人間に戻ってくれや…。
お姉ちゃんのメンヘラ十代救済計画が、救われる子供たちにとっても、核となる紫乃にとってもあんま良いもんじゃねぇと解りもした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
大規模儀式魔術を敢行したら、闇の山百合会のマスコットが末期のファフナーパイロットみたいになっちゃって、こりゃぁロクでもねぇぜ…。
前回作品は『陽桜莉達の救済は、必ずしもすべてを救わないよ』と問うてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
今回の物語はそれに呼応して、『お姉ちゃん達の救済も、危うい部分があるよ』『陽桜莉の信じる夢は、間違ってないよ』と答えてきた。
こうして問いと答えを繰り返すことで、作品の奥行きはどんどん広がる。
そこを一つの方向性、一つの正しさだけでなく、個性豊かでマジやりたい放題のキャラたちが駆け抜けていくのが、また気持ちいいのである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
素朴(配慮した表現)な百ちゃんハウスから、覚悟を決めた表情で出撃してく百ちゃん、マジで面白いからな…侠気ありすぎなんだよな、あの女(ひと)。
『私達バラバラになっちゃうよ…』と都は心配しているが、あの吶喊はお互い思い合えばこそ別の場所に向かう風通しの良さだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
凄く深く熱い部分で繋がりつつ、ベタベタ癒着しないのは主役サイド(つまり作品全体)の良いところよな。
まーお姉ちゃんサイド、相当ネトネトだしな…。
都が典型的ツンデレに見えて、助けてもらった恩義とか、仲間を思う気持ちとかかなり素直に強く叩きつけてくる造形とかも、やっぱ気持ちいいんだよな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
異能伝奇百合の定形を不器用になぞっているように見えて、人間の根っこをちゃんと手捻りしてんのよなー、この話。そこが良い。
というわけで、陽桜莉の笑顔の下の涙を、瑠夏がガッチリと抱きしめるエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
こういう”絵”が定形なぞるだけでなく、血液と体温宿してキッチリドラマを〆れるアニメってのは、やっぱ強いアニメだよ。凄く良い。
(画像は"BLUE REFLECTION RAY/澪"第8話より引用) pic.twitter.com/5p9eTYPuKo
燃え上がるヤンキー魂でスクーター特攻(ぶっこみ)かけた百ちゃんが、記憶なく実感だけあるバディ候補に何を告げられるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月29日
優しき姉が闇の聖母となった背景に、どんな真実が眠っているのか。
そろそろ折り返しが見えてきたブルリフR、ガンッガンに”アガって”きてます。次回も楽しみ。