SSSS.DYNAZENONを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
それは、唐突に訪れた。
全ての後悔を喰らい、終わらぬ夢に閉じ込める最凶の怪獣。
一人、また一人とガウマ隊は過去に囚われていく。
ダイナソルジャーを握りしめ、蓬は血みどろに駆けずり回る。
超えれない透明な壁を、超えうる可能性。それは…。
そんな感じの物語的ジャンクションポイント、ダイナゼノン第10話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
うーむ…難しいッ!
過去を飲み込む怪獣の超常的能力によって、ガウマ隊が今までウダウダ行ったり着たり、抜けるのかと思いきや一歩下がって、でも今までとはちょっと違う…を繰り返してきた青春すごろくは、一気に進む。
本来なら知り得ない自死と事故の区別も、ダイレクトに死者と話すことで決着していくし、人生の分岐点となり得た決断もやり直せるし、死を巻き戻して輝かしい過去に戻ることも出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
それは怪獣や、掌に握った特別な玩具がなければ果たし得ないものなのか。
今まで執拗に、低体温なあやふやさで描かれてきた当たり前の人間的な苦労では、突破し得ないものなのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
その難しさを描くために、ここまで”タメ”てきたのか。
世界の謎も、苛烈な衝突もそれ故の突破もなく、しかし確かに輪郭のない”何か”が積み上がってきた九話の物語があったのか。
今回の急旋回(とまぁ、流石に言っていいだろう)とその先に続く終盤が、何を照らして浮き彫りにするかさっぱり読めないけども、それを見ないとこれらの疑問に答えは返らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
見ても返らないかも知れないし、それは別にこの作品に限ったことではない。他人の造るものは、いつだって分かりにくいのだ
この作品の日常(怪獣のいない場所)と非日常(怪獣のいる場所)はひどく独特で、不気味ですらある角度で同じフレームに収まってきたと、僕は思っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
戦闘シーンと日常シーンを切り取るカメラは全く体温が違い、別の世界のように見えて、しかし日常での心の揺れをこそ、戦闘は常に反映する。
日常を蹴り飛ばす巨大サイズのバトルは、時折生々しい”死”の手触りを垣間見せつつも、玩具の質感で展開し、死体は描かれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
そんな奇怪な断絶と侵食が、一気に形を変えて…あるいは本性を顕にして物語を回し、子供たちが引っかかっていた人生知恵の輪を外す。
そんなエピソードだ。
物語はダルい前置きなく、一気に始まり加速していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
弛緩した怪獣パトロールの合間にも、蓬くんはずっと夢芽ちゃんを見てて、だからこそその消失にも真っ先に気付く。
その狭い視界、だからこその爆発力が、今回の闘いの鍵である。
(画像は"SSSS.DYNAZENON"第10話より引用) pic.twitter.com/5tFkW18dMO
仲間たちは次々影だけ残して過去に食われ、チームは分断されていく。怪獣に対抗しうる特別なアイテムもバラバラにされ、伸びた背丈は無力な子供にまで縮む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
今は懐かしき、あの冒涜の食卓にアンチくんの後悔があると理解るのは、切なくノスタルジックだ。
精神攻撃とも多元世界とも因果改変ともつかない、各キャラクターの根本に一気に踏み込む特別な空間。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
そこには世界全てを滅ぼす危うさと、本当に大事なものに向き合う好機が同居している。
否応なく、心の一番大きな傷を切開されるからこそ、死にかけるし前にも進む。
BGMを隔絶し、大胆なカッティングで印象的に進んでいく物語は、エヴァのディラックの海、あるいはグレンラガンの多元宇宙牢獄を思い出させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
まぁ莫大な引用とコピーを編み上げて作っている作品なので、そっち方面掘り出すと終わらんからそこは省略。それこそ迷宮であるし、僕はそこに迷うのが下手だ
今まで描かれた微温的な怪獣のいる日常のなかで、蓬くんは夢芽ちゃんとの壁を決定的に突破し得なかった。他人の抱え込んだ重たさに踏み込む、決定的な決意と資格を少年の手が、掴みかけては滑り落ちる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
それは夢芽ちゃんも同じで、散々に探しても姉の死の真相は分からない。
暦も稲本さんとの因縁…そこに封じ込めた自分の青春を決着させたようでいて、半歩前に進んだだけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
ガウマさんに至っては、チョロっと過去を語るだけで具体的に何を求め、何を後悔しているのか伏せ札のままである。
この停滞した足取りを、今回のエピソードは一気にぶち抜く。
仲間たちが後悔に食われる中、蓬くんは今までのダルい日常の中、確かに変化したものだけを握りしめて虎口に飛び込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
他の連中が、対応する暇もないまま飲み込まれていった場所に、怪獣打倒の決意をたしかに持って踏み込んでいく。
(画像は"SSSS.DYNAZENON"第10話より引用) pic.twitter.com/K867DcIvky
その意志が、ダイナソルジャーだけがバラバラに分割されず、蓬が主人公として大きな危機に立ち向かえる特権を与えたのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
非常に抑圧的で、暗喩的な演出は確かな答えを与えない。それは今回色濃くなっただけで、作品全体…シリーズ全体に漂う筆致である。
そこが多元宇宙であるか、精神世界であるか、はたまた別の特異時空であるかという設定は、そこまで重要ではない…と僕は思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
大事なのはこの世界が、各キャラクターの抱えた決定的な傷と枷を顕にし、それに立ち向かえるのは蓬の意思(その補助となる小さなダイナソルジャー)だけだ、ということだ。
ちせは前回獲得した彼女だけの怪獣の力を借りて、ぎりぎり安全圏に身を潜める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
前回の水門落下といい、ゴルドバーンは常に、誰かを助ける存在として機能する。
ここら辺、エキセントリックな外見した屈折少女が、どんな心根してるか見える助けか。
(画像は"SSSS.DYNAZENON"第10話より引用) pic.twitter.com/EFeufh3Vk0
セーフティエリアに身を守ってしまったものは、後悔を具現する怪獣に挑む資格を喪ってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
しかし後悔に立ち向かう態勢も整わず、ただただ食われたものも過去を変え得ない。
変えうるのは鏡の向こう、もどかしく観測し、血みどろで手を伸ばす存在だけである。
夢芽ちゃんとの思い出でギリギリ、恐怖を飲み込んで怪物にツッコんだ以上、蓬くんがまず向き合うのは夢芽ちゃんの檻である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
そこでは夢芽ちゃんは、過去と同じく無力で不器用な少女でいることを選ぶ。
過去のトレースは強制ではない。暦は選び得なかった選択を果たし、しかしそれは突破口足り得ない。
修羅場に身を置くのならば当然のように、体と心に傷はつく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
今まで何処か一歩退いた安全圏にいた…あるいは遠ざけられていた蓬くんは、今回世界絶滅の危機、夢芽ちゃんの精神的”死”を眼前にしてようやく、血を流しだす。
(画像は"SSSS.DYNAZENON"第10話より引用) pic.twitter.com/5p9Eho6LXQ
それはド凄ぇ怪獣が生み出した超特別な空間で演じられる、ヒロイックなスーパーショーであり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
同時に思いの強さが武器となりうる、ひどく普遍的な精神世界の闘争でもある。
それはこれまで蓬くんと夢芽ちゃんを取り巻いていた、あやふやで体温の低い世界でも、確かに動いていたものだ。
蓬くんは非常に細かく、自分のためらいを乗り越え、張り巡らされた壁をまたいで、夢芽ちゃんの魂に接近する旅を続けてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
それが決定的に何かを救い得ない描写、進んだと思えば戻る展開も多々あったが、それはこの作品の特色であり、長所でもあると思っている。
決定的に壁を壊し、世界を変え、誰かを救うヒロイズムがどうにも遠い、このあやふやな現実の手触りを、話数使ってジクジク煮込む手付きは結構好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
そんな世界の中積み上げていった想いが、コップのフチを超えるようになにか決定的な奇跡を生み出して、蓬くんはヒーローになる。
そういう運びも(これまでの語り口から感じるに)あり得ると思っていたが、作品は世界を食らう凶悪な怪獣との対峙に、少年が真実ヒーローとなる瞬間を預けた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
その隣に、小さなダイナソルジャーはあり続ける。巨大化し、合体しなくても…しないからこそ、それが蓬くんの武器だ。
僕はこの作品を玩具に紐付いた幼年期論として読んでる部分があるけど、これはメタファーを巡る読解なので、明瞭な答えが作品から与えられるわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
何故ダイナゼノンとそのパーツは、おもちゃめいたプラスティックな質感で描かれ続けるのか。
玩具販促番組への、メタなノスタルジーの投影は当然あろうし、『なんも考えず、描きたいもん書いてるだけでしょ』という意見にも妥当性はあると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
ただま、わざわざこの手触りで描いてるのはなんかあるでしょ、とは思うし、思いたくもあるのだ。
蓬くんは面倒くさい家庭の事情に屈折しつつ、好きになった女の子の魂一つ抱きしめられない子供だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
今回過去に囚われたガウマ隊の皆(上空に逃げたちせ含む)も、何かを突破し得ない無力感と、何者かになりうるという万能感を歪に抱え込んだ、玩具に縋る子供なのだと思う。
彼らは今までの地道な蓄積と、今回の劇的変化によって後悔を乗り越え、”今”を取り戻していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
ダイナソルジャーを分割されなかった蓬が、血みどろ壁に体当りすることで、彼らをせき止めていた透明で強い壁は破壊されていく。
そんな風に、変化への特別な武器となりうる玩具の質感。
それを取り戻すことで、蓬くんは自分と夢芽ちゃんを隔てる(ダルい日常の中ではどうしても超え得なかった、だから見ることしか出来なかった)壁をぶち破って、傷だらけの身体を抱きしめられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
掌から滑り落ちる”死”を掴むために、必死に追いかけ探る手付き。
同行しつつも同調しきれなかった、夢芽ちゃんの巡礼に並び立ち、同じ思いで突っ走る資格を得る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
それがあるべき場所に収まるための地ならしは、語られる切なさに涙したり、怪獣の芽を見てぶっ殺したり、一緒に花火したりして整えて履いたのだが、決定的な変化は異様な空間で起きる。
それが日常の中のままならなさを強調すると考えるのか、それとも特別な瞬間が莫大な曖昧さによって支えられる構造を見るべきか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
ここは(ここも)さっぱり解らない。
この作品が駆動する/させるリアリティの手触りが、どうも確信から逃げてく感触に翻弄されてるな、俺は…。
しかし今回蓬くんが流した血に、嘘はないと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
ずっと彼は夢芽ちゃんのために血みどろになりたかったし、その方法を手探りしてきた。十話かけた迷いの報酬として、夢芽ちゃんは望んでいた対話を手に入れ、蓬くんは背中でそれを聞く。
(画像は"SSSS.DYNAZENON"第10話より引用) pic.twitter.com/I7EFsVPbro
夢芽ちゃんは小さく無力な子供の背丈ではなく、”死”によって伸延した今の身長で、姉と並び立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
一瞬の夢か、微かな奇跡か。
どちらにしても、夢芽ちゃんはようやく全てが決着し、思う存分喪われた愛と対等に抱き合える瞬間を掴み取った。
蓬くんは、それをただ背中で聞く。
そこに透明な壁はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
隣り合おう、踏み込もうと思えばいつでも進める距離を、あえて詰めないことを蓬くんは選ぶ。
その甘い夢に溺れないよう、ダイナウイングを連絡機材として活用しながら、蓬くんは彼の闘いへ、夢芽ちゃんは終わるべき夢の名残へと向き合っていく。
巨大化しないダイナウイングは、”今”に遅刻しかねない夢芽ちゃんを便利に移動させてはくれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
それは夢の終わりを告げる目覚まし、帰るべき場所への道標、それを教えてくれる同志との繋がりとしてしか機能しないのだ。
ちっぽけだが、それは大きな…もしかしたら人間唯一の力なのだろう。
蓬くんは、意思を込めて次々夢を破る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
選び得なかった選択肢におぼれても、結局破綻する暦の可能性をぶち破り、彼の背丈を戻す。
風に舞う札束を手放し、謎めいたほほ笑みを浮かべるかつての憧れと対峙した瞬間に、暦の後悔は終わる。
(画像は"SSSS.DYNAZENON"第10話より引用) pic.twitter.com/DjhruFkf5w
それが蓬が透明な壁の向こうから介入したから、終わった夢なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
それとも、どうしようもなくそうなるしかない流れの中で、夢に溺れつつ何処か生きていた暦の”今”が掴み取ったものなのか。
ダイナストライカーを握った暦が、蓬に何を言おうとしたのか。
そこら辺は、想像の向こう側である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
どっちにしてもこれで、決定的に暦のくすぶる青春が終わった感じはあるが、何しろ透明な壁が分厚い作品なので、彼が部屋から出てくるかは判らない。
別にヒキってても良いんじゃね、とは思う。
どちらにせよ、蓬くんの闘争で暦の”今”はまた動き直す。
蓬は可能性の夢の中で稲本さんと話せたが、ガウマさんは姫ともう一度、話すことが敵わない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
幸せだった怪獣使いの日々が、裏切りと同士討ちで血みどろに終わった過去。
そのどん詰まりで、ガウマさんはひどく歪な裸体を見せる。
(画像は"SSSS.DYNAZENON"第10話より引用) pic.twitter.com/2roPDAT66g
自分に呼びかける蓬の声で、死体だったガウマさんは起き上がり、ダイナダイバーを盾にして仲間を守る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
前回夢芽ちゃんとの出会い方を再演した蓬くんは、今回ガウマさんとの出会いを再演しとるわけだ。
お互い事情を知らなくても、あるいは直接過去と心を覗いても、繋がり、繋がりきらないもの。
それをお互い手繰り寄せながら、ここまで物語を紡いできた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
雨降る死地を眼にしても、ガウマさんは自分の過去を語らないし、そこにどんな思いを持っているか顕にしない。
魂を縛り付ける、一番重たい風景を共有しても、分からないもの、教えられないものはある。
その断絶した感覚が、話が一気に転がるこのお話を経ても残るのは、凄くこのアニメっぽいなぁ、と思う…し、そこは結構好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
他人は他人という、ある意味冷たい分別をどうしても捨てきれない、あやふやな僕らの実感が、そこにある感じはする。解かんねぇけど。
差し出せなかったベキベキの傘を抱えていたアンチくんも、伸びた背丈を取り戻して”今”に戻る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
それは既に終わった物語で、あの場所から巣立って次元を渡り、ナイトくんはここで闘っているのだ。
それは懐かしくも、哀しくも、振り切って良いものだ。
(画像は"SSSS.DYNAZENON"第10話より引用) pic.twitter.com/EkuUbsfMoN
夢芽ちゃんも、絵画のように美しく静止した思いでに別れを告げて、壁を超えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
黒と白のアンクはようやく別れ、明瞭な答えが謎を切り裂く。
それを伝えようと思っても、”今”の姉は死んでいる。
死者と対話は出来ない。優しくて残酷な、特別な夢の中以外では。
姉が投げかける優しい視線を、対等に愛を確認した特別な時間を、夢芽ちゃんが”手に入れた”のか、それとも”思い出した”のか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
答えの出ない問にそれでも向き合い、絡まった黒と白を切り分ける決断は、世界を滅ぼす特別な怪獣を必要とするのか、それとも当たり前に掴み直せるものなのか。
あるいはそのあやふやな境界にこそ、そういう大事な変化があるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
これもまぁ、僕には判らんところである。
凄く普遍的な死の克服体験にも思えるし、メチャクチャ特別な事例にも見えんだよな、夢芽ちゃんの”死”の決着…。
力を取り戻した者たちは、後悔を食らう獣を倒し世界を救う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
愛を支えに危機に飛び込んだ蓬くんが、バッキンバッキン割りまくった透明な壁は、ダイナゼノンのスケールに拡大され、平和なビル街が戻ってくる。
(画像は"SSSS.DYNAZENON"第10話より引用) pic.twitter.com/0j1g1jouVI
終わってみれば、世界は滅びかけた記憶すらなく当たり前に動き続け、人々はそこで曖昧な日々を生きる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
ダラダラと呼吸のように、誰かの雑談が確かに聞こえる、遠くて近い距離の中を、一度離れたものを繋ぎ合わせ、握り直して進んでいく。
(画像は"SSSS.DYNAZENON"第10話より引用) pic.twitter.com/yF1KsziIJD
夢芽ちゃんが握っているのは、前回”死”に落下しかけたとき掴んだ白のアンクではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
常に自分から遠く、姉の真実(つまり、姉を愛する自分の真実)を隔てていた黒のアンクだ。
彼女は”死”の曖昧な表情を捕まえるべく迷い、走り、ようやく答えを捕まえた。https://t.co/n7eRTt80kv
その先にある景色へ、英雄達はダラダラと進んでいく。繋がるものがあり、離れたままのものがあり、それは両方とも善いものなのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
そんな”答え”でエピソードを閉じず、雨の中死んでいるかつてのガウマさんで終わらせるのが、この作品らしい捻くれ方…あるいは価値逆転かと思う。
すごく特別な敵と向き合い、心理的にも社会的にも絶大な危機を乗り越え、隠された真実を共有する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
幸福に何かを成し遂げた実感に、文字通り冷水ぶっかけるように描かれる”死”。
この幸福な終わりが、死者の見ている夢ではないと、何故言える?
残りの話数で何描くか、全然読めなくなったけども、各キャラクターが隠し抱えた葛藤は(半ば強引に)開示され、解決された。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
この大きな変化をなぜこの話数、この形で行い、それがどんな意味を生むかは、やっぱ最後まで見ないと分かんないだろう。
最後まで見ても、やっぱわかんない可能性はある。
それでも、だからこそ最後まで見なきゃ、なんも言えないのだし、分かんないなりに自分が掴んだものを、こうして焼き付けていく工程も楽しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
自分が作品から見たものに常に革新なんてものはないが、このお話は特に、ガッチリした手応えを与えてくれない。
それを承知で見ているのだから、文句はない。
最後に強調された雨の墓所、あるいは今回超えた透明な壁が残りの話数、何を生み出すか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月6日
そもそもこの話が何を描いてたか、作品読解的ホワイトアウトに陥りそうな感じもありますが、さて次回、何が見れるか。
とても楽しみです。
こんだけ分かんねーと、むしろワクワクするもんだな…。