オッドタクシーを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
風は冷たさを増し、街はクリスマスに備えていた。
追い詰められ襲いかかってきた山本を引き込み、小戸川は逆転の秘策を練る。
十重二十重の読み合い、渦を巻く人々のカルマ。
誰もが皆火種を抱えながら、運命の瞬間を待つ。
ちっぽけで、でも大切な何かのために…。
そんな感じの終章開幕! 緊迫の度を増すアーバン・サスペンス第10話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
柿花くんの事件が一段落付いて、時間も冬へと流れていく。手の内を読み合い、時に暴力の鈍い光を覗かせながら、決着の瞬間に向かって走る奇妙なタクシー。
タイトル回収もバッチリ…とはいかないが、この作品らしくキマった
それぞれの思惑が渦を巻く銀行決戦が、一体どうなるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
ヤクザとヤクザとタクシー運転手の、知恵と意思を絞り出すせめぎ合いがどうなるか。
ここに消えた少女の謎、漫才コンビの未来、汚れたアイドルの始末…そして主役の過去が混ざり合う。
たっぷりネタ満載、贅沢なクライマックスだ。
今週の物語は、そんな終章の構造を整理しつつ、しっかりサスペンスも交えて展開される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
僕はこういう、お話の構造を整理して視聴者と共有する話数を『カウントを整える回』って言ってるけど、説明臭さで場を冷やさず、笑いとアクションと情と謎でキッチリ温めて転がすの、凄いなぁと思う。
つうわけで、色んなネタが転がる今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
冒頭のホモサピエンス落選から、ガックンガックン揺らしてくる。
敗者復活戦という細い糸を残しつつ、『やっぱ解散しちゃうの~!?』とハラハラさせてくる所、憎いなぁ…第6話EDがよく効いてる。
脅迫に監禁に強盗、ヤバいネタがてんこ盛りになるお話において、話芸は一服の清涼剤だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
急に身乗り出して『俺のほうが柴垣さん活かせるからッ!』とか言い出すヤバ高校生、山本の愛ある辛口漫才は、重い空気を巧く抜いてくれてありがたかった。やっぱ、ああいう掛け合いが嬉しい。
ホモサピエンスの物語は銃弾も拳骨も飛び出さないので、ある意味安心して見れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
でもそこに込められている情念は、他の人々と代わりはない。
運命の悪戯でヒビの入ったコンビと、彼らをずっと見てきたマニア。
組になりうる可能性が、なかなか上手くハマらないODDな感覚。
ドブを『結構良いやつかも』と思ってしまう小戸川の感覚も、そこに接近して離れていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
悪党もずっと見てれば愛着が湧くもんで、そこに愛嬌や人間らしい可愛げがあればなおさらだ。
でも、そこにハマっちゃいけない。小戸川は自分だけでなく、モニタの向こうにいる僕らにも釘を刺す。
吹き上がったヤバ素人を跳ね除けるでなく、一応掛け合いして未来も心配してくれる柴垣も、かけた自分のODDを埋める相手は、結局一人だけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
その思いが、なかなかに噛み合わない寂しさは敗者復活戦へと続いていく。
色々世知辛い風に満ちた話なので、逆転勝利が約束はされてないが、巧く行って欲しい
そう思えるサブプロットが、血生臭いメインにいいペースで並走している作りが、物語の奥行きを生む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
狂うやつ、自分を保つやつ、金のあるやつ、それを奪うやつ。
タクシーが走る街には色んなヤツがいて、その人生は複雑に絡み合って転がっていく。
何処に行き着くかは、さっぱり解らない。
ヤノが速攻で今井の偽装に気付き、関口のソーシャルハックでキッチリ詰めてくる所は、視聴者の甘っちょろい期待を巧く挫き、油断ならぬ曲者感を強めてきてよかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
まさに棘だらけの豪猪、こういうワルを相手取るから、小戸川も必死になるし作品も緩まない。
『つーかMETEORが”まるで山嵐”って言うの色んな意味で面白いな…SATOSHIリスペクトってことっすか』って感想も思わず飛び出す、軽快なリリック。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
それはやっぱり、異様な人格を反映した噛み合わない…ODDなコミュニケーションだ。関口もドン引き冷や汗だったし。
彼らに対決する小戸川タクシーの面々も、すげー奇妙な軌跡を描いて、運命の瞬間を進んでいく。段々とタクシーが不穏な道を選んで、山本襲撃サスペンスを高めていく演出が良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
『あ、やべ』と思ったところでの白川襲撃、まさかの超実践カポエラ炸裂も含め、いいアクセントになった。
あそこで襲ってボコられて、小戸川の条件飲んでも守りたい山本の夢。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
今井くんも純情に思い続ける偶像の輝きは、とっくの昔に水底に沈んでいたわけで、それが十億円事変にどう関わってくるか。
まだ謎は多い。小戸川ラストの”違う”は、どういう意味だ…?
白川さんをいつもの後部座席ではなく、助手席に乗せて展開される怒りの漫才も、サスペンスの緩急を生んで良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
助手席は特別な場所、通り過ぎていく客以上の関係性って意味合いだと思うが、白川さん以外だとドブがそこに座ってるのが、なかなか面白いよね。
ドブはヤノの計画を読み切り、巧妙で複雑なオッドタクシー作戦を練り上げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
それを全部ひっくり返して、悪党を一網打尽に終わらせる小戸川の計画は、存外綱渡りだ。
法正義を体現するはずの大門弟は、まだ兄への愛に縛られて電話に出ないし、ドブの頭脳が小戸川の手筋を読んでないとも限らない。
果たして誰の思惑が上手くいくのか、崩されるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
ここを読みきれないよう、成功と失敗の因子を適切に並べ、温めているのが巧いエピソードだった。
皆頭はキレるし、打てる手は打っている。
だが不安要素はあるし、思わぬ縁が唐突に殴りつけてくるのも、この街のルールだ。
サウナで掛け合った黒田組長の、何かを含んだ口調。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
ドブとヤノ、二人の悪党を束ねる立場の彼が、ここで小戸川に接触してきたのもまた、なにかの予兆なのかなと考えたくはなる。
ともあれ、小戸川は手筋を読まれたり殺されかけたりしつつ、打てる手を打ち切って決戦に備える。
裏切りと内通を武器に、情報戦を制して罠を張る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
居場所を突き止めたとほくそ笑むヤノが、攫うバカと隣りにいるアホこそが、無力なセイウチが一矢報いるための刃。
こうして並べた穂先が、果たして悪党に突き刺さるのか逸れるのか。非常にハラハラと、目線を奪われる。
そんな主役の物語に並走して、剛力探偵の地道な調査が秩父を駆ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
山本に絞め殺されかけた時、脳裏に浮かんだ水底がやはり、物語の根底…人が獣である異様さに深く関わって、状況を揺らしてきそうだ。
『ああ、そういう話なんだ』と一旦飲み込んだ違和感が、終盤逆向きに刺してくる構造上手いな…。
押入れの中の秘密もまだ不鮮明だし、死体が暴かれてミステリーキッスは終わりそうだし、クライマックスのための火薬はたっぷり用意されてる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
あとはこれをどう発火させて、怒涛の結末になだれ込ませるか。
ここまで各要素を的確に扱って、緩みなく…あるいは適度に弛緩させて進んできた物語の技芸。
その真骨頂が見れそうで、最終盤も大変楽しみです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
絶対全てが繋がって、ストンと心に落ちるように仕掛けはしてあると思うんだ、こんだけ上手い話だと。
でもどうやるかは、さっぱり解らない。
期待が膨らんで、予測がつかないこの状況って、エンタメとしては最高に温まってると思うのね。
この熱量はサスペンスの巧さもあるけど、多彩なキャラクターそれぞれの面白さ、愛すべき人間臭さを、それこそドブみたいな悪党含めてしっかり書けたからだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
そんな連中が出会って、掛け合って、生まれた縁がサスペンスを揺らす。
銃を持って襲うやつもいるし、言葉で救われるやつもいる。
そんな一人ひとりの物語が、グッと視聴者に食い込む面白さでイキイキしてんのが、やっぱ強いのだと思いました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
それぞれのお話が面白いから、複雑な群像劇が上滑りせず、束になって心に食い込んでくんのよね。
筋立て全体の制御も巧いけど、個別の切れ味も良いから成立する話作り。
色んな連中が絡み合う複雑さが、混乱ではなく期待を生み出すのは、今回のように一話使って状況を整理し、物語の全体像を説明…ではなく描写するからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
交通整理が巧いから、沢山車が走っても事故が起きない。
それぞれ勝手に動いているように見えて、凄く精妙なルールで走っていると気付く面白さ。
その片鱗をすでに感じつつ、加速していく奇妙なタクシーが何処に駆け抜けていくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
期待は膨らみますし、それにしっかり応えてくれるだろうという信頼も、また分厚くなってきてます。
思わぬ角度から飛び出したアーバンサスペンスの傑作が、どんなフィニッシュを決めるか。
次回も楽しみですね。
オッドタクシー追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
ドブの足を撃った犯人は、銃を持ってる田中と誘導されてっけど、確かリボルバーとオートマで別の銃だったと思うし、田中の狂気は徹底的に小戸川に向いてるんで、銃撃犯は別だと思う。
あれがニューナンブだとすると大門兄なんだが、何故撃つのかは不明。
小戸川の盤面ひっくり返し計画が、警察の介入を前提にしてるあたり、公権力への信頼、正義なるものへの強い希求が見えたりするが、現実の正義代表は、悪徳に染まったクズと、それを信奉する愚鈍のコンビだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
ここが揺れて、見えているのとは別のODDが飛び出す仕掛けが、果たして隠れているか
ここも終盤戦、転がしてくるポイントの一つかなと思っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月7日
まー来週は、ミステリーキッスの栄光と破綻がメインで転がりそうだが。
また切なくなりそうだなぁ…ユキちゃんがしばらく場面から消えてたの、そういう仕掛けだったわけね。