かげきしょうじょ!! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
ガイダンスも終わり、遂に幕を開ける音楽学校の生活。
集団責任、上級生の指導、同級生との緊密な関係。
規律と伝統の先にある、銀橋の輝きにたどり着けるのは、一体誰か。
花はまだ蕾、咲き方すら知らない季節の物語が始まる。
そんな感じの、少女歌劇青春群像劇、第2回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
本題に入る前に、ちとこの作品と自分とののスタンスをば。
アニメ第1話が大変面白かったので、原作読んじゃいました。ゼロ2巻と現行11巻。
なので、まっさらな状態でアニメと向き合う立ち位置じゃなくなりました。
第1話で気にかけていた作品のテーマ、ドラマの行く末、キャラクターの秘密と内実なんかを、既に知ってしまっている立場でアニメ版を見ることになります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
一つ一つのシーンを新鮮に受け取り、自分の中でつなぎ合わせて納得する”神経衰弱”的な楽しさは、原作既読で終えちゃってる感じです。
なのである意味、先を見据えてシーンの意味を読み解いたり、アニメの描き方を自分なり受け取っていくような書き方に、今後なっていくと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
ネタバレは極力避けますが、しかしアニメ放送段階では描かれていない部分が視野に入ってくるのは、ある程度仕方ないかと自分では思ってます。
ある意味答え合わせ的というか、伏せられたカードをめくって見てしまっている側の視点で書くことになるでしょう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
『だからどうした』いう話でもあるんですが、一応自分なりに区切りを明言して、オープンにしておいたほうがやりやすいので、言わせていただきました。
ほいで、アニメの方は導入が終わり学園生活本格開始! というところ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
本科生も顔を見せ、紅華音楽学校という社会の特色、ステージに立つ意味合いがジワリジワリと見えてくる第2話であります。
人それぞれの特性、それが混じり合って生まれる群像が華やかな描画に映えて、大変良かったです。
鬼より怖い本科生との顔合わせは、愛ちゃんと聖、さらさとリサとで対照的な描かれ方をします。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
可愛い顔で芯が強く、ライバルを牽制して動きを封じる言動が特徴的な聖は、話題性に富んだ愛ちゃんを冷たく見据え、値踏みする。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第2話より引用) pic.twitter.com/qrtQ1ah7mE
掛け軸に刻まれた『強く優しく美しく』というモットーを、はみ出すような意地悪な棘。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
掃除というシーンセッティングと合わせて、ちと”シンデレラ”を思わせる造形です。
優しい先輩の仮面の奥に、意地悪な義姉の本性を覗かせる聖と、後輩を泣かせる悪い先輩になりきれないリサ…という対置。
あるいはJPXファンとして愛ちゃんに甘い顔をしているようで、自分を脅かすやる気を冷静に図り、自分の内側に入れない聖の冷たさと、さらさの気概に勇気をもらって、聖が自分のハメてきた”女役”の枷を少し壊す、リサとの対比。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
二つの場面が、四人の少女を面白く際立たせてくる。
紅華に逃避を求めてきた愛ちゃんは、(まだ)舞台に本気ではなく、無表情の奥に秘めた資質や才覚を眠らせている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
それは聖を”意地悪な義姉”のポジションから動かして、彼女なりの熱い地金を剥き出しにはしない。
つうか聖も、プライド持って独り強く立っているわけでね。
『別に…』が口癖の割に、愛ちゃんは瞳の中に聖の本性をしっかり見据えて、なんだかんだ他人を視野に入れている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
集団規範が明瞭で、それを連帯責任で強化していく予科生は、紅華劇団という職業社会の雛形として、『他人の中に在る個人』を否応なく際立たせてくる。
そういう環境が、他人を拒絶したいし放っておいても欲しい愛ちゃんの、壁を静かに壊しかけている描写でもあるでしょう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
次回強く描かれますが、愛ちゃんは本来非常に豊かな感受性を殺し、自分に触れてくる世界を拒絶して守るしかない生き方を、半ば強制的に選ばされた子供です。
そんな彼女が紅華という場所、学校という社会、さらさという少女と触れ合うことで少しずつ、鎧を外して本来の自分に立ち戻っていく…そのことが新しい自分を生み出していく萌芽は、ダニ2話の段階で脈動している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
言われるままされるままのようでいて、愛ちゃんは他人を視野に入れて、判断をしている。
しかしそれは、聖を焦らせるほど熱を発してはおらず、しかし彼女の経歴と資質は否応なく、他人の目を惹きつけてもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
箒を手にとって親切に教えているようで、自分の想像の範疇に収まるよう制御してる聖の立ち回りは、そんな半端な領域に未来のライバルを押し込める、敏い立ち回りと言えるでしょう
この華やかな棘を花澤さんが好演しており、ドンピシャのキャスティングに唸らされますが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
このキャラクターが『嫌な先輩、超えるべき壁』で終わらず、彼女なりのプライドと意思を込めて紅華に在る独りの人間として描かれている所が、このさく品の面白いところだと思います。
一応の主役として二人の少女にフォーカスを合わせてはいても、その周囲に在る魂それぞれに事情があり、意地があり、物語が在る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
その多彩なストーリー一個一個を大事にすることで、彼女たちに共通するもの、そんな魂を受け入れる豊かな受け皿としての紅華を際立たせていく。
そんな生き生きとした筆致、人生という舞台を幅広く切り取る視座が魅力の作品であります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
憧れのステージにも尖った生き方、理不尽や間違いはたくさんあって、しかし濁って見えるそれらの奥にこそ魂の輝きもある。
そんな複雑な人生舞台を描く中で、人数が多いことは利点になってきます。
争奪戦になった愛ちゃんに対し、さらさは誰も手をあげず、押し付けられた形のリサも最初は距離を取っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
『アンタはオスカルにはなれないよ』と告げる言葉は、幼い日の蝉時雨を蘇らせて、さらさを泣かせる。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第2話より引用) pic.twitter.com/HhZlA0JQ9k
しかし毅然と顔を上げたさらさは、紅華桜のジンクスも、高すぎる身長というハンディも跳ね返して夢に突き進む強さを、リサに魅せます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
その言葉は(愛ちゃんの冷たい美貌が、聖を動かさなかったのとは真逆に)リサの心を動かし、二人は同じ目線で掃除をする。
さらさが目立つ理由として、デカい身長、トップを狙うビッグマウス以上に強調されている瞳の輝き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
夢を諦めずただただ前向きに、暴走気味に突っ走る魂の熱量は、学園生活が始まったばかりのこの段階で既に、誰かを引きつける”華”として機能しています。
さらさの不屈はサラを感動させ、彼女は不真面目で意地悪な先輩役から、後輩に親身なお姉様へと立ち位置を動かしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
なにかに感動することは、時に未来を縛る呪いとなり、しかし魂を前に動かす力になりうる。
表現活動をメインテーマにする物語で、とても大事な役どころを既に主役が担当しています
人間嫌いな愛ちゃんの視界に、さらさのデカい図体が侵入しているように、リサ先輩の人生にも生意気な後輩の負けん気は突き刺さって、彼女を少し前向きに変える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
他人を感動させ、変化させる力。
そういう生粋の”華”を、未来のトップを目指す少女は既に有しているわけです。
紅華桜のジンクスに自分から突っ込んでいった時に、この話は”VS伝統”つう構図を持ってるのかな、と思っていたわけですが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
この後の描写を思うと、規格外のさらさすら規格に収め、あるいは規格自体が変化していくような逞しい柔軟性を持ったものとして、作中の”伝統”は扱われています。
無論伝統を支える規範という土台は、厳しいルールを定めそこから夢を弾き出すものとしても、作中で扱われていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
回想シーンで描かれた、巴師匠の『絶対にお前は助六になれません!』という呪いは、その最大のものでしょう。
しかし呪いを生み出した側にも、一生モノの刃としてそれは突き刺さる。
この場面では顔のない怪物、トラウマの根源として描かれていた巴師匠の顔が、見るものの視点、言葉を受け取り向き合う立場の違いによって、描かれ方を変えていくのが、また面白いところですが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
その引き金を引いてしまった少年、あるいは呪いに食われた魔女の娘から見れば、巴師匠は怪物ではない。
自分すら制御できぬ業を暴走させ、自分も含めた人間の運命を狂わせていく人間の業。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
そこに流れる涙を、どう取り戻していくのか。
さらさは痛みを知らない無邪気な天使などではなく、あの夏に刻まれた呪いを跳ね返すべく、魂を振り絞って生き抜く一人の少女です。
むしろ傷を背負えばこそ、瞳に星を宿す生き様が強く、美しく人を動かす説得力を持つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
そういう骨の太い世界認識のもと構築された物語のなかで、さらさは物語の真ん中に立ちうる華と運を持った、特別な存在として際立っていきます。
一度折れ曲がってなお、なぜさらさは背筋を伸ばして前に進み続けるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
その一端を見せるのが、舞台見学での思わぬ暴走、そこに浴びせられるスポットライトです。
舞台裏の闇に伸びる光条は、さらさを強く惹きつけ扉を開けさせる。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第2話より引用) pic.twitter.com/CEuH628Ixp
そこは過去に繋がる扉でもあり、一度きり歩いた花道…さらさが”舞台”に向き合う原点がそこには輝いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
『さらさにとって、紅華の舞台は掴みそこねた奇跡の代用品なのか』というのは、紅華を明確に逃避場所として描かれてる愛ちゃんとの対照の中で、今後掘られていく描写ですが。
どちらにしても、舞台の輝きに魅入られ、そこに立つしか無い必然性をさらさは、既に掴み取ってしまっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
ここも、イマイチ腰の座らない同級生に比べて主役として抜きん出る、デカい図体以外の理由と言えるでしょう。
否応なく、そうならざるを得ない運命を背負って立つ少女なのだ。
しかしそれは紅華に集った全ての少女…あるいは舞台に上がらないあらゆる人々に言えるもので、さらさと愛ちゃんが物語を突き進んでいく中で、それぞれが今、ここに立って脚光を浴びる理由が見えても来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
それをアニメがどう書くかも、とても愉しみです。
勘違いを自分に引き寄せて、スポットライトを浴びてしまえる強運と、その立ち姿が人目を引きつける華やぎ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
それを見据えて、目を見開いてしまう愛ちゃんの心…目を見開かせるさらさの特別さも、このシーンでは描かれています。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第2話より引用) pic.twitter.com/Q51mreBF8Z
眩い光に照らされても消えない、強い意思を宿す瞳の星。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
それは愛ちゃんを閉じ込め、守ってもいる暗い檻を否応なく開けてしまう、ある種の暴力性を持っています。
その上で、一方的にこじ開けるだけでなく、過剰に接近しウザいほど触れ合ってくる双方向性が、さらさの魅力でもあるわけですが。
物語は第1話から引き続き、主に愛ちゃんの一人称で進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
冷たく動かない外装と、その実既に揺り動かされて、開かれはじめている内面。
そのアンバランスこそが青春のエンジンとして、彼女と彼女を取り巻く人々の物語を動かしていくわけですが。
舞台それ自体に魅入られているさらさと、舞台に立つさらさに引き寄せられる愛ちゃんも、また面白い対比と言えるでしょう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
さらさという、どうしても目で追ってしまう規格外を通すことで、愛ちゃんは自分が流れ着いた紅華という場所に、自分だけの意味を見つけていくことになる。
その一歩目が、鮮烈に刻まれる第2話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
さらさの飛び抜けた存在感と同時に、周囲を拒絶しても勝手に周りが近づいてくる愛ちゃんの資質も、よく描かれてた回だったと思います。
生まれ、経歴、整った顔立ち。
愛ちゃんにとっては自分だと思えない…でも他人は、それこそ愛ちゃんだと思うようなID。
他人が見る自分と、自分が感じる自分の狭間にある断絶…そこにこそ宿る力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
”演じる”ために入学してきた少女たちが、小さいながら確かに他人と触れ合い、一つの社会を構築していく音楽学校という舞台。
そこで、愛ちゃんもさらさも、自分を探し、立ち戻り、前に進んでいく。
その溌剌とした歩みが、ただ輝くばかりではないシビアな目線も、この作品の魅力かと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
次回はそういう厳しさが、鋭く描かれるエピソードとなるでしょう。もう辛ぇんだけど…(ネタバレぶっぱ)
傷と迷いを抱え、それでも前を向くために必要な輝きは、何処にあるのか。次回も楽しみです。
追記 アニメの感想としてはアニメの話してるのが本道で、『アニメの話をするのに迷うコバヤシの話』は大して重要じゃないノイズなんだけども、まぁここは俺のブログだしちったぁ俺の話ししてもいいだろ、みたいな。
(…つう感じで、ある意味答え合わせ的な、普段の”感想”からチョイはみ出した書き方になった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
ある意味、映画への感想に近いかな。
ひと繫がりの物語を結末まで腹に落とした上で、自分なり消化・再構築して、頭の中にある景色を言語化していく感じ)
(まー原作読んじゃったんで、一個一個目の前に立ち現れてくる白紙の体験を、もどかしく言葉に変えていく感じの筆致は嘘になっちゃうからな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月14日
自分個人の感覚としては、こういう書き方にも個別の良さはあるかな、と感じている。ま、やれる形でやっていこう)