かげきしょうじょ!! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
座ってるだけの授業じゃ、”表現力”は判らない!
うら若き乙女の願いを受けて、やってきました演劇課題。
一人怪物的な進化を見せるさらさに対し、安道はショッキングな一言を投げかける。
このままじゃ、トップにはなれない。
その真意とは!?
そんな感じの演劇少女黙示録、山田も救って新たな局面へゴー! な、かげきしょうじょ!! 第6話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
愛ちゃんの不器用友情一年生、演劇実習に意気込む生徒たち、双子の不協和音、天才・渡辺さらさの弱点…と、群像を照らしながら要素たっぷり、食べごたえ十分のエピソードである。
作画が独特かつ流麗で、特にまつげのフワッとした表現が素晴らしかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
画面の端っこで捕える微細な表情の変化、弾むような可愛らしさも元気で、かげきしょうじょ達が身を置く季節の瑞々しさ、麗しさが鮮烈だった。
青春という季節の多彩を、少女に反射して際立たせる。
作品の強み、テーマ性にもしっかりあったクオリティの活かし方で、凄く良かったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
スタッフリスト見ると少数精鋭という感じで、迸る個性を活かして仕上げたんだろうなー、などと想像も広がる。
元々作画は良いアニメですが、特に際立った回だったと思います。
さてお話は、いつも物怖じしないさらさがクラスの願いを背負い、”表現力”をコミカルに叩きつける所からスタート。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
最初は生意気なビッグマウスと侮られていた彼女は、気付けば衆目を集めるクラスの中心となり、天性の”華”を開かせている。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第6話より引用) pic.twitter.com/KpGwcuH5Vu
クラスが出来たての生硬な空気がちゃんとかけていたからこそ、共同生活の中でお互いを知り、馴染んで一つの集団に為っていく道のりは楽しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
気づけば、さらさが天性のエキセントリックを活かし、『言う役』としてクラスに認められている現状は、群像の書き方として生っぽくて面白い。
ただ性格が良いからってだけで、さらさはクラスに馴染んだわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
弾むような学生生活の中、未来の演劇人として時折見せる存在感、才覚、積み上げてきた技量。
そういうモノが日常に滲むからこそ、周囲は異形のさらさを認め、憧れる。
彼女は常に画面の真ん中に立ち、周囲を観客へと変える。
各先生の特徴をよく捉え、コミカルに横紙破りの実技教練を提案する姿には、後に炸裂する才覚が既に見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
それは歌舞伎と触れ合い、拒絶された経験値が生み出す、哀しい遺産でもある。
愛ちゃんのアイドル経験値もそうなんだけど、バックボーンが説得力を生んでるのは、なかなか面白い。
ズブの素人が才能一本で輝くのではなく、今までやってきたこと、積み重ねてきたものの上に、天性の発露が乗っかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
彩子が希望を取り戻した”歌”だって、紅華に憧れて以来地道に積み上げ、身につけてきたからこその武器だ。
過ぎ去ったものは、消え去りはしない。
そういう視線が、舞台の総合格闘技として紅華を見据え、そこにそれぞれの経験値を抱えて挑んでいく構図に、面白く反射している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
ちょっとMMAっぽいよね、この構図。
ムンジアル取ってるから寝技で勝負できるとか、空手納めてるから実践で三日月蹴りが入る、みたいな…(極めて判りにくい例え)
安道教諭の塩対応に周囲が『終わった…』と凹む中、日々は過ぎてさらさの誕生日。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
一生『さら…渡辺さん』と、名前呼びチャレンジに失敗し続ける愛ちゃんが友情一年生過ぎて、マジで可愛い。
不器用人間のデレ期 IS 滋養。肌が潤う。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第6話より引用) pic.twitter.com/obRVscCCD4
蛙アイコンの”彼氏”に対抗意識など燃やしつつ、ずーっとカーテン越し目で追って、不器用なアプローチを続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
私には関係ない、興味もないしつまんない。
そんな壁を張り巡らせて自分を守りつつ、誰よりも”友情”に憧れ続けていた愛ちゃんの想いは、もう止まらないのだ。
これまではカーテンの奥に踏み込むのはさらさの役割だったが、神戸港で魂を救われちまって以降、グイグイ行くのは愛ちゃんの担当である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
しかしその歩みはなにしろ経験値が少ないので、ゴツゴツと不器用なものにならざるを得ない。そこが…本当…可愛い…可愛い…。
『寝起きのモサモサさらさも可愛いなぁ…』などと思いつつ、初めて手渡す友達へのプレゼント。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
本当はウキウキワクワクで、沢山空回りしてるのに、なんでもない風を装いたい小さなプライド、ささやかな背伸びが…奈良田愛ッ!(可愛すぎて急にキレる)
(画像は"かげきしょうじょ!!"第6話より引用) pic.twitter.com/hlXxqmLV94
贈り物に添えたひらがなのカードは幼い印象だが、後に明かされる弱点と合わせると全く笑えねぇ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
やっぱ愛着を適切に獲得できなかったこと、庇護されるべきタイミングで傷つけられたことで、愛ちゃんの時計はパパベアーを殺し、止まってしまっているのだ。
そんな幼い情緒、動かない表情筋の問題点をちゃんと自覚して、奪われた時間と喜びを必死に取り戻そうともがく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
そんな行いの一つとして、この微笑ましいプレゼント、変化していく関係はある。
さらさがぶっ飛んでるようで謎めいて大人びてるので、無垢なる成長は愛ちゃんの担当なんよね…。
ホンマ今後も、こうして真心の籠もったやり取りを繰り返して、自分が誰かに愛され受け止められる確信、世界と自分への信頼を、愛ちゃんには…そしてさらさにも掴み取って欲しいと、俺は思ってる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
このチャーミングなせめぎあいは、ただ微笑ましく、悶えるほど可愛いだけでは終わらない。
強い傷を生み出す厳しい場所に立つしかない戦士たちが、これまでの痛みを堪え、前を向いた立ち上がるための杖を獲得する、大事な儀式でもあると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
そこに愛ちゃんが委ねる思い、さらさが抱く熱量をしっかり刻んでいるのが、凄く良い。
さて、空振りに終わったかに見えた提言は見事に実り、さらさ達は”ロミオとジュリエット”に挑むことになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
ウキウキと役を選びあい、盛り上がる予科生達。
マージで奈良田は、渡辺ばーっか見てるな…
(画像は"かげきしょうじょ!!"第6話より引用) pic.twitter.com/wSMZZU3m4N
って言いたいところなんだけど、愛ちゃんは新しく出来たお友達全員気にしてて、皆笑顔でいて欲しくて眼を配っとるのよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
『私”たち”、ずっとジュリエットが好きで!』という微かなノイズを、双子の片割れは聞き逃さない。
自分が身を引いた憧れに、踏み出すもう一人の私。
千夏の視線に宿る影に、愛ちゃんは敏感に反応する。日常に埋もれそうな不協和音を、ちゃんと聞き取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
本来この精度が奈良田愛の人間センサーであり、それを鈍麻させなければ生き延びれないほど、パパ・ベアーを殺した後の世界は荒廃していた、つうことなんだろうな…。
双子の爆弾が炸裂するのはしばらく先だが、ここであえて拾ったということは”やる”ということなんだろうな…などと、先の展開をメタ読みしつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
初めての演劇実習は、賑やかにワクワクと進んでいく…だけでは終わらない。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第6話より引用) pic.twitter.com/uJ18P2KyB0
”紅華”の生徒が背負う宿命の重さを、薫はよく知っている。ずっと憧れ、厳しく試され、それでも諦められず、ようやく掴み取った場所だから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
夢を壊す振る舞いを己に禁じ、周囲にも厳しく当たる裏で、流れる涙。
そこに、愛ちゃんはおずおずと歩み寄る。
『まつげなっが…天使の羽かな?』と思わされる絶良作画にクラクラしつつ、ここでもやはり、愛ちゃんは自分の世界を拡げようと、不器用にもがいている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
今まで閉ざしていた扉を開けて、積極的に相手に踏み込む。自分を見せる…見てもらう。
『キツい』と拒絶されがちな態度を、同じく紅華に強い憧れを抱く紗和がまず見据えて、友達が見つけたものを受け取って、愛ちゃんが動く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
言ってくれてありがとうと、言葉で涙を拭う。
出来とるわけよ…さらさにしてもらったことを、別の傷ついた子供に!
(画像は"かげきしょうじょ!!"第6話より引用) pic.twitter.com/CSyMuDP9YB
『漢字読めない』と、急にハラさらけ出してくるトンチキアプローチに驚きつつも、そうして弱みを預け、それを補ってくれるかけがえない存在として自分を認めてくれた愛ちゃんは、薫にとって
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
光だ。
こうして奈良田愛は不器用に、誰かに手を差し伸べ誰かと手を繋ぐ。
その事が、一度壊されてしまった彼女の輪郭を、再構築もしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
優しくされるだけでなく、自分から優しくする…やり方がわからないなりにそうしたいと願ったことに飛び込むことで、愛ちゃんは涙の上書きをしていくのだ。
自分が欲しいとさらさに願った”それ”を、泣いてる薫に差し出せる。
それって”成長”やんけ…と思うシーンであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
ちとギクシャクした班の空気が、ここでのアプローチでフッと良くなって、運命が動いていく瞬間。
柔らかく風になびく髪の毛の描写が、それを見事に切り取る。青春の帆が強く前進するときは、やっぱ風が吹いてほしいよな…良い演出よ。
かくして手を繋ぎ直して、挑む本番。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
プレゼント前はチラチラと、カーテンの向こうを伺ってた愛ちゃんが、さらさの誘いをあえて蹴って、自分の課題と定めたルビ振りに勤しむのが、たくましくて良い。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第6話より引用) pic.twitter.com/H8kpvSQc8U
そしてDVDに齧り付くさらさの、怪物的な瞳の力。いつも宿っていた星は消えて、何もかも飲み込むような深い闇が、視線に宿る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
これが演劇人としての、渡辺さらさの素顔である。美麗に冷えた横顔といい、作画クオリティが最高に仕事してて最高~~~~~~。
不意打ちのトップバッターは、容赦なくひよっこ達の現状を顕にしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
『自分が!』と前に出過ぎる薫の自意識、素人の枠を出ないなりに頑張る千夏、笑わないジュリエット。
そして歩み出る、漆黒の怪物。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第6話より引用) pic.twitter.com/uP4J2nNrdx
班の中でさらさだけが、目の前の課題、未熟な自分を超えた先を見据えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
この課題で安道が確認したいもの、自分たちが掴むべきもの。
心底夢中になれるかどうかを、ひよっこ達は試されている。小手先の巧さ、現状の成熟度は二の次だ。
さらさの視線は『どう芝居をするか』で留まらず、『誰に対し、なぜ芝居をするのか』というポイントまで伸びている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
ここは授業の一環として点数を稼ぐ場所ではなく、未来の大舞台へと繋がる夢の第一歩。
目に見えるものの、その先にあるものを想像し、本気で形にする。
それは(薫が指摘するように)プロの演劇人となることが、この時点で確定している少女たちにとって非常に大事な力だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
薫がチラチラと安道を見ながら気にする『自分がどう評価されるか』とは、また違う見られ方をさらさは視界に入れている。
客をどう飲み込み、どう心を動かすか。
それはライトの入り方を気にし、声の響きをステージに合わせて調整する、微細な技術の積み重ねだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
それらは表面的なテクニックではなく、根源的な哲学に支えられて意味を成す。
何故、誰を相手に、芝居をするのか。
そうする私は、一体何なのか。
今後少女たちが問い、問われ続けるだろう永遠の課題を、さらさは既に見据えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
これは彼女の天性が生み出すものだし、(耐え難い痛みも含めた)経験が裏打ちするものでもある。
愛ちゃんがJPX時代の経験値を活かして、客を意識した振る舞いができてるのと同じだ。
安道は教師として、大人として、かつてステージを席巻した名優として、ここにいる誰よりも”舞台”を知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
だからこそ、この段階での完成度には興味がない。
愛ちゃんが思わず目を奪われるさらさの黒い輝きの、奥にあるものを見据えて演技を止める
(画像は"かげきしょうじょ!!"第6話より引用) pic.twitter.com/93Jeb7LWyb
人間として、少女として、演劇人としての未熟と強みをちゃんと見据え、(それに縛られすぎないこと含めて)しっかりアドバイスする安道は、やる気が無いように見えて優秀で、いい先生だな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
肥大した自意識、漂う素人っぽさ。
それはこれから補い鍛えていく伸びしろであって、欠点ではないのだ
安道が指摘する愛ちゃんの強みと伸びしろは、彼女のパーソナリティと経験に根ざしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
アイドルをやってきたから、舞台度胸があって客を既に意識できる。
他人を拒み情緒が育ってないから、恋を演じることも笑うことも下手くそ。
そこが、今の奈良田愛だ。
そして圧倒的に”出来て”いるように思えるさらさに、安道は厳しい一撃を入れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
かつて夏の日、幼子の心を砕いた一言と、意図せず同じ『お前は、なれない』
それに瞳の中の星が略奪されていく様子が、鮮烈な描画で刻まれていく。スゲーな今回ホント…。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第6話より引用) pic.twitter.com/KVKzkixWKR
しかしよく聞けば安道の刃には、『今のままじゃ、絶対』という前置きがしっかり付いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
それは彼が受け持つ生徒たちが、『今のまま』ではありえないことを知り、信じているからこその言葉選びだと思う。
”ロミオとジュリエット”が顕にしたそれぞれのスタートラインから、もっと前へ。
もがき苦しみながら進んで、弱さを伸びしろに、強みを武器に変えて、日々新しい己に出逢っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
それは役者としてだけでなく、少女から大人へと変わり、人間となっていくさらさ達にとって…多分、それを見守る僕らにとっても、とても大事な歩みだろう。
そんな旅路が、どんな風に曇り、晴れるのか。風はどっちに吹いているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
舞台少女たちの物語は、まだまだ続いていきます。その1ページを、しっかり積み上げてくれる良いエピソードでした。
愛ちゃんの憧れ視線に重ねて、さらさのティボルトを高く上げた上で、最後に落として引く。良い運びね…。
ここでさらさが凹むことで、今まで引っ張られ憧れるばかりだった愛ちゃんが対等な友達として、手を差し伸べて引っ張り上げる足場も整うしなー…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
楽しいばかりでは終わりそうもない、二人の夏休み。次回も楽しみですね。
追記 メディアが変われば、当然表現も物語も変わる。与えられたキャンバスに相応しい画材と画題で、最高の絵を仕上げることが大事なのであって、元の絵をトレースして欲しいわけじゃ、俺はないわけ。
少し原作からの変化を話すと、国広先生のエピソードが飛んだのは大変惜しいけども納得はし、スマホ盗み見の下りがまるっと改変されてたのは、ヤダ味を削る巧い変化だなー、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
愛ちゃんが暁也を認識・意識すれば、それでOKだからねぇ…。
国広先生のエピソードは紅華の根源的な精神、年令や性別を超えた”美”を活写する傑作なので是非アニメで見たいが、さらさ軸に1クールで群像劇をまとめるとなると、カットは正着かなぁ、とも思ったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月8日
外伝系は軒並みドラマCDに移してる所を見ると、シリーズ構成は血の涙流しつつカットしとるな…。