BLUE REFLECTION RAY/澪を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
残酷な神として天に上がった紫乃は、想い亡き世界に蔦を這い齊わす。
静謐に緩慢に滅びに向かう人々の中で、指輪に選ばれた少女たちは日常を紡いでいた。
目覚める希望、刻まれた罪。
生活の中重なり合うものが、今天へと至る梯子となる。
そんな感じの、青椒肉絲に筑前煮! 滅びる世界でも飯は食う!! 堂々の終章開幕、漬物クエストブルリフR第21話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
お話を大団円に導くために、最後に救われるべき二人に思いを届けるために、まずは主役サイドが心の地ならしを、生活の中で果たすエピソードだった。
蔦を引っ剥がし、飯を作って布団を干す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
少女たちは超常の戦士であると同時に、当たり前の日々を生きるただの人間でもあって、そこで作られ共有された想いこそが、条理を超えた何かを成し遂げる力となる。
ブルリフRが、漬物とか使ってずっと書いてきた事が、今回も確認されていく。
それは人が生きてりゃ当然生まれるわだかまりを、超えていくためは大事なことだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
剣と鎖でバチバチやりあっている間は、見えないものが確かにある。
バトルドレスに身を包み、ビーム飛ばし合う舞踏場の華やかさが、覆い隠してしまうものにこそ”大切”がある。
僕はブルリフRに泥臭い衣食住の描写が沢山あって、作中の少女たちが確かに生きてる手触りが感じられるのが、とても好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
バトルも変身もない(が、奇跡は沢山ある)今回、沢山食って共に暮す姿が見れたのは、クライマックスになだれ込む物語が相変わらずブルリフRだと感じられ、嬉しかった。
蔦に覆われた新世界の静謐な不気味さと、ワーワー姦しい女子寮暮らしが、また良いものであるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
紫乃が望んだ思いなき世界が、ロボット人間が緩慢に死んでいく絶望郷であることが、コンビニでのやり取りでまず見えてくる。
雑に出てくる500円で、あんだけ絶望感じるのも凄いな…。
明らか終わってる世界を正すために、ラスボスのお膝元に到達しなきゃいけないわけだが、この話で大事なのは結果よりも過程…つうか、目的に至るまで細やかに変化し続ける心の在り方こそ、作品の眼目なので。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
旅立つ前に、まずは飯食って生きてる自分たちを確認しなければいけない。
今回も都が”言う役”として大変良い仕事をしていたが、彼女が蔦這う世界で置物にならないように、有理がプロトタイプを授けてくれてたのが良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
前作登場キャラとしての分をわきまえ、表舞台にははみ出さない彼女だが、欲しい時に欲しいものをしっかりくれる、頼れる仲間である。
都は特別な力を持たないからこそ、人が持っている根源的な力、志と尊厳を誰よりも強く表現するキャラクターである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
しかしまぁ、この状況でハブってのもあんまり寂しいので、色なき指輪で最後まで、一緒に戦える状況が整うのは嬉しい。
コモンに飲み込まれる前、目の前の少女を抱きしめ守っていた都。
前章でツナマヨおにぎりを介して、わだかまりを超えて心を繋いだ仁菜ちゃんとも、ワイワイ仲良く喧嘩している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
警戒と憎悪、あるいは侮蔑と無理解から始まった関係が、衝突もありつつお互いをしっかり見て、新たな絆を紡いでいる様子を見れるのは、2クールアニメ…つうかブルリフRの強いトコロ。
駆け足でイベントだけ追っかけてたら取りこぼしてしまいそうな、心の引っ掛かりを丁寧にぶつけ、ヤスリがけして良い所に持っていく手間。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
これをちゃんと果たすのが、作中にキャラクターが生きてる実在感、展開への納得感に繋がってると思う。
今回は、元ラスボスなお姉ちゃんの扱いになる。
モヤモヤ抱えたままナァナァで一まとまりになるより、ちゃんと言葉にして伝えて、変えるべきを変えていったほうが良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
そういう健全な意識を漬物とかで育みつつ、少女たちはこの最終決戦に辿り着いた。
都の牽制と自己嫌悪、それを聞く仁菜ちゃんが青椒肉絲作りに重ねて描かれるの、濃厚なブルリフ味
見せたくなかった弱さを暴かれ、お互いの思いを共鳴させた姉妹はなかなか、同じ部屋に入れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
しかし離れることで初めて見えるものもあり、託せばこそ伝わるものもある。
妹の世話を瑠夏に任せ、初めてその片手を離せたお姉ちゃんは、自分が身を置くべき場所を静かに探す。
眠る百ちゃんの前で繰り広げられる懺悔は、お姉ちゃんの良いところ告白タイムでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
誰かのことを、自分のことのように引き受けられる。
悍ましいエゴの拡大として語られる過去は、しかし誰よりも優しい美弦の善徳を、雄弁に語っている。
お姉ちゃんさぁ…誰にでも出来ることじゃないのよソレ?
残酷な世界で妹を守らんと、拡げ過ぎた両の腕。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
確かに力加減を間違えたかも知れないが、傷ついた存在に強く共鳴し、その痛みを自分に引き受けれる優しさは、過ちではない。
過ちにしないためにも、もう一度見つめ直して進み直す必要がある。
百への独白は、美弦がその端緒に立っていることを語る。
激戦と絶望に弄ばれても、手放せなかったフラグメント。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
それがお姉ちゃんの涙と自省に反射して、田辺百復ッ活!
いやー…長かったね。
ここからの上がり調子を思うと、百ちゃんが起きてたらお話転がってないので、眠り姫にしてたのは正解だと思うけど。
人間力は無敵の力よ、この世界じゃ。
お姉ちゃんは陽桜莉を見守らず、瑠夏に託す選択をすることで百の元に進み、彼女を目覚めさせた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
ベッタリと癒着していた姉妹のエゴが、お互いの思いを知り、迷った末の抱擁で切開されたことが、より善い結果を連れてくる。
バラバラだからこその、哀しさと尊厳。
繋がれるからこその、寂しさと救済。
百ちゃんが目覚めるためには、1クール目で瑠夏達が迷って見つけた答えを、お姉ちゃんも見つける必要があったのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
陽桜莉だけが、自分の”大切”ではない。世界でいちばん大事なものは、どれだけ沢山あっても良い。
そんな欲張りを、脆く優しい少女に許すまでの旅路。
その果てに、頼れる女の覚醒があるのはなんとも嬉しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
つうわけでメシだ! 筑前煮だ! 漬物だッ!
ババ臭い漬物壺が”継承”の概念武装として、めちゃくちゃ重要なポジションになってるの笑いどころなんだが、同時にめっちゃ素直に感動もするな…ヘンなアニメ。(幾度目かの感想)
百ちゃん司令のもとワチャワチャ炊事戦闘に挑む一行が、大変可愛らしくてよかったが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
百ちゃんが目覚め、お姉ちゃんとイチャコラ飯作る姿を見ることで、陽桜莉も”離れている良さ”を実感できる。
片手を手放さえばこそ、自分も相手も自由に、より豊かに可能性を広げられる喜び。
それは概念ではなく、皆で食べるメシの旨さであり、さりげない日常に満ちる笑顔である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
はっきりとした体温と手触りのある体験こそが、自分たちが追い求めるべき善さと正しさに背骨を入れる。
主役が背負うものが、そういう実感に満ちている物語なのは、やっぱ良いことだと思う。
百ちゃんの覚醒は、亜未琉に寄り添うばかりで”戦力外”だった涼楓に可能性を与え、ベールの向こう側から引っ張り出してくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
シーツの影法師である間は、けして見えない熱い涙。
それは絶望ではなく、希望故に流れてくる。
(画像は"BLUE REFLECTION RAY/澪"第21話より引用) pic.twitter.com/aVbWG0DquY
瑠夏がかつて同級生の自死を目の前に立ち竦み、何も出来なかった…しなかったことを傷としている事を思うと、ここでシーツの向こう側に踏み込み、涼楓の涙を見たことは印象的だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
お互いを見えなくする薄布を踏み越えて、相手の顔を見る。涙と希望を共有する。
そういうサイクルを少女たちは、時に迷い相争いながら回転させてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
涼楓が絶望ではなく希望の涙を流し、戦士として立ち上がり直せるのは百ちゃんが目覚めたから。
それはお姉ちゃんが自分と妹の距離感、過去の過ちをしっかり見据え、それでも消えない思いを抱きしめられたから。
そう出来たのは陽桜莉が笑顔の仮面を引っ剥がして、自分の苦悩、お姉ちゃんの弱さと歪みに向き合えたから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
そのためには仁菜ちゃんが抱え込んだ過去を陽桜莉に預ける必要があって、そう出来たのは都がツナマヨおにぎり食わせたからで、そのためには瑠夏が都を助けなければいけなくて…。
何もかもが上手く繋がらない世界で、それでも誰かを思い手を差し伸べて、結ばれていく縁。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
想いの破片(フラグメント)を自分に引き寄せて、自分から踏み出し何かを変えたからこそ、それが連鎖し繋ぎ合わさっていく。
Fragmentは確かにバラバラに砕かれたものだが、いつかまとまることを志向し続ける。
一つになりたいと願いつつ、そうなれないからこそ人の世は辛い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
紫乃が思いを凍らせて世界を殺しつつあるのも、その感覚に立ち止まればこそだ。
そんな彼女たちにこれから挑む者たちは、神が落ちた下向きの流れを、ひっくり返す潮流に既に乗っかっている。
変化が希望を生み、絶望をひっくり返しうる可能性。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
百ちゃんの目覚めは明るく力強い流れを生み出し、涙に暮れていた涼楓を戦士の領域に連れ戻す。
ベールの向う側にあるものを引っ張り出す。
そして同時に、消えない烙印に触れ、優しく覆う。
(画像は"BLUE REFLECTION RAY/澪"第21話より引用) pic.twitter.com/ysjFrfGfwb
数多の少女の心を砕き、謀略に弄んだ自身の罪を、賢く優しい平原美弦はけして許さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
妹にはけして見せない罪の刻印を、唯一見せられる相手。
百ちゃんは異形の烙印に手を添え、優しく隠す。
消えないものと向き合う決意は、そこにあっていい。でも、晒されるべきものじゃない。
背中に広がる異形が罪の証ならば、目覚め直した自分は善徳の在り処。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
何かを間違えても、何もかもが終わりになるわけじゃない。
長い眠りに落とした当人が、回復させたもので目覚めた百ちゃんの言葉は、慰みというには重たく、強い。
復活するなり柵越ホームラン連発。やっぱつえーわ、田辺百。
百ちゃんが目覚めたことで生まれた希望の連鎖が、瑠夏と涼楓を覆いから出す暴露の動きと、美弦の烙印を覆い隠す隠蔽の動き、両面に伸びているのはいい表現だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
家族には言えないこと。バディだから預けれるもの。
人と人の間柄は、様々に豊かであっていい。
同じように、顕にすることと覆い隠すこと、どちらにも優しさと正しさ、未来に向かう力強さがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
ただ暴けば、あるいはただ隠せば。
世界をより善くする行いが生まれるわけではなく、そのどちらもがより善くなる可能性を秘めているのだ。
それを駆動させたのは、やはり田辺百の目覚めである。
かくして繋がり、未来に進んでいく少女たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
超常の領域へ飛び込み、世界の命運を決する戦いの前に、当たり前の生活空間が切り取られるのは非常に印象的だ。
コップと歯ブラシが、化粧道具が並ぶ場所。
わたし達はここで過ごし、ここに帰ってくる。
(画像は"BLUE REFLECTION RAY/澪"第21話より引用) pic.twitter.com/rzgjsgjYu2
弱く脆い破片を心に抱えた数多の人たちが、傷つき迷いながらもう一度繋がれる世界を取り戻すために、ここから旅立つのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
美弦が持っていくと告げた”フラグメント”は、超常の力で可視化され、奪われる特別な花を意味するのではない。
ここまでの物語で、確かに触れ合って繋がった、一つ一つの破片。
当たり前の人間が持ち、その不確かな醜さに耐えきれず紫乃が神に堕したものをこそ、戦士たちは携えて決戦に挑む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
特別な状況に選ばれた、特別な存在を主役にしつつも、そういう普遍的なものにしっかりアプローチしているのが、この現代異能物語の良いところだと思う。
顔と名前のある主役たちはあくまで代表者でしかなく、亡霊のように街を往く人々が皆抱え、悩み、奪われたものを背負っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
そのFragmentを完全な形にするためにも、物語は最終決戦に進まなければいけない。
そこにたどり着くための地ならしは、今回しっかり整った。
残酷な神としてコモンで待つ紫乃も、バラバラにされた心の破片…それが繋がり一つに戻る可能性を見つけられぬまま、迷う一人の少女である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
倒すのではなく、救う。
傲慢な綺麗事にもなりかねないお姉ちゃんの…皆の決意は、むしろ物語が紡いできた必然である。
我々がバラバラで、不完全なFragmentであること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
だからこそ擦れ合う敵対者を否定せず、ベールの向う側にあるものに目を向け、あるいは顕にされたままの傷に手を触れること。
このお話は、それをすごく大事に、幾度もどう扱うべきか問いかけながら進んできた。
最終章第一幕となる今回、美弦を味方サイドに入れるための感情的地ならし、ここまでの闘いで彼女が見つけたものを丁寧に追いかけて、百ちゃん待望の復活で流れを前向きにして、思いを一つに決戦に挑める足場をしっかり作ったのは、大変ブルリフRらしかったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
何故戦い、何を追って物語が進むのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月7日
それが明瞭な物語が、僕はやっぱり好きだ。
ブルリフRがそういう物語として21話を積み上げ、これから終局に向けて走っていくことを確認できて、とても良いエピソードでした。
決着は、間違いなく善いものになるでしょう。次回も楽しみ。