BLUE REFLECTION RAY/澪を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
滅びゆく庭園の片隅に、打ち捨てられた心の破片。
紫乃のフラグメントが語るのは、壮絶極まる過去の思い出。
弱者を否定する救世主、偽りの傷に血を流す殉教者。
ただ、姉妹でいたかった。
そんな祈りすらも食い殺して、怪物が今目を覚ます。
そんな感じの、最後の伏せ札が堂々オープン、ブルリフR第22話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
大変遅れました。
理由は本編があんまりにきつくて、紫乃が可愛そうで、画面の向こうから何を言ったものか、サッパリ分かんなくなったからです。
弱いアニオタですまない…。
でもマジ…マーーーージッ!
『そりゃあ世界も人の宿業も呪って、心を凍らせた楽土へひた走るわなぁ…』と納得の過去であったが、(フラグメントが言っていたように)紫乃に告げなきゃならんのは労りであって断罪ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
皆が抱えて最終決戦に飛び込む想いを、自分がどう感じたか言葉にしつつ、感想を書く。
とは言っても、今回はフラグメントを通じて紫乃の過去、心の奥底を共有する一本勝負のエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
話は全部、紫乃という神様がどんな風に形成され、何を捨てて…捨てたつもりで活きていたかに繋がっていく。
まぁ最後に、空虚人間がとんでもねぇ横殴りをキメてくっけども…。
ネクナン様と持ち上げられ、地獄という形容すら生ぬるい虐待に囚われた紫乃は、とても心が豊かで優しい子だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
だから母親が押し付ける弱者排斥の論理にも、救世主と殉教者に姉妹を分け、人工的に聖痕を作る商売にも魂を染めきらない。
生老病死の宿命から、強い存在は逃れて弱い存在は排除される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
真理であり本音であると、紫乃が言わされている文言は今まさに、世界を強く飛び交う呪いでもある。
トンチキな絵面、異能飛び交う世界観にありながら、生々しい残酷と断絶を話に取り込む意志。
仁菜ちゃんの空っぽの”お家”、平原姉妹が上をごまかした濡れティッシュ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
ぬか漬けや青椒肉絲と同じくらいの、確かな質感で湧き上がってくる虐待や貧困の質感が、教団が振りかざす弱者排除のヤバさには漂ってくる。
水崎姉妹を苛み、食い殺したものを嫌悪するのであれば。
※訂正
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
×仁菜ちゃんの空っぽの”お家”、平原姉妹が上をごまかした濡れティッシュ。
○仁菜ちゃんの空っぽの”お家”、飢えをごまかした濡れティッシュ。
物語的な戯画を排除して忍び寄ってくる、同じ匂いの分断理論もまた、見ているものは遠ざけなければいけないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
異能によって形を得るフラグメントは、しかし確かな手触りと個別の問題性を抱え込んで、現実の悲鳴を反響させてもいるのだ。
紫乃の過去はとにかくキツいが、その理由の一つは紫乃が一度人間として圧倒的に正しい答えを掴みかけて、それに失敗していることにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
痛みを押し付ける相手ではなく、誰かが決めた役割でもなく、自分の”大切”として手を繋いで、自由に向かって進んでいくこと。
話の真ん中で紫乃が選んだ以上に正しいことはないが、母親の牙はその正しさを噛み砕いてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
正しいこと、優しいことは必ずしも、それを現実に引き寄せはしない。
この体験が、紫乃がリフレクターの無力に注視し、善意と共感を偽りと遠ざける、大きな傷になっていると思う。
生老病死は人の常であり、遠ざけたところで長者も聖者も必ず飲み込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
それを前提にした上でいかに活きぬくかを人類史は追ってきたわけだが、皆自分がしすべき弱者だとは思いたくない。
母の理論は、そこに漬け込み神を演出する。
子供の血で奇跡を描いて、教団を大きくしていく。マジ許せねぇよ…。
紫乃は幾度生き神の宿命を押し付けられても、老い病む人の宿命を弱さとは思えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
人はおしなべて弱い存在であり、もし強くなれるとしたらそれは、誰かを排除するのではなく受容することにある。
優しいことは強いことだという真理を、幼い紫乃は体得し、姉の手を掴んで実践すらした。
その行いは、哭けるほどに正しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
しかし、残酷に噛み砕かれて終わってしまう。
正しいことが正しく形になりはしない、ままならない世界。
紫乃は優しく賢く強いからこそ、その宿命に深く苦しむ。
それは、経典に描かれた絵空事ではないのだ。
佳乃に刻まれた赤黒い傷跡を、一切逃げずに描写するのはとても挑戦的で、大事なことだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
それは確かに、そこにある。
目を背けたくなるほどに痛ましいものを、毎日刻みつけられながら育つ子供たちの、出口なき地獄。
それは確かに、そこにあるのだ。
あまつさえ佳乃の傷は写真集に切り取られ、救いの偶像として”流通”する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
子供の犠牲を当然に、自分の中にある弱者を排除した強者になろうとする存在。
その悍ましさをファッションとして、熱に浮かれて消費してしまう愚かさ。
紫乃はずっと、それに包囲され続けてきた。
それでも心を殺さず活きてきた紫乃だが、母が告げる救済の日に噛み砕かれ、遂にフラグメントを壊す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
正直あの場面はあまりに苦しくて、幾度も停止しながら見きったけども、この吐き気を作中の少女たちとシンクロさせる意図は大正解である。
仁菜ちゃん…俺も空気良い所に連れてって…。
母の狂気は自己増幅的で、娘を殴り神に仕立て上げる中で、どんどんレールが壊れていったんだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
もう何かを演じて、何かを操作してる意識もないままナイフを握って、聖餐の儀式を完遂した彼女を、裁くものはいない。
紫乃の世界に、正しさは機能しないのだ。マジ許せねぇよ…。
お姉ちゃんは指輪の力で、生き地獄を彷徨う紫乃の心に触れ、涙を流す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
それは人が誰も持っている(持っていなければならない)共感の力であり、それだけでは世界は何も変わらない。
紫乃は自分ひとりが逃げ出し、救われる道を跳ね除ける。
優しくされても、世界は変わらない。
つまり、紫乃は救世主でいたいのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
それは母に押し付けられた役割であり、姉一人の魂と命すら守れない嘘であった。
でも、この偽りだらけで正しくない世界で、紫乃は優しくありたかったし、強くありたかったし、弱い自分を殺したくなんてなかったのだ。
弱いまま、強くなりたかったのだ。
現在自分のフラグメントを切り捨て、静かに世界を殺す神になってる紫乃が、母の願いを引き受け、その虐待を再生産する立場になっているのが、とても悲しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
彼女が邪悪と糾弾した存在と、同じになることで自分を食い殺した恐怖に対抗できる、強い自分へと変じた。
紫乃は、そう思いたいのかもしれない
でもそれは最も憎み最も恐れた存在と同化しただけであって、乗り越えたのではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
そうすることでしか、救いなく弱い自分たちを…自分が救えなかった”大切”を守れないと思い込んでしまっていること。
そうならざるを得ない苦しみを経てきた事が、紫乃を見てて一番辛いことかもしれない。
仁菜ちゃんは、希望を封じ込めた”お家”が空っぽだと確かめて、初めて自分の道を歩き出した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
その先には、ふらつく都の肩を抱いてやれる道がある。
あそこで自然と都をケアするの、あんまりに優しくて強くて泣いてしまった…。
バイロン詩集を杖に、ツナマヨお握りを糧に、山田仁菜はここまで来たのだ
お姉ちゃんは弱くて身勝手な自分を、一番見られたくない妹に曝け出すことで、適正な距離を掴み直せた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
傷と間違いにまみれた歩みを真っ直ぐ見つめ直すことでしか、正せない歩みというのは確かにある。
でもそれは、ただ正しいから進めるものではない。
けして届かず、掴めない共鳴の奥に本物の痛みを感じ取り、辛かったね、悔しかったねと思いを寄せること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
優しくしてくれる誰かがいることで初めて、人は強く正しくなれる。
不確かに揺らぎながら、それでも確かに正しいと思えるものを掴めるのだろう。
ここに至るまで少女たちは、自分の正しさを幾度も問われ、過ちや迷いに振り回されながら進んできた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
自分を強者だと思い込まず、人の必然と付きまとう弱さを抱きとめた上で、どう世界に立つのか。
それを非常に不思議な角度から、真摯にとい続けるアニメだったと思う。
その切実さの只中に紫乃がいることは、ここまでもしっかり示唆されてきたし、今回決定的に刻まれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
お姉ちゃんと同じく、正すべき敵こそが救うべき同志な構図よなぁ…。
共鳴が響く場所に、敵味方…強者と弱者ののシンプルな区別はないんよ。
皆負ける。だからこそ勝てるのだ。
紫乃がどんな思いで、美弦を『お姉ちゃん』と読んでたかと思うと、凄く悲しくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
心を凍らせ、沢山の少女を利用して神様になろうと決めた女の子は、いなくなってしまった”大切”を誰かに重ねて、縋りながら生き延びてきたのだ。
それは、お姉ちゃんも同じだ。だからフラグメントを抱くのだ。
”一周目”のお姉ちゃんは紫乃を救いきれず、彼女は自死を結末と選ぶわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
これが瑠夏と重なってる所が、凄くブルリフR的だな、と感じる。
偽善者とのそしりに怯えて、一歩踏み出せなかった後悔を取り戻すべく進んだのは、美弦も瑠夏も同じだった。
皆、共鳴で繋がっている。
あと紫乃がぶん回した神様世界が、この世を静かに滅ぼすと同時に奇跡を近づけてもいて、百ちゃんが目覚めたりフラグメントが動き出したり、より良い結末に近づく”善”としても機能してるの、めっちゃブルリフRだなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
破滅は希望に、祈りは呪いに。
常に裏腹、背中合わせなのだ。
『こんなん…闘って救うしかねーだろ! 邪悪な母の再生産してる状況、今止めるしかねーだろ!』と噴上がらざるを得ない、悲惨な過去。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
これを受けて陽桜莉が立ち上がったところで、哀しき虚無人間・駒川詩の唐突なエントリー。
お前は水差しの天才だなッ!
外部から望まず与えられる”痛み”がどんなものか、地獄の親子関係の中で思い知ってる水崎&山だが、空疎なファッションマゾをドブ見るような眼で見下すのも、よく判るところだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
まー地獄に貴賤上下なし。
一切寄る辺無く虚無である詩の喪失も、誰かが背負って共鳴してやんなきゃならねぇ。
そのためにもこの奇襲を跳ね返し、砕かれた祈りを連れて天に上り、運命に勝つしかねぇわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月17日
2クールの長きに渡った怪作であり快作も、遂にクライマックスであります。
この作品にしか描けない至高天を、しっかり刻んでくれると期待は膨らむ。
次回も楽しみですね!