イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プレイレポート 21/10/03 プリンセスウイング『翼の折れた少女』

今日はカッツェのみんなでNGPの新作、プリンセスウィングを遊んできたよ。

シナリオタイトル:翼の折れた少女 システム:武装少女RPGプリンセスウイング GM:シェンツさん

二次元くん:美香園万梨阿:15才女性:スカーレットフード 強い上昇志向と気位で、天の高みを目指す真紅の烈士。何かと派手な立ち回りの裏に、相手を慮る優しさを秘めている。遠近問わず大火力を叩き込む、パワフルな戦場の支配者。

コバヤシ:明石ベルナデット:11才女性:マッチセラー 敬虔な信仰の家に生まれ、パリ大学神学部を飛び級で卒業した早熟の天才。信仰者が特別な力を持つ意味を探し、プリンセスとして新たな学生生活を始める。遠距離狙撃に特化した機体を操る。

こんな二人で、人の世を乱すヴォイドと闘ってきました。大変面白かったです。
かなり新感覚のゲームに仕上がっていて、キャラ作成からミドルフェイズ、戦闘まで驚かされることがたくさんありました。一個一個の試みにどんな意図があって、どんな面白さを作るためにデザインされているかよく見えて、とても楽しい体験になりました。

かなり戦闘重点なシステムで、ミドルフェイズは大体キャラ属性大喜利で突破していく形になります。演出のタネになる要素が13あるのは正直多いな、という感じですが、『戦闘兵器×少女』というネタから生まれる暗黒の重力を上手く弾いて、明るく前向きな世界観を構築したのが上手く効いて、気軽にネタを振れるのはいい感じ。
情報項目というよりは、後々ヒロインを救済するための足場づくりという感じで、相手を理解する手順をちゃんと踏んで、激しい戦闘をあくまで心を救う前段階とする重心バランスは、イメージソースになった諸作品の価値観を上手く再現していて、なかなかいいと感じた。
要素が多すぎて扱いに困るので、あえてまとめられる要素はまとめてしまって、的を絞ってキャラを魅せていく形のほうが、実際の取り回しは良いかな、と感じた。キャラ一人で物語をドライブできる要素は、実はそんなに多くないんだよなー……13全部でイケる演出するのは、ちと負荷が大きい印象。
とはいうものの演出タイミングは一人一回だし、そこまで負荷が大きいものでもないので、上手くやれそうな要素を力強く押し込んで、いい感じに演出するのがグッドかな、と思った。戦闘に入る前に、自分たちが何に向き合って何が問題か、キャラクター間で確認・共有するタイミングがあるのも、物語がブレずに済む良い構成だと感じました。

戦闘はバリバリの高速ロボ戦闘で、色んな工夫が横幅と奥行き、取り回しの適度な軽さを両立させていて、とてもおもしろい仕上がり。
ダメージをゼロにしてしまう回避行動は何かとストレスなわけですが、非常に強力なリソースである手札を削っている実感があるため、『避けられた』というより『避けさせた』という気持ちよさに繋がっていて、とても良かったです。
達成地という概念がなく、武装ごとに各種数字が固定されているため、乱数に頼って処理が重くなる要素が綺麗に排除されていて、データ量に比べ負荷が少なめなのが、武装たくさん載せたいジャンルを活かしてると思いました。
スートごとに武装を割り振り、数字を合わせてコンボを組んでいく攻撃もイメージ喚起力が高くて、とても良かった。攻めに回せないクズ札にも活かし方が沢山あって、ここら辺のリソースと突破力のバランスはよく考えられてる印象。
地味にロボものではなく戦闘少女ものにすることで、パイロットと機体が同じレイヤーで扱える=戦闘とそれ以外でプレイヤーが共感を乗せるトークンがぶれない結果を生んでいて、TRPGとしての体験が一繋がりになっているのは、とても良いと思います。

スクエアを活用し、モブもボスもいやらしい動きをしてくるタクティカルな戦闘バランスになるので、仲間の得意分野をしっかり把握し、お互いの役割をしっかり果たすチームワークが求められる感じです。
データを自作する場合、戦場でどんな仕事を担当するのか、明瞭なイメージがあった上でキャラ作ったほうが満足度高そうで、コリコリデータを彫りたくなった。今回はわかりやすいコンセプトのクイックスタートを使ったので、次遊ぶならビシバシと自作したいかな。
ハードな戦闘を越えた後、真のクライマックスとしてヒロインを闇から救うフェイズがあること、そこでは数字で処理しないことが、少女が兵器ではない世界観を上手く表していて良いな、と思います。
犠牲者の心からモンスターが発生するタイプのプリキュアなので、悪党が歪めた心の闇に『そんなことない!』って叫ぶのマジ大事だし、ぜひ叫びたくなる。ミドルの判定でそこら辺の足場はちゃんと作っているし、ハードな戦闘が叫ばざるを得ないマインドをちゃんと作ってくれるので、ゲーム体験としての盛り上がりどころ、感情の誘導は、システムレベルでいい感じに支えられていると思います。

というわけで、大変楽しいセッションでした。人類崖っぷちの絶滅戦争をあえて回避し、幸福な日常を守るために戦う兵装ヒロインとして、PCを定義したのは良いなー、と思います。この味わいは結構独特だし、食べてみるととても面白い。
世界観としてもデータとしても、もう一度遊びたくなる良いシステム、良いセッションでした。同卓していただいた方、ありがとうございました。