王様ランキングを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
国の繁栄、王の強さによって王様がランキングされる世界。
聾唖の第一王子ボッジは、周囲の無理解に人知れず涙しながら、逞しく日々を生きていた。
ある日異形のカゲに服を脅し取られ、それでも笑う王子の姿が、盗人の心に刺さる。
そこから始まった奇妙な縁から、物語は始まる
そんな感じのOPはKing Gnu! 制作はWIT STUDIO!! 秋の大本命絶対勝ァつ!という気合が、放送前から漏れていた話題作である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
前評判を軽やかに飛び越えるくらい、素晴らしい第一話だった。
当方原作未履修、ドスゲェ漫画だって評判だけは受動喫煙してるドにわかですが、大変面白かったです。
お話のテイストとしては童話というか絵本というか、素朴な世界観とキャラデザがまず目に飛び込んでくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
アニメーションもそんなテイストを活かし、青写真が素晴らしく絵画的な美術で、世界を埋め尽くしてきた。
淡い水彩が郷愁をかきたてる、懐かしい味わい
(画像は"王様ランキング"第1話より引用) pic.twitter.com/fjkAVJSqWo
しかしアニメーションとしての動きとライティングは非常に精妙で、ボッジ王子がこの絵本の世界を歩く時、精妙な光の加減がしっかり追いついてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
重心移動を感じる歩調、軽快な仕草の心地よさ。
シンプルに見える画作りの中で、非常に高いクオリティが元気に息づいている。
この素朴と精妙の調和が、独特のルールで動くファンタジックな世界に確かな息吹を与え、ともすれば寓意が浮遊してしまいそうな物語にしっかり、重力を与えていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
それはとてもリアルで、作中人物一人ひとりが息をしている、見事な空想の物語なのだ。
お話は王様と王子様がいて、お城があり、継母と義兄が意地悪をしてきて、強そうな四天王がふんぞり返る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
ティピカルなお伽噺のパロディかと思いきや、微妙に味が違う。
シンプルな造形の奥に一枚二枚、奥行きの有りそうな描写が随所に見えて、色々気になる。
とはいえ、話の背骨はシンプルである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
世の人々に笑われ、力も言葉も持たないボッジ王子はしかし、笑顔と優しさ、秘めたる実力を持っていた。
家族を皆殺しにされ盗賊に堕していたカゲは、彼と出会うことで生き方を変えていく。
何かに導かれるように、王子が住まう城に足を運び、その奮戦を見守る。
主人公たる王子の特質が、与えること、諦めないこと、変化を生み出すことにあると、カゲを見ていると解ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
聾唖である彼は自分を伝える言葉をあまり持たないが、異形であり孤児(王子と同じく)であるカゲとはなぜか、届かぬはずの言葉が通じ合う。
それが偶然か、運命か、今後解るであろう。
訳知り顔の蛇の人への対応を見ていると、カゲも辛酸を嘗め尽くして、今の盗賊稼業らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
ボッジ王子も(物理的に)強大な父王の跡継ぎとして重圧を受けつつ、生来のハンディを国民に理解されず、裸をあざ笑われる立場である。
『王子様は裸だ!』と罵ることは、この国のスタンダードである。
裸の王様は虚栄心と無理解によって、見えない服を着せられた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
対して裸の王子は、自分を分かってくれる唯一の存在と心を通わせるべく、服を与え彼を庇う。
その善良は何も知らぬ暗愚故ではなく、涙を噛み殺す強さに支えられている。
しかし、そのことはカゲ以外知らない…のか?
ヒステリックボインババアこと継母が、王子の手話をちゃんと読めてる(王子も対話を試みてる)所からすると、あの人結構情のある人なんじゃないかなぁ、などと思ったりもするが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
あと蛇の人は第二王子の師匠なのに、蛇さんけしかけてトレーニングしてるし、王子が実力見せた時も唯一驚いてないし。
何しろ周囲に理解を得られず、蔑まれ涙を流すボッジくんが可愛そうなので、彼の善良な強さを理解するものが城にいてくれると、オレの心に嬉しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
英雄となるものには多くの試練、尋常ならざる運命が待ち受けるものであるから、彼が背負う数多のハンディは『そういうもの』と、ある程度飲み込めるが。
同時に非常に人間らしい笑みと涙を持つ、心の豊かな少年だということも力強いアニメーションから伝わってきて、大変に応援したくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
これは彼と出会い、彼を追ってしまうカゲの歩みと、視聴者が物語に入っていく歩調が上手くシンクロして、生まれている感情だとも思う。
前半は童話めいた素朴さを前面に押し出しながら進んでいくが、カメラが城に入っていく辺りから画面は緊迫の度合いを増し、良いサスペンスとアクションが動き出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
王国の成り立ちを語るシーンの、戦乱の炎の濃さ。
(画像は"王様ランキング"第1話より引用) pic.twitter.com/4EQmW8m2RC
ぬらりと画面を横切る蛇の、靭やかで不穏な動き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
蛇の人は悪人面に似合わず、ひっそりボッジ王子を勝って気にかけてるっぽくて、既に好感度が高い。
カゲに圧かけてたのも、暗殺を警戒してっぽいしなぁ…。キャラの背景見せつつ、ドラマを停滞させない運びもいい感じだ。
偉大なる王は病身であり、王位継承は既に波乱含みである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
ここでボッジ王子のライバルとなる第二王子が、如何にも調子に乗った体で出てきて、その第一印象が気持ちよく裏切られる。
剣を振り下ろすのにこういう顔して、あしらわれて拳を握って…彼なりに、懸命で真摯らしい。
かわいそうで正しいボッジ王子だけを際立たせるなら、第二王子はイヤーな噛ませ犬として描けばいいし、そういうムードは確かにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
んだけど、そんなステレオタイプから既にはみ出す”力み”が、切れ味鋭い殺陣の中から滲んできている。
彼もまた、血と汗と涙を流す人間らしい。
ライバルをそう描くのならば、このシンプルに見えるお話はけして、ティピカルなものではないのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
ボッジ王子は果して、第二王子にどんな感情を持って、立ち会いを望んだのか。
整った前髪を崩された第二王子は、どんな咆哮を上げるのか。
(画像は"王様ランキング"第1話より引用) pic.twitter.com/E4FkLWgHx6
次回が大変楽しみである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
前半ののどかなお伽噺調から、後半の鮮烈なサスペンスとアクションの緩急が大変に良く、いい意味で第一印象を裏切り続けるアニメであった。
ここから王子とカゲ、彼らに関わる者達のドラマがどう展開していくか、全く読めない。
からこそ、とてもワクワクする。
王子が無理解を越えて己を打ち立てていく物語、その途中で厳しい試練に挑んでいく話も楽しみなんだが、家族を奪われ悪辣な道に墜ちてるカゲが、その王子と触れ合う中で変わっていく様子も気になんのよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
相当に素朴に、人間の真芯へ衒いなく踏み込んでいく力強さを、期待してもいいかなと。
思わされる第一話であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
大変良かったです。
この描線とデザインで、おそらく相当にキレるアクションが待ってるお話なので、風雲が急を告げた後のハードアクションをどんな風に演出するか、今から楽しみだ。
あと美術が最高に良いので、色んな所を旅して欲しい。絵本めいた旅情を感じたい。
パッと見凄みを感じさせない所に、凄いクオリティが追求されてて、そのアク抜きの技芸に色々関心もしてしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
その素朴さもこだわった仕上がりも、心地よく波長が合う作品だと感じた。いいアニメだなコレ…。
ボッジ王子の目指すべき王道は、どこにあるのか。
次回も、大変楽しみです。
追記 座組からしても第1話の仕上がりからしても、効きの悪い対比に尺取る効率悪い創作はしねーだろう、というメタ読みから、今後の足場を作る立ち回り。
王様ランキング追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
冒頭回想されれた母との語らいも、父の御前に呼び出された時も、両方巨人めいた大きな手と触れ合う描写があるのだが、母の手はあくまで白く優しく、父は己の喀血に塗れて赤く書かれていた。
ここの対比に何が秘められているのか、ちと注目どころかなー、と思う。
何しろ力と繁栄がランキングを作る世界観なので、父王も血を流すことでランキングを上がったのだとは思うが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月19日
ボッジ王子は明らかに、そういう殺伐としたルールを切り裂いていく側の主役なので、あの血の暗喩(だと思う)がどう効いてくるかは、今後気にかけておこう。