ヴィジュアルプリズンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
アンジュの爪弾きに誘われた駒鳥は、天才声楽家・ロビンだった。
重なるハーモニー、生まれる友情。
穏やかな日々は遠い追憶と、燃え盛る愛憎に揺れていく。
殺したいほどに愛し、抱きしめるほどに憎んだ日々が、今原宿に血の薔薇を咲かすッ!!
そんな感じのカストラート達の吸血譚、ヴィジュプリ第3話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
大変良かった。
ジャック&ロビン兄弟の愛憎を軸に、実は熱血友情野郎だったアンジュくん、ツンツンしてるくせに血仔大好きサガ様、仲良しビジュアル系LOS†EDENと、見どころ満載。
青春音楽モノで絶対やってほしい爽やかな風と、吸血伝奇に必要な宿命と情感の湿り気がしっかり同居し、ロビンとジャックが選んだ道が清廉なる退廃に輝く、いい仕上がりでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
『このトンt気アニメ、ゴシック・ロマンスとしても、かなり気合が入っとるのでは?』という疑問が、確信に変わりつつあるな
というわけで前回ネタを振ってた、アンジュとロビンの出会いから物語はスタート。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
開始一分の圧縮率が凄くて、意味あるセリフほぼないのにシチュエーションとレイアウト、表情と仕草でガッツリ濃厚な運命の瞬間を、しっかり届けてきた。
こっちの受け身が取れてない状況で、一気にエモで殴る。
この不意打ちスタイルがクドクド説明しない、シンクロの気持ちよさを生み出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
急に王子様スタイルで高い木専有してるロビンくんも、そこに差し込む光も、あまりに”意味”濃すぎて中毒なるからな…。
しかしそのドロリ濃厚描写が、物語を圧縮して食べごたえを生み出す。演出スタイルに確信がある
正直アンジュとロビンの出会いで一話使うと思っていたので、そこをギュッと圧縮して運命の双子の再会、囀る天使の堕天までやりきるのは、嬉しいサプライズだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
そこまで話数を使い切れるように、とにかくドラマティックを乱打して一気に押し切る作劇に、舵を切った感じもある。
唐突でわけがわからないこそ、それが必然。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
そんな運命力の濁流が、音楽を媒介に力強く浄化されていく。
アンジュとロビンの唐突な関係が、笑い声も爽やかに友情に変わっていく様子は、大変良かった。
可愛い美青年達が、白雪の如き清らかさで笑い合ってるの、最高に良い…。
まぁこのピュアネスは、後半捻れた血の絆で一気に染まって、クソ歪んだ感情が溢れてくるんだがな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
マージで前半のロビンくんと、兄さんに再開してからの激重ヤンデレ少年が別人過ぎて、心地よいショックだった。
やっぱキャラを深く刺すためには、落差が大事なんだなー。
勝手に迷い美少年を家につれてきたアンジュに、壁ドンサービスを欠かさないイブとか、二人のキャッキャウフフに複雑な表情して伏線蒔くギル様とか、短い出番でO★Zメンにも見せ場があった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
『ここら辺のネタを、確実に上手く使ってくる』という信頼感が、既に僕の中にある。
好きだぜ、ヴィジュプリ…
ここから物語は急展開を見せて、ロビンくんはアンジュを連れ立って訪日の目的を果たす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
10年前の幼い姿のまま、確かにそこにいた愛する兄。
まーさかジャックくん回でもあるとは思ってなくて、むっちゃ嬉しい不意打ちであった。
運命が眼前に進み出たときの、ジャックくんのビビリっぷりが可愛い。
吸血鬼の物語には時が止まるゆえの退廃と、時を止めたいと願うほどの激情が欲しくなるわけだが、捻じれに捻れた双子の関係は、そこにズバッと切り込んできた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
前半ロビンが『もう、あのときほど高い声は出ないけどね』と、抜け目なく流れる時間の残酷を告げてるのが、めっちゃ効いてる脚本。
時を殺した兄の背丈を弟は追い越し、変声期を迎えないために自分を殺した兄の声は、弟よりもハイトーン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
10年間の時間差は感情を発酵させ、血よりも甘いワインへと変えていく。
前半見せてた気軽さで楽屋にぶっこむ、イギリス製の情感爆弾が、軽薄な仮面を引っ剥がしていく流れは最高。
あとすごく悲しい事があったので、当然天が泣いて雨の中美少年たちが膝を抱えるのも、一回追い出したくせに見てらんないのでお家に入れてくれるサガ様も、マジ最高。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
やっぱあそこは土砂降りの雨の中、捨てられた猫のように寒さに震え、肩寄せあって涙を堪えなきゃいけんよ。様・式・美ッ!
ジャックの血親であるサガ様は、その愛憎を知って抱擁したわけで、兄弟の再会が重く苦しいものになるのは解っていたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
しかし物分りよく別れていくよりも、全てをぶち壊し新たな運命を切り開いていく方が、LOS†EDENのスタイルにあっているのだろう。
なので、再会の場を作る。
タイトルにもなってる『Ai=Zo』の大文字を拾えば『A=Z』、始まりたるαと終わりたるΩが繋がった、捻れたAZ(アーツェット)の円環構造となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
愛は憎しみの双子であり、止まった時と変わらぬ想いは、結びついて激しく着火する。
天使に愛された弟を、誰よりも憎み、でも殺せなかった少年。
※訂正
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
×『Ai=Zo』の大文字を拾えば
○『AI=ZO』の頭文字を拾えば
去勢することで永遠にボーイソプラノを保つカストラートのモチーフを、ここで引っ張ってきたのも良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
祈りを捧げるべく生まれた聖歌隊が、捻れに捻れた極限と、闇に墜ちた吸血鬼が重なる時、幼い激情は凶器となって、愛憎を刺す。
聖なる怪物としてのヴァンパイアを、よく照らす道具立てだ。
抑え込まれたロビンが『兄さんを一番愛しているのは僕だッ!』と、天使の仮面に隠したエゴを炸裂させたのも良かったし、サガに抑え込まれたアンジュがそれでも『ダチ助けるのにワケいらねーだろ!』と、熱く吠えたのも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
兄弟の愛憎を前に、無力に抑え込まれた自分。
今回の事件が、アンジュが力を求めてヴィジュアルプリズンに飛び込む一員として、しっかり生かされてるのも素晴らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
やっぱ未熟な思春期ボーイには、己の無力さに焦がれ、闇の力を求める瞬間があって欲しいワケよ…。
中二病を駆動させる普遍の情動に、半笑いせず超真面目。好きだな…。
そして運命は転がって、弟は人としての心臓を捧げ、兄は胸の奥の宝石にヒビが入る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
LOS†EDENが仲間の決断を、その死も含めて尊重し見守ってるの、『結構信念あるカオス勢なんだな…』て感じがあってよかった。
吸血鬼修羅場が終わった途端、みんなでマリカーして仲良しなギャップもグッド。
生まれた時から溜め込んだ激情を吐き出し、自分たちを縛る時と因縁の檻をぶち壊して、天使は闇に堕ちる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
人間世界の倫理や常識から考えれば、愛憎の果ての心中なわけだが、吸血鬼にとってはここからが永遠の始まり。
ゴシック・ロマンスとして、価値観軸がしっかり異質なのが良い。
ジャックとロビンが捧げたものはけして軽くはないのだが、そうさせるだけの思いが吸血鬼という生き方を選ぶものにはあり、それが薪となって歌を燃え上がらせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
ヴァンパイア/ヴィジュアル系/バンドバトルという各要素を、強いエモーションで結び合わす試みは、今回良い結実を見せたと思う。
兄なのに親であり、弟なのに10年分背が伸びている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
非常にバロックな関係ながら、二人の愛憎がここに行き着くしかなかったという、不思議な納得もある対峙。
同じバンドに入らないのも、複雑怪奇な因縁を闇の抱擁が打ち破った感じがあって、腐臭と涼風が同居した味わい。
今回LOS†EDEN回でもあるので、『壊す』という彼らのスタイルが、実は無ではなく新たな再生に繋がる可能性をちゃんと示せたのは、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
音楽面で棲み分けちゃんとしてる所に、アライメントの違い、それが生み出しうるものをドラマで乗せると、こりゃぁいい感じですよ…。
双子の二重唱となった”AI=ZO”は、幼年期を閉じ込めたからこそのソプラノと、そこから脱却する寸前の低音が入り交じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
前半アンジュにハーモニーを教えていたシーンが、こういう形で回収されるの最高だった。
やっぱ全てを歌に絡めて書いてくれると、歌の物語を食ってる感じがして滾る。
かくして運命を見届けてくれた友と、バンド結成に向けて進み出すロビン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
力を持つこと、何かを壊すことの価値を、サガ様の間近で感じたアンジュも気合十分。
…なんだが、ギルの止まった時間はなかなか動き出しそうもない。
この檻も、天使の歌声がぶち壊すのか。
O★Z結成、マジ楽しみだなー。
つうわけで愛憎渦を巻く美しきアモラルが、一つの決断へと辿り着くエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
冷静に考えたら相当ヤバい決断してるんだけど、『ヤバくねー吸血鬼がいるわけねーだろ!』というオフィシャルな解答を、ガツンと叩きつけられたようで大変気持いい。
皆捻れた思いを抱え、鬼に転じて歌を囀る。
矛盾に割り切れない強い感情は、即ちVの世界観を支える大きな柱でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
昼と夜の狭間で、行き場のない思いを抱えたまま生まれる魂の叫び。
そういうものとして歌を描くのに、情感の生命体としてヴァンパイアが必要なのだと、双子が教えてくれるエピソードでした。最高。
次回も楽しみですッ!
追記 こういう意味でも、随所にギャップを仕込み、その落差で物語を加速させていく計算がかなりされてる作品でもある。パワーで押し切るように見えて、相当にテクニカル。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
二人が聖歌隊だったのやっぱ最高で、神の使いが悪魔に落ちる聖性陵辱と、それでもなお赤く輝く聖なる純情がグワッと際立って、良いモチーフである。
きれいはきたない、きたないはきれい。
AとZが繋がった輪廻の不可思議は、吸血鬼との相性が良すぎる。
それをしっかり真ん中に捉える筆、好きよ。
あと『お前らのそれ、手で書いてんのかーい!』とツッコんだヴィジュアルメイクが、その実認識阻害の魔術だから手書きしなきゃいけないと後出しで殴りかかってきたり、オカルト方面でも結構隙がない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月22日
ガバガバにツッコミ誘っておいて、マジレスで綺麗にカウンター取る。
コイツ、創作巧いよ…。