白い砂のアクアトープを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
企画部のアルバイト、朱里が提案したコスプレ企画は、全部署を巻き込んで盛り上がっていた。
しかし当の朱里はいまいち、仕事に情熱を持てないまま。
水族館大好き人間だけが、水族館で仕事するわけじゃない。
現実の寒暖差を前に、くくるが選ぶ道とは!?
そんな感じの、休憩終わりお仕事始めッ! イマドキ少女とお仕事をめぐる、アクアトープ第18話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
前回確認したティンガーラ職員の柔らかな絆、くくるが結びつけたスムーズな距離感が、コスプレ企画が転がる中、職場でも心地よく鮮明になっていく回。
みんな企画に乗り気で、仕事を”やらされる”のではなく”やる”空気に満ちてて、意思疎通もスムーズになっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
第2クール開始時のギスギス冷たくぎこちない雰囲気が、どんだけ緩んだか。
企画部でくくるが頑張ってきた成果が、いい感触で伝わるエピソードである。
同時にくくる達水族館人(あくあんちゅ)の熱量から、ちょっと遠いバイトの視点で”仕事”を描く回でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
他人の好意に無料で乗っかるフリーライダーでも、なんにも考えてない阿呆でもない朱里は、人間関係の海を上手く泳げる、賢い魚だ。
しかしだからこそ、夢中で飛び込める場所が遠い。
5時になったら定時で上がる、前のめりな熱意はそこまでない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
そんな人間でも誰かの役には立ちたいし、”仕事”に熱くもなってみたい。
未だ道を決めてない彼女が、偶然提出した企画が転がる中で、目の前に広がっていく可能性に目を開く。
そんなモラトリアムの物語でもあった。
物語はくくるが、夢の国ティンガーラで目を輝かせ仕事をしてる所から始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
今回はバックヤードではなく、夢を見せ夢の中を泳ぐ最新鋭水族館の表側に、キャラクターが同居するカットが多い印象だ。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第18話より引用) pic.twitter.com/naCP13IRLV
滅びしがまがまがあんまりいい所だったので、そこに対置されてるティンガーラを”敵”と見る視線が、自分の中に未だ残ってるのを感じるけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
思えば陽気でチャレンジ重点な館長を筆頭に、水族館とはどうあるべきか、真摯に考え形にしていくスタッフの集まった、綺麗で立派な場所である。
『そういう場所だよ!』とは第2クール開始以来ずっと、ブッチギリの美術とレイアウトが告げ続けているし、水槽を泳ぐ魚、夜の海に反射する輝きは今回も、そう語りかけてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
新しい環境と人間関係に馴染んで、体重の預けどころも見つけて、くくるにその輝きを自分に引き寄せる姿勢が整った…て形か。
副館長はいつもどおり、シビアで冷厳な区別を立てて、朱里発案の企画を社員軸で回す指示を出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
それを『横取りしちゃった!』と考える辺り、海咲野くくるは相変わらず善良で、熱血で、距離感が分かんない。
ほんっっっっっと、暗い海面のように全てを飲み込む風花のスタンス、陰花の香気に酔うよ…。
やっぱくくる一人だと狭く尖ってしまう部分を、風花の落ち着きが上手く包むようにキャラが配置されてて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
アルバイトとして適切な距離を保って、”仕事”と向き合う朱里のことを、同じく最初は夢がなかった風花はくくるに伝わるよう、適切に翻訳して教える。
世界で唯一体重を預けきり、愚痴も願いも全部伝えられる相手の言うことは、くくるは何でも飲み込める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
そうして腹に落としたものが、人間的な栄養となって彼女を育てる。
風花のそういう頼りがいは、くくるのひたむきが開花させたものだったりもする。お互い様だね…。
コスプレ企画が発案者の手を離れ、各部署で揉まれる裏で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
朱里は少し遠い場所から”仕事”を見つめる。
薄暗い影の中でも、鋭く瞳を光らせる薫の真摯さ。
色んなアイデアが付け加えられ、より良く変化していく企画。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第18話より引用) pic.twitter.com/E54HdrHkbO
自分が意見を告げたうどんちゃんの新作を食べても、なかなかすんなり腹に落ち着いてくれないもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
会議の当事者ではなく筆記者として、テーブルから少し離れた位置に居続ける朱里の視線は、ぐるぐると渦を巻いている。
流し込むトロピカルティーは、果して甘いか、苦いか。
うどんちゃんのサンドウィッチにしてもコスプレ企画にしても、何気なく出した意見が芯を捉えて、ヒット性の打球になる資質を、朱里は持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
そして多分、そんな自分の強みに気づいていない。
”仕事”に熱心な誰か達を羨ましく見つめ、自分との遠さにまず目を向けている。
それが体を引き裂くほどの大きな傷ではなく、しかし無視できる違和感でもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
ゆるふわ気質に見えて、かなり賢く立ち回れている朱里の現状は、なかなか細緻に描かれていく。
このクールな手触りは、熱血水族館物語を際立たせる、とてもいいアクセントだと思う。
企画会議で各部署が、好き勝手にやりたいこと発言して、それをくくるが受けて企画自体を捏ね繰り回してる様子も、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
ここまでの仕事でくくるが手に入れた落ち着き、柔軟性、即応性の賜物だし、ティンガーラが言いたいことが言える職場になってきてる事がよく判る。
色んな人達の『やりたい!』を吸い上げながら、コスプレ企画は大きく育っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
うみやんが薫の事を凄く気にかけて、負荷が小さくなるよう目立たぬサポートしてる描写が今回多くて、凄く良かった。
前回の雅藍堂さんといい、思いの外気づかいの人だ
(画像は"白い砂のアクアトープ"第18話より引用) pic.twitter.com/6QRjzt3Pnk
麗しのマーメイド衣装に難色を示すシングルマザーは、もう十代同僚に滅茶苦茶にされ可愛く可愛くなっていく前フリにしか見えねぇ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
ペンギンチーム、くくるも加えて良い距離感になったなぁ…。
俺は天真爛漫な東山声にマジで弱いので、マリナさんが目立つようになってきたのも嬉しいネ。
そういう明るい風通しとは、ちょっと遠い場所にいる朱里。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
楽しいからこそ苦しい、それでもやっぱり楽しい。
水族館にいつでも真面目、生物にマジで真摯な薫が見ている場所に、朱里の視線は重なりきらない。
そこまで、前のめりにも本気にもなりきれない。
朱里を主役に据えた今回、脇役時代では彫りきれなかった彼女の賢さが、同時に枷でもあることがよく判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
なんというか…もっとホワホワ天然気質かと思った部分が、相当考えた上であえてそう立ち回ってると解ってくる。
個別回の醍醐味であるし、大事な仕事でもあろう。
未だ夕日が残る午後五時、光と影の狭間で受け取る通話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
自分で考え改良した新メニューに夢を乗せるうどんちゃんと、未来に悩む朱里は同じ時間を過ごしているはずなのに、照らされる輝きは大きく異る。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第18話より引用) pic.twitter.com/YM4JvmCZ4r
自分がどうなるべきなのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
周囲の人々がどう”仕事”してるか、よく見ているからこそ広がっていく陰りの中で、見上げた空は抜けるように青い…わけではない。
でも、出口の見えない曇天でもない。
光も影も両方あって、だからこそどちらに進めばいいか悩む、そんな立ち位置。
この美しいあわいは、最初から館長代理として奔走してたくくる、その引力にアッという間に引きずり込まれた風花だと、なかなか描けない色合いで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
同時に風花が夜会話で告げていたように、とても普遍的な悩みでもあろう。
朱里の掘り下げを舳先に立てて、そういう部分に切り込んでいけるのはいい感じだ
朱里が今立ってる場所って、第1クールで学生だったうどんちゃん達が、かつて立っていた場所でもあって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
美しい夕焼けのグラデーションは、世代と立場の違い…そこを超えて繋がりうるモノをこのお話が、かなり大事にしてる証拠でもあろう。
”世代”はこの話にとって、かなりデカいネタだと思うんよね。
かくして企画がどんどん煮詰まり、遂に実行! …て段階で炸裂する、くくるのやらかし爆弾。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
ここでテンパらず次善の策と、労力と情熱ぶっこんでそれを超えていくアイデア出てくる辺り、『みんな育ったなー…』て感じ。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第18話より引用) pic.twitter.com/lkDLUeIjVr
いつも帰宅していた午後五時を超えて、”仕事”の現場に踏み込んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
ここで朱里があんま体温上げずに、事前の予定が流れたついで…ともまた違うんだけども、ある意味偶然に背中を押されて、新しい領分に踏み込んでいくのが良かった。
そういう風に開けていく道も、また良いじゃないの。
今回ずーっと年下の同僚を気にかけて、色々やってた花凛ちゃんが、朱里が自分たちの”仕事”に、それが扱う生き物に前のめりになってく様子を、しっかり見届けるのも良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
くくるがそこまで主役にならず、中心をずらして立体感を出すエピソードに相応しい落着だ。
朱里は熱なく上手くやれてる現状が嫌いではなく、しかし満足も出来ず、暗がりの中で立ちすくんでいた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
そこから流れ着き、あるいは意を決して踏み込んだ夜のティンガーラは、天ノ川を反射してあまりに綺麗だ。
ここの美術は最高中の最高で、素晴らしいの一言。
かくして遠くに見つめていたものを間近に引き寄せて、コスプレ企画は大成功。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
館長が乙姫うみやんを『ナイスチャレンジ!』と褒めてるの、ニンが見える描写で良かった。
くくるを企画部にぶっこんだのも、前向きな挑戦なんだろうな。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第18話より引用) pic.twitter.com/5wyqbi2ysu
相変わらず比嘉がサービス精神に満ち溢れた魚芸人過ぎてウケるとか、息子の称賛にママ・マーメイドのお肌も潤ったりとか、微笑ましい描写が多い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
色んな人のアイデアを繋ぎ合わせ、ファンを増やしたコスプレ企画は、その立案者も水族館の仕事に、そこに住まう生き物に近づける。
先輩の顔で朱里を見守るくくると、二人に慈母の表情で微笑む風花が、流石の貫禄である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
ティンガーラの末っ子として朱里にフォーカスすることで、二人がもう”先輩”なんだと判る書き方は、キャラの関係性に奥行きが出てとてもいいと思う。
色んな段階で、それぞれの思いと悩みを抱えて。
それぞれが”仕事”をやる中で、来たよ…ツンデレ核弾頭が…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
まさかの副館長の海賊コスに、爆笑しつつ待ってましたと手を叩いたが、告げられるのは新たな重責。
新たにオープンする新エリア、責任者はお前だプランクトン!
(画像は"白い砂のアクアトープ"第18話より引用) pic.twitter.com/ONPg0jhwTT
…って言われれ、そこまで意外でもなかったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
だってこの人、くくるには滅茶苦茶期待してたし、くくるもそれに答えて結果も出してきたわけで。
『何で』の部分を一切説明しない/出来ない人なんで判りにくいけど、ここまでしっかり成功させたら、そら次の段階に進めるでしょうよ。
しかし可愛い可愛いペンギンの描写を畳み掛け、やっぱり生き物にダイレクトに触れる仕事を望むくくるを描いた以上、副館長の判りにくい期待は寝耳に水で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
ここらへんをどう埋めてくるのか、最初の一歩はまさかのコスプレ…というエピソードでした。
諏訪さんからブッ込んできたのは、多分良い兆候!
思わぬ所にやりたいと思えること、楽しいと感じるなにかってのは転がっているもので、それと出会うことで、自分も世界も仕事もが変わっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
今回朱里が出会った輝きは、おそらくくくるにも照射されてるのよね。
いつもどおりの午後五時を、ちょっと過ぎた場所にこそ朱里の答えはあった。
飼育員に後ろ髪を引かれつつ、企画仕事に全力疾走した結果、部署の連携を滑らかに、仲間のアイデアとモチベーションを豊かに、顧客との繋がりを密に出来たくくるは、果して降って湧いた大仕事にどう向き合うか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月10日
その中で、経済マシーンの素顔は見えてくるか。
いい具合に揺れてきました。次回も楽しみ