王様ランキングを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
炎の奈落に突き落とされたボッジは、暗色の守護天使に命を救われる。
新たな活路を地下に突き進む二人を、置き去りに交わる刃と刃。
悩める忠臣の血潮が大地を染める時、王は地下深き場所にて一つの決断を果たす。
運命が、複雑な潮流を描き始めていた。
そんな感じの英雄誕生神話、王様ランキング第5話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
『こう来るかな~』と期待してた部分をしっかり拾い上げつつ、予測は見事に上回るダイナミックな展開、溢れる血潮、試される魂と、見応え充分の話運び。
卑劣な悪党に思えるものに、鈍く光る矜持と決意。
正体定かならぬ超常的な出来事に直面しながら、運命の兄弟は、それに寄り添う者たちは、一体どこに進んでいくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
大地に流れる血潮を絵の具に、刻まれていく心意気のタピストリー。
ボッジとカゲだけでなく、群像それぞれの粒が魅力的に立ってきて、更に物語に引き込まれていく。
というわけで、ここまで幸運に助けられてきたボッジの旅は、最高の友達が陰ながら守ってくれたおかげでした~。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
絵柄を筆頭に、色んな先入観を逆手に捻じりあげるのがウマい作品なんだが、この種明かしもそういう気持ちよさがある。
(画像は"王様ランキング"第5話より引用) pic.twitter.com/hZzhxTm20v
こうも絵本めいたファンタジックな世界なら、不思議で都合のいい救命も起こるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
そんな余談の裏に、文字通り影に潜んで約束を果たすカゲくんの想いを隠し、ここで突き刺す。
ベビンさんの密命も回収されて、違和感が心地よく解消され、ストンと腑に落ちる良い種明かしである。
『泣くな!』と”男らしく”告げて、しかしまた出会えた喜びと過酷な現状に号泣する、二人の青年。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
感情の発露に照れと嘘がなく、常時真っ直ぐで強いのもこのアニメの強いところである。
あまりにも熱い涙…ボッジはそれを、いつでも堪えて生きてきた。
しかし、カゲの前では泣けるのだ。
チャーミングで幼気な主人公ながら、ボッジは我慢に我慢を重ね、タフに生きようとしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
それはマッチョであることが即ち価値である、父の王国のスタンダードに自分を合わせようと、心身を削ってきた結果だ。
それはそれで尊いことだが、しかしやはり、泣きたい時に泣ける相手は大切で、ありがたい
世界全てが敵となった実感に、視線を伏せるボッジに対し、カゲくんが『世の中は辛い!』と告げるの、微笑ましくも辛い場面であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
愛する母を惨殺され、盗みと騙しに身を落とし、世の辛酸を嘗め尽くした彼が言うからこそ、辛さの先に共に進んでいく決意と希望は、闇の中強く輝く。
兄弟の命運は玉座と追放地に別れつつ、奇妙なシンクロを為していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
ボッジもダイダと同じく暗い階段を降り、特別な力と絶大な危険が待つ地下へと、突き進んでいく。
命がけの危機こそがそれぞれの強さを、譲れぬ思いを磨き上げる試金石となり、魂の地金は輝きを増す。
しかし、”王たるべし”という呪いに己を縛るダイダは、あくまで孤独である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
ドーマスを腹心と頼りたかった心に、おそらく嘘はない。
苛烈なる運命をともにする共犯者として、彼を試すべく、主の抹殺を命じる時、彼は花を投げる。
(画像は"王様ランキング"第5話より引用) pic.twitter.com/EzpbufFwCK
それは命であり、美であり、例えば剣よりも”女性的”とされるシンボルでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
彼は父が持っていた巨大な棍棒を背負えず、ランキングの低下を招いた。
巨大なファルスを持つ”大人の男”ではない自分は、軟弱な優しさを身近においてはいけない。
そう思えばこそ、怒りを花に投げつけ、修羅の顔をする。
後に兄がカゲくんから、軽く柔らかい布の王冠…(ダイダと同じく)貧弱である自分に相応しい理想を送られ、優しく戴冠するのに対し。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
ダイダはあくまで苛烈に強く、逞しくあろうと願い、ドーマスもその修羅道に引きずられていく。
そんな歩みの奥には、やはり死せる巨大な父の影を、感じずにいられない
疼く良心は弱さの証。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
流れる涙よ、炎に乾け。
自分がしでかした行いに慄きつつも、必死に正当化を果たすドーマスもまた、自分の中に確かにあるはずの柔らかなものを切り捨て、強くあろうとする。
マチズモの苦しさ、危うさに、この作品は強くフォーカスしているように思う。
真の男は、重い剣をもたなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
王の証たる王冠は、冷たい金属でなければいけない。
そういう思い込みも、カゲくんは優しく壊し、代わりを手渡す。
ボッジの誇りの象徴たる王冠を剥奪するのではなく、より適切な形に作り直す。
(画像は"王様ランキング"第5話より引用) pic.twitter.com/oUdnOij7R3
そんな柔軟な縁は、守るものと守られるものの間柄を固定しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
ボッジは毒ガスに倒れ伏したカゲくんを片手に抱え、危機の中で友を守ろうとしている。
こういう公平性が、通じ合う信頼が、同じく地下に挑むダイダにはない。
冷たく凍えた闇の中で、彼は怯懦を顕にしていく。
急に出てきた仮面の臣下にビビって、ろうそくを取り落してしまうのは印象的だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
怯えこそが、暗闇を照らす灯火を奪っていく。
彼は謎めいた儀式、愛する父の遺骸を蔑ろにするおぞましさに、身を震わせ顔を青ざめさせる。
それは地上では誰にも見せていない、彼の真実…
であり、それだけが彼の全てではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
たしかに彼は怯え震えているが、しかし誰かが押し付けてくる運命を、その悍ましい強制を跳ね除け、屈辱を噛み締めて立ち上がる強さを持っている。
主人公の死を願う”敵役”が、強さと弱さの両方を、主役の旅路とシンクロさせながら魅せてくる。良い運びだ。
巨人であるダイダ王を取り囲むものは、何もかもが大きくこれ見よがしだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
ベビンさんを討ち果たしたアピスの脳裏に、蘇る過去。
弱かった自分、見守る鏡、目の前に立ちふさがる巨大な扉。
忠臣と思えるものは、一体何を考えるか。
(画像は"王様ランキング"第5話より引用) pic.twitter.com/1z7wyovw8d
死体を凍らせ、燃やし、異形に蘇らせ、また殺す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
力の秘薬を錬成する過程は、大変におどろおどろしくファンタジックで、凄く良かった。
こういう魔法的な手続きをしっかり描いて、幻想へのワクワクを高めてくれるのはありがてぇ。
ファンタジーとしての骨が、正当に旧い。
鏡が押し付けてくるインスタントな力の継承、その先にある栄達の夢を、果して飲むか、飲まざるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
ダイダは逡巡の果てに、己の直感と矜持、師ベビンの教えを杖として、一つの道を選ぶ。
反吐撒き散らして鍛えた力こそが、玉座の礎。
(画像は"王様ランキング"第5話より引用) pic.twitter.com/6aWt8J5gzW
強く在りたい。憧れの父のように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
ダイダの思いを真正面から受け止め、スパルタでゲーゲー吐かせてたベビンさんの言葉が、決断を後押しする。
『回想で点数鬼稼ぎしてくるの、マジズルくないあのオジサン…』って感じだが、ダイダもやはり、一人ではないのだ。
父王の血から絞り出した血を、強制的に飲ませようとする臣下を薙ぎ払い、石畳に投げ捨てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
そこには小さく弱い自分を認められぬまま、誇り高く己のまま強くなろうとする、魅力的な矛盾、魂の焔が輝いている。
野望の毒が交じる紅い雫を、玉座を簒奪させた鏡の助言を、ここでダイダが拒絶したこと。
彼が力の虚妄、他人を踏みつける”男らしさ”ではないモノを求め、あがいていると描いたこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
これが今後、どんな波紋を広げていくのか…大変楽しみである。
後にドーマスが大地に流す血と、ここで投げ捨てた悪しき血潮は、かなり強く呼応してると思うんだが…どうなるかな。
王の遺骸から絞り出した血が、都合のいい力の継承…その奥にある鏡の野望の媒介となってるのは、第1話での描写と重なる感じで気になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
血は戦争によって流れる栄光の代価であり、かけがえない他者を踏みにじる痛みであり、血縁の鎖を象徴もする…のかな。https://t.co/ZDwL0lTxLr
さて超かっこいい冥府騎士団に拾われ、冥王の居城へと連れて行かれたボッジ一行。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
致死の毒ガスを物ともせずぬーっと現れる所とか、巨大な上半身と下半身のアンバランスとか、全てがイカシてるよ冥府騎士団…今後も出番あって欲しい。
(画像は"王様ランキング"第5話より引用) pic.twitter.com/xyNzw2VtC9
冥王は呪いの毒ガスが効かなかったのは、既に呪われているからだと慧眼にて見抜く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
力を奪われた巨人、神に呪われし異形。
共に神話クラスの呪詛を受けたからこそ、ボッジとカゲは運命で引き合ったのかも知れない。
考えてみりゃ、両親ともに巨人だから、ボッジも膂力と体躯に優れた子になるはずだ。
が、現状のボッジはそういう力を剥奪され、他者と意思を繋げる手段にハンディを持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
生来のものと思っていたこれらの負荷も、呪いであるなら生み出したものがいる。
王ならば王、神ならば神。
強く優しくあろうとするボッジの藻掻きは、不当な重荷を背負わせたものと、対峙する未来に繋がる
そのための術を、カゲとともに辿り着いた冥府は与えてくれるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
死の国での武者修行…完全に古今の英雄のスタンダードを踏襲する方向にボッジが進んでいて、神話オタクとしては大変ワクワクする。
影の国の武術は、パワー勝負一本の王国流とは、一味違うんだろうなー。
死してなお活きる英雄の未来を知らず、人間は修羅の刃を血に染める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
朴訥な善良さが輝いていたホクロが、ドーマスのやらかした行為の意味を知り、鬼の顔相から気合を絞り出し、圧倒的な強者に挑む姿が壮絶である。
(画像は"王様ランキング"第5話より引用) pic.twitter.com/XLnYT0pypG
片や並の長さの段平を両手持ち、片や長刀をスラリと放ち、片手で決死の一撃をいなす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
色んな所が強いアニメだが、バトル…というよりちゃんばらの描写が大変に鋭く、剣戟に戦士たちが何を込めているのか、動きからしっかり伝わってくるのも素晴らしい。
滑らかな”抜き”一つが、ドーマスの実力を教える
しかしホクロは何も出来なかった己の不甲斐なさを、王子の純朴を裏切った怒りを刃に宿し、けして怯むことはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
ホクロさんがとてもいい人だと描かれていたからこそ、この悪鬼の形相、それでも流れ落ちる涙は雄弁だ。
(画像は"王様ランキング"第5話より引用) pic.twitter.com/UiVCoMEij9
ザリガニ捕まえてはしゃぐ、あまりにも眩しく美しい日々の中に、ドーマスもまた隣り合っているのが泣ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
それは確かに、そこにあった。
しかし剣士は良心を殺し、主と定めたはずの少年を奈落に突き落とした。
それこそが、忠義の証、強さの証明なのだと自分を騙して。
しかし騙しきれないからこそ、ホクロの一撃を生身の腕で受け、聖なる復讐者ではなく汚れた己の血をこそ、大地に流す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
殺すほうが簡単であったことは、ホクロとの剣戟で既に見て取れる。
しかし彼は、傷つき血を流すことを選んだ。
ここに父の力を飲み干さないことを選んだ、ダイダとの呼応を見る。
腕を切りつけられながら、峰を返し、血を流さぬ決着を選べる力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
それもまた、反吐撒き散らしてドーマス自身が手に入れたものだろう。
それを裏切って流れる涙と血は、果して切り捨てるべき弱さなのか
無明の闇の中で、ドーマスも一つの決断を果たす。
(画像は"王様ランキング"第5話より引用) pic.twitter.com/QiaymjSomk
禅祖達磨に教えを請う覚悟を示すべく、己の肘を切り落とした慧可断臂の逸話を思わせる、壮絶な展開である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
ホクロがドーマスの命を奪わんとした二撃目は、剣匠の実力に阻まれて折れる。
自分を殺す業も、相手を殺す業も、共に断ち切らんとする修羅の決意が、闘いの中ドーマスには宿ったか。
武器を握る腕は彼の誇りであり、ずっと求めていたもののはずだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
ダイダが投げ捨てた秘薬もまた、父の継承を望む彼の願いそのもの。
しかしそれが、本来求めていたものとは異なってしまっていたことに、彼らは違う場所、違う闘いの中で気づく。
己の生き様が示す決断に、意を決し身を投げる。
これが王冠を置き、広い世界に旅立たんとしたボッジの決意と、どこか重なっている所に僕は、希望を見出している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
人を騙し、命を奪う。
悪そのものの行為に身を投げる者たちの心に、確かに宿る炎。
それを殺さず、悪しき血を大地に投げ捨てたことで、彼らの運命がどう変わるのか。
そこに隣り合って、親友とともに冥府に辿り着いたボッジを待ち受けるのは、一体何か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
壮烈なる血臭と苛烈なる決断が、挑む者たちの未来を照らしている。
過酷な試練は群像の顔を照らし、その魂を掘り上げていく。
次回も、大変楽しみです。おもしれーなマジ…。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月12日
鏡が秘薬を飲ませようとする時『アナタのためなのです』と言うの、母なる暗黒の究極系っぽくて最高に良かった。
そういう事ほざく奴が、薄汚れたエゴを反射する誰かを求め、ほしいまま弄んでなかった試しがないんだよなぁ…。
欲望を常にダイダに反射させてるのは、”鏡”らしいなと思う。