ブルーピリオドを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
一次試験まで一週間。
八虎は悩み、彼を導く大葉もまた悩んでいた。
対応力、楽しむ力。
優等生に足りないものが、噛み砕けない岩となって腹に沈む。
出口のない道の真ん中で、八虎にかかる声。
それは、懐かしくて新しい響きがした。
そんな感じの青春行ったり来たり、今週の主役は恋ちゃん! な、プルーピリオド第7話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
難題を超えたと思えば新たな課題が顔を出し、今まで使ってた鍵は扉にハマらない。
どん詰まりに思えた所で、昔のダチが本気をくれたことで、良い顔で試験に挑める。
蕁麻疹は出っぱなし、精神はいつもギリギリの綱渡りだが、確かに何かを掴んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
確かに、何かを与えている。
美術と直接縁のないマブダチこそが、八虎が既に与えていた輝きを、持ってる強さを思い出させる展開が、やっぱ凄く良かった。
僕原作で、この恋ちゃんとの会話が一番好きなんですけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
それはともすれば、八虎が新しく出会った美術、ノルマのようにこなしていた友達付き合いを『変えるべき、古くて悪いもの』にしてしまいそうな流れの中で、凄くいい意味で裏切られたからで。
そこは『帰るべき場所』だった、という。
八虎が青い渋谷に込めたものを、恋ちゃんが解ってくれたことが、この苦しく美しい藻掻きの最初にあるじゃないですか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
そうやって進みだした道が、恋ちゃん自身の人生が前に進む助けに実は為ってて、切羽詰まった状況でダチとラーメン食うこと選んだ結果、八虎は自分を取り戻す。
大葉先生が絞り出すように、しかしあくまで軽妙を装って問いかけた『楽しむ力』を、優等生らしく頭で考え『べき』で処理して、至ったどん詰まり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
頼みの美術部室にも答えは転がってなくて、でも最後の最後、八虎がダチの本気に背中を向けない青年であることが、彼に報いてくる。
美術という、新しい扉に出会った後も大きく開き続けていた、友情という世界の窓。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
それが描くことと同じくらい、八虎にとって大きな武器となって、彼を大勝負に進ませていく。
色んな輝きがあって、描くことだけが答えじゃなくて、でも八虎は描くことを選んだ。
描かない恋ちゃんが、描いてる八虎を見てパティシエという道を選び、そうさせてくれた八虎に感動と感謝を伝える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
描く/描かないの下らない二分法ではなく、もっと広いものを見ている作品なんだと、ここで横っ面を殴られた感じがしたんですよね。
それは、とても気持ちのいい衝撃だった。
無論こっからも苦しい道は続いていって、八虎は描けたり描けなかったり、何が正しいのか分からなくなったりするんですが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
それでもその苦悩も、この一次試験前の扉が開いたからこそ辿り着いた、新しいステージで。
そういう所に他人と自分を導いていける人は、凄いし強いと思う。
八虎が向き合ってる世界が大きく広くて、だからこそ苦しく、だからこそ描きたいのだと、恋ちゃんとのやり取りは凄く強く教えてくれると感じるわけです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
それって八虎主役に描かれてる、この作品のテーマ…見据えている世界の色を、凄く濃く、強く届けてくれた感覚で。
原作を読んだ時、このページに辿り着いて始めて、その根源的な意味合いで”ブルーピリオド”と出会ったような、そんなショックがありました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
それがアニメでも見れて、僕は凄く嬉しかった。
パティシエの華やぎを『らしくねぇよな』と涙ぐみながら、それでも進んだ恋ちゃん。
自分勝手に美術の道に進んだと思いこんでいたのに、その勇姿自体が親友の背中を押してた八虎。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
恋ちゃんが八虎に貰ったものを返すことで、八虎が見失いかけてた自分の形が、強さが戻ってくる在り方は、『青春と友情』というタイトル付けて額縁に入れたいくらい、僕にとっては良いもんです。
さて受験も後半戦、大葉先生は自宅に生徒のプロファイルを持ち帰り、思案に余念がない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
佐伯先生もそうだが、”師”に恵まれていることは八虎に沢山あるラッキーでも、とびきり大きなものだろう。
まぁ、クズもいるけどさ…。
(画像は"ブルーピリオド"第7話より引用) pic.twitter.com/pi4e2X1etH
八虎は賢い人なので、相手が真摯に自分を見ているか、かけた言葉に実のある反射があるかを考えて、対応を決めている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
美大受験を茶化し、生徒の喜びに水を指すことしか出来ない教師には、へらりと笑顔の仮面で、自分の内側には踏み込ませない。
しかし大葉先生とは、傷つけ傷つけられることを許す。
高校生に『話通じねぇし』と見限られてしまっている大人も、まぁ憐れであるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
生徒の強みも弱みも、悩みも苦しみもしっかり見据えて、その上でデカイ声で陽気を演じている大葉先生の人間を、八虎は結構姑息に測ってきたと思う。
自分に自信がなく、傷つけられるのは嫌い。
でも敬意を持てる相手となら、魂を削るようなぶつかり合いもどんと来い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
イヤーな事ばっかり言ってくる世田介と、マゾい縁で結ばれてる様子からも判るように、八虎が人と繋がるスタイルは結構特殊だ。
間近でその生き方を見てると、判るもの、心に響くものは多々、あるのだろう。
ここに来て大葉先生のモノローグが増えてきて、彼女自身相当に”賭けて”言葉を生徒に届けていることが、だんだん解ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
『楽しむ力がない』
それが八虎の柔らかな場所をえぐることは知ってて、しかしその急所を切開しない限り合格などないことも解っているから、あえて投げかける。
思えば大葉先生はずっと、そういう姿勢で…八虎に限らず生徒と向き合ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
桑名さんが階段で、弱者を見下ろして救われる姿、その薄暗さに傷つく有り様を見守っていた。
彼女も万能の鍵を持っているわけではなく、ただただ誠実に目の前の相手を見て、必要と思える言葉を投げかけている。
それがどこに落ちるか、芽吹くか殺すかなんて、決めることは出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
それでも必要で大事なのだと思えばこそ、子供に向かって刺さる言葉を、致命傷にならないよう気をつけながら手渡している。
その在り方は、『話通じねぇし』と見限られた浅ましさと真逆だ。
果して優等生に投げ込まれた爆弾は、グラグラと八虎をナイーブに揺らす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
課題はグラグラに揺れて、トンデモナイ大暴投と頭でっかちな不安定が、再び顔を出す。
何かを見つけたと思っても、人間の根っこにあるものは、簡単には変わってくれない。
(画像は"ブルーピリオド"第7話より引用) pic.twitter.com/ZP09aQkhHr
心に爆弾投げ込まれてから、八虎は顔をダイレクトに描かれるシーンが極端に減る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
それは彼自身が彼の顔を見れなくなった、心理状態が反映されたアングルだ。
真面目であることは、もう価値じゃない。
周囲に都合の良い自分を演じていても、八虎が進みたい道は切り開けない。
大葉先生の言葉は、美大受験を通じて切り替わりつつある八虎の世界が、どんなものであるかをしっかり告げている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
じゃあ課題を破れば良いのか。
『楽しまなくちゃ!』と思い込んで、(今まで通り)アタマで動けば良いのか。
そうじゃないのは解っていても、染み付いたスタイルは変わらない。
生来の真面目をどーすんのか、って話してんのに、生真面目に掃除すっぽかしたこと思い出して部室に向かう辺り、『そういうとこだよ八虎ァ…』って感じだけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
佐伯先生が差し出してくれたスケッチブックを見ても、楽しめてない今の自分に苦しむだけである。
『楽しむことは、初心者にだって出来るのに』という言い回しに、『俺はもう初心者じゃない』と、積み上げた努力と技量が生むある程度の自負が、透けて見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
でもそれの物差しは、天才(と八虎が思う人)との差を思い知らされる、頼りのない蟷螂の斧でしかない。
このどん詰まりに、やってきました昔の馴染み。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
ここで家に帰ってデッサンつう『やるべきこと』じゃなくて、ダチとラーメン食うつう『やりたいこと』に進めたのが、八虎の人生すごろく、見事な上がり目である。
そういう一瞬の寄り道が、大事な時あるよマジ…
(画像は"ブルーピリオド"第7話より引用) pic.twitter.com/dmXhDU4ny4
恋ちゃんもずっと切り出したかった、意外な進路。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
強面に似合わぬパティシエの夢は、お前がいたから踏み出せた。
だから…と人生に踏み込んでくる歩みに、思わず浮かぶヘラヘラ笑いの防壁を、親友は真っ直ぐ強く殴り倒しに来る。
あ、ありがてぇ友情…。
恋ちゃんは本当に八虎が好きで、尊敬できる人間だと思っているからこそ、本音を告げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
どっかで賢く合わせて付き合ってると、上下が出来ていた友達関係が見透かされてて、自分じゃみえないハラワタまで理解ってしまう、大事な友だち。
そこに帰ることで、八虎は自分の顔を見ていく。
恋ちゃんと語り合う中、段々と八虎の顔がカメラに入ってくる演出は、一次試験の課題が”自画像”であることと、おそらく繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
自分に何が出来るのか。
何が弱くて、何が他人を動かすほどに強いのか。
八虎の肖像は、自分では見れないのだ。
(画像は"ブルーピリオド"第7話より引用) pic.twitter.com/tx8bACjEUG
迫りくる試験から逃避したとも取れる、ラーメン屋での語らい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
そここそが、真っ直ぐ自分に向き合ってくれる、傷もひっくるめて相手を受け止め、それが自分の形を教えてくれるような、『話の通じる』瞬間をくれる。
恋ちゃんが掠れた声で、八虎への愛を差し出すシーン、やっぱ好きだ…。
いつもどんちゃんバカやってるように見えて、上手く乗りこなす表面の付き合いに思えて、でもそこは確かに、魂が通じ合う場所だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
ほしい言葉を欲しいタイミングでくれる賢さも、器用なようで生硬な生き方も、ずっと一緒にいたから理解ってる。
そこもひっくるめて、俺はお前が好きなんだ。
そう言ってくれたこと、そう言わせられる自分だと教えてくれたことは、高校3年生にとって凄く強い衝撃だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
自分がどんな存在であるか、鎧を剥いで率直に語る中で、抱え込んだ悩みが解れていく。
そこに進めたのは、愛され勇気を与えた友達が、帰るべき場所を担ってくれるから。
賢しいアタマを重荷にするんじゃなくて、課題を咀嚼する牙に変えろ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
恋ちゃんの言葉も、原点に帰ることで新たに変わっていく道を、八虎に教えてくれる。
顔の見えない惑いから、不敵に微笑む強さへと、八虎の表情は変化していく。
ようやく、戦うべき自画像が間に合った。
トンネルを抜けた八虎の顔を見た、大葉先生の表情が印象的だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
子供に色々教えてくれる大人だって、もちろん不安だ。
でも導くものの責任として、出来る限りの言葉を投げて、変化を祈りながら、なんでもない顔を作ってる。
(画像は"ブルーピリオド"第7話より引用) pic.twitter.com/i3eYCCU4Fw
いい具合に空飛ぶ自由を、恋ちゃんが好きだと言ってくれた『自分の好きな絵』を描く決意を手に入れたと思ったら、今度はチャコペン禁止でまーたグラグラである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
お前…試験自体に発情してる橋田を見習え! いや見習わなくていいッ!!
しかしエロいなー橋田…。
ズルにビビりながら書いても、全力で挑める気がしねぇ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
そんな弱気な自分を選択できるようになったのも、恋ちゃんが結構自分のこと見抜いてて、隠したいことバレバレだった体験と、繋がっていると思う。
強さを装っても、自分は勝てない。
それを知っておいたことが、八虎だけの決断を生んでいく。
かくして、運命の時が来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
””友がみな われよりえらく見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻としたしむ”と啄木は歌い、実篤は”そう力まないでも 歩けるものだよ俺の道”と語ったが、そんな境地は当然、八虎には遠い。
変な同行者とも運命的に再開し、挑む青春けもの道
(画像は"ブルーピリオド"第7話より引用) pic.twitter.com/DdmFSqPYP5
最初はフードで自分を隠してた世田介が、やっぱり善良マゾな八虎のエールにそれを外す演出とか、定番ながらやっぱ好き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
こいっっつ八虎のこと大好きで大嫌いすぎて、その表現がネジ曲がってるくせに唯一届くべき相手にはぶっ刺さるという、奇っ怪両思いだからな…許されざるよ。(行き場のない怒り)
描くべき僕らの自画像は、一体どこにあるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
光の中で未来に挑む八虎と、影を背負って×印の龍二。
動き出した運命は、まだまだ落ち着く所を知らず転がり続けていく。
苔むす暇などなく、押し寄せる苦しみと喜びの中で、青年は何を見つけ、何に迷うか。
(画像は"ブルーピリオド"第7話より引用) pic.twitter.com/bXt1ug2vsD
そんな感じの、一次試験開始までの物語でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
大変良かったです。
予備校も部室も答えをくれない所で、まさかの恋ちゃんが背中を押す爽快な裏切りも、そうして八虎が捕まえた色んな表情も、全部が愛おしい。
みんな生きてんなー、って感じがする。変な感想だけど。
龍二も生きて生きて生き抜いた結果、自画像に×印を付けたわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
その決断の裏には、もちろん青くて熱いマグマがうねっている。
今回…物語が動き出した頃から、八虎を駆動させてきたのと同じものだ。
それが共鳴し、傷つけ合い、暴いていくものが厳しい試験の中、強く踊る。
その足取りをこそ、やっぱり僕は見届けたいのだなと思わされる、いいエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月15日
鍵が見つかったと思えば次の扉には合わないし、誰かが安定したら誰かがぶっ壊れる。
交通法規完全無視、常時ニトロ満載の青春超特急は、次回も爆走です。おもしれーわマジ。