ルパン三世 PART6を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
秘密組織レイヴンと、ジョン・ワトソン殺人事件。
ロンドンに舞い戻ったルパンに、10年前背中を向けた業が牙を剥く。
静かなる死神を操るモラン大佐の、後ろにいるものは誰か。
目の前にいる因縁の相手は、一体誰か。
銃弾と記憶と優しさを飲み込んで、倫敦今日も霧深し…。
そんな感じの本筋帰還、ルパンとホームズの因縁が暴かれていくPART6第7話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
血なまぐさいノワールテイストが、キマった作画にしっかり支えられ、なかなか好みの味付けであった。
『銭形との因縁語り、煮えた共闘』つう大好物を餌に、心地よく一捻りしてくる展開も好きだよ。
今回は随所にイカした絵が暴れていて、死と誤解、優しさと因縁が絡み合うエピソードをハードボイルドに彩っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
風景と人物がいい角度で溶け合い、一つの情景を為す絵面が要所に決まって、大変いい感じだ。
(画像は"ルパン三世 PART6"第7話より引用) pic.twitter.com/u0z4gZNU87
回想でも現在でも闇の濃いエピソードで、それが暗闘の果て、廃墟の尖塔にたどり着いた時パッと晴れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
ただリリィを護り、卑俗な仕事に身を染めてきたホームズが、偽りを引っ剥がして自分の、娘の真実に向き合う覚悟を決める話として、ムードの調整が的確だったと思う。
己を偽ってまで相棒との友情、託された命に報いるべく生きてきたホームズの十年は、華麗なる名探偵物語というよりは、その後に続いたハードボイルドの味わいを、色濃く宿す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
やせ我慢と嘘っぱち、それに甘んじて汚れぬ矜持。
ミステリ史を一周りし、日本アニメが生んだ渋い怪盗と名探偵が墓場で出会う
そんな見立ても出来るエピソードかな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
PART6が奏じるホームズは、人情味が濃く激渋で、正直ホームズっぽくない…けど、良い味付けで好きだ。
六番目のルパンであると同時に、幾つ目かのホームズ・パスティーシュでもあるのよね、この”ルパン VS ホームズ”。
それを味わうのもありがたい。
つーか冒頭からして、バッキバキにキマってて最高なんだよな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
霧霞む場所で情報屋とやり取りしてると、音なき死神が牙を突き立て、事件が早速血に染まる。
どっか牧歌的で幻想的な風景を、何よりも現実的なものが抉って動き出す、正体不明の殺戮。
(画像は"ルパン三世 PART6"第7話より引用) pic.twitter.com/07HIZg7B3Q
フォトリアルに寄せすぎない美術がやっぱ効いてて、テムズ川からロンドンに遡上していく景色は、シティのど真ん中を走っているときとはまた違う色に思える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
この霞がかった…でも血生臭いスタートは、記憶にまつわるエピソードを、巧妙にショーアップしていく。
ロンドンに凱旋を果たしたルパンをよそに、リリィとホームズのヒビの入った日常は、10年同じように動く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
名探偵の顔を取り戻しつつあるホームズが、自分が守るべき子供をダシに、非情に事件を解決していく絵面が良い。
(画像は"ルパン三世 PART6"第7話より引用) pic.twitter.com/7c17D8N9J0
因縁と銃弾に打ち砕かれて、止まった時計。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
爆炎とともに帰還の挨拶を果たしたルパンによって、ホームズ親子の非・探偵小説的な日々は終わりつつある。
リリィは健気に、自分を守るために生き方を変えた父の思いを理解している。
ホームズもまた、再開によって名探偵の心臓が動き直している。
流れ行く時間を、子供が大人に近づくのに十分な時間を、どう扱うべきか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
ルパンにはルパンなりの考えがあり、信念に基づいて既に起爆はした。
あとは状況がどう転がっていくか次第…と、信頼して推移を見守る。
他人の人生に、ウェットな距離で近づきすぎない。
銃撃戦の只中に身を置くときより、ルパンが見守る親子の日常を見ている方が、そのハードボイルドを身近に感じられるのは、面白い感覚だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
なんつーかな…何がどうあっても、そういう温もりに身を委ねられない怪盗だからこそ、守りたい手触りっつーか。
荒く描いてこそ、映える花もあるわな。
書斎で名探偵としての顔を蘇らせつつある自分は、相棒に託された”父”の顔を維持できているか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
自身がないから、ホームズはワトソンの遺影を伏せ、銭形を演じてルパンに近づく。
その本心を知ろうと、暗い場所にあえて身を投げる。
彼もまた、荒野に咲く花を遠くから守ろうとする男なのだ。
おもしろウェポン抱えたモラン大佐が顔出しして、『っしゃキター!』って感じだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
やっぱ出落ちテイスト溢れる愉快殺し屋食べると、ルパン食ってる感じがするなぁ…この分かりやすい俗悪!
墓場に己を追い込んで、良いシチュエーションで語られる過去。
(画像は"ルパン三世 PART6"第7話より引用) pic.twitter.com/oH59XFSr6H
運命のトリガーとなったレイヴン事件、ワトソンを殺した覆面の殺し屋は、一体誰か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
ホレイショ相手には無情に何発も打ち込んでいた彼が、ワトソン相手にはもみ合いになる時点で、色々ヒントは出ている。
撃ってしまった後の表情にも、冷酷な組織の歯車にあってはならない、後悔と情が滲んでいる。
あえて殺しの汚名を背負い、見殺しにする形になった責任を取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
ホームズがあの場で冷静に判断し、後に10年を捧げる覚悟を瞬時に決めたように、ルパンもまた言葉にしない決意を、運命と行き合った瞬間に決めたのだと思う。
この決断の速さ、情の水気が切れた渇き。
それが、闇と霞が印象的な場面づくりの中、心地よく刺さる話だなー、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
スパッスパッとその場では決断して、でも思いきれないものが長く後を引いてもいる。
その決着をつけるために、無言でややこしい仕掛けを創り上げて、自分の欲しい物を手に入れる。
そんな矛盾が、やっぱ心地良い。
リリィを気にかけるわりに、痛みにうずくまる弱々しさに手は差し伸べられないレストレイドが、第一容疑者ではあるけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
レイヴンの真相に迫るラインに並走して、来たよ”教授”が!
つうか婦人、その完全武装何ッ!?(意外な角度からの不意打ちに歓喜)
(画像は"ルパン三世 PART6"第7話より引用) pic.twitter.com/9lQuZhP2rk
たーしかにこんだけ最新のロンドンを心地よく切り取ってるシリーズ、二次大戦から冷戦に続く古臭いエスピオナージだけじゃ、敵役としては足りない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
ここで”教授”の組織を足したことが、今後の本道にどんなアドベンチャーを生み出すか、なかなか楽しみになってきた。
あとヒントはかなりフェアに出されてたのに、ホームズの入れ替わりトリックは綺麗に見落として、気持ちよくネタバラシされました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
そっかー、そらとっつぁんレスとレイドと痛飲してるから、アリバイあるもんな。
シリアス銭形とのマジ話は大好物なので、丸呑みしちゃったよ。
賢いルパンは仕掛けを全部判ってて、あえて昔馴染との共闘の形を借りて、自分の思いと真実を伝える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
10年間、教えなかったもの。
10年後、動き出すべきもの。
全世界を股にかけ、あらゆる物語の主役になりつつ、そこに囚われなかった怪盗は、優しき停滞を許さない。
でもそこに込められたもの、名探偵が自分のスタイルを泥に落としてでも護りたかったものの意味は、しっかり解っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
此処から先は、親子の事件だ。
俺はお宝が欲しいだけと、ハードボイルドを気取り直して告げる想いを、ホームズも真摯に受け取る。
第2話で廃墟の中、ビシッと決別した所から個別回を挟んで、この信頼構築。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
”教授”という新たなストーリーラインも顔を出して、なかなか気持ちよく振り回してくれてます。
もうちょいバチバチする時間をとるのかなー、とも思ってたけど、ここで怪盗と名探偵がリリィをかすがいに分かり合うのも良いね。
守るべき幼子から、自分の足で立つ少女へ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
そして、かけがえのない家族へ。
名探偵が10年守り抜き、いま新たに挑む冒険はとても暖かく、優しい色をしている。
ノワールな空気をうまく作ったからこそ、この柔らかなラストカットが映える。
(画像は"ルパン三世 PART6"第7話より引用) pic.twitter.com/B4H0AsXBUX
つーか久々にリリィたん見たけど、やっぱ大変健気で適度に手弱女で、良い造形のヒロインである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
自分のために色んな人がしてくれてる事に自覚的で、渦を巻く運命に自分なり立ち向かおうと意欲を見せている所が、やっぱええわな。
あとホームズ魂の楔だと、ちゃんと描けてるところ。
やっぱ今回の名探偵、『ルパン三世の中のホームズ』であることを意識して、向こうに回す事件はデカいし、アクション多めで血なまぐさいし、ハードボイルドな情の湿り気が濃くアレンジしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
その変奏が主題といい具合に絡んで、色んな味が心地よく滲み出てると、判るエピソードでした。
事件自体はまだ種まき、土壌を耕してる段階なんだけど、ちゃんとキャラと雰囲気はしっかり描けていて、見ていて心地よいですね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月27日
こうして作った畑に、どんな大輪の花が、あるいは悪事の徒花が咲くか。
『PART6,本筋ちゃんと楽しいの嬉しいなー』と思うエピソードでした。
次回も楽しみです。