ヴィジュアルプリズンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
サガが、イヴが、ロビンが。
強敵(とも)達が見せてくれた風に背中を押され、背徳の堕天使たちは光へと飛び立つ。
死を超えて繋がっていく、音楽の力。
生まれ出る奇跡を信じて、O☆Z最後の代々木アリーナへ。
今、決戦の幕が開くッ!
そんな感じの熱血”V”群像劇、パンッパンに気合溜め込む最終決戦前である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
大変良かった。
勝負どころの演出力と画作りはバリバリ冴えてたし、大人数を扱いつつそれぞれの信念と尊さが良く見える、手際の良い話運びだった。
ここまでの全要素を使って、O☆Zとは、”V”とは何か必死で描きに行く。
歌うこと、生きることの意味を極めてトンチキな角度から、真正面にぶち抜く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
このお話がヴァンパイアとヴィジュアル系のアニメじゃなきゃいけなかった意味が、自分の中で硬い感触と共に浮かぶ上がってくる話で、大変良かったです。
死を超えるものを描くなら、確かに音楽と怪物はベストな選択だ。
というわけで、色んな人のお話である今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
サガのオリジンがカットアップ気味に演出されていくわけだが、彼の起点となったロンドン時代が興味深かった。
ロンドンのグラムロックから、原宿のヴィジュアル系へ。
こっちの世界では世代とアーティストを越え敬称さrた、音楽的影響。
ECLIPSEは時間を越えた超人バンドなので、自分たちの生み出したものを踏まえて新しい音楽を探した結果、新しい波が生まれたことになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
本来社会的に行われるべき継承が、個人内部(から波及して対個人、対社会)で生まれていくのは、とても伝奇的な書き方だと思う。
死すべき宿命に在る人間がどうしても背負えない時の流れを、否応なく背負う不死の怪物。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
その自閉し肥大化したエゴに押し潰され、退廃に溺れる姿が吸血鬼のスタンダードなわけだが、この作品はそれを反転させて描く。
主役たちは皆、気持ちが良くて前向きで、いい人ばかりだ。
それは怪物の宿命を背負っていないからではなく、その重さに耐えうる魂の気高さ、絆の強さがあって、初めて可能である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
そういうことを描くために、ギルの死が物語に組み込まれてもいるのだろう。
トンチキV系吸血鬼たちは、結構頑張って善人やっているのだ。
悲しみのあまりアンジュには見えなくなっている、ギルが託した思い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
それを届けてやる義務は何処にもないのに、サガはアリーナの広さを教え、選ばれた特別さを伝える。
自分を選んでくれなかった男がそれでも託したものを、誠実に伝えていく。
今回のサガは最強の負け犬過ぎて、マジでカッコ良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
選ばれなかった自分、ギルを救えなかった自分を見据える時、心は凄く傷んだと思う。
何しろギルに追いつくために人間やめて、別の男に魂を奪われて捨てられた形だからな…よくもまぁ、アンジュに逆恨みしないでいられるよ。
しかし燃え盛る魂を永遠に歌い続ける覚悟を固めた鬼は、湧き上がる泥に押し流されはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
大切な誰かに出会い、愛したこと。
それが去っていっても、確かに残るもの。
暗闇の中、自分の中に…そして誰かと触れあえばこそ輝くものを、吸血鬼は見据える。
け、健全過ぎる…倫理の教科書に載せよう…。
VampireとVisual。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
二つの”V”に共通する退廃と自閉は、確かに吸血鬼たちのそばにあり続ける。
イヴは自分を犠牲に奇跡を起こそうと考えるし、ロビンは兄との爛れた関係に沈みそうになる。
しかしその誘惑は、ライバルであり親友でも在る仲間たちによって壊され、光へと進んでいく。
『光を浴びれば灰になってしまう』と、定形で定められたVのプロトコル。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
このお話の吸血鬼たちは、堂々それを打ち破る。
サガが選ばれなかった敗北者であり、憧れを越えて自分だけの音楽、かけがえない仲間を掴み取った自分を見据える時、進む先は眩しい光の中だ。
そこにこそ、音楽が鳴り響いている。
イヴがセクシー緊縛ポーズで、カルミラを呼び出す時鏡を使うのが、正しく魔術的で印象的だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
古いプロトコルにおいて、吸血鬼は鏡に映らない。
自分の姿が客観的にどうなっているのか、肥大化した怪物のエゴは見据えられないはずなのだ。
しかし、二人は寄り添って鏡を見る。
ベスが血の伯爵夫人直系だという、唐突な伝奇爆弾が炸裂してて、死ぬほど面白かったけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
憎まれ口を叩きつつ親友を助け、自己犠牲を否定して共に未来を掴む道を…鏡に乱反射する定命の存在の尊さを肯定する姿は、大変気高かった。
マージで面倒見良すぎて、他人を尊びすぎ。
自分とは違う形の誰かが、一緒にいてくれること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
自分の服や音楽を求め、一瞬の煌きを共に燃やせること。
ミュージシャンでありデザイナーでも在るベスは、永遠を生きる意味を”美”の中に見出している。
しかしそれは、独りで完結するものではない。
誰かに己の”美”を委ね、変奏され変装される中にこそ意味を見出すベスは、どんな人間より社会的な存在だと言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
狭く冷たく自閉していく、世界に満ちた暗い重力。
その中心にいるはずの闇の貴族こそが、誰よりも前向きに光に、他者に向き合っている。
この他者優先主義…の中に、誰よりも自分らしい己を見出すスタンスは、子羊が崇拝すればこそ神を演じるECLIPSEの二人も同じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
気高き貴種にとって、アイデンティティの拠り所は閉鎖された自我の中にはない。
そういうメンタリティでは、永遠を生き抜けないで腐るだけなのだ。
この流転する開放性を、ヤンデレ兄弟が健全に炸裂させたのも、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
近くにいすぎれば、複雑に絡んだ愛憎が毒となって己を蝕むから、愛から離れた。
しかし奇妙な夜をくぐり抜け、居場所を見つけた今の自分なら、お前を…お前に反射する醜い己を抱きしめられる。
幼い姿のままのジャックはしかし、人間性の泥をくぐり抜け、見事に力強い蓮を咲かせていたのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
それは共に泥に沈む甘い誘惑と言うよりも、苦難を共に超えていこうとする決意であり、退廃に包まれた輝きを知ればこそ、ロビンは兄から離れていく。
離れていける、自分に涙を捧げて。
ここでロビンを兄離れさせて、大事なものが沢山出来てしまった寂しさを書くのは、永遠の少年たる二人の物語にとって、とても綺麗な結末だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
永遠を生きる怪物になったとしても、心は触れ合いの中で変化していく。
エゴに苛まれ、あるいは絆に癒やされながら、自分の形は変わっていく。
あの時望んだ静止した永遠が掴めないと知りつつ、ジャックは弟を優しく誘惑し、ロビンはそれを涙ながら跳ね除ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
そうするのが、一番自分らしいと思ったから。
彼らは何よりも愛した絆を振りちぎって、それぞれのバンドへと進んでいくのだ。
こういう”力”ある展開を、簡勁にやりきれるのは強い。
んでロビンの決断は、サガに生き様見せられたアンジュと繋がっていくわけじゃない?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
夜闇の交差点、輝きと危うさが混ざり合う場面の絵力、大変ロマンティックで良かったけども。
”ススメ”と”トマレ”の中間点に、危うく身を投げればこそ未来を切り開ける人間として…
ロビンは進みだしたアンジュの側に近づいて、彼を抱きしめない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
追い抜いて、側にいることこそが自分の…O☆Zの答えなんだって決めたわけですよ。
ここで抱擁しない距離感が、凄く今のロビンらしく、ヴィジュプリらしくてよかった。
同時に、アンジュの親愛を込めた抱擁も描く。
溶け合うほどに抱きしめて、そのまま腐れ果てていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
ギルの棺に歌を捧げていた時のアンジュは、そういう危うい道に墜ちかけていた。
しかし真紅の破壊者に壁をぶち壊され、未だ残響する愛の名残を見せつけられて、魂が燃えた。
まだ、何も終わっていない。
サガがギルに選ばれた継嗣…血を吐くほど為りたかったが為れなかったアンジュを、わざわざ生き返らせたのは。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
彼の父が事故にあった時、既に書き上げた音楽こそが永遠なんだと信じて、見せかけの救済を拒んだことが、かなり深く刺さってたのかな、と思う。
時を越える超人になることで掴めるものも在るし、生きて死ぬ只の人間だからこそ描けるものが在る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
そして音楽は、両者に平等に開かれている。
命が砕かれたとしても消えないもの、気高く永遠に輝き続けるもの。
それが在るから、サガは腐らず燃え続ける。
倫敦でギルの音楽を聞き、燃え上がった心の焔。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
それがサガを通じてアンジュに燃え移ったからこそ、彼は抱きしめつつも腐らない距離を見つける。
己達の理想を照らす、美しき牢獄。
O☆Zのプリズンは無限に広がる丘であり、そこにはいつでも風が吹いている。
音は空気の振動であり、風というO☆Zのエレメントは何者にも遮られることなく、皆を繋げ自由にしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
そんな理想がアンジュの歌から溢れていたから、生きることを諦めた死者も、心に闇を抱えた少年も、傷だらけのハンターも、”バンド”になろうと思ったのだ。
三者三様の戦いをくぐり抜けて、O☆Z再起動に集っていく姿は、彼ら吸血鬼がどんな痛みと停滞に抗っているのか、歌い続けるため何が必要なのかを、雄弁に語っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
怪物だからこそ誰よりも人間でありたいと願い、このお話においてその証明は、いつでも偽りのない歌の中にこそある。
だってこのアニメは、バンドの物語であり音楽の物語だから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
テーマと選んだものを世界最高の場所まで、熱いドラマで押し上げる。
そういう営為を一切怠けず、過剰な力みと熱量満載で突っ走ってくれるのは、最高に良い。
上松範康の関わった作品だな、と思う。
マージで根っこにある音楽への信頼、人間への期待が完全共通で、ぜってぇ『劇場版上松範康 -ヴァンパイア VS 奏者 VS プリンス-』見てぇもんな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
ヴァンパイアという退廃的な題材を真ん中に据えても、歌の強さと人の心、燃え盛る輝きが話の真ん中に来ちゃうの、マジ作家性だと思う。最高。
死よりも凄い音楽を取り戻した男たちに、月は蒼い奇蹟で応える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
紅い雫のインスタントな魔法とか、命を賭けた自己犠牲ではなくて、LOS†EDENが差し出してくれた手を取って掴み直した、燃え盛る信念こそが答えになっていくの、最高に良い。
哲学こそが、バンドの背骨なんだよッ!
赤い月に奇跡を下賜されるのではなく、自分たちの心象を世に照らす”プリズン”で、ギルを蘇らせるのは良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
やっぱ譲れないものを見つけちまったら、それに向かって全力で突っ走って、自分の掌で形にしてくしかねぇんだよな…。
この無頼のDIY精神、ロックで最高だよ。
青い薔薇に十字架に全裸。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
V系の様式美を全開で突っ込んだ”SKY”を絶唱し、一時の復活を果たしたギル。
何も終わっていなかったことを配信サイトで確認しつつ、行くぞ勝負の代々木アリーナ!
O☆Z復活の…そして最後のライブが開始(はじ)まっちまうぜ…。
『吸血鬼は真実しか歌えない』って、本当に残酷だと思うのよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
ギルが自分を歌ってくれなかった事実は、どうやっても愛するものを救えない、選ばれない宿命を何よりも強く、サガの心臓に突き刺すわけじゃない。
でもその偽りの無さこそが、絶望に己を焼いてなお復活し、色んな人を救う生き様へ繋がる
そーなのよ…『ぶっ殺してやんよ!』とかワルぶってるけど、サガさん人間救い過ぎなのよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
打ち捨てられたからこそ、あらゆる存在が自由でいられる国を求めてミストに手を伸ばし、苦しんでいたロビンを抱擁出来た。
悲しみを知ればこそ、偽りなく破壊と想像を歌うことも出来る。
そういう燃え盛る魂は”SKY”にもしっかり宿っていて、何かとブレブレな自分を見据えつつ、今この正念場で何を願うか、自分にとってO☆Zとアンジュがどういう存在か、歌い上げれていたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
やっぱ真実を歌う音楽は、聞いてて気持ちがいいな…ハッタリと嘘がない。
寄る辺なく”V”を求めたナイーブな青年が、自分だけの音楽を見つけ出し、音楽家として独り立ちする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
アンジュのキャリアメイク・ジュブナイルを地面に足を付けて、ちゃんと描いてくれてる所が好きなんですけど。
超越者ではなく、同じ夢に挑んだ先達としてのギルが、ずっとそこにいる。
今命を終えステージから去るとしても、後悔はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
お前らが俺から受け取った音を忘れず、退廃の闇から再び轟かせてくれたから、最後に奇跡を掴める。
そういう”託すもの”として、古き吸血鬼とその血仔を描けるの、ゴシックロマンスとして強い表現だと思うのです。
生死の流転から外れ、魂と運命を歪めて永遠を生きるヴァンパイア。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
怪物がそれでも希望の在る未来へと思いを繋いでいけるとここで…そして次回のステージで描くのは、”V”が好きだからこそだと思う。
軟弱な退廃の音楽だと思われているものも、闇に沈むしか無い貴族たちも。
その根っこには死を超える思いがあり、それを形にして紡ぐ音楽があり、輝きはいつでも世界に溢れている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
そう描きたいから、このアニメは”V”を題材に選んだんだと、僕はこのエピソードを見て強く思ったんです。
そういう風にテーマとモチーフを抱きしめられる作品って、凄く偉大ですよ。
謎の緊縛とか伝奇マヨチュッチュとか、ヴィジュプリらしいトンチキも交えつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
この物語が、そこに生きる者たちが何を愛し、何を求めるかをズバンと突きつける、見事な真っ向勝負でした。
音楽はキスより凄くて、未来への翼となり、死をも超えて風を掴んで羽ばたく。
というわけで、次回はライブ盛りだくさん、第1話に似た構成になると思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
三ヶ月前は突如始まったイケメン地獄に殴りつけられ『なんだこれ…』と呆然としてたわけですが、運命に挑むドラマをバクバク食べた結果、次回のステージは『これしかない…』と圧倒され、納得する事になると思います。
ワケの分からねぇ者に出会った時、僕はそれを分かりたいと思うから、分からないなりに付き合おうとします。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
あのワケの分からねぇステージで、一体何を伝えたかったのか。
12話共に進んできた今の僕たちには、これ以上なく伝わるはずです。
だって、それが音楽だから。
次回も楽しみです。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月17日
自分を求め人を辞めたサガを向かい入れる象徴として、ギルが預けたギター。
それをアンジェに持たせる意味が、第7話から4話飛びで理解るの、スゲー良い構成だなと思う。
それは信頼であり期待であり、簡単には譲れないからこそ、想いを込めて託すものなのだ。