白い砂のアクアトープを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
新エリアの会場準備と、砂浜のウェディング。
くくるの”仕事”は華やかなゴールを迎え、それは新たなスタートでもある。
積み重なる日々の中で、選んだ道を正解にするために。
幾度も終わって始まるものが、少女の心に揺蕩う。
潮騒はいつだって、明日を告げている。
そんな感じの水族館お仕事ストーリー、堂々の最終回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
大変に良かった。
決断の先にある当たり前で大事な日常、一個一個積み上がっていく”仕事”のやり甲斐と苦労を、どっしり追う作りとなった。
ここで焦りなく収まるべき場所に話を収められるのは、非常にこのアニメらしい。
描くべきものはここまでの23話でちゃんと描いてきて、今回のエピソードは最後の総まとめと言うか、今一度大事なものを語り直した感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
同時にこの終わって、続いていく感じは『二年後とその先』を豊かに描いた最終回にしか出せないものだと思う。
やっぱ自分の中でこのアニメ、世代の物語であり、がまがまという子宮に抱かれ守られてきたくくるが、苦しみも楽しみもある世間で己を見つけ、失われた幼年期を取り戻しつつ新たな自分に歳経ていく歩みである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
十分に子供で入ることを許されなかった少女は、己の故郷に必死にしがみつき、現実に敗れた
半ば強制的に”大人”にされたくくるが、現代的で当たり前な職場の中思い悩み、自分なりの居場所を確保して、堂々と風花の手を離して送り出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
そして二年、少し伸びた髪と身の丈で、愛しさを抱きしめる。
そうして積み重なる年輪が、くくるをくくるのまま変えていく。
人生それぞれのステージ、様々な個性によって見えている景色も、発生する問題もバラバラであり…同時に繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
そういう不思議な縁を、豊かで美しい自然の中だけで描いていたら凄く浮遊した物語になっていたと思うのですが、このお話の舞台は水族館。
色んな人間が集まる、当たり前の職場だ。
分かりあえずぶつかることも、上手く行かず失敗することも当然あって、それでもたった一人置き去りにされるわけではなく、誰かが助けてもくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
見えてる景色が別だからこそ、他人からそれを借り受けて自分の視界を新たに、豊かにすることだって出来る。
そういう人間の当たり前を、人生ネジ曲がるほどの重力で風花に伝えられたから、くくるは震えながら背筋を伸ばして、新しくなっていく自分に希望を持てるのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
否応なく衰え失われていくものに、悲しさだけを見つけなくて良くなったのだと思う。
『沖縄産の元気娘!』って感じのデザインと立ち回りを裏切って、海咲野くくるという人は凄く暗い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
両親の死、不在の姉を濃厚に魂に刻み、愛するものが喪われる無常、運命に抗えないの無力感が、人格の根っこにある人だと思う。
だからこそ、自分を永遠に守ってくれるはずの子宮に…がまがまに拘った。
そういう欠落に宮沢風花という女が、世界で唯一のピースとして突き刺さり、心を埋めた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
その充足があってくくるは、喪われた幼年期、母と姉の温もりを取り戻し己を確保して、愛すべき存在との別れを悲しむのではなく、その先にある実りある再開を見据え、待てる強さを手に入れた。
第1クールで、滅びに抗う頑是なさを濃厚に描いたからこそ、聞き分けよく”仕事”に勤しみ、感情を制御して運命を待つ姿には、変化と一貫性が宿る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
一度火が付けば、迷わず駆け出すほどに会いたい気持ち。
それを抑えて、為すべきことをしっかりやり遂げる成熟。
そういうものを海咲野くくるが…彼女と出逢った宮沢風花が、そして彼女たちに関わったすべての人達が手に入れ、人生は続いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
そういう豊かな余韻のある終わりで、大変良かったです。
ここが二人のピークではなく、まだまだ楽しい事が待ってると、希望と期待を抱え見終わるのは、とてもありがたい
というわけで最終回、幾度も繰り返した旅立ちの場面からスタートである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
全てが終わるこのタイミングで、海咲野くくるにとって水族館がどのような場所であったか、まず突き刺してくるのエグいな、と思う。
そこは母と在り、母の不在と在った場所だ。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第24話より引用) pic.twitter.com/U0cyWjRfYZ
がじゅまるのウロ(自然が生み出した子宮)に祈りを込めて、くくるは新エリア会場の大勝負に打って出る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
ここで結構時間を使って、水族館が”産まれる”様子、シリアスでシビアな”仕事”の様子にピントを合わせてくるのは、とても良かった。
空っぽの水槽に魚が入り、華やかな景色が生まれていくカタルシス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
命を扱う真剣味を、総身に宿して仕事をしていく人々。
行きは命入ってるからバケツ両手で抱えてあくまで早足、帰りは仕事迅速に進めるために片手持ちでダッシュ…になんのよね。なるほどなー。
こういう汗だくを積み重ねて、都会の中にある自然、青く美しい一瞬の夢は作られている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
水族館がどういう”仕事”をしているか追う、異業種ドキュメンタリーの側面もあったこのアニメが、最終回にこういう場面に時間を使うの、僕はとても好きだ。
そしてこの大勝負も、日常の風景の一つでしか無い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
日々は続き、また新しい勝負がやってきて、後悔と反省と成長を積み重ねながら、人は変わっていく
珊瑚が島になっていく。
”結婚”というアニバーサリーがそういう物語の最後に来るのは、とても良い。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第24話より引用) pic.twitter.com/cr6pt6RJfC
遺影で見守る父母も、出会い結ばれて幸福だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
子連れの少し風変わりな新郎新婦は、くくるが若き情熱を込めたウェルカムボードに導かれて、自分たちの式典を決めた。
色んな事が繋がって、大きなことを成し遂げる。
そらー思わず三浦さんも、涙一つよ…。
白い砂の新エリア、そこで行われる結婚式がしっかりと大掛かりで綺麗で、贔屓目なしに『凄い良いな…』と思わされるパワーを持ってるのは、このアニメの良いところで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
生き物の可愛げとか、『あ、生きてんだな…』って感じとか、話の大黒柱を揺るがぬ作画力で支えるスタイルは、今回も健在。
ここで既に子供のいる夫妻を式の主役にしたの、俺凄く好きなんだよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
人生のゴールとして”結婚式”を、何も考えずに手癖で配置したというよりは、色んな事がある人生の中で、それでも瑞々しく喜ばしい体験を手渡し、これまでの歩みを祝福し思いを新たにする契機として、使った感じがする。
人と魚が共にあり、譲れぬ夢をぶつけ合って生まれたアニバーサリーは大成功。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
その舞台袖で、満点笑顔の部下を見て諏訪さんは、一体何を思うのか。
俺はやっぱ、この人好きだなぁ…くくるにとって、理不尽で不可解な他者であり続けたのは偉い。
自分から見て、良くわかんない、体重を預けられない人にも譲れない人生の物語があって、なんか考えて生きてるもんで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
最後まで内面を自分からは見せない、語らない諏訪さんって、そういう”他人”そのものだったと思うのですよ。
くくるが家から出て世間の海を泳ぐこのお話で、それはとても大事な仕事で
期待を上手く伝えられない、ヴィジョンを優しく共有できない無骨さ含め、やっぱいいキャラだったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
”いい人”になりきらない人が職場に居ることで、ティンガーラの健全な生物多様性が担保されてた感じもあるしね。
それは”家”であるがまがまでは、描ききれない世間の事実だ。
くくるの”仕事”は続いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
今まで触れ合った人達の顔を見ながら、時は流れて行く。
おじいが”遺言”を孫に預けに行く時、おばあが綺麗にお化粧してるの見て泣いちゃった…。
ぎりぎり、間に合った形か。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第24話より引用) pic.twitter.com/rVS2Z5yJhq
楽しくて最高だったがまがまにだって、苦しいことや悩みは山程あったのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
背丈の小さな子供には見えないもの、見せないために大人が必死に隠しているものが、ティンガーラで働いて初めて見えてきた。
だからここで、人生の先達にくくるは問いかけることが出来る。
答えはいつでも、くくるの中にある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
それは”海咲野くくる”という個人へのエールであると同時に、沖縄方言でいう”こころ”を持ったあらゆる人達への、去りゆく者からのメッセージなのだと思う。
おじい最後の見せ場は颯爽と暖かく、否応なく老いと死を薫らせもしていた。
おじいが作中最強の人間強者であり、つねに”正解”を担っていたのは作品安定の、大事な要だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
でも考えてみれば、彼も世の宿命に流されて夢の城を諦め、あるいは我が子を死に攫われた苦しみを背負っている。
正しいことを知っていても、過ぎゆく時の定めに勝てるわけではないのだ。
そんな流れに逆らうのではなく、流されるのでもなく、選び取った道を正解と思えるように己を導く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
おじいは実際そうすることで、マジ上手く行かない世界の荒波を、微笑んで飲み込める人生を編んできたのだろう。
それはこれから、くくるが編み上げるべき物語だ。
その答えの一つとして、『水族館が好きだ』というものがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
それは眩しく夢のようで、何も間違ってはいないと堂々、言い切ることが出来る。
テーマとして選んだものをこんぐらいぶっとく、力強く肯定してくれる作品が、俺は好きなのだ。
その決意は一瞬の幻を生んで、しかし現世と隔絶はされていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
魚が踊り、子供が笑う場所と繋がったかつての思い出。
今は亡き人が微笑む景色を共に刻んで、少女たちは未来へと進みだしていく。
第1クールラストと、しっかり対応させた絵作り大好き。https://t.co/1eoLGPUrUY
あの時は背中合わせだった旅立ちが、今回はお互いを見つめる形で展開する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
その変化は、風花に不在の”姉”を担ってもらうことで子宮の外に進み出れたくくるが、対等な立場まで這い上がることで生まれた視線だ。
ティンガーラを舞台に初めて起きた奇跡を胸に、くくるはただ、再開を待つだけではない。
自分が選んだ道を正解にするために、迷いと苦しみを抱えながら、日々を己に積み重ねていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
それが生み出す喜びをもう知っているから、あなたがいない日々も満たされている。
色んな人の”二年後”が見れて、凄く嬉しい。櫂くん復帰おめでとうッ!
(画像は"白い砂のアクアトープ"第24話より引用) pic.twitter.com/tYQ7qfrK39
『未来の館長候補なんじゃないの~』つう雅藍堂部長の発言(と、比嘉の衰えぬオモシロ人間っぷり)が、なんでおじいがティンガーラにくくるを預け、館長が営業部に配属し、諏訪さんが過大なミッションを不器用に叩きつけたかの、答え合わせになっていたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
水族館という”仕事”は自然と人工、田舎と都市、理念と現実、夢と経済が複雑に絡み合う、多角的なビジネスだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
それをよりよい場所に導いていくには、広い視野と度量がいる。
結婚式から研究施設運営まで、様々にこなす横幅の広さが必要になる。
ただただ魚が好きで…好きであることで欠けた自分を必死に守っていた少女が、より逞しくこの世を生き延び、より広く世間に輝きを広げられるように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
多様で多彩な面白さを持つ”水族館”の理念を、建物一つに閉じ込めないように。
それが、おじいが我が子から託された”子育て”の仕上げだったのだろう。
それは一筋縄では行かない苦しい道で、でも人が生きてる以上みんな経験する、当たり前の苦しさでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
やっぱ第2クール、都会的で経済的で現実的なティンガーラに、ガラッと舞台を変えて新しい角度で物語に切り込んだの、大正解と思う。
古き”家”を肯定すれば必ずはみ出すものを、拾い上げてた。
でもそういう場所に漕ぎ出せていけるのは、暗く静かで暖かい場所に包まれればこそで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
帰国した風花が、二年前ずっと通っていた社会への産道を逆行し、キジムナーの青い紙飛行機に導かれて運命と出会い直すの、最高のラストとしか言いようがねぇ。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第24話より引用) pic.twitter.com/KjZpeY5spu
二年の時を経て、くくるの髪が伸び風花の髪が切られてるの、全オタクが大好きな象徴性の流入と好感過ぎて最・the・高なわけですが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
アーバンな雰囲気の画面でしっかり”仕事”してたくくるの理性が、鬱蒼と風を孕む自然の中で開放され、再会の喜びを疾走させる勢いとかも、素晴らしかったです。
あの森は風花とくくるが新しく見つけた”家”であり、祈りと捧げものを受け取る祭壇は、暗く湿った第二のガマなのだと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
そこは命の産まれる場所であり、墓所でもあり、土地に根付いた古いものが未だに生きる、とても懐かしい場所。
がまがまが壊れても残る、確かな”家”です。
くくるは自分を包み縛る”家”を壊されることで世間に飛び出し、仕事を通じて大人になっていった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
でもそれは、古くて暖かなものを捨て去ってなにか別の生き物に脱皮することを意味しない。
時代とともに形を変え、柔らかく繋がっていくものを繋ぎながら、二人はもっと広く靭やかな場所へと漕ぎ出す。
それは仕事場-森、都会-自然、社会-個人っていう対応だけで終わらず、思春期を必死に駆け抜けた二人の少女の内面…それと切り離せないお互いの関係性にも、強く反映している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
この森が彼女たちの仕事に、人間として位置を占める社会に、しっかり繋がっていること。
打ち捨てられた残骸の中から、捨て去ってはいけないものをしっかり拾い集めて、守るべき場所に定められたこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
その意味が、この光と風の強い抱擁に宿っている気がします。
二年目の再開に時間使えるよう、2クールの尺を最大限活用して、キッチリ構築してきたな…。
タクシーが向かうティンガーラと、二人きり走る花と光の島は、ちゃんと両立し繋がっているわけです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
打ち崩されたがまがまの理念は、くくるに宿って新たな職場で、より強く輝いていく。
そうなるように、くくるは自分の運命と心を運んでいく。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第24話より引用) pic.twitter.com/nFi2UdX45E
最後まで一切緩みのない…つうか最後だからこそ暴力的に咲き誇る美術に支えられ、少女たちはお互いの名前に刻まれた思いに微笑む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
名前は父母が祈りを込めて、より良い未来の導きになるよう与えてくれたもんだからなぁ…最後に語るべき素材として、最高のを選んだと思う。
離れたとしても、また会える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
だからここにいることは、もう怖くない。
そう思える自分をちゃんと育み、二年間会えない時間を楽しんだ(だろう)くくるは、ここでようやく死を絶対的な離別ではなく、永遠の一部と受け入れられたのだと思う。
そういうモノ分かりの良さだけでなく、『会いたい会いたいもう我慢できないッ!』と、青い紙飛行機に乗っかって情熱全力ダッシュぶっ込むあたり、くくるはやっぱりくくるのままだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
女二人がお互いを思う情念の熱量は、この物語が疾走する最強の燃料でありました。
だから、最後は二人で。正しすぎる…
真っ青な空に湧き上がる雲は、未来を照らして明るい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
時に嵐も吹き荒れるこの世界で、それでも顔を上げて進んでいける理由を、二人は見つけた。
なら物語は、もっとよく続いていくだろう。
かくして幕は降り、人生は続く。
白い砂のアクアトープ…いいアニメだったッ!!
というわけで、2クールの物語も大団円です。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
いやー…良かったなぁ。
大迷走の青春群像劇、山あり谷ありのお仕事ストーリー、可愛い動物さんを堪能する癒やしの時間、美しい景色に情念が燃える感情の物語。
色んな要素を贅沢にぶっ込んで、それぞれが支え合い高め合う、いいアニメでした。
2クールを二つの舞台に分割し、子供/大人、自然/都会、家/世間…などなど、様々な対比を巧妙に仕組んだこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
それらが主人公の奮戦で融和し、あるいは壁となって厳しく鍛える中で、人間ドラマとしても世界観察としても、広くて深い視野を達成できたこと。
水族館というテーマを選ぶに当たり、その社会的使命、経済的困難、必然的なエゴとそれでも背負うべきミッションをしっかり考えて、作品に反映させたこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
動物が最高に可愛く、また個別の生命として尊重して描かれていたこと。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第24話より引用) pic.twitter.com/wyzs2LeCF4
二人の少女が自分と世界の繋がり方を、夢と現実のバランスを探す物語の主役として、対照的で相補的な描かれた方をしていたこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
それを引き立たせる脇役…で終わらず、様々な年代と個性のキャラクターがそれぞれの人生を、作中ちゃんと生きていたこと。
あえて重たく表には出さないけど、沖縄個別の文化、歴史、問題をしっかり彫り込み、ただの夢のリゾートとして外部化しなかったこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
その上で現実の重たさだけで塗るのではなく、美しき理想の場所として取材地に敬意を払い、見事に美しく描き上げたこと。
良いところのいっぱいある、いいアニメでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
2クールという尺を最大限に活用し、山あり谷ありの青春模様を面白く、また自然な手触りで描けたのも、大変良かったです。
余白が多めに使えることで、サブキャラの意外な魅力、確かな変化を描く奥行きもあった。
人数が多い強みを、活かせていた。
風花とくくるがそれぞれ危なっかしいクソ若造として物語に浮上してきて、それぞれの間違いと頼りがいを上手く交換しながら、だんだん己を作り上げていく姿がやはり、とても良かったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
超絶フワフワ人間だった風花が仕事を見つけ”姉”となる裏で、くくるの陰りと弱さが見えてくる。
でもそれはまた転輪して、風花もまた脆さのある一青年…一人間であると分かり、それを支えるくくるの成長が眩しく見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
運命的に出会い、お互いを導きとして進んでいく二人の激烈な絆、繋がる手に宿る湿り気が、毎回濃厚に描かれていたのも素晴らしかった。
あとまー美術なッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
とにかく花と風と光が美麗で、その輝きが人生の陰りを上手く照らしたり、ドラマで描くべきものを支えたり、クオリティを最大限に活かして殴りかかる作りでした。
島の風景が問答無用で綺麗で凄かったこと、それが毎回続いたことは、このアニメのシンプルな強さで凄さ。
篠原監督作品としてみても、ファンタジックな魅力を更に増しつつ、地に足のついた説得力、だからこそ作品に体重を預けたくなる魅力が加えられ、良き新境地かと思いました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
やっぱ画面が与える印象を的確に制御する能力は、当代のクリエーターの中でも相当高いと思う。
個人的には母を奪われた子としてのくくるが、沖縄から喪われていく前近代的風景の崩壊をくぐり抜け、古き良きものを新たな世に継ぐ存在として描かれてる姿が、ポップな説話として深く刺さりました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
総じて、マザー・コンプレックスのお話として見てた部分は大きいな、自分的に。
がまがまがガマであり、墓地であり子宮なのだと(勝手に)読み取ったあたりから、自分と作品のスタンスが定まった感じがあります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
母を喪失し子供でいるしか無かったくくるを、異邦人で他人たる風花が産婆となって外に導き、またくくる自身も風花の産婆となる。
そういう話だったんかな、と思う。
現実の重さと世知辛さを描きつつ、沖縄という舞台、水族館という仕事を徹底的に前向きに、ポジティブなものとして語り続けたのも、モチーフを借り受けた創作者としての至誠が見えて、大変好みでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
俺は話のネタに選ぶなら、このくらいの覚悟を持って肯定しきって欲しい派なので。
キャラはみんな好きだけど…風花と諏訪さん、あと比嘉が特に好きかな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
比嘉は立ち位置的には徹頭徹尾賑やかしなんだが、一切裏と嫌味のない魚バカとして場を面白くし、『こんだけ楽しいなら、水族館っていい場所かもな…』と思わせてくれる、チャーミングな男でした。俺、お前のこと好きだよ…。
館長とか雅藍堂さん母親たちとか、ともすれば青春の眩しさの引き立て役になりそうな年頃の人たちが、結構いろいろ考えて子供を見守り、自分なりの夢と矜持を持って生きてんだと、ちゃんと描いたのも良かったですね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
うみやん切り取る画角が、第2クールからガラッと変わるのとか、すごく好きよ。
というわけで、半年間大変楽しませてもらいました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月21日
あの雲の向こうに続いていく物語に思いを馳せつつ、今はティンガーラのみんなに、それを作り上げた人たちに、ありがとうとお疲れ様を。
いいアニメでした、ありがとうッ!!