月とライカと吸血姫を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
”人類初の宇宙飛行士”は栄光に包まれ、全世界に言葉を届ける。
イリナはアーニャに助けられ、瞳を焼く光の中広場へと走った。
嘘に飾られた演説を終え、見上げた空には月。
全世界を揺るがす爆弾が、レフの口から飛び出そうとしていた。
という感じの恋は革命! キッチリ逆転大勝利な月とライカ最終回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
突如生えてきた田舎の両親にブースターを積まれ、愛と真実のためにレフが起こした大暴露を、同志第一書記が己の理想実現のために利用して丸く納める。
ハゲ中年が超美味しい所持っていったが、このアニメらしくはある。
宇宙英雄誕生に沸き立ち、街中にポップアイコンと化したレフがソ連様式で溢れてる様子含めて、広場での演説がスゲーどっしり描かれてて、ちょっと面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
偽りのステージに運ばれてる時の死んだ目とか、『まぁひっくり返すんだろうな…』と思いつつも社会主義的リアリズムが宿り、味があったね。
無私の友情に助けられて眩しき日差しに飛び出したアーニャが、レフの晴れ姿にハラハラと報われぬ涙を流し、ハイハイクソ国家は変えられず終わりッ! という空気を一瞬醸し出した後に、レフくんが全てをひっくり返す暴露をぶっ放した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
着弾点は一応見えていたので、そこまでハラハラはしなかったが…
全世界の注目をリアルタイムで集める(この中継自体も、宇宙開発の産物だ)状況に、自分を引っ張り上げた時点である程度、勝っていたというか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
第一書記が権力闘争を勝ち抜き、”運送屋”時代の腐敗をある程度取り除いていたことが、世紀のロマンスの足場を支えてたり、したんかな?
望まれるまま偶像になるのではなく、個人的良心と情熱に従って真実を世に問う決断は、やっぱ第一書記には”待ってました”で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
あの場の動揺をテコに、一気に国内政治の趨勢を固めて、吸血鬼も優遇する先進人道国家への転換、連合王国に対する価値観優越を取りに行く、最高の布石となった。
つーか連合王国の吸血鬼対応が露骨に公民権運動時代のアメリカで、あっち舞台の物語は”ドリーム”あたりを下敷きに、ファンタジーな味付けを追加した感じになるのかしら?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
思いっきりゲットー住まいだったもんな、王国の吸血鬼たち。
ワーカーソングから発達した、独特の音楽文化とか持ってるのかな…。
”運送屋”が仕込んでおいたアジテーターも、奇跡のロマンス…を堂々祝福する第一書記に潰され、秘されるべきスキャンダルは新世界の神話となった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
イリナちゃんの努力が無駄にならず、正しき義人が報われる展開で大変いい感じだ。
その裏に、凄まじくタフな政治屋の打算があるところも。
そもそも宇宙開発自体が二大大国の政治的闘争、虚偽と宣伝に塗れた夢あるハリボテではあって、ただのロマンスで終わらないこの結末は、今まで書いてきたモノに嘘をつかないオチだとは思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
腐りきった国を作り変え、世界をリードする先進国家へと生まれ変わらせる。
あの体制の国のトップが、そういう夢を諦めないロマンティシストだったことが、一番のファンタジーとも言えるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
歴史と国民性に根付いてるだろう体制が、宇宙と恋をテコにどんだけ変わっていくかは、今後第一書記が奮闘する所である。
いやー…間違いなく作中最大の怪物だわな。
二人を月を見上げながら夢見た、国境のない世界。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
アポロ11合が月に降り立って、52年。
あの頃とはまた別の形で大国のエゴと、乗り越えられない人間の業と、富裕層のステータスシンボルと化した宇宙旅行が入り混じった”こっち”を見てると、あのかなり生々しい世界に浪漫が何を為しうるか、疑問もある
しかし今は見事に夢を成し遂げ、新たな夢へと進んでいく二人を祝福したい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
一瞬にして世界変革のオピニオンリーダー、祖国ではなく新世界の偶像になってしまった二人には、色々苦労もあるだろうけど。
不屈の闘志と真実の愛があれば、何だって乗り越えられる。
これは、そういうおとぎ話。
イリナちゃんが大衆に語った夢が、レフとの個人的関係に集約できない、スケールのデカい月旅行だったの、大団円に相応しかったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
待ち受ける”処分”と叶わぬ恋に病んでた精神は、レフくんが決意を込めて切り拓いた公的承認を通じて癒やされ、バランスを取り戻していく。
今度飛ぶ時は手書きの慰みではなく、変革を果たした国家のお墨付きをヘルメットに書き込んで、イリナちゃんも飛ぶだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
個人的にはそれが、一番健全で大事な希望だ。
私的領域と公的領域が、ロマンスをテコに接続される終わり方、とも言えるか…。https://t.co/pt8bGGjhhY
というわけで、”月とライカと吸血鬼”、無事終わりました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
大変良かったです。
こっちの想定より五割増しでバキバキにソ連してて、赤い味付けを底なしのろくでもなさ込みで、たっぷり食べることが出来ました。
欺瞞と差別に満ちた巨大な権力装置を、恋と浪漫が討ち果たす。
そういうジャイアントキルとはちょっと違った落着点は、個人的には面白いツイストで良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
同志第一書記、どう考えても権力を私する政治蛭の顔してんのに、レフくん達よりスケールのデカい夢追い人なんだもんな…。
独自で奇妙な爽快感のある、良い着地点でした。
そういうデカい部分に対比されるように、吸血姫とお世話係の凸凹日常生活、トンデモ宇宙飛行訓練には独自のペーソスがあって、これまたいい味だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
令和にまさかの林原ヒロインだったけど、懐かしい味付けの造形と合わせて、可憐で健気ないいキャラでした。
レフくんもボーッとしているようでやるときゃやるいいバランスで、最後にしっかり爆弾も落し話をまとめてくれました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
アーニャも合わせて、主役陣の造形がいい感じだったので、時折ヘンテコな方向に行きつつ、それを味わいと楽しむ安定感を確保できてた感じはある。
要所要所が詩的なイマジネーションが炸裂し、凄い独特のファンタジー表現が画面を覆い尽くすの、僕は好きです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
その唐突さと脈絡の無さは、結構人によって評価分かれるところだと思うんだけども、不親切にノーモーションで広がる夢にこそ、夢らしさが在った気がする。
寒い国の旅情を宿した風景の描写とか、あの時代のソ連にしか無い”美”が顔を出す工業・文化デザインとか、人物以外の所で雰囲気出してくれてたのも、ありがたい所でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
『此処ではない何処か』を頑張って構築してくれるアニメは、やっぱ好き。
自由落下の表現が多くて、”墜ちる”アニメとしてかなり独特の存在感があったのも、個人的には面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
宇宙に辿り着いた時広がる景色も良かったが、その前段階の訓練も面白かったのは、良いところだと思う。マージでこのあたり、史実が漫画。
吸血姫が存在するファンタジーで年表を捻じ曲げ、恋と宇宙のロマンスで雪解けを25年早めた歴史伝奇としても、なかなか面白かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
レフくんが炸裂させ、第一書記が利用した倫理の爆弾が、あの世界をどう変革していくか、見たい気持ちはあるな…相当荒れるだろ。
とまれ、ちょっと懐かしい味わいが随所にありつつ、このアニメでしか見れないモノが沢山楽しめた、良い作品でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月22日
面白かったです、ありがとうございました!