プロセカイベスト”POP IN MY HEART!!”を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
経営に予算、人事に育成。
鳳家のリビングで繰り広げられるパーク運営の”現実”を前に、えむはこのままの自分でいいのか悩んでいた。
そんな彼女に届く、夢の国への招待状。
今海を超えて、ワンダショのエンタメ実地研修が始まる!?
そんな感じのえむちゃん第二章である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
大変良かったし、立派であった。
えむちゃんはワイワイ喧しく幼い部分が強調されがちだが、根本的に頭がよく、シリアスな事柄を受け止める落ち着きもある。
冒頭、仕事に勤しむ兄貴達を見て悩む姿からそんな”鳳えむ”が全開であった。
ワンダショはテーマパークでのショービズという、現実から乖離した夢売り稼業…に見えて、他ユニットよりも社会性、経済性が高い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
しっかりお金をもらい、シビアな”現実”にぶつかりながら自分たちの夢をどう形にし、顧客に届けるのかを、他ユニットよりも先進的に実践している。
えむちゃんはパークの経営中枢に近しい立場なので、銭金人事の生臭さを、間近に浴びる立場にある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
夢が形にならず、現実に摩耗して忘れ去られていく状況が辛かったから、誰かに助けて欲しかった。
そんな思いから、ワンダショの物語は始まってもいる。いつでも、リアルでシビアな空気を感じているのだ
そんな彼女は自発的に、夢を見ることしか出来ない自分を『このままじゃイヤだ!』と感じ、兄たちの現実的な対処、世界規模のテーマパークに学んで、新しい自分を引き寄せようとしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
この変化への貪欲さ、自分に足りないものを見つける視線が、高潔で良かった。
お気楽に見えて”現実”が良く見えるえむちゃんは、祖父の夢を守り再生する闘いの中、『自分は何も出来ないなぁ…』と痛感していたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
その無力感を仲間が支え、あるいは無力な夢こそが仲間を導き、ワンダショは偉大な夢を形にした。
現実に膝を折ることだけが、生き方ではないと示した。
『何にも出来ないなぁ…』と悩むえむちゃんは、今回のエピソードが始まった時点で既に、大きな事を成し遂げている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
銭と人にウンウン悩む兄貴達が、それでも初志を忘れず夢を形にするべく、笑いながら”現実”と取っ組み合えているのは、鳳家の末っ子が大事なことを思い出させたからだ。
果てしない夢を見続けられる凄さは兄貴達も判っていて、だから晶介兄さんは『お前はそういうんじゃなくて…』と言いかける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
後にライリーさんを鏡に見える答えは、既に食卓の中に誰かが見つけてくれているのだ。
そしてそれは、えむちゃん自身が鳳家に取り戻したものでもある。
えむちゃんは自分がどんだけ大した人間で、既に偉大なことを成し遂げているか、かなり自覚していない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
自信満々に見えて自己評価が低いのは、司くんと似た部分あるなー、と思ったりもするが。
その厳しい視線が、新たな自分を貪欲に求める謙虚さと繋がっているのは、彼女の人徳であろう。
えむちゃんが”現実”を知ろうとする足掻きは、けして無駄なことではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
すこし焦って視野が狭まっているけども、夢を形にするためにお金や人をどう扱ったら良いのか、夢を売るスキームをどう組み立て維持・発展させればいいのか、考えられるのはとても大事なことだ。
これは超級金持ちとして生まれた利点を、素直に活かす立ち回りでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
最初から経済機構のトップ近くで、大きな組織を取り回し大きな夢を形作るポジションから何が見えるのか、どんな苦労があるかを、家族の問題、自分の問題として引き受けられる。
これはえむちゃんの、大きな強みだ。
人間何かと地べたからの視線だけが真実で、末端の苦労だけが現実だと考えてしまいがちだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
それを制御し運営していく場所にも様々な苦労があり、人間である以上同じ壁にぶち当たりながら、それでもやりたいと思えることを形にするべくあがいている。
光に近く見える場所にだって、暗い影はある。
社会の上層と下層(と扱われがちな場所)両面をしっかり見据えて、それぞれが持つ個別の問題にどっしり取り組むバランス感覚は、例えばビビバスとニーゴが一つの物語の中、対等な主役として扱われていることからも感じられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
”陽”なら気楽で表層的で、”陰”だから苦労が多く真実を探り当てられる。
そういう属性主義から離れて、色んな立場からそれぞれの苦しさと喜びを、それを超えて混ざり合い生まれるものを書こうとする姿勢があるのは、僕は凄く好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
下側からだけ照射されがちな”多様性”なるものを、真実多角的に書こうとしてる努力を感じたりする。
さておき、自分に足りないモノを必死に探るえむちゃんの元に招待状が届き、ワンダショは世界レベルのエンタメに飛び込むことになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
彼らも、ショービズの現場で働くアクター。
ただ遊びに行くわけではなく、何が面白さを作り、どんな理念が形になっているか…届けるためには何が大事か、見定める。
世界レベルのショービズを浴びて、司くんがちょっとションボリするのが、可愛く健気で良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
自分が世界一だと自惚れていた時代なら、その凄さは解らなかったんだと思う。
夢を掴むために、自分がどれだけ至らないのか。
それを助けてくれる仲間が、どれだけありがたいか。
『妹を笑わせる』という高潔な初志を蘇らせ、分を知ってなお野望を持つ今の司くんだからこそ、”世界最高峰”というやつの凄さが理解できる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
それでもなお、目指すはてっぺん。
一歩ずつでも進めばいいと、セカイの友人に励まされ顔を上げる姿には、確かな頼もしさがあった。
えむちゃんが夢を見ることしか出来ない自分を蔑する時、司くんでっけぇ声で『そうじゃねーだろ!』と吠えてくれたのが、大変ありがたかったけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
それはえむちゃんの武器である”夢見る力”に、助けられ夢を取り戻したありがたさを、座長として友人として伝えたかった気持ちと…
何も出来ねぇ子供の自分を思い知らされ、”現実”なるものの厳しさに尻込みしてしまいそうになる気持ちが、司くんの中にもあったから、飛び出した思いだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
自分の弱さも、至らなさも、直視すると怖い。
それでも挑まなきゃ、なりたい自分には届かない。
司くんのエールは上から目線の正しさではなく、一座としてスクラム組んで同じ課題に挑んでいく、対等な思いの発露だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
同じように無力で、同じように大きな夢があって、だからこそ一緒に走れる戦友だからこそ、自分だけの強みを…自分を救ってくれたものを思い出して欲しい。
こういう真心がズドンと飛び出しちまう所に、天馬司の強さがあるわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
えむちゃんを悩みの沼から引っ張り上げるその掌が、同じ青春のぬかるみにハマりかけたからこそ突き出されているとちゃんと書いてあるのは、誠実で良かった。
やっぱワンダショの戦友感は好きだなー。
華やかな夢舞台の裏側には、沢山の工夫と意思がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
ショーの現場に立つからこそ、ワンダショの面々は作り手サイドの視線で、パークを見て回れる。
同時に迷子の少女と共に走る中で、顧客目線のエンタメ体験にどういう体温が宿るのか…迷子の不安すら笑わせるパワーがどこから来るかを、体験もする。
今回の旅の中で、ワンダショの子どもたちは楽しみつつ学ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
現実と夢が対立項ではないように、心の底から愉しめばこそ発見は実感を伴って心に染み込み、そうして学び取ったものが夢を形にしていく上で、かけがえない武器にもなっていく。
何を、何故学ぶのか。
同じ年頃の児童が思い悩むだろうポイントを、既にビジネスパーソンでもあるワンダショ達は、かなりの速度でぶっちぎっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
ともすれば学校出ても解らない”学びの意味”ってやつを、この段階で体得できてしまっているのは、人間として圧倒的なアドバンテージだわな…。
お金が動く仕組みとか、夢を形にするための技術とか、えむちゃんがまだ知らなくて、知らなきゃいけないと思えることには、凄く切実な体温がやどりだしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
何もかもが自分事。
大きな夢を支える大きな賢さを手に入れるために、えむちゃんは必死にメモを取る。
その姿勢は何も間違っていなくて、でも少しだけ焦りすぎ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
一人で突っ走れば、孤独になってしまう。
現実の厳しさだけが本当のことだと、思い込んでしまう。
ワンダショと出会う前、おじいちゃんの夢を守ろうと一人戦ってた頃のえむちゃんは、そういう場所に追い込まれていた。
でも今は、答えの出ない悩みやもがきを、一緒に考えてくれる仲間がいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
同じ場所でもがき苦しみ、半歩先に出た先達に教え導いてもらうことも出来る。
そんなセカイの広さを、えむちゃんだけが持つ”夢見る力”で既に掴み取っていたことを、ライリーさんとワンダショは思い出させる。
夢も、現実も。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
あるいは夢を現実にして、現実を夢で包む。
今回えむちゃんが見つけた欲張りな足場は、エンターテインメント産業のど真ん中に進んでいく彼女にとって、非常に大事な足場だろう。
必死にメモを取って賢くなろうとすることは、えむちゃんが元々持つ資質を、削り取って捨てることじゃない
感情と感性を豊かに弾ませて、言葉にならない感覚でセカイを夢見る力こそが、ロジカルな現実主義に命を与えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
エモーションとロジックを両立しうる超人経営者、エンタメの現場と運営両方を知る超絶アクターとして、えむちゃんはもっともっと優れた人になれる。
それは大好きなお祖父ちゃんに近づいていく歩みであるし、他の誰でもない”鳳えむ”になっていく過程でもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
自分がどんな存在であり、どんな存在になりうるか個人的に悩むことが、すなわち社会的な進路に繋がっていく話運びは、滅茶苦茶ワンダショっぽいな、と思う。一番”現実的”なユニットよね…
夢売商売の足場はシビアな銭勘定で固められ、エンタメの基礎は教育と人事にこそある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
ワンダショを取り巻く物語は、そういう生臭さを常時照らしつつ、しかしそういう生っぽさだけに専心していると『何故エンタメやってるか』という根源が蒸発していくと、スケッチし続けている。
経年劣化するハートビートを、どうすればポップに弾ませ続けられるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
クリエイターとしての寿命問題にも通じる難しいネタを、あくまで希望と未来を見据えて描くエピソードでもあった。
うわっ付いた夢を描けばこそ、シビアな現実に根を下ろし、ユニットの悩みを視聴者に引き寄せていく。
そんな語りの腕力も感じられ、大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
セカイの住人の書き方がAR的で、仮想空間のシェルターから身を乗り出して、夢と現実が混ざり合う場所をひょっこり見守る書き方だったのも、凄くワンダショっぽいと思う。
ヴァーチャルシンガーにとって、”現実”は夢に満ちた異セカイだ。
プロのエンターテイナーとして、子供から大人になっていく人間として、メキメキ身の丈が伸びてきてるワンダショは、自分たちの夢を守り道を示してくれたセカイの住人たちを、現実というテーマパークに引っ張り出せる力を、そろそろ育んできたのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
そんなことも感じた。
ワンダショユニストの最後を見ても、セカイと世界が平等に混じり合い、優しき幻想の住人がただ子供らを守り導くのではなく、彼ら自身も現実に遊ぶミライをこそ、ユニットと作品が志向してるのは明白…だと思うからなぁ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
ミク達は美しい夢として、確かな現実として、私達の隣に…今、ここに、在る。
それを一つの形にした時、ワンダショの物語が大きなフィナーレを迎えるんじゃないかな、などとも考えるが…さて、どうなるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
ここら辺、誕生以来15年、初音ミクをいかに”実在”させるかという様々な取り組みが”現実”の只中、夢いっぱいに踊りまくった歴史と、呼応する物語でもあろう。
というかプロセカが現在進行系でトリガーしまくってる営み自体が、ボカロ文化をルネサンスし、『今、ここ』にある初音ミクを再生していく営為、そのものなわけでね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
アプリの外側に広がるそういう野望と、ワンダショの物語が微かに呼応してる気配を浴びると、なんかワクワクするね、僕は。
視線が先に伸びすぎた感じもあるが、そういうスケールのデカさを予感させる意味でも、とても良いエピソードだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
えむちゃんのナイーブでシリアスな部分にどっしり向き合って、ちゃんと悩ませ迷わせたの、とてもありがたかったです。
そしてその先に在る夢と現実に、顔を上げさせたのも。
今回受け取り、思い出したものを武器に、えむちゃんと仲間たちはもっと大きな夢へ、現実を切り拓いていくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
厳しい世界を確かに生き延び、それでも燃え盛る志を諦めず、笑顔を生み出すために。
力強く、ワンダショの物語は続く。次回も楽しみですね。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
イベントタイトルにある”POP”は、夢が心のなかで”弾む”popであり、popularの短縮形でもあろう。
人気があり、一般的である様。
夢を形にし沢山の人をひきつけ、笑顔にするためには、心のなかで弾むものをどうすればいいのか。
誰にも見られない公演は、ワンダショの望むところではない。
彼らの目指す表現はあくまでpopであること…よく伝わり、難しい所なく強引に巻き込み、気づけば夢中になっているようなパワーを志向している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
そんな難しい魔法は、いつでもたった一人の心の中、形にならない炎から生まれる。
ポピュラリティがタイトルの真ん中に座るの、ワンダショらしいなぁと思う
追記 国内のフィクションだとあんま意識しないポイントに思えるので、ここ気にかけてるのは大事だし良いことだな、と思った。
あ、今回のイベストで凄く地味だけど感心した所。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月12日
ライリーさんが相談した植物学者が”彼女”だった所。
フィクション内部で無形の性別を書く時、大概無意識に”彼”でくくっちゃう所なんだが、その歪さ意識して話作ってんだなー、と思った。
こういう所を細かくヤスリがけしてんの、”今”の話として大事ね