イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プレイレポート 22/01/22 キズナバレット『デッドエンドリリィ』

去る先週土曜日、からすば先生の新システムでTRPG初めに勤しみました。行くぞ地獄の底までもー!

シナリオタイトル:デッドエンドリリィ システム:キズナバレット GM:シェンツさん

アカメくん:砂霧叶:17再男性:オーナー:正裁/復讐 皆殺しにされた家族の仇を討つべく、SIDに所属する成人男性……の殻を被った、死んだ兄に成り代わって報いを求める恩讐の少年。来たるべき忘却に備え、がらんと誰もいない”家”を家族のメモと写真で埋め尽くしている。お菓子作りが得意だが、その穏やかさはもはや銀色の悪夢の向こう側である。

コバヤシ:”世界で一番お姫様”白妙茉莉:11才女性:ハウンド:破壊/守護 真っ赤なツインテールとフリフリのドレスで武装し、第二の生を好き勝手に生きる動死体。もともとは”いい子”の檻を押し付けられた内気な少女だったが、いい事なんもないまま死んだので精一杯やりたいように楽しんでいる。でも根っこが善良なガキなので、ケーキバクバク食って好きなだけオシャレするくらいである。

こんな二人が、捻じくれた心を抱えて世界を銀色に燃やすキセキ使いをぶっ殺しに行きました。
『世界設定もシステムも、バキバキ悪趣味にぶん殴りに来てるんだから、俺が想定できる最高に死んでほしくねぇガキをやるぜー!』と意気込んで挑みましたが、いやー……茉莉ちゃん死んでほしくねぇ~~~~。
このゲーム、ブラッドパスをベースにランダマイザがダイスに変更され、全体的にPCが大変苦しい戦いを強いられる感じにチューンされております。
おまけにキャラはどんだけあがいても確定で死ぬタイミングがあり、難題を解決して全員が生き残ってハッピー! みたいなことは、システムレベルで最初から丁寧に叩き潰されているわけです。

しかし遊んでみると『どう死ぬか』を楽しむサディスティックでネクロフィリアなシステムというよりかは、『どう生き切るか』を二人で一人の銃弾となって追い求める、必死で切実な匂いが随所に漂っていました。
秀逸だなぁ、と思ったのは、厳しい戦闘を生き延びる武器、あるいはキセキの代償として砕けていく思い出がキャラクターシートに強く残り、強さは必ず喪失と裏腹になっていることです。
悪夢のナノマシン”キセキ”に毒された人間(と元人間)は、思い出が枯れ果てたときに死に絶える。
それでもかけがえのないキズナをセッションの途中で紡ぎ、二人でお互いの心に傷を刻みながら、終わりが決まっている生を走り抜けた証がキャラクターシートに、烙印のごとく焼き付いていく。
それはどんだけ虚無的になっても消えない生きた証であり、同時にありえないほど残酷にすべてが奪われていく記録にもなります。

思い出と喪失のハザマで危うく揺れながら、自分自身怪物となる半歩手前で人にとどまり、怪物を食い殺して日常を守る弾丸。
その生き場死に場が、大変ピーキーな戦闘、シンプルながら苛烈なシステムバランス、バディの絆と運命を強化していくデザインにしっかり支えられて、濃厚なロールプレイと重たい実在感で切りつけて、大変痛いセッションとなりました。
俺はTRPGマゾヒストなので、痛いのはありがたい。
システムが想定しているだろう辛さや尊さから逃げず、『どうせ死ぬっしょ』と斜に構えてシステムを、同卓してくれるメンバーをナメずに、自分にできる限りの悲愴をしっかり提出した甲斐のある、すんげぇキツいセッションとなりました。
記憶は人間の尊厳にとても親しい場所にあるので、それが必ず生まれ必ず砕かれるこのシステムは、強くエモーションを加速していくなぁ、と思います。
どうやっても”揺れ”ができるダイスの不安定さを重厚な世界観、想定されるドラマとしっかり噛み合わせ、パラメーターを操作するデジタルなハラハラと、必死に生きようとして銀色に砕けていくキセキの申し子たちへの共鳴が、力強くうねっていました。

正直最初はブラッドパスのヴァリアントかとナメてた部分もあったのですが、流石に秀英・からすば晴、どんなゲームシステムを生み出しどんな数値体験を通じてどんな物語を生み出していくか、的確に見抜き作り上げた力作でした。
大変面白かったです。
そう感じられたのは、色々(本当に色々)ありながらもセッションに漕ぎ着け、慣れ親しんだお互いの急所に容赦なくロールプレイを叩きつけ合いながら、『このゲームまーーーじ面白ぇぜ!』と言い合える仲間と、しっかり遊べたからです。
大変楽しいセッションでした。同卓してくれた方、ありがとうございました。