ルパン三世 PART6 第16話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
天下の剣豪、十三代目石川五右衛門は故あって、ランウェイに立っていた。
情熱を失った天才デザイナー、ギャビーに命を助けられ、ミューズと見初められたのだ。
ウォーキングに磨きをかけ、ポージングの高みを目指すサムライは、どんな舞台を切り開くのか!?
そんな感じのPART6ゴエちゃん回、まさかまさかのランウェイ士道である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
題材の時点で勝ってる感じもあったが、存在の面白さを活かし、五右衛門のバカ真面目っぷりをチャーミングに料理して、とてもいい味わいのエピソードと仕上がった。
外見は可愛くないゴエちゃんが、ちゃんとカワイイのが嬉しい。
全体的にファニーでオフビートな感じで統一されてて、どーも『コレは書くよな、掘り下げるよな?』みたいな所を上手くスカし、でも見たいものは見れる…という、美味いコンニャクみたいな食感だった(五右衛門回だけに)。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
俺はこのクニャっとした質感、嫌いじゃない…つうか好き。
『女に命を助けられ、その恩義を返す』って構造は前回の次元と同じなのに、ハードボイルド・ノワールのど真ん中と、サムライ・ミーツ・ステージの面白さっつう、真逆の味付けになるのが面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
ここら辺は五右衛門というキャラの味、それを選んだ脚本家の味…てところか。
ワケの分からねぇトンチキ女に見初められ、同僚と横並びでウォーキングに励むゴエちゃん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
どう考えてもバカらしい状況なのだが、現代のサムライは自分なりモデル修行に打ち込み、ギャビー・ボーイズの一人として不器用に頑張る。
ある意味『剣豪の職場体験』的なぎこちなさが、妙にカワイイ。
何かと孤高の人切り要素が強調されがちなので、ゴエちゃんがゴエちゃんのまま同僚を造り、盗みでも殺しでもない仕事に精を出してる姿が、新鮮かつ嬉しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
それは一瞬のとまり木でしかないんだけども、五右衛門はちゃんとやりきる。
三枚目に描きつつ、地金にキラリと生真面目が光る。いい塩梅だ
ギャビーが悩める芸術家なので、恋の色がエピソードに薄く、インスピレーションを与える戦友としての顔が濃かったのも、なかなか新鮮な味わいだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
ギャビーのわがままし放題が、彼女なりに新しい扉を開けようと必死にもがいた結果なのだと、段々分かってくる話運びも好きだ。
クドいくらいにモデル修行を繰り返し、場違いながら懸命にやってる五右衛門を強調することで、それが剣をひとつ上の高みにもってってる面白さとか、剣豪の飢えた瞳に惹かれつつ、その奥にあるストイシズムに燃えてくる相互作用も、奇妙ながら確かな土台を築く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
すんげぇ奇妙な話なんだが、ファッション業界スポ根ものとして確かに、奇妙さの中で何かを掴んでいく人達の姿がよく描かれていたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
こういう角度から”石川五右衛門”の意外な…でもチャーミングな顔を描いたのは、とても良かった。
”淑女とサムライ”で子供らに囲まれた時の顔と、ちょい似てる。
前半がとても良かった分、後半のファッションショーシーンはストレンジな味わいだけでなく、ビシッとクオリティで殴りつけ、ギャビーのデザイナーとしての才能を納得させるような絵作りが、もうちょい欲しかった所でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
まぁアニメで描くには、結構難しいネタだってのもよく分かるが…。
ルパンが狂言回しに徹して、五右衛門の純情を試す道化役として、戯けた追いかけっこに興じていたのは、とても好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
やっぱあの二人がピリピリ対峙し、キャッキャしてる姿は微笑ましい。
魂のステージを守り切るという、守護者のヒロイズムもゴエちゃんに宿るし。
モードな衣装に身を包み、真顔でランウェイを歩ききる五右衛門には、不似合いで不格好なことを120%の力みでやりきる者特有の、不思議な輝きがあったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
これはどんな題材が一番五右衛門に不似合いで、だからこそその魅力を引き出せるか、ちゃんと見つけられた結果だろう。
結局年離れたパートナーとの関係に話が落ち着いていくなら、もうちょいラガーフェルドに強いエピソードが欲しかった感じもあるが…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
ただ、『サムライの愚直な鍛錬が相棒の突破口になってくれるかも…』と、見つめ視線が可愛かったので、それでOKな感じもある。
無事ステージを守りきり、一宿一飯の恩義を返したサムライは彼の物語に戻り、ギャビーは彼女のミューズが切り開いてくれた未来に向かって、再び進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
かなりトンチキな話だったのだが、後味はとても爽やかで、その混ざり加減がなかなか良かった。
これは『強いサムライを、悩める女性デザイナーが付き従える』っていう、ある種の逆転構造も効いてるかな、と感じて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
だってゴエちゃん、絶対”ミューズ”って顔じゃないじゃん。
でもギャビーは彼の瞳に、自分の芸術がどん詰まりから開放される可能性を感じた。
その一見ミスマッチでネジレた感性が、凄く奇妙な形ながら目の前のミッションに必死に挑み、自分なりに”着こなす”サムライの可能性を、グイと引き出してくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
そういう関係性も、”女”をテーマに描けるんだ、と示せたのは、第2クールをアンソロジーとして見た時、結構大きな仕事かな、と思う。
五右衛門の象徴たる斬鉄剣を、彼の心、ギャビーとの信頼関係を照らす鏡として生かしていたのも、良い演出だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
頑なに自分のスタイルを変えなかったサムライは、モデル修行に打ち込むなかで”何か”を見つけ、それを手渡してくれたギャビーに、自分のスタイルを預けるようになる。
そして一度手放した剣を取り戻した時、彼はとても”石川五右衛門”らしく、守るべきものを守りきる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
ファニーな絵面で笑わせつつ、結構な充実感をもってエピソードを見終われたのは、そういう所がちゃんとしていたからだと感じた。
やっぱ軟球をストライクゾーンに入れるには、土台が大事だなぁ…。
そんな感じで、とても奇妙で可愛くて、不思議に爽やかな五右衛門エピソードでした。凄く良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月11日
マジ顔で変なことに本気で挑み、やりきる時生まれる特別なカッコよさがちゃんとあったのは、僕の好みにドンピシャでした。ありがたい…。
まだまだ個別回のターン、次はどんなお話が来るか。楽しみです